僕のカノジョは厳しい女上司   作:寿垣遥生

1 / 9
女上司から怒られている若手営業マンだが、実は…

OPテーマ
『HELLO』
歌:福山雅治

EDテーマ
『Silent tonight』
歌:BiBi(南條愛乃、徳井青空、Pile)


#1 女上司《カノジョ》に慰められる話

主人公side

 

 僕の名前は竜源院信次《りゅうげんいんしんじ》、佐倉工房という大手文房具店の本社にある営業課で働いている入社2年目の23歳です。ここではこの会社で開発している新製品の宣伝活動等を中心とした仕事をやっている、のですが…

 

「貴方、また書類をミスしたの?」

 

「申し訳ありません!気をつけていたつもりですが…」

 

 今日も僕は上司から怒られています…書類に関しては入力ミスしないように気をつけたつもりだけど、また誤入力でやり直しだよ。ちなみに、目の前にいる女性は営業課課長の東條理絵《とうじょうりえ》という僕よりも年が10個上のザ・キャリアウーマン。彼女はこの会社の専務の娘で、周囲からは"鬼上司"と呼ばれるぐらいに恐れられている女性である。しかし、見た目の美しさは"上層部の華"と言われるぐらいに評判とのことらしい。

 

「あのね?私が気づかなかったら、受注ミスで取引先からクレームが来るところだったわ…それに、貴方の名前があることだから真っ先に責任を追及されるのは竜源院、貴方なのよ?若手の貴方がこんなミスをして印象が悪くなったら、契約も打ち切られる…それがどういう意味か理解してるでしょうね?」

 

「はい…」

 

「本当に分かってるの?顔を上げて返事しなさい!」

 

「は、はい!」

 

「分かったら、すぐ戻る!突っ立っていたら時間の無駄でしょ?」

 

「申し訳ありません、以後気をつけます…」

 

 僕は課長に言われるがままに自分の仕事場に戻る。今日はすごく怒っていたな…自分が悪かったかもしれないけど。

 

「お疲れ!いつも怒られて大変やなぁ…」

 

 彼は僕の同期の稲田茂幸《いなだしげゆき》、大阪の大学を卒業し、入社してきたお笑いが大好きな関西人だ。

 

「稲田、ありがとう…でも、僕は平気だよ。」

 

「信次はメンタル強いなぁ~。まさに、トルコアイスやないか…」

 

「稲田、喋ってないで仕事をしなさい!給料減らすわよ?」

 

「なんでっすか!?コイツも一緒に喋ってたでしょ!!」

 

「…」

 

 課長は稲田の抗議を無視して見事に退けた。確かに、僕も喋っていたのだが…どうやら、彼女の情けらしい。それじゃあ不公平じゃないかって?そう、実は僕と課長は訳ありな関係なんだ。

 

 

 

 

 

 僕は今、課長…いや、理絵さんとお付き合いしているのです。

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「ううっ…」

 

 その日の夜、僕は家の中で缶ビール片手に泣いた。そりゃあ泣きたくもなるよ…課長である理絵さんから仕事のこととはいえあんなにも怒られたらメンタルが持たないに決まってる。彼女から嫌われてたらどうしよう…そんな不安が頭の中をグルグルと渦巻く。

 

ピンポーン

 

「はーい…どなたですか?」

 

ガチャ

 

「あの、ちょっとお邪魔してもいい…かしら?」

 

 インターホンが鳴りドアを開けてみると…目の前には、申し訳なさそうな感じで問いかける課t…理絵さんがいた。仕事中は長い髪を後ろで結っていて、黒縁眼鏡をかけているのだが…今の彼女は長い髪を下ろしており、眼鏡もかけていない素顔で服装も私服だ。すなわち、今の彼女はカノジョモードである。この時だけは課長のことを"理絵さん"と呼んでいい時であり、甘えてもいい時でもあるのだ。

 

「いいですよ、上がってください。」

 

 僕も涙を拭って、理絵さんを家に招き入れた。彼女は週に2~3回ぐらいのペースで家に遊びに来てくれる。いつもであれば楽しいひと時なのだが…今日はあの一件があったせいでお互いにどこかギクシャクしていた。

 

「麦茶いりますか?」

 

「それじゃあ、一杯だけいただくわ。」

 

「かしこまりました。それじゃあ、準備してきますね…」

 

 理絵さんの注文通り、僕は彼女の分の麦茶をコップに注いでそれを渡す。

 

「どうぞ…」

 

「ありがとう。」

 

 そして、彼女は麦茶を無言で飲む。しばらくの沈黙が続いた後、理絵さんが僕に問いかけてきた。

 

「ところで、缶ビールを飲んでたんだね…ってことは、あの事を引っ張っていたの?」

 

「あの事?何の事でしょうか…」

 

「だって、さっきまで君…泣いてたでしょ?涙を拭っていたのだから分かるわ。それに、信ちゃんって何か辛いことがあったら缶ビール飲んで泣くんだもん…それぐらいお見通しよ。」

 

どうやら、上司《カノジョ》には僕の行動は全てお見通しのようだ…これじゃあ隠し事も隠せないね。

 

「私も、実は不安で…信ちゃんがこの事で怒っていたらどうしようかなって思ってたの。」

 

「大丈夫です。書類の件に関しては僕が悪かったんですから…理絵さんが気にすることはありませんよ。でも、ちょっと傷つきました…理絵さんから嫌われたんじゃないかなって思っていたんです。」

 

「そうよね、仕事とプライベートで態度が違ったら不安に思うわよね?本当にごめん!みんなの目もあったからあんなキツい言い方になってしまって…それに、人によって態度を変える悪い上司と思われたくなかったの。」

 

 理絵さんは悲しそうな顔をして僕に謝る。確かに、仕事では鬼上司として恐れられている立場にいる身…そんな彼女が僕だけに優しくしたら大問題だ。なので、ある程度は言われても泣かないようには我慢しているつもりだ。

 

「でも、私はいつも信ちゃんのことを思ってるのよ?仕事の時だって君に怒っている時は心の中で謝ってるつもりだし、君が落ち込んでいる時も優しく声をかけてあげたいけど頑張って自制しているの…大丈夫、私は君の事が大好きよ。」

 

「理絵さん…」

 

 理絵さん、その笑顔は反則ですよ…甘えたくなるじゃないですか。仕事中には見せない乙女のように可愛くて優しいその笑顔、僕は貴方のそこに惹かれたんですよ。

 

「だから、その…仕事が終わったら、思う存分私に甘えていいんだからね?」

 

「それじゃあ、お言葉に甘えて…」

 

 僕は理絵さんにそっと抱き着く。あんな甘い言葉を言われたら高鳴る胸の鼓動を抑えるなんて無理だよ…

 

「もうっ…でも、そんな私にデレデレしてる君も大好きよ♪」

 

 それに応えるように、彼女は優しく頭を撫でてくれた…仕事では厳しいけど、プライベートでは優しくしてくれる。優しくされていなかったら、辞めてただろうな…

 

「理絵さん、僕も大好きです。」

 

「うん、ありがとう…」

 

 その後、僕は理絵さんと一緒にご飯を食べて彼女の家まで一緒に歩きながらお話をしました。僕は彼女から愛されているということを実感できた1日だったよ…いつまでも理絵さんから愛されたいなと僕は改めて思った。

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 その次の日、僕は気持ちを切り替えて仕事に臨む。昨日は理絵さんに沢山甘えんたんだ…今日はしっかりと頑張らないとね!

 

「はい…はい…いつもありがとうございます!今後とも是非弊社の商品をご利用ください。…本日はありがとうございました!失礼します。」

 

「今日はめっちゃ元気やん。どこにそんな元気があるのか分からんが、昨日と比べたら大違いやなぁ…」

 

「まあね。元気があれば何でもできるってどこかのプロレスラーが言ったぐらいだからさ…稲田も気合い入れて行こうよ!」

 

「うへぇ、金曜日でそれは鬼畜や!俺が死んでまうで?ホンマに…」

 

「竜源院、課長がこっち来いってよ。」

 

「あっ、はい!」

 

 そして、僕は理絵さんから呼ばれたということで彼女のところへと向かう。今は仕事モードだから、気持ちを引き締めないとね!

 

「課長、ご用件は何でしょうか?」

 

「変に元気ね。まあ、それよりもこの前貴方が出した企画書の案だけども…上からかなり不評だったわよ?大至急やり直せと社長もご立腹だったわ。」

 

「そうでしたか…」

 

 やはり、課長である理絵さんから直接怒られるのは怖いけど…社長やら上層部を通して怒られると尚更怖いものだ。さっきまでの気合いの炎が消えていくような感じがする…

 

「はあ…元気かと思ったらまた落ち込んで。もう…」

 

 その時、理絵さんは椅子から立ち上がって僕の耳元に近寄る。一体何をするのだろうか…

 

「大丈夫よ、この前出した時からはかなり良くなってるわ。」

 

 彼女は耳元に優しく囁いて、落ち込む僕を励ましてくれた。

 

「だから、そんなに落ち込まないの…私は頑張る信ちゃんが大好きよ♪」

 

「えっ!?あっ、その…」

 

 僕はいきなり仕事中に『大好き』と囁かれて動揺する。本当に反則だよな、この人は…何もかも。

 

「そんなに驚いちゃって…可愛いんだから。でも、今はダメよ?お仕事が終わったら昨日よりもたっぷり甘やかしてあげるから、ね♪」

 

「はい!」

 

 そして、その日の夜は沢山理絵さんに甘えたのは言うまでもありません…これからも上司として、恋人としてよろしくお願いします!以上、女上司《カノジョ》から慰められる話でした。




登場人物紹介

竜源院信次《りゅうげんいんしんじ》

CV:森田成一(声のイメージ:佐藤寿也)

見た目:声のイメージ通り

身長:179センチ

体重:64キロ

誕生日:9月13日

年齢:23歳

解説
この物語の主人公。佐倉工房本社の営業課に所属する2年目の若手イケメン営業マンで、営業課の課長である理絵の彼氏。普段は特に取り柄のないごく普通の男なのだが、カノジョモードの理絵だけには本性である弱気で甘えん坊なところを見せる。女性社員からはモテモテだが、本性等を知られた時が怖い…


東條理絵《とうじょうりえ》

CV:南條愛乃(声のイメージ:絢瀬絵里)

見た目:黒髪の長い髪を後ろで結っている、黒縁眼鏡(仕事モード)、髪下ろし、裸眼(コンタクト)(カノジョモード)

身長:164センチ

体重:??

誕生日:7月7日

年齢:33歳

解説
この物語のメインヒロイン。専務の娘で、営業課の課長を務めている。内部では"鬼上司"という異名で恐れられ、見た目の美しさは"上層部の華"と評されるものを持つ。異名のように普段から厳しい訳でなく、彼氏の信次には甘々だ。スリーサイズは上から、89/59/86。


稲田茂幸《いなだしげゆき》

CV:福島潤(声のイメージ:ハリー)

見た目:髪の色が茶以外は声のイメージ通り

身長:182センチ

体重:68キロ

誕生日:1月23日

年齢:23歳

解説
信次の同期。岸和田出身で大阪の大学を卒業したお笑いとアイドルをこよなく愛するバカ。信次の支えになれるか?

とりあえず、エブリスタとマルチ連載という形でやっていくのでよろしくお願いします!(現在、6話まで絶賛連載中!←9/17時点)

次回からは修正終了翌日の朝の7時に予約投稿いたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。