OPテーマ
『HELLO』
歌:福山雅治
EDテーマ
『Silent tonight』
歌:BiBi(南條愛乃、徳井青空、Pile)
理絵side
仕事が終わった家の中での出来事…この日の夜は私もお父さんも早くお仕事が終わったということもあって、二人でゆっくりしている中で事件は突然と起きる。
「さてと、お風呂上がりのプリン…って、ない!?」
なんと、冷蔵庫の中に入れていた私のプリンが置いていた場所からなくなっていた。犯人が誰かについてはある程度分かっている…私は一旦リビングに戻ってお父さんにプリンの行方を訊ねようとした。
「お父さん、私のp…「理絵、お前ってヤツは私の為にプリンをあの高級店のプリンを買ってくるとは…流石、営業課課長として私の役に立ってる訳だな!」…えっ?」
しかし、その犯人が私の父であり上司の東條和弘《とうじょうかずひろ》であることがあっさりと判明した。お父さんは私を会社の為の道具としか思っていなくて、社長と幼馴染という縁だけで専務になっただけで調子に乗っているのだ…私はそんなお父さんが大嫌いである。
「お父さん、それ私のプリンよ!何でお父さんが食べてるの!?」
「何でって…冷蔵庫の中にプリンがあったから食べただけだ。たまには甘いものを食べないと、疲れが取れないからな。」
そう、お父さんは大の甘いもの好きでケーキやらプリン等のスイーツを仕事でかなり疲れた日の食後に食べないと気が済まないのだ。
「折角、私がこの日の楽しみの為に取っておいたのに!どうしてお父さんは人のを勝手に食べるのよ!!」
「お前が名前を書かないのが悪いんだ。それに、私の方が上司なのに何だその口の利き方は?生意気にも程があるだろ!」
「ここは家だからただの親子でしょ?都合のいい時だけ上司になって…この自己中!!」
「黙れ、スッピンがエイの腹!そんなお前なんかにお婿さんなんか遠い未来だな!!」
「自分の娘にエイの腹?確かにスッピンは色白だねって美姫からよく言われるけど…何で結婚のことまで言われなきゃいけないの?もう頭に来たわ!私、会社を辞める!!」
「ああ、辞めたいなら辞めろ。私は止めんからな?」
「ええ、好き勝手に辞めさせていただきますよ!」
そして、私は自分の寝室へと怒りを抱きながら戻るのであった。
side out
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信次side
竜源院信次です。今は昼休みで食堂で昼食の味噌汁セットを食べていると、一人の男が訪れる。
「竜源院くん、一緒にお昼を食べようと思っているのだが…よろしいかな?」
「どうぞ。」
理絵さんのお父さんでこの会社の専務である東條専務がデザートの杏仁豆腐付きの回鍋肉定食を持ってやって来る。
「どうだ、仕事は上手くやっていっているのかね?」
「ええ、弊社のチョークが取引先から好評で…大量生産のご依頼をいただきました。」
「君の営業活動のお陰だよ。営業マンとして板がついてきたんじゃないのか?」
「とんでもございません。僕一人だけの力だけでなく、これは支えてくださる先輩方や課長である専務の娘さんのお陰でございます!」
「そうか。やはり、娘の言う通りに君は仕事に向かう姿勢が素晴らしいな!これからも模範社員として頑張りなさい。」
「はい!」
東條専務から褒められて嬉しいのだが、それ以上に理絵さんが仕事中の僕もこういう風に見てくれていたことがもっと嬉しく思った。社会人になって2年目、やっぱり恋人が上司ってのは凄いな…
「それよりも、一つお訊きしてもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わんよ。」
「ありがとうございます。それで、朝から気になっていたのですが…どうして課長は専務を避けているのでしょうか?」
僕はどうして専務と理絵さんが仲悪そうにしていたのかを訊ねる。いつもは親子という間柄もあって何の壁もなく仕事の話をしていたのだが、今日はいつも違って積極的に話す彼女側から専務を避けているような感じもした。
「うむ、実は昨夜に理絵と喧嘩をしたんだよ。たかがプリンのことでな…」
「プリン?」
「ああ、どうもアイツは高級店でプリンを買っていてそれを私が食べてしまったんだよ…だが、私は謝らない。アイツが自分のモノだと言ってたにも関わらず名前を書かなかった、完全なる理絵のミスだ。」
「…」
「ごちそうさま。それじゃあ、私は失礼するよ…」
それだけを言い残し、専務は食堂を去る。 言い分からして専務が100%悪いとは思ったが、それを正直に言うと僕はクビにされてしまう…その恐怖から僕は何も言い返せなかった。
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仕事が終わり、僕は理絵さんから誘われて珍しく居酒屋で外食することになった。どうやら大事な話があるとのことで、生ビールのジョッキ1杯を理絵さんが飲み終えたところでついに彼女が重い口を開く。
「実は…私、会社を辞めようと思ってるの。」
「えっ!?」
その時、彼女が言った一言に僕は言葉を失った。恋人としてだけでなく上司として僕を支えてくれた理絵さんが会社を辞めるなんて…嘘なら嘘であってほしい。
「冗談、ですよね?」
「私は本気よ。信ちゃんには悪いと思ってる…だけど、私はもう今の環境で仕事はやりたくないの。」
「専務と喧嘩したことが原因ですか?」
「ええ…って、どうして信ちゃんがその事を知ってるの!?」
「東條専務がお昼休みにおっしゃってました…『たかがプリンのことで』と。」
「お父さん…信ちゃんにインチキなことを吹き込んで、絶対に許さない!」
理絵さんは余程頭に来ているのであろうか、彼女が握る拳は震えていた。これは明らかに専務が悪いのだから、無理もない。
「それで、会社を辞めたら何をするつもりですか?」
「よく訊いてくれたわね。私、小さい時は歌手を夢見ていたの…だから、信ちゃんと一緒にユニットを組んで日本を一緒に天下統一しましょう!」
「つまり、僕も…ですか?」
「あんな自己中な会社なんて辞めた方がマシよ?社長はともかくNo.2が自己中なお父さんだからやってられないわ!」
とりあえず、理絵さんの辞めたい理由は理解できた。彼女がもう耐えられないのなら、それを無理にでも我慢しろとは僕の口から言えない…恋人とはいえ上司だからね。
「分かりました。それで、理絵さんって何か音楽に関して何らかの活動ってしてましたか?」
「ええ…いきなりだけど、ゲラゲラ動画でかつて活躍していた歌い手で"絢瀬調"って知ってるかしら?」
絢瀬調、5年前に人気絶頂の中で静かに姿を消したゲラゲラ動画出身で有名な歌い手である。どんな曲でも持ち味のクリスタルボイスでファンを魅了したまさにプロの歌手に負けないぐらいの歌唱力と声を持った"天才"だった…もちろん知らないはずがない。
「ええ、知ってますよ。それがどうしましたか?」
「実は…私なの。」
彼女はカミングアウトした…なんと、あの絢瀬調の正体が理絵さん自身であるということを!あまりにも衝撃的なことだったので、しばらく黙ってしまうぐらいに驚く。
「えっ、本当ですか?」
「その証拠に…」
すると、理絵さんは証拠としてバッグの中に入れていたビデオカメラから一つの動画を再生させる。
『こんにちは、絢瀬調です。今日は初めて商品レビューをやってみたいと思います♪』
その映像はなんと…今となってはゲラゲラ動画内でも伝説になっている貴重な調さんの商品レビュー動画(無編集)だった。まさか、理絵さんがあの調さんなのか!?仮面を被っていてよく分からないが、ファンだった立場として複雑な心境だ…
「これで信じてもらえたかしら?」
「ええ、ですが…ファンとしては喜びよりも正直驚きの方が大きいです。まさか、僕の上司が調さんだったというのがもう夢なのか現実なのかって混乱してますよ…」
「大袈裟なんだから…でも、君も私のファンだったんだね?ありがとう♪」
僕は理絵さんから頭を撫でられているのだが、今の僕にとっては理絵さんと調さんの二人から同時に撫でられているような気分である。
「それにしても、ファンとして気になったのですが…どうして、突然動画どころかアカウントを消したんですか?凄くショックでしたよ…」
調さんが姿を消した時は本当に悲しかったな。最後の一言が『また会おうね♪』だっただけに裏切られたからね。そして、その調さんは僕の目の前にいるのだ…訊いてみるのには絶好の機会である。
「ごめんね。最後の方の動画を観てたなら分かるけど…昔のような声が出せなくなってしまったのよ。それに、お父さんから活動を辞めて仕事に専念しろと言われてたからね…アカウントごと消してしまったのよ。」
「そうでしたか…」
理絵さんは申し訳なさそうな表情で引退に至った経緯を語った。活動当時は今の声よりも若々しさがあり、綺麗で可愛らしい声を持っていたのだ…でも、今のように大人のお姉さんっぽくて色気やら母性を感じる優しい声も魅力的だと僕は思っている。理由は簡単、僕は彼女を心の底から愛しているのだから…
「でもね、私はこれを機にもう一度歌手を夢見ていきたい…そこで、信ちゃんにも協力してほしいの。お願いできる?」
「分かりました。理絵さんの夢を叶える為なら、僕も頑張ります!」
こうして、僕も彼女の夢である歌手を目指す二人三脚の物語が幕を開けたのであった。
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その次の日の仕事終わり、僕は稲田の二人で楽器片手に会社近くのホールを訪れた。この場所は理絵さん…調さんが定期ライブをやっていた会場で、彼も大ファンだったということで誘うのには苦労しなかった。ちなみに、僕らが持ってきた楽器はと言うと…稲田はエレキギターで僕はシンセサイザーである。
「なあ、ホンマにあの引退した調ちゃんが来るんか?あの課長のことやから、説教の為の名目だと思うんやけど…」
「でも、調さんに会いたいだろ?」
「まあな。せやからお前と一緒に来たんやで?嘘やったらただでは済ませへんぞ…」
「はいはい。」
そんな風に待っていると、一人の女性が現れる。特徴的な黒髪ツインテールにピンクのドレス…この格好はそう、絢瀬調こと理絵さんだ。
「お待たせ~♪」
「おおっ!?」
5年ぶりに現れた伝説の歌い手が戻ってきて稲田は驚く。覆面は外している為素顔はモロバレではあるが、どうやら彼は彼女の正体が上司の理絵さんだということに気づいていない。それぐらいに久しぶりの再会(実際に会うのは初めて)にテンションが上がっている。
「すんません、ホンマに調ちゃんなんですか?」
「そうだよ。私がみんなの妹、絢瀬調です!」
「わはああああああ!俺、信じるわ~!!…ってか、素顔可愛い~!!!」
「フフフ、ありがとう♪」
理絵さんは定期ライブの時の名物挨拶を稲田に披露する。絢瀬調のキャラは"みんなの妹"という設定で年上年下関係なく数多くの男をメロメロにしてきたのだ。(もちろん、僕も…)
「あの…調ちゃん、できれば俺と一緒に写真を撮ってくれませんか?」
「いいよ。それじゃあ、信次くんも一緒に写ろう♪」
「は、はい!」
いけない、僕もテンションが上がっているようだ。いくら正体が理絵さんとはいえ、いつもスクリーンの向こう側にいた調さんと一緒の写真に写れるのは凄く光栄なことだ。
「撮るよ~。はい、チーズ☆」
「「イェーイ!」」
パシャ
こうして三人で写真撮影をした訳だが、うん…最高だね。誰かの名言を借りるとしたら、何も言えねえぐらいに超気持ちいい気分だ。
「さて、写真撮影も終わったところで本題に移りましょう。調さん、ご説明の方をよろしくお願いします。」
楽しい一時を終え、早速本題へと話を進める。そのタイミングで理絵さん(調さん)は一言頷いて口を開く…
「うん、私は1週間後にレンコンレコード主催のオーディションにエントリーしたの。そこで信次くんと茂幸くん…だよね?」
「はい、俺が稲田茂幸です…」
「そこで、信次くんと茂幸くんに私からお願いがあってね…そのオーディションで歌う曲を演奏してほしいの。」
彼女の口から発された言葉、『オーディションで歌う曲を演奏してほしい』…シンプルなお願いかもしれないが、仮にこのオーディションで受かれば僕と稲田は彼女の専属バンドになる可能性が高い。つまり、これは理絵さんだけのオーディションということではないということだ。
「調さんが歌いたい曲は何ですか?それを僕はまだ訊いてなかったので…どうでしょうかね?」
「それだけど、もう決まってるよ。『only my railgun』、今でも神曲なアニソンね♪」
彼女が歌う曲…それは今でもカラオケ等で多く歌われているもので、原曲を歌っているのは理絵さんと声がそっくりな人である。さらに、この曲を『歌ってみた』動画としてゲラゲラ動画にて披露した実績があることを考えると…条件的にはかなり良い方と見た。
「せやけど、歌ってみたをやった時はカラオケでしたよね?何故に今回は生演奏で勝負しようと思ってはるんですか?」
「今回のオーディションは生演奏で曲を披露すると審査員からの評価が高いの。それを踏まえて、信次くんを通してあなたにもお願いしたって訳…いきなり呼び出したりしてごめんね?」
「エエんですよ。調ちゃんがこういう形でも現役復帰してくれたことが俺は嬉しいんで…そうか、歌手なんやなぁ~。」
稲田は何やら嬉しさと寂しさが複雑にクロスしたかのような表情で天井を見上げる。身近にいた歌い手が歌手になりたいという夢を掴み取る…その瞬間に立ち会うのは光栄なことでもあり、彼女の存在が雲の上まで遠ざかってしまうという残酷なことでもあるのだ。
「それじゃあ早速ながら音合わせをしましょう。1週間ともなれば時間はありませんし…」
「そうだね…それじゃあ、練習をしようか。」
こうして、三人によるオーディションに向けての練習が始まった…のだが、よく考えたらこれで合格したら僕だけじゃなく稲田も会社を辞めてバンドの世界でやっていくのか、凄く複雑だ。
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次の日、僕達はいつものように仕事をしている。今日は午後から外回りと称した理絵さんのオーディションに向けての練習がある。
「ところで、稲田…ちょっといいか?」
「何や…俺はめっちゃ忙しいねんから後でにしてくれ!」
「いやいや、どうしても午後からの練習について気になることがあるんだけどさ…本当に追加のメンバー集められたんだよな?」
「大丈夫やて、信次!ちょっと待ってろよ?お~い、相楽と二階堂!!」
すると、稲田の呼ぶ声に新入社員である相楽啓介《さがらけいすけ》と二階堂俊哉《にかいどうとしや》の二人が僕達の前に集まった。
「先輩、俺と二階堂に何か用っすか?」
「紹介しよう。我ら絢瀬調withGuilty Thundersの新メンバーである相楽と二階堂や!ちなみに、相楽はベースで二階堂にはドラムをやってもらうことになってる。」
「僕ら、バンドでそれぞれのパートの経験があるので…よろしくお願いします!」
「よろしくね…」
こうして、相楽くんと二階堂くんといったバンド経験者の協力者が加わってくれた。これで合格も間違いないかも…と思っているが、それ以前に勝手にバンド名が決められていたことが凄く気になった。どこぞの中二病っぽい感じだが、気にしないようにしよう。
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そして、昼食を食べ終えた僕達"Guilty Thunders"は練習会場にたどり着く。
「それじゃあ、調さんが来る前に相楽くんと二階堂くんは持ってきた楽器を組み立てて音合わせをしようか。」
「「はい!」」
そして、相楽くんと二階堂くんの二人は返事をしてから急いで組み立てる。やっぱり、彼らは(1年分だけ)若いだけあって活気であふれている。新入社員だった頃の僕らもこんな感じだったんだな…と懐かしく感じた。
「おっ、やってるね♪」
「調さん、丁度よかった!新しくバンドのメンバー集めましたよ。」
すると、先に来ていたであろう絢瀬調こと理絵さんが着替え等の準備を終えて会場に現れる。今日は肩出しスタイルの服にハーフパンツという格好で、前回とは違って髪を下ろしており、ピンク縁の眼鏡をかけている。正体が一番バレそうな雰囲気だが、僕には関係ない…こんな僕達と同世代ぐらいの可愛い女の子に負けないぐらいに可愛い理絵さんを拝めたのだから。(笑)
「君達が新しいメンバー?」
「はい、俺が相楽啓介で…」
「僕が二階堂俊哉です!バンドの経験はあるので、よろしくお願いします!」
「私は絢瀬調、もう知っているかもしれないけど…ゲラゲラ動画では歌い手をやっていました。よろしくね♪」
「「本物だ~ッ!!」」
新人二人は調さんと挨拶を交わし、その中で彼女が本人であることを知るとあの時の稲田のようにテンションMAXとなった。彼らも調さんのファンらしいね…彼女の正体が自分の上司だと知ったら、どうなるのかな?(ゲス笑い)
「はいはい、ふれあいタイムはそこまでや。今は練習せなアカンし、調ちゃんかてお忙しい中来られはったんやから…」
「そうね…茂幸くんの言う通り、今は練習しよう!準備はOKかな?」
「「はい!」」
「それじゃあ、早速やりましょっか!」
こうして、僕達は相楽くんと二階堂くんを加えて毎日のように練習を重ねていく。これなら理絵さんを歌手デビューさせる夢を叶えることは可能だろうか…ついに彼女の夢の実現が現実味を帯びてきた。
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~オーディション当日~
「次の方、お名前をお願いします。」
「はい!エントリーNo.9、絢瀬調です。本日はよろしくお願いします!」
僕達の順番となり、理絵さん(調さん)を先頭にしてバンドの僕達も後を追うようにステージへと登る。ちなみに…今回のオーディションは希望する芸名でも出られるらしいので、本名ではなく歌い手の絢瀬調としてエントリーしている。
「ゲラゲラ動画で有名だった歌い手ですね…歌唱力に関しては高く評価してます。だからといって私達は甘くは見るつもりはありません…覚悟はできてますか?」
「もちろんです!」
「分かりました…それで、何を歌いますか?」
「はい…fr●pS●deで『only my railgun』歌います!」
♪only my railgun
彼女の合図によって僕達は曲の演奏を始めて理絵さんは歌い出す。歌声に関しては昔のような高く伸びる感じはなくなってはいるが、柔らかくて優しい歌声となった今でもやはり歌唱力の高さは健在だった。後は合格することを祈りながら最後までそれぞれの役割を成し遂げるのみ…そして、およそ4分30秒の曲が終わって運命の合格発表の日を迎える。
~~~~~~~~
あのオーディションから3日後、ついに理絵さんの家に合否通知の封筒が届いた。合格すれば歌手デビューという大きな夢が叶うのだが…
「どうですか?」
「待って…凄く緊張してるから、焦らせないで!」
理絵さんは緊張しながら封筒から出した白紙を表にひっくり返す。いよいよ結果が出るのだ!
「"不合格"ですか。」
「うん、そうね…」
結果は不合格。合格する自信があっただけに残念な結果に終わってしまった。しかし、僕だけでなく稲田や相楽くんに二階堂くんの三人も協力してくれたこともありオーディションの雰囲気を楽しむことができたのだから、何の悔いもない。
「ところで、理絵さんはこれからどうしますか?」
「とりあえず、お父さんとは仲直りしてまた会社に戻ることにするわ。やっぱり、私は信ちゃんと一緒に佐倉工房で楽しくお仕事することが向いてるかもしれないね…」
「そうですね。また一緒に頑張りましょう!」
こうして、理絵さんは正式に会社へと戻ってきた。その後、仲直りした父親である専務からお詫びのプリンを貰ったのはまた別のお話である…以上、女上司《カノジョ》が歌手を目指す話でした。
キャラ紹介
東條和弘《とうじょうかずひろ》
CV:山路和弘(声のイメージ:風鳴八紘)
見た目:脳内声優のイメージ
身長:174センチ
体重:61キロ
誕生日:6月4日
年齢:57歳
解説
理絵の父親。佐倉工房の専務として事実上のNo.2に君臨していて、社長である佐倉芳忠(次回登場予定)とは幼馴染という間柄にして同期でもある。周りからは温厚な上司という印象があるのだが、その実態は自己中心的で身分を傘にして社員を支配する冷酷な一面もある。趣味は料理で社員による料理大会では10連覇を成し遂げた実績も持っていて、特に大好きなスイーツに関しては右に出る者はいない。
ちなみに、父親としては性格からか娘の理絵と度々衝突するのだが…何だかんだで娘想いである。
相楽啓介《さがらけいすけ》
CV:落合福嗣(声のイメージ:チャラリート)
見た目:茶髪で首ぐらいの長さ、瞳も茶
身長:176センチ
体重:55キロ
誕生日:8月20日
年齢:22歳
解説
佐倉工房本社営業課に4月配属された新入社員。かつては超有名なバンドグループのメンバー(ベース担当←ただし、リザーブメンバー)だった経歴を持っているが、大学卒業と同時に離脱して現在に至る。見た目や口調はチャラ男っぽいところがあるかもしれないが、根は真っ直ぐな青年だ。
二階堂俊哉《にかいどうとしや》
CV:宮田俊哉(Kis-My-Ft2・友情出演)
見た目:脳内声優
身長:172センチ
体重:64キロ
誕生日:9月14日
年齢:22歳
解説
啓介とは同期同所属で彼もバンドグループで活躍していた経験(ドラム担当)を持つ(※ただし、啓介とは別のグループでその上レギュラーメンバー)。見た目は真面目で爽やかな好青年なのだが…実はアニオタで理絵と声がそっくりなアイドルが出ていたアニメから輩出されたユニットの大ファンである。 (推しは別にいるが…)