カルネ村に転生!   作:ビビリア

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多少無理矢理感ありますが、ご了承ください。


2話

エモット家に入ると、居間の奥の寝室らしき部屋で、幸せそうな笑顔を浮かべる女性と、安らかな寝顔の赤子がいた。栗毛色の髪の毛が数本、ちょこんと頭から生えているのが見える。

 

「アルディくん、この子、エンリっていうの、抱いてあげて?」

 

あぁ、この子か。原作キャラに会える、なんて思ってたけど。そんなことどーでもいい。大事そうに抱えられたその小さな身体を、俺はそっと、慎重に受け取った。小さな子供の高い体温が、俺の身体を、心を温めてくれている気がした。彷徨う紅葉のような手が俺の服に触れて、キュッと掴んだ。安心したように俺の胸に身を寄せてくる彼女は、とても儚くて、愛しくて、泣いてしまった。産まれたばかりの赤子の前で泣くという、全く締まらない事してるけど、でも、こんなにも暖かい涙を流したのは初めてで、幸せな気持ちになった。

 

『おばさん。この子は、俺が守るよ。』

 

この子の笑顔を、この安らかな寝顔を守ろう。彼女の両親も救おう。彼女の愛するだろうこの村を、守り抜くと決めた。今日の日の出来事の、溢れる愛しさの、せめてものお返しに。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

その日の夜、俺は森の前に立っていた。『トブの大森林』

カルネ村の近くにある森で、多くのモンスターが生息している。

ただ、この付近は『森の賢王』と呼ばれる強大な魔獣のテリトリーなのだ。森の賢王とは魔法すら使用する魔獣で、一説では数百年の時を生きている蛇の尻尾を持つ白銀の四足獣らしい。こいつのお陰でモンスターの数は少ない。が、原作を知ってる自分からしたら、でっかいハムスターでしかない。まぁ、実際滅茶滅茶強いから森には深入りしないつもりではある。さて、今回の俺のお目当ては、ラットとかワームとか所謂、雑魚モンスターだ。やっぱまずはスライムからでしょ!とにかく、魔物を狩らなくては経験値がたまらん。木刀振ってるだけでももちろん筋肉はつくし、技量は上がるのだが、レベルはほぼ上がらない。そうゆう仕様だったはず。だからプチプチ雑魚退治だ。千里の道も一歩からってやつだな

 

 

 

 

結果。一匹も狩れなかった。ラットといっても暗視の能力があり、俺が見つける前に逃げられるのだ。気配を消して探しているつもりなのだが、多分できてないんだろうな。でも、昼間に2歳児が森に入ろうとすれば、即刻連れ戻されるし、見つからなくてもみんなに不審がられるだろう。隠密能力と暗闇の中での気配察知は絶対に身につけなければならない。これから毎日訓練だな。この身体に夜中まで夜更かしはしんどい。帰って早く寝よう。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

夜の森での狩を始めて3年ほど経った。最近では単体だと物足りなくなって、ちょっと遠出して魔物が普通に出てくる森でレべリングしてる。戦士として敵をバッタバッタとなぎ倒す感じを憧れてたんだけど、いかんせん夜はやつらの領分だ。視界というディスアドバンテージがある以上、先に察知して回り込み、奇襲による短期決戦が定石になっていた。ポーションなんて高いものないし、まともな防備もないのだから、怪我なんて出来ない。俺は成り行きで、アサシンとしての技量を磨きまくってた。視界ほぼゼロの中で暗視持ち相手にパーフェクトゲームというのは、なかなか難しい。しかし、今や半径50メートルくらいの生物は察知できる。さらに近づけば大凡の強さもわかるので、無謀な戦闘はしないで済む。これにはだいぶ助けられた。近接戦闘に関しても、なんとなく相手の動きを感じとってやれるようになった。なんかあれだな、見聞色の覇気みたいだな。アサシンってのはそーいう職業なんだろうさ、気にしたら負けだ。

それにしても、今の俺はレベルでいうとどれくらいなんだろう。この世界の人間がクソ弱いことはわかるが、具体的な基準がないと、俺より弱い、俺よりめっちゃ弱い、とかの自分基準な能力ではわからんのだ。とはいえ、レベルという概念が一般的ではないかの世界では、教えてくれる人なんてそうそういないのだが。

因みに言っておくと、この世界ではレベルの代わりに『難度』というものがある。難度はレベル×3くらいなので、レベル10の人がいたなら、その人の難度は30ということになる。ともかく、人口120人程度の辺鄙な、しかも斜陽も斜陽のリエスティーゼ王国の開拓村には、そんなまともな戦闘要員は皆無なのだ。自分の立ち位置も分からないまま、俺は今日も森に向かった。

 

 

 

 

鬱蒼とした木々の合間を縫って、昨日雨が降った事でジメジメとする土を踏みしめ歩く。手には、去年両親がなけなしの金を払って買ってくれた鉄剣が握られている。いつもなら、索敵に引っかかった獲物をサクサク殺るだけなのだが、今日はなんとなく、森からイヤな感じがする。この辺に強いモンスターはいないはずだし、索敵にも何も反応はない。問題ない…はず。

「…………!!!??」

咄嗟に剣を抜き放ち、横に振り払いつつ後ろに飛びのく。

 

『…ほう。なかなか良い勘じゃのう。お主の『気配察知』は、半径50メートル程だと思って、その外から来たんじゃが。ふむ、面白い。』

 

そうだ。俺の索敵には一切反応はなかった。突然そこに出現したのだ。つまりこれは、転移系の魔法!正直勝ち目はない。どれくらい差があるかは分からないが、果てしなく俺より強いことだけはわかる。どうやら人間のようだが、いきなり転移で出てくるあたり、まともなやつではあるまい。どうするか…

 

『そう警戒するな。儂は世界を廻っている途中でな、この辺りには似つかわしくない気を放つ奴がおるから、ちと覗いてみたくなっただけじゃよ。儂の名は「リグリット・ベルスー・カウラウ」しがないネクロマンサーさね。』

 

 

「……え?…。」

 

 

はい???もしかして?もしかしなくても元十三英雄の?銀ピカドラゴンと仲良しのバアさんか???!!顔が見えないから確認はできないが、そうであるならこの強さも納得いく。

…待てよ?これは、強くなるチャンスじゃないか?本職ではないとはいえ、強者から学ぶ事は多いはずだ。旅のついでに、気まぐれで少しくらい修行つけてもらえるかもしれない。どっかのクライムくんみたいにね!

 

「あのさ、真っ暗で顔も見えない中悪いんだけど、俺強くなりたいんだ!少しでいいから、修行つけてくれないか?」

 

リグリットは少し驚いたように目を見開いて、フッと苦笑を漏らした。

 

『歳上に先に名乗らせておいて自分は名乗りもせず修行をせがむか。若いの、何のために強さを求める。その歳でお主は、この世界に何をみた。』

 

この問いに対する答えは、おそらく俺の人生を左右する。けど、俺の答えは簡単だった。

 

「大事な人を守るためだ。おれは、やがてくる脅威の前に萎縮して、何もしないでいるような臆病者にはならない。その為に、あんたの力を借りたい。」

 

リグリットはこの時、この子供に1つの可能性をみた。『百年の揺り返し』その時が近い今、5歳かそこらの子供が貪欲に強さを求め、愛を語る。この子ならば、あるいは。自分ですら届かなかった領域に、プレイヤーと呼ばれる、神の領域に、到達しうるのではないだろうか、と。

 

 

『いいじゃろう。明日の夜またこの森にこい。お主に、かけてみるとしよう。』

 

 

(ツアーよ、わしは、見つけたやもしれんぞ。)

月明かりも刺さない漆黒の森で、1人の老婆の怪しい笑みが浮かんでいた。その隣で少年は、自分の幸運に歓喜し、この機を逃すまいと目をギラギラさせていたのである。

また、次の夜からの修行を甘くみていたことを、大いに後悔することになるのだが、それはまだ、彼の知らない事である。

 

 




話が進まない…
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