ーー明治初期
廃刀令により"侍"という腰に刀を差す者達は跡形もなく消え、戦乱の時代は変わりつつあるはずだった。
だが、"異使徒"と呼ばれる異星人の襲撃により、異星人主権の世の中になってしまい、廃刀令が出されなかった。そのせいなのか侍の数は年々増加して行き、再び戦乱の時代が訪れようとしていた…
異星人の襲来から10年後、明治維新によって変わるはずだったこの国の地には人間の他にも様々な姿を持つ異使徒が歩いていた。
異星人主権になったこの時代では普通の人間は異星人に逆らえずあらゆる場面で不利になっている。そんな人間不利な世の中でまた1人、青年が不利な状況に陥っていた。
「おい、てめぇ!何、ぶつかってんだ‼︎ぶち殺されんのが嫌なら金払え!」
ぶつかった相手は異星人の中で一番力が強く野蛮だと言われている
青年はあっという間にぶつかった男とその子分達に四方を囲まれてしまい絶対絶命の事態に陥る。
「金払えねぇようだな!んじゃとっとと死ねぇぇ‼︎」
自分の反対側にいた熊鎌の男の子分はそう言って持っていた日本刀を頭上に振り上げて勢いよく振り下ろす。青年は死を覚悟し、目を瞑った。
街に響き渡る斬撃音。青年は斬られてしまってしまったのか、と思ったがどこの部位にも痛みは感じない。不思議に思い、恐る恐る、閉じていた目を開けてみると目の前にはさっき自分とぶつかった熊鎌の男が腹部のあたりから血を流しながら仰向けに倒れている姿が目に入った。反対側を見てみるとそこには日本刀で2、3人の熊鎌を斬り裂く赤髪で髪型がアシンメントリーの男がいた。
男は意識のない熊鎌の胸ぐらを強く掴みながら小さめな声でこう言った。
「お前ら、自分達の方が有利な世の中だからってあんま調子乗んじゃねぇぞ…」
青年は男のこの言葉に感銘を受ける。異星人主権のこの世の中で時代の波に流されずに自分らしく生きているのは珍しい。青年はそんな自分らしく生きている男に憧れ、男に歩み寄っていく。
「あの、助けて下さりありがとうございます!」
「俺は殺し屋、ただ依頼をこなしただけだ。礼なんかいらねーよ」
男は青年にそう言い残して青年に背を向けて去っていく。
青年は自分が憧れた男について行きたくなり、男の元へ走っていき、声をかける。
「あの!もし、よければ僕をあなたの弟子にしてください‼︎」
男は歩んでいた足を止めて青年の方へ振り向いて鋭い眼光で凝視しながらこう言った。
「好きにしろ…だが、お前を殺すよう依頼されたら俺はお前を殺す」
男はそう言い、歩みを止めていた足を再び動かして去っていく。青年は男の方へ勢いよく向かっていく。そして男の言葉に返答した。
「その時はあなたの首をぶった斬ってやりますよ!」
青年の返答を聞いた男はフッと青年に聞こえないくらいの声量で静かに笑った。