問題児+剣士が異世界から来るそうですよ?   作:HuseRocK

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第02話

俺は前回の最後に落ちていった――と表現したが、あながち間違ってはいなかった。

――ただ落ちていったのが俺の意識ではなく、体そのものだったということをのぞけば―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ※     ※     ※

 

 

 

 

 

 

 

――俺は気が付くと落下を開始していた。

 

「うぉっ!」

「わっ」

「きゃ!」

 

近くで叫び声が上がったような気がしたが自分が上げたものかどうかもわからなかった。

 

落下による圧力にしばらく苦しんでいたが、俺は途中から圧力による苦しみを忘れ、目の前の見たことない景色に目が奪われていた。

 

そして俺はほぼ無意識のうちに感想を口に出していた。

 

「「ど………何処だここ!?」」

 

やはり他にも誰かいるような気がしたが、そんなことよりも俺の目の前に広がる事実の方が衝撃的だった。

 

 

 

――――今俺がいるのは完全なる異世界だった。

 

 

 

     ※

 

 

 

「うわっ!」

 

かなりの高さから落ちたはずなのだが下が水だったおかげか助かったみたいだ。

 

周りを見回すと、猫を抱きかかえている小柄で控えめそうな女の子や、遠くにいるのでよく見えないが陸へ上がろうとしている二人の男女がいた。

 

俺はふと自分の服装を見ると、今までの楽な服装からSAOの頃の装備――コートオブミッドナイトにブーツオブミッドナイト、そして俺の背中に二対の愛剣―――ダークリパルサーとエリュシデータがあることに気がついた。

 

(いったいどういうことだ?)

俺は混乱する中今の状況を分析しようと頭を働かせてどうにか仮説を3つ立てた。

 

まず、ここがALOのアップデートによってできた新ALOの中という可能性。

これだと菊岡との約束通りちゃんとダイブできたことになるし、俺の今の服装にも説明がつくが、それにしてはこの世界はリアルすぎる、これを作ろうとしたら俺の見た感じそのへんの草一本で数十メガバイトになるようなリアリティだ。

 

次に、ここが現実世界のどこかという可能性。

しかし世界にあんな断崖絶壁や謎の生物が生存していたという記憶はないし、俺はちゃんとあの怪しげな機械からダイブしたはずだ。

 

そして最後に、ここが本物の異世界、死後の世界または未来という可能性。

これならいろいろと合点がいくことがあるのだが現実的にありえないし、俺は機械からダイブしているのだ。

 

―――死後の世界とは考えたくないが…

 

 

ここで俺はある事実に気がついた。それは、ここが何かのVRMMOの中ならプレイヤーカーソルが出現するはず――ということだ。

しかし、いくら凝視しても何も出てこなかった。

 

もしかしてNPCかもしれないなぁと思いつつ、俺はとりあえず近くにいた女の子と一緒に陸へ上がることにした。

 

     ※

 

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引きずり込んだ挙句、空に放り出すなんて!」

 

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

 

お嬢様のような雰囲気のロングヘアの女の子と不良っぽい金髪で学ランの男の子が服のはしを絞りながら話している。

 

「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」

 

「そうだけど、まずは『オマエ』って呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。

 それで、そこの猫を抱きかかえている貴方は?」

 

「……春日部耀。以下同文」

 

「そう。よろしく春日部さん。それで野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

3人の自己紹介から、この人たちも俺と同じような感じか、などと考えていると、

 

「そこの少し世界観の違う服をしたお前は?」

 

金髪の逆廻十六夜という少年から自己紹介を求められた。

 

「俺は…キリトだ。よろしく」

 

本名を名乗るか少し悩んだがゲームの世界という可能性もなくはないので、キリトと名乗ったのだが、

 

「何それ、偽名?」

「それとも、何かこの世界に関係のあるのか?」

「……?」

                           

二人からは馬鹿にされたように言われ、一人は無言のまま疑っているようだ。

 

この反応から多分この人たちはNPCではないな――ここがゲーム内でこの人達がNPCなら名前に疑問は持たないはず――と思いながら弁明しておく。

 

「いや、キリトというのは――そう、あだ名のようなもので、本名は桐ヶ谷和人だ」

 

「どうして最初にあだ名から言うのよ」

 

久遠飛鳥と名乗った少女が、用心深いのかなおも言及してきた。

 

本当のことを話そうか迷っていた俺に十六夜が助け舟を出してくれた。

「まぁいいじゃねぇかそんなことはあとで聞けば。

 それより呼び出されたはいいけどなんで誰もいねぇんだよ、説明する人間が現れてもいいんじゃねえのか?」

 

十六夜の疑問に飛鳥はしょうがないとでも言いたげな顔をして、俺から視線を外して答えた。

 

「そうね。何の説明もないままでは動きようがないもの」

 

俺はここで目を凝らして回りを見ると、二つの意味で驚くことになった。

 

一つは視界の隅で何かが光っているのが分かったことだ。

にわかにも信じがたいが、SAO内のスキル――索敵スキル発動しているようだった。

 

二つ目は視界に入った光っているものだ。

それはなんとなくウサギみたいな耳がはえた、人のような形をしていた。

 

俺はとりあえずこの事を話しておくことにした。

 

「それなら、そこの隠れている奴に話を聞けばいいんじゃないのか?」

 

「へぇ、お前も気づいていたのか。」

 

「あら、あなたも?」

 

「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?そっちの猫を抱いてる奴も気づいていたんだろ?」

 

「風上に立たれたら嫌でも分かる」

 

「へぇ?面白いなお前」

 

笑っているようだが十六夜の目は笑っていない。

 

俺たちが水浸しになった腹いせに殺気を込めた目線を物陰に向けているとウサギのような耳をつけた女性が出てきた。

 

「や、やだなあ御四人様。そんな狼みたいな怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」

 

「断る」

「却下」

「無理だ」

「お断りします」

 

「あっは、取り付くシマもないですね♪」

 

なんて言っていると春日部が黒ウサギの隣に立ち黒ウサギの耳をつかみ、

「えいっ」

力強く引っ張った。

 

「ちょ、ちょっとお待ちを!初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きにかかるとはどういう了見ですか!?」

 

「好奇心のなせる業」

 

「自由にも程があります!」

 

それを見ていた俺と十六夜は、

「へえ?このウサ耳って本物なのか?」

「面白そうだな」

 

今度は俺と十六夜が掴んで引っ張る。

 

「…。じゃあ私も」

飛鳥も来たようだ。

「ちょ、ちょっと待――――!」

 

 

     ※

 

 

「あ、あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために一時間以上も消費してしまうとは。学級崩壊とはこのような状況を言うに違いないのデス」

 

黒ウサギは気を取り直したように咳払いをし、両手を広げ、

「ようこそ、〝箱庭の世界〟へ!我々はあなたがたにギフトを与えられた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召喚いたしました。」

 

その後、黒ウサギの説明を聞いたところ、この世界は普通ではない人間が集まり『ギフトゲーム』というもので自身の能力や金品・土地や人間なども賭け、戦うということらしい。

 

この人が一応はこの世界のことを俺たちに教えてくれる人物のようだし、もしかしたら、俺がなぜゲームの中の状態のままでここに来たのかも知っているかもしれない。

 

「ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが……よろしいです?」

 

細かいところの説明や、残りの質問などはそこで説明するということらしい。

まぁそのときに聞こうかなどと俺が思っていたところで威圧的な声で十六夜が、

 

 

「そんなのはどうでもいい。腹の底からどうでもいいぜ。俺が聞きたいのは……たった一つ、手紙に書いてあったことだけだ」

 

 

十六夜は俺たちを見回し、何もかも見下すような視線で一言、

 

 

 

        

「この世界は……面白いか?」

 

 

 

 

俺たちも無言で返事を待つ。

 

俺にとっては元の世界に戻ることが一番に重要なことなのだが、十六夜の質問に俺は固唾を呑んで見守っていた。

 

端的に言うと俺も少なからず興味が出てしまっているのだ、この現実なのかゲームなのかどうかも疑わしい世界に。

 

「――YES。『ギフトゲーム』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」

 

これで俺たち―――少なくとも彼らにはこの世界にいる理由ができてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――俺はなんだかんだでなぜ俺がここに居るのかを聞きそびれたことに気がついた。

 




今回は、というより今回も、キリト君の性格があっているか少し不安です…
よろしければアドバイスを!

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