問題児+剣士が異世界から来るそうですよ?   作:HuseRocK

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第04話

―――黒ウサギは観念したのか、ポツポツと話し出した――

 

 

 

 

 

 

 

立ちながら聞くのもなんなので近くにあった岩場に移動して聞いた黒ウサギの話によると、

 

どうやら黒ウサギのコミュニティには名がないらしく、〝ノーネーム〟という蔑称で呼ばれること。

 

さらには、コミュニティの誇りである旗印――コミュニティのテリトリーを示す役割もある――もない。

 

トドメに、中核をなすメンバーが一人も残っておらず、ゲームに出れるほどのギフトを持つのは黒ウサギとジン坊ちゃんと呼ばれる少年のたった二人ということだ。

 

「後は十歳以下の子供ばかりなのですヨ!」

「もう崖っぷちだな!」

「ホントですねー♪」

 

適当に相槌を打っていた十六夜の冷静な言葉に黒ウサギはガクリと項垂れてた。

 

「で、どうしてそうなったんだ?まさか託児所でもやってるわけじゃないんだろ?」

 

「いえ、彼らの親も全て奪われたのです。箱庭を襲う最大の天災―――〝魔王〟によって」

 

〝魔王〟―――その単語を聞いた瞬間、十六夜が突然声を上げた。

 

「ま………魔王!?」

 

十六夜が新しいおもちゃを見つけた子供のように瞳を輝かせていた。

 

「魔王!なんだよそれ、魔王って超カッコイイじゃねぇか!箱庭には魔王なんて素敵ネーミングで呼ばれる奴がいるのか!?」

 

十六夜がワクワクしたような態度で騒いでいたが、この世界でいう魔王とは倒したら感謝される可能性はあれど、俺たちの思い浮かべる魔王とは差異があるらしい。

 

「魔王は〝主催者権限(ホストマスター)〟という箱庭における特権階級を持つ修羅神仏で、彼らにギフトゲームを挑まれたが最後、誰も断ることができません。私たちは〝主催者権限(ホストマスター)〟を持つ魔王のゲームに強制参加させられ、コミュニティは……コミュニティとして活動していく為に必要な全てを奪われてしまいました」

 

 

はっきり言って黒ウサギのコミュニティは悲惨な有様だ。

だが、十六夜は同情した様子もなく、椅子替わりにしている岩の上で足を組み直した。

 

「けど名前も旗印もないというのは不便な話だな。何より縄張りを主張できないのは手痛いだろ。

 新しく作ったらダメなのか?」

 

「そ、それは」

 

黒ウサギは言い淀んでいるが、十六夜の指摘はもっともだ。

 

名も旗もないとなるとそのコミュニティは誇りを掲げることができず、名に信用を集めることもできない。

 

つまりそれは周囲に組織として認められないということだろう。

 

だから黒ウサギたちは俺たちをこの世界に呼び出すということに望みをかけたのだろう。

 

「待てよ十六夜、それが出来るなら多分もう実行してるだろう――にもかかわらず俺たちがここに呼ばれたということは、新しい名を掲げるとおそらくそのコミュニティは解散することになってしまうんじゃないのか?」

 

あの世界――ソードアート・オンラインの中でもギルドの名と旗はとても重要なものだったのだから。

 

黒ウサギは少し驚いたように、俺の質問に答えた。

 

「は、はいその通りです。改名はコミュニティの完全解散を意味します。しかしそれではダメなのです!

 私たちは何よりも…仲間たちが帰ってくる場所を守りたいのですから……!」

 

 

おそらくこれが――仲間の帰る場所を守りたいというのが黒ウサギの本心なのだろう。

 

そのために、彼女はたとえ蔑まれることになろうとも仲間の帰る場所を守るという誓いをたてたのだ。

 

「茨の道ではあります。けど私達は仲間が帰る場所を守りつつ、コミュニティを再建し………何時の日か、コミュニティの名と旗印を取り戻して掲げたいのです。そのためには十六夜さんや桐ヶ谷さん達のような強大な力を持つプレイヤーを頼るほかありません!

 どうかその強大な力、我々のコミュニティに貸していただけないでしょうか……!?」

 

「……ふぅん。魔王から誇りと仲間をねえ」

 

黒ウサギが深く頭を下げて懇願しているが、十六夜は黒ウサギの必死の告白に気のない声で返していた。

 

とてもじゃないが、黒ウサギの話を聞いていたとは思えない態度だ。

その態度に黒ウサギは肩を落として泣きそうな顔になっていた。

 

 

 

 

俺は黒ウサギの話について考えていた。

 

俺にとっての最優先事項は早くアスナやユイのもとに帰ることだ。

 

 

―――しかしそう思う反面、この世界をもう少しの間見てみたいとも思っていた。

 

そしてなにより、こうも目の前で懇願されれば断るわけにもいかない。

 

 

俺は約三分間ほど――実際はもう少し短かったかもしれないが――考え込んだ後答えた。

 

「いいな、それ」

「いいんじゃないか?」

 

偶然にも十六夜とタイミングが被った。

―――いや、それより十六夜は今何て言った?

 

「―――――…………は?」

 

黒ウサギも聞き返している。

 

「HA?じゃねえよ。協力するって言ったんだ。もっと喜べ黒ウサギ」

 

不機嫌そうに返す十六夜に黒ウサギは呆然と立ち尽くしていた。

 

「ちょっと待てよ十六夜。今の流れってそんな流れだったか?」

 

「そんな流れだったぜ。それよりもお前が承認した方が驚きだよ。帰らないといけないんじゃなかったのか?」

 

「まぁ、そうなんだが……。帰る方法を見つけるためにも協力した方が良い思ってな」

 

「ふぅん…」

 

十六夜が気の抜けたような声で返してきた。

 

「まぁいいか、おい黒ウサギ。あの蛇を起こしてさっさとギフトを貰ってこい。

 その後は川の終端にある滝と〝世界の果て〟を見に行くぞ」

 

「は、はい!」

 

黒ウサギは嬉しそうに蛇神の頭の辺りに移動し、何やら話した後周囲に青い光が満ち始めた。

青い光が蛇神の頭から黒ウサギの手に移ると、俺たちの所に戻ってきた。

 

「きゃーきゃーきゃー♪ 見てください! こんな大きな水樹の苗を貰いました! これがあればもう他所のコミュニティから水を買う必要もなくなります! みんな大助かりです!」

 

ウッキャー♪なんて奇声を上げながら水樹と呼ばれる苗を抱きしめてクルクルと飛び回っている。

 

俺にはコミュニティや箱庭などの事情は全く分からないが、彼女にはとても重要なものらしい。

 

「喜んでもらえて何よりだよ。それよりも〝世界の果て〟に行ってみようぜ」

 

「…そうだな」

 

十六夜は何か疑問があるようだが、とりあえず〝世界の果て〟に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――今頃他の問題児たちが何をしているかなど考えもせずに―――

 

 




さて、今回は2500文字というちょっと少なめですが勘弁してください(笑)

キャラがおかしい!文字を間違えてる!等がありましたら報告ください。

読んでいただきありがとうございます。
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