奏さんの妹になって奔走する話   作:温野菜生活

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まぁ人生はノリと勢いです。
ちなみにサブタイは適当です。


「翼は可愛い。異論は認めません!」

 私、天羽唱花には風鳴翼という友人がいる。

 翼と会ったのは私たち天羽姉妹が二課に引き取られてからなので、かれこれ数年程度の付き合いだ。長くも短くもない、まぁ普通の友人という立ち位置くらいだろう。

 ただしそれは『普通の』生活を謳歌する立場だったらの話である。

 

 私と翼、そして姉である奏も含め、私達を取り巻く環境は普通ではない。

 二課という対ノイズの政府組織の下にいて、シンフォギアと呼ばれる秘匿事項の存在を知っている。要は秘密の共有をしている間柄。

 そして日本で脚光を浴びるアイドルとそのマネージャー。まぁ普通の友人が落ち着く立ち位置としてはやや異常が過ぎるだろう。

 

 そんな友人以上の存在である翼だが。一言で彼女を語るのならばそれは『可愛い』ということだろう。

 翼は基本、冷静沈着をモットーにしている。常に大和撫子然とした行動を心がけており、その可憐な見た目と相まって非常に美しい。

 才色兼備、という言葉がピタリと当てはまるだろう。

 だがしかしそれはあくまでも翼の表面でしかない。それだけじゃあ風鳴翼という少女を語らせるわけにはいかないよね、うん。

 

 では内面は何か、と聞かれれば私は『守りたくなる妹』と答えるだろう。

 彼女、風鳴翼は家事はてんでダメダメ。これはもはや言葉では形容しがたいほどにだ。そして純粋な所。いやマジでピュア、純粋すぎてなんかこっちが浄化されそうなくらいに。

 そして翼を守りたくなるその最大の理由は。それは彼女の本質が『臆病』だからだろう。普段は落ち着き払っているが、ライブ前だとかはもう隅っこの方で体育座りとかしちゃってる。いやもう、かわいすぎかよ。

 

 その姿が普段とのギャップもあってさ、もう、こう……かわいすぎでしょ! 天使か……いや天使ですね。

 

「そう、翼は天使なんだよ!」

「いや何言ってんの?」

 

 二課本部の休憩室。テーブルを挟んで向かい側に座り頬杖をつく姉さんへと問いかけるが、返ってきたのはそんな冷たい一言。

 

「なにって、姉さん……なに言ってるの?」

「いや、何であたしがそんな顔されなきゃいけないんだよ……」

「だって私と同じくらい付き合いある姉さんなら解るでしょ⁉︎ (天使)の良さが!」

「わかるから、せめて翼って呼んでやれよ。じゃねぇとほら……」

 

 ジト目をむけつつ、姉さんはぶっきらぼうに言葉を吐きながら、空いている手で隣、つまりは自身の右側を指差す。

 

「あうぅ……」

 

 そこにはフシュー、と炊きたてのご飯のように顔から蒸気を生み出す翼が。俯き顔を両手で隠してしまっているので表情はわからないが、覗く耳は苺よろしく真っ赤に染まっていた。

 これはあれですね、うん

 

「泣くほど喜んでくれたようで良かった〜」

「照れてんだよ! お前があれこれ言うから!」

「だって事実じゃん! それともなに、姉さんは違うっていうの⁉︎」

「んなことあるか! あたしだって翼がややポンコツで可愛いことくらい百も承知なんだよ! あたしは話す場所を考えろって言ってんの!」

「はぅっ……!」

 

 あ、翼が撃沈した。

 机に顔を突っ伏し腕で頭を抱え、いやいやと左右に振る。可愛いという言葉ことよりもポンコツ言われたのが胸に突き刺さったらしい。ことの元凶である姉さんは「翼⁉︎」と目を見開かせ驚きの声を上げる。

 うん、姉さんも姉さんで私と同じくらい翼を溺愛してるんだよね。まぁしょうがないよね、翼 可愛いもん。

 

「姉さん、デリカシーって知ってる?」

「うぐっ、まさか唱花にそれを言われちまうなんて……」

 

 え、なにそれひどい。私だって結構気をつけてるんだけどな。ただちょーっと、ほんのちょーっとスキンシップが過ぎるだけで。

 胸を押さえ表情を歪める姉さんは一旦放置し、私は標て……話し相手を翼へと変える。

 

「ほ〜ら翼、唱花ちゃんとお話しましょ〜」

「いまはむりぃ……」

 

 もお、ちょっと褒めただけでこれなんだから。翼の照れ屋さんめ!

 

「いいじゃん話ししようよ〜。ねーねーつばさー」

「……!」

 

 ブンブンと首を振って抵抗する翼。その動きに伴ってサイドポニーがふりふりと左右に揺れる。

 ふーん……だったらこっちにも考えがあるもんね!

 

 そーっと、気づかれないように席を立ち、未だ腕の中に顔を埋める翼の背後へ回りこむ。そして音を立ないように空気を肺へ入れ

 

「ふー」

 

 と、真っ赤な翼の耳へと、優しく息を吹きかけた。

 

「ひゃぁあんッ⁉︎」

「おわっ⁉︎」

 

 ビクンッと体を激しく跳ねあがらせ、可愛らしい悲鳴をあげる翼。むふふ、生娘のような反応よのぉ……いや、実際にそうなんだけどね? なんというかこう、ノリ、みたいな?

 翼の悲鳴でついでに姉さんも覚醒。翼の可愛い反応も見れて姉さんも正気に戻せた、なるほど、一石二鳥とはこのことか。

 

「しょ、唱花っ!」

「あっはっはっ、ごめんごめん。無防備な背中が見えたからついつい」

「もうっ、唱花はなんでいつもイジワルするの⁉︎」

 

 若干涙を浮かべながらの言葉に、私はすぐには返さなかった。

 そして三つほど、拍を置いて

 

「大好きだからだよ。私にとって翼は大切な親友だから、だからこうして気兼ねなく接することができるの」

 

 いつになく真剣な声音で語れば、翼は面食らったような表情を浮かべ

 

「え……あ、そ、そうだったんだ……」

「翼は私のこと、好き?」

「わ、私も、その……唱花が好き、だよ?」

 

 恥ずかしそうに視線をそらすけど、ちゃんと答えてくれた。

 私はそんな翼の頬に手を添え、勤めて優しく語る。

 

「なら私の大好きって気持ち……受け取ってくれる?」

「う、うん……」

「ふふっ、ほんとに翼はいい子だね──ってアイタッ⁉︎」

「はいはい、三文芝居はそこまでなー」

 

 あと少しというところで姉さんに阻まれてしまい、チョップを食らった私は頭を押さえてその場にうずくまる。

 

「そんで次は……つばさー、戻ってこーい」

「……あれ、私……なんで唱花はうずくまってるの?」

「覚えてないなら気にしなくていいぞー。というか翼、いくらピュアだって言っても限度があるだろ……」

「うーん、了子さん直伝誘導催眠術、もうちょっとでうまくいくところだったんだけどなぁ」

「……あの人、なんてもんを他人(ひと)の妹に教えてんだ」

 

 了子さんはすごいよねー。なんかいろいろテクニック知ってるし、やっぱできる女(自称)はすごいなー。

 

 なんてことを考えていると、突如二課中にけたたましい警報が鳴り響く。それはこれまでに何度も聞いたもので、姉さんと翼は顔を見合わせ共に頷く。

 

「よしっ、いっちょひと暴れしてくるか!」

 

 そう言い、姉さんは翼と共に部屋の出入口へと向かう。人々を脅威から守るために。

 その背中は頼もしくもあるけど、でも見ているととても悲しくなる。

 

「姉さん、翼!」

 

 だって私はまだ(そこ)には立てないから。戦う姉さんたちの帰りを、ただ待つことしかできないから。

 でもだからこそ、私はいつも通りの私でいなきゃいけないんだ。だからこそ、笑って言わなきゃいけないんだ。

 

「行ってらっしゃい!」

「おう!」

「行ってくるね、唱花!」

 

 だってここは、姉さんたちが帰ってくる場所だから──。

 

 

 

 

 

 ──ノイズ。それは人間を殺すために人間が作り出した”兵器”。人間のみを襲い、自身諸共に炭素へと変え、そして殺す。

 有史以来。人類はノイズの脅威から逃れることはできず、さらには立ち向かうことさえ許されなかった。それは偏にノイズにはこちら側の攻撃は一切通じないからである。

 ただただ一方的に蹂躙されるだけ。許された生き延びる唯一の手段は、逃げるただ一つ。

 

 もはや人々には希望はない──かに思えた。

 

 だがここに、今、希望の光が二つ──。

 

「よっし、行くぞっ翼!」

 

 一つはかつて『憎しみ』によって得た力で、ノイズを貫く”槍”と化した少女。

 

「うんっ、奏!」

 

 もう一つは幼き頃よりその身を”剣”とし、戦いの中に身を置いてきた少女。

 

 彼女たちこそ、この世界で唯一ノイズと渡り合うことができる存在。

 

 ヘリコプターから覗く、眼下に広がったノイズの大群。それらを視界に収めた二人の少女は同時に、空中へと身を投げる。

 

 そして小さく、しかしながら透き通る声で(うた)う。

 

「Croitzal ronzell Gungnir zizzl……」

 

 ──その身を槍へ

 

「Imyuteus amenohabakiri tron……」

 

 ──その身を剣へ

 

 

 今、槍と剣を携えた戦姫が、戦場(いくさば)を舞う。

 

 反撃の狼煙を告げる、戦歌(せんか)を響かせながら。

 

 

 

 




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そろそろオリ主のシンフォギアを出したい……。
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