一週間ぶりくらいかな?ちょっとお久しぶりです。
書き溜めがないと中々連投は厳しいものがありますね(苦笑)
何はともあれ無事に三話が出来ましたので、「私と彼の過去」をどうぞ!!
休日が終わり、月曜日がやってきた。1週間のうち最も自殺が多い曜日だと聞いたことがある。まぁ実際に月曜日は憂鬱な気分になるから分からないでもない。
いつもどうりの学校。いつもどうりの教室。そして、いつもどうりじゃなかった空気。
「やっほ~由佳子~」
「おっは~」
「そう言えば由佳っちにも気になる人ができたんだって~?隅に置けないねぇ~。ヒューヒュー!!」
「皆応援してっからね~。頑張れよ~!」
私が一言も発さないまま嵐は過ぎ去っていった。
遂にきてしまった。私の元にまできてしまった。こうなっては、もうどうしようもない。ひたすらに耐えて耐えて耐えるしかない。
どうせいつもの彼女らだろう。他の居場所に身を移すなんて到底出来っこない。何せ上からは嘲笑い後ろ指をさされ、下からは調子にのっていると避けられる。ここに私の居場所など何処にも存在しなかった。
表面上何一つ波風はたたず、和気藹々とした教室。そんなものは何処にもない。常に誰かを貶め、こけにし、嘲笑し、生存”けん”を得ようとする。そして私はその渦中の人。
そして遂に耐えに耐えて、あれから2回目の金曜日がやってきた。今日はあの部屋が開いてるんだ。先週開いてなかったのを恨みもした。でも、それだけが頼りだった。
授業に没頭し、聞こえてくる波のようなざわめきを必死で拭う。けれどそんなのは焼け石に水。必死の抵抗をあざ笑うかのように押し寄せてきた。
専門の授業が終わり、早いものは片付けて帰り支度を始める。その中に私も交じり、人工物の鼻にツンと来るきつい香りのする教室を抜け出した。
出来るだけ早く、でも不自然じゃないように。勝手にセーブされた自分自身の歩みが嫌に遅く感じられた。
やっと辿り着いた人気のない廊下には珍しく人が居た。その人は私の目的地から出てきたようで、少しだけ中に会釈をして立ち去って行った。一瞬だけ見えたその横顔は間違いなく彼で、不思議と高揚感を覚えた。
彼も仲間だったのか。彼ともう一度話してみたい。そう思った。
「失礼します」
「どうぞ。今飲み物出すからね」
「ありがとうございます」
「はいどうぞ。もう寒くなってきたからココアよ」
「あの、さっき出ていったのって平川君ですよね……」
「あら?知ってるの?もしかして同じクラスだった?」
「あ、あと少しだけ話したことが……」
「へぇ~。基本的に彼は一人なはずなんだけど……あ、もしかしてあそこ?」
そう言って窓の端の方を指す。そこにはあの時のベンチに誰かが座っていた。
「そ、そうですけど……何で……」
「彼には言ってないけどここから見えるのよね。彼は面白い子でね、わざわざ私に情報をくれててね……大助かりよ」
そう言って小さく笑った。その笑みはどこか不思議と安心する柔らかさを含んでいた。
「……あの」
「平川君の事?」
「はい……」
「まぁ、彼は話しても良いって言ってくれてるし、少しくらいなら良いか……」
「ここでのお話は私が怒られちゃうから……ね?」
と、小さく舌をだしながら唇に指を添えるその姿はとても愛らしく、童心に戻っているように見えた。
しかし、そこからの話は普段明るい先生の表情を引き締めるほどだった。
曰く、中学で嘲笑の的になったりと酷い人間関係だった。
曰く、小学校の時にいじめ、暴力に晒されていた。
曰く、ある新薬のせいで精神疾患に陥り不登校になった。
曰く、ストレスで人知れず荒れて、物にあたっていた。
短く言葉を紡ぐ彼女の姿は苦虫を嚙み潰したようで、何処までも苦々しかった。そしてそれを聞く私も平静ではいられなかった。
あの時、飄々とした風で話していた彼にはそんなことがあったのかと言う驚きと、なぜ彼はああしていられるのかが分からなかった。
「彼はね、自律神経失調症を多少なりとも改善してしまったのよ。彼は整骨院とか針灸みたいなもののお陰だとは言ってたけどね……」
そう呟く先生は万感の思いを込めていたのだと思う。私ではどれだけ辛かったか想像もつかないけど、どれだけ凄いことかは分かる。無形の刃で傷ついたものは簡単に癒えないんだ。直接私にも白羽の矢が立ってからこの2週間、嫌と言うほど思い知った。だが彼はそれすらも乗り越えたのだ。
彼に話を聞けば何とかなるかもしれないと言う淡い期待と同時に、それは彼を傷つけ私への被害をも拡大することにもなると気付いた。
「さ、彼の話はこの辺でお終い。後はゆっくりとしましょう」
そう言ってくれた先生は新しく入れたハーブティーの様に暖かだった。
「ねぇ、先生……」
「なぁに?」
「最近……絵が描けないんです」
「絵が描けない。どういう事?」
「描けることには描けるんですけど上手くいかないって言うか……」
「う~ん……それは技術的な意味で?」
「いえ……いや。それもあるんですけど……」
「思い通りにならない、みたいな事?」
「手が動かないことが多いって言うか、コレジャナイ感がするって言うか、やる気がないって感じに近いんですかね……?」
何とも言い難い、言葉にしにくいモヤモヤとした何か。何をするにも付きまとってきて背後霊みたいなやつ。少し考えてる様子の先生なら何か知っているかもしれなかった。
「そうだなぁ~……この前さ、できるだけ休んだ方が良いって言ったの覚えてる?」
「あれですよね、リラックスが何とかってやつですよね」
「そうそう。ちょっと質問なんだけどさ、いつもどのくらい外にいる?」
「……通学の時以外ですか?」
「外で絵描いてるとかしたりしない?」
「ずっと室内にいますけど……」
「10分くらい散歩したりとか気分転換すると良いかもしれないかなぁ……」
「イラスト描いたりとかでも良いんですか?」
「それが趣味ならそれでも良いかな……ぼ~っとするのが一番いいんだろうけどね」
「何も考えないのって案外難しいから」と言いながらコロコロと笑っている先生につられて小さく笑っていた。
読了ありがとうございました!!
いや~、前書きでもちょっと触れたけど、書き溜めって凄いですね(笑)
さて、物語ですがまさかの主人公君の姿が見えてきました。まぁ、「だから何だ」と言われたら「主人公がちょっと出てきましたね」としか私の口からは言えないのですが…
そこは読者の皆さんの想像にお任せしますってやつですね。
次回も一週間後くらいに出せたらいいなぁ~とか思ってます。
それでは今回もありがとうございました!!アデュー!!