超々お久しぶりです。やっと書く気力と時間が戻ってきたので少しばかり書いておきました。
いやはや、2か月ぶりだと書き方も抜けていて非常に難航しまくっています(苦笑)
それでは、今回はかなり短めですがお楽しみください。
週が明けてからまた数日が過ぎた。先週は自分が何をしていたのか分からないほど荒れ果てていた。課題では散々な評価だったものを覆し、何故かそれすらも新たなゴシップのネタとなった。それも私と彼の仲が良くなったとかいう話。
正直あの時から一度も彼に会えていない。でも今日は木曜日。もしかしたら居るかもしれないと淡い期待を抱いて外の階段を昇った。
陽が傾き、既に太陽はビルの陰に隠れ、中庭を一陣の寒風が通り過ぎて行く音がした。
居た。彼が居た。目の前のベンチの背もたれに体を預けている。ゆっくりと砂利を踏みしめて一歩ずつ彼へと近づいていく。私と同じくらいのはずの彼の背中は存外大きく見えた。
「やっぱり居た……」
「ん?あぁ、この前の……」
「うん。山理ね」
「だったね……それで?やっぱりって?」
「あ~、え~っと……取り敢えず横、良い?」
「どうぞどうぞ」
元々一人分は開いていたスペースをより広くしてくれる。私に気遣ってくれてると思っただけで嬉しかった。私の事を気遣ってくれる人なんてほとんど居ない。家に帰ってもご飯や風呂以外では部屋にこもって一人。学校でも煩いのが居なければ勿論一人。一人で課題に追われて、周りとの関りが薄かった。
「最近さ、見かけなかったけどどうしてたの?」
「ん、あぁ……レポートが重なっててね……」
「そっか、毎週実験だっけ?」
「まぁね。やらなきゃ留年確定だからさ……」
「やっぱり……辛い?」
「そりゃ辛いさ。そもそも勉強したくないからここに来たのにさ……ま、辛いってよりはキツイとかめんどいって方が近いと思うけどね……」
「大変、だよね……」
「ま、仕方ないさ……人生そんなもん、ってね。まだ若いからアレだけど」
そう言って笑う彼の横顔は何処かすがすがしくて眩しかった。そして何より、可愛かった。けれど同時にこうも思ってしまった。なんで彼はこうも明るいんだろう。やっぱり我慢して無理をしているんじゃないだろうか。そう思った。
それでもやっぱり彼が面白いのは事実で、会話がいつになく長続きしたのもまた事実だった。何よりも彼と話をしていて非常に苦じゃかった。辺りはとうに真っ暗で、小腹がすいてきた頃になってようやく帰途についた。
あんな風に男子とまともに会話をするのなんて相当久しぶりに気がしたし、またあのベンチで話せたら良いなという柄にもなく淡い期待を抱いていた。それでも頭の片隅でチラつく嫌な影と、彼が醸し出す不思議な雰囲気と先生の話とが思考を掻き乱して、しまいには疲れてしまった。
何故だろう。確かに最近は睡眠時間も多少不足気味ではあるが、問題のない範囲に収めている。それこそ休日はその分を取り戻すかのように惰眠をむさぼっている。食事だって一日三食取るようにだってしている。それでも拭い切れない鈍化のような何かを感じていた。
「ゆかっちカレ落とせたらしいじゃん!やるねぇ〜」
「いやぁ〜あたしの彼とか超落とすの苦労したのに流石じゃん!まじうらやまだわぁ〜……」
「え、えぇ……私平川君と付き合って無いって……」
あぁ、面倒くさいのに絡まれた。誰もこっちを見向きもしない。助けてくれる気配なんて微塵もない。でも、そんな気持ちを表には到底出せなかった。
「またまたぁ〜照れちゃってぇ〜……お熱いねぇ〜」
「あぁ、あ~……ゆかっちの彼みたいなのはちょっとだけど、私も彼欲しいなぁ〜どっか居ないかな〜」
「あんた可愛いからいけるって!ちょっとすり寄ったら楽勝楽勝」
うん。とても楽しそうだ。私だってそれなりに楽しんでいる。そう、表面上では。それはきっと誰しもがそうだろう。誰もが無意識のうちにお面をしている。自分ですら気付かないようなお面を。
「でもほら、アレ目当てな奴とかめっちゃ引っかかりそうでヤバくない?」
「平気平気、どうせそんなやつここには殆ど居ないから!ま、あたしの彼はあっちヤバいけどね」
「ウソ!?マ?」
「マジマジ!相性抜群って言うの?やり過ぎて成績落ちてババァにグジャグジャ言われたもん。マジないわぁ〜」
「それはないわ……マジないわ……」
うん、いつもの会話だ。ちょっと明け透けでちょっと口が悪くて愚痴だらけ。そうだ、これで良いんだ。これが私を取り巻く世界なのだから。
「ま、ゆかっちの事だからその辺硬そうだもんねぇ〜?」
「そもそもあたしじゃあの相手は無理だわ……ほんと何か無理」
「あぁ……オーラが無理……絶対ヤバそう」
「あんたは彼氏出来てから言えって〜の!」
「たしかにぃ〜!!」
喋り倒すだけ喋り倒して過ぎ去っていった。正直よく自分でも彼が貶されるのを黙ってやり過ごせたと思う。きっとこれも私に染み付いたスキルの一つなのだろう。よくも悪くも使えるものだと言いたいけど、しんどいのはしんどいまま。
そして、彼に近づくのは止めようと決めた。彼に迷惑が掛かってしまう、それだけは避けなければいけないと思った。ただその一心だった。
それがどれだけ酷な事かも、どれだけ負担の掛かる事なのかも気付かず、知らぬまま時は流れるのだ。そしてその流れは様々なものを運び、沈殿させるのだ。その結果は当人にが気付かぬままに忍び寄り、姿を現すのだ。
ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。
そして、ここからがいよいよ物語の転へと動き出します。青春モノ、恋愛モノをお待たせしました!!そろそろ彼女と彼が交差するのです。
いやぁ、楽しみですね(何故か他人事風)
次のお話は今年中に上げたいな…とか思ってたり思っていなかったり、一体最初に言っていた書き溜めとは何だったのか…(;´д`)トホホ
何はともあれ、重ね重ね第四話までお付き合い頂き感謝申し上げます。