彼は月迅竜である。   作:一般的な犬

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溢れる俺のぱうわぁー 

2146字です 

今回は全部永琳視点

妄想爆発注意


月は想う

「皆の者!結界を途切らすでないぞ!」

 

ツクヨミ様が大声で叫びながら神力を開放し、青い鬼に細かな白い弾幕を張る。

 

「ぐぅ!小癪な!」

 

青い鬼も応戦するために、雷の幕で防御しながらツクヨミ様やロケットに雷の槍を撃ち出す。

 

ツクヨミ様はともかくロケットに過剰な電流を流されようものなら、良くて動作不良、悪くて燃料タンクに引火してしまうかもしれない。

 

それを阻止すべく私は結界を構築し、残っている兵士達も霊力もかき集めて無理矢理にでも防ぐ。

 

「ツクヨミ様!プロトコルが発動しました!これよりロケットを順番に打ち上げられます!」

 

「あいわかった!我は寸前まで足止めする!」

 

そうやり取りしてる間にも民間人が乗ったロケットは三十秒程の間隔で次々と打ち上げられる。

 

「ぬぅ!行かせはせんぞぉ!」

 

青鬼は防御をもかなぐり捨て、渾身の一撃であろう一撃を結界に撃ち込む。 その結果遂に結界を打ち破る。

 

「しまった!」

「見つけたりィ!」

 

すぐさま再構築を試みるが、青鬼は結界を構築する私を目敏く見つけ、電撃を放ってくる。

 

「永琳!」

 

ツクヨミ様が間に入り込みその身で電撃を防ぐが、防御が間に合わなかったらしく私を巻き込んで吹っ飛ぶ。

 

「グッ……」

 

流石の青鬼でも無防備にツクヨミ様の弾幕を受けたせいで傷を負っている。しかし、それでも止まらずに雷をロケットに放とうと力を練っている。

 

ロケットは残り三機、時間にして一分半。

残りの軍部の兵士八人では太刀打ち出来ず、ツクヨミ様は完全に気絶 私も全身に痺れが残っている。もはやここまでか。

 

 

 

 

 

「吹き飛べぇ!!」

 

 

 

 

 

青鬼の真横から朧が飛び出し、見事なフォームでドロップキック。青鬼は頭から上を壁にめり込ませた。

 

あまりにも常識外れの光景を見せられ、その場にいた全員がぽかんとした。

 

「お前らさっさとロケットに乗れ!動けるやつはツクヨミ様持ってけ!」

 

その言葉で気を取り戻した兵士の八人は素早い動きでツクヨミ様を抱えると、発射寸前のロケットに飛び乗り、すぐさま月に向かって飛び立つ。

 

「永琳、遅くなってごめん」

 

朧はそう言いながら私に肩を貸してくれる。

 

「あり……がと…う」

 

体は動かず上手く喋れないが、感謝の気持ちをなんとか伝える。

 

安心感と疲労感で意識を持っていかれそうになるが、なんとか耐えた。

 

 

 

 

 

 

「…………ッ!」

 

 

ロケットに乗ろうとした時、彼にロケットの中へ突き飛ばされる。

 

 

 

その瞬間、彼は豪炎に包まれる。

 

「ふははははは! 目が回るというのは貴重な体験だな! だがしかし、まだ我は死んではおらぬぞ! 死合は続行だ!」

 

「チッ もはや人間は目の前の女ただ一人か」

 

そこには赤鬼と青鬼がいた。青鬼は未だに傷だらけだが、赤鬼には目立つ傷は見当たらない。

 

豪炎はすぐ止み、朧は一見無傷のように見えた。だが確実に消耗しているだろう。

 

不味い 結界を張ろうとも体の痺れは取れず いくら朧が強いとはいえ、彼にとっては 私とロケット どちらかに攻撃が行くだけでアウトだ。 時間を掛けてもロケットが自動的に飛び立ってアウト。

 

「のう、そこの銀妖怪」

 

赤鬼が朧を見て問いかける。

 

「どうだ? そこの女と"ろけっと"なるものを見逃す代わりに我らと死合え」

 

朧は訝しげに鬼を睨む。

 

ダメ、絶対にダメ

 

私は朧に縋ろうとする。体は動かない。

 

「……その口約束をお前らが守る根拠は」

 

無人のロケットが飛び立つ。あと三十秒で私の乗っているロケットが飛び立つ。

 

「鬼は嘘が嫌いだ…………断ればロケットを撃ち落とす」

 

青鬼は威嚇するように雷を体に纏わせる。

 

「最後に一言話させてくれ」

 

「構わぬぞ」

 

朧は倒れている私の手に小箱を握らせ、こう言った。

 

「短い間だったけど、ありがとう ごめん」

 

涙が溢れてくる。体は動かない。

行かないで と、叫ぼうとした。体は動かない。

 

彼は最後に額にキスを落とすと、ロケットのドアを閉めてしまった。

 

続いて激しい振動。

 

 

 

ようやく動けるようになって窓を除くと、地球は遥か下に見えた。

 

「う、うあああ……うわあああ……」

 

涙が止まらない。誰も見てないことをいいことに泣き尽くした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやら寝てる間に泣いていたらしい。

 

辺りを見ると簡素な部屋で、備え付けのベットと何も入ってないクローゼット、小さな机ぐらいしかない。

 

月に来てから三日、本当なら色々と仕事もあるのだが私は部屋に篭りっぱなしだ。 それでも誰も部屋に来ないのはツクヨミ様が気を使って人払いをしてくれているからだろうか。

 

そのとき、あることを思い出し、机の引き出しを開ける。

 

「これ……」

 

別れる直前に握らされた小箱。厳重に保存用の妖術がかかっており、特定の霊力に反応して開く仕組みのようだ。

 

中には指輪が入っていた。

 

控え目な銀の装飾に、月と見紛う宝石が使われており、上品な雰囲気を醸し出している。

 

ふと、考えた。

 

彼は妖怪で、死にはするものの長命だ。それこそ何千、何万年と生き続けるかもしれない。では彼は鬼に殺されたか? 私は否と信じる。では私はどうだろうか?月に来てから穢れは一切なく、つまりはここにいる限りは永い命だろう。

 

生きていればいつか会える。そう考えると心が少し軽くなった。

 

まずは仕事を片付けよう。そして何とかして彼と再開する。

 

幸い私には時間ならいくらでもある。まずは彼の横に並べるよう、鍛えるしようか。

 




古代編 これにて幕引き

リクエストの話を挟んで平城京編へ
あと息抜き作品も書いたりするので次回は遅くなるの


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