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10/17 時間の描写を追加 赫の一人称を変更 赫が朧を見抜いた理由を追加
少量の金銭に、流れの旅人のような服。髪と目を妖術で黒く染めて、妖怪であることを隠すように隠蔽の術を使う。最後に腰に刀(拾い物)を挿して準備完了だ。
「相変わらず見事な手際」
と、呆れたような声を出すのははてゐだ。
「じゃあ、行ってくる」
「行ってらっしゃい」
塒をでて、竹林を歩く。
近くの人里ではここは迷いの竹林とか呼ばれてるが、そもそもここを迷いの竹林にした張本人は俺である。
竹林そのものに迷いの術や、霧を萃めて滞留させる術を使っており、毎日のように竹林を散歩するてゐや、術者である俺以外ではあの家に辿り着くのは不可能に近いだろう。
「今回はどうなるかな」
竹林を抜け、どんよりとした空を見上げて、独り言を呟いた。
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「ありがとうございます旅人様」
目の前には深々と頭を下げる老人。先程、竹林(迷いの竹林にあらず)へ竹を取りに来てた所を妖怪に襲われていたので助けてた。 中級妖怪レベルらしかったが、都市時代の木っ端レベルでしかなかった為一撃で吹き飛んでしまったのがここまで頭を下げられる原因だろうか。
「いえ……偶然通りかかっただけですから」
と、さっさと去って京に向かいたいのだが、老人は是非家でおもてなししたいと言って聞かない。結局老人が折れたのだが、「今回はお急ぎのご様子、では次会った時こそ恩返しさせていただきますゆえ」と、妥協された。
道中でそんなことがありながら、京に着いたのだが。
「Hey!そこゆく旅人君。君は
迅竜、ね。明らかに出自を知ってるような口振りだ。
そいつは男 身長は俺より少し低く、黒っぽい赤髪。妖力も感じるため、警戒するに越したことはない。
「……そうだと言ったらどうする?」
声のトーンを落とし、少しでも妙な動きをすれば直ぐに首を
刎ねれるように刀の柄に手をかける。
その動きを見たヤツはというと
「はいストーップ! えっ!?なんで初手から殺気満々なの!?僕なんかやった?!」
……どうやら困惑しているようだ。
「まずお前の名前は
「
「……んで、俺とお前含めて最低四人は転生者がいるってことか」
「スルー……そういうことよ。あーお茶うめぇ」
「そんでもって僕以外は大体同時期にこっちに来たと」
「そっ!といっても数百年単位は平気でズレるらしいし、僕も未だに出会ってことはないね。ただ、出逢えば同族だって分かるって言われたよっ、この団子もうめぇ。おっちゃんお代わり!」
呑気に茶屋で駄弁るこいつの話を整理すると
最低でも
俺だけかなり速く生まれ落ちて、ほかの連中は同時期……といっても数百年単位でズレるらしく 俺だけが規格外らしい。
「ところで金はあるのか?」
俺がお茶だけを飲んでいるのに対し、こいつはさっきからバクバクと団子を食っている。
「もちろんよ。一応就職してるからな」
「就職してんのか……陰陽師か?」
この妖怪の(質はともかく量は)多い世の中、陰陽師というのはかなり重要な職なわけで。近隣の妖怪退治から貴族の護衛まで、言わば傭兵みたいなもんだ。
「あー……そこんところちょっと複雑でな。守秘義務見たいなのもあるし……まあ君ならいっか」
「いや良くねえだろ 出会ってまだ一時間ねえぞ」
「いーや、君とは長い付き合いになりそうだしな…………で、僕の仕事は──藤原不比等って知ってるか?」
藤原不比等……史実だと結構な位の貴族だったはずだが
「知ってんのなら話は早い。あの人に雇われてるんだが、主な仕事はあの人の子供……妾の子なんだが、その子の護衛兼子守りだよ……っと、あんまり遅くなると妹紅に心配されるからな。おっちゃん勘定!」
確かにもう夕暮れで、人通りは少なくなっていた。この時代は夜の灯りが乏しいため、日暮れ時に出歩く者はすくない。
茶屋をでて道すがら話を聞いてみると、どうやらその子……妹紅は妾と酔った勢いで出来てしまったらしく、その事に正妻が激怒。妹紅が生まれて直ぐに妾は死んでしまい、結果本家には居られず今は本家から離れた家で赫と二人暮しらしい。
「不比等さんは妹紅も愛しているんだがな……如何せん貴族故のしがらみも多くてあまりに妹紅と会えないんだ。そこで護衛兼子守り兼家事代行の僕が妹紅と暮らしてるってわけよ。ってことで着いたぞ」
そこにはこの時代では珍しくない普通の家屋。まあ子供と二人暮しなんてこれで十分だろう。
「おーい妹紅ー 帰ったぞー」
声をかけながら戸を開けて中に入ろうとした赫は固まってしまった。
「おい、どうした?」
「……妹紅の履物がない」
慌てたように駆け出す赫。
俺はとりあえずその背中をおうことにした。
ということで登場せしはリオレウスの赫(カク)
赫とは赤く、勢いが盛んという意味で、今作のギャグ担当になってもらう予定です。
ちなみ平城京に来る前はとある原作キャラとも絡んでいます。それもそのうち