零細な活動なだけに、嬉しくて小躍りしそうです。
あ、あと誤字報告ありがとうございます。こう見ると多いですね
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翁が退室したあと、かぐや姫は簾から出て姿を表し、俺の前に座った。
現代日本に生まれたものなら、和風美人と称するような出で立ちであり、なるほど 「かたち清らなること世になく、家の内は暗き處なく光滿ちたり」と謳われるだけはある。
「失礼ですが、朧 という名前は誰に付けてもらったか教えて貰っても?」
そのかぐや姫だが、こちらを探るような、警戒するような目付きで質問してくる。やはり朧という名は知っているようだ。問題はどのように伝わっているかだが。
「……昔、とある女性に相手に付けてもらいました」
素直に答える。嘘をついても仕方が無い。
「そう……もしかしてその女性は銀色の髪をしてなかったかしら?」
俺は無言で頷く。
おそらく永琳に教えて貰ったのだろう。つまりは月の住人で、なおかつ永琳と近しい関係、ということだろうか。
「じゃあ、これが最後の質問です。 ……最後の時、貴方は彼女に何を贈ったの?」
「…………銀色の指輪です」
先程まで猜疑の目を向けていたかぐや姫は、その答えを聞いて驚愕の表情を示し、その次に喜色を表す。
「改めて自己紹介するわ。 蓬莱山輝夜 輝夜って呼んでちょうだい。口調ももっと気軽でいいわ。 で、多分貴方は色々疑問に思っているでしょうけど、ここに私がいる理由含めて全部話すわ」
「わかった。ただ、その前に一つ質問しても?」
「ええ、もちろんよ」
俺は、千年以上前からずっと気掛かりだったことを尋ねる
「永琳は、元気、か?」
輝夜は、あっけらかんと答える。
「えぇ、元気よ。 月じゃこれと言った大きな事件も、争いもない 停滞したと言っても過言じゃない環境だわ 少なくとも私が永琳に出会ってからはずっと変わらず元気に見えたわ」
「そう……か……」
少しだけ気持ちが軽くなった気がする。かなり酷い別れ方をしたと自覚していたから、かなり心配だった。
「あらあら、永琳も想われているわね」
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さて、始まりは私が永琳との出会いからよ。
月ではそこそこの地位に産まれた私は、ある程度の年になると月の頭脳こと永琳の元に送られたわ。体のいい厄介払いって感じだったけどね。まあ割と退屈しない生活だったわよ。
まあそうして一緒に暮らしていた訳だけど、ある日 とあることに気付いたの。 年に一度、決まった日には必ず休みを取ってはふらっと姿を消すのよ。まあ次の日にはいつの間にか帰っているんだけどね。
コホン、話を戻すわ。 それに気が付いた私はもちろんストーキング……もとい、尾行して何をしているか確認したわ───途中でバレたけどね。
……なによ、永琳ってあれでも結構鋭いもの。しょうがないじゃない。
まあバレたけどそのまま堂々と着いて行って、辿り着いたのは人っ子一人いない高台。そこに座り込んでぼーっとしているだけだったわ。
私もしばらく一緒に座っていたら、永琳がぽつりぽつりと喋ってくれたわ。
地上で貴方に出会ったこと
貴方との思い出
月へでる直前の出来事
語っている間、ずっと左手の薬指にはめていた愛おしそうに、悲しそうに撫でていたわ。
その時既に私は月に飽き飽きしていたのだけど───停滞ほどつまらないものも無いでしょ?───その話を聞いてより地上への興味が深まったわ。
それで、事態が急変したのは今から半年ぐらい前の話。
永琳の本職が薬師なのは知ってるわね? 月の頭脳、天才と言われるだけあって、ありとあらゆる分野の薬を見境無く作っては実験していたのだけど、その時作られたのは月の禁忌に触れるもの。
蓬莱の薬、と永琳は呼んでいたわ。飲んでしまえば未来永劫死ぬことも老いることも無くなる不老不死、不変の薬。
……えぇ、お察しの通り。私はそれを飲んでしまったわ。地上へと堕ちるためだけに、ね。
結果は見ての通り、赤子にされて地上へ一時追放。本当なら三ヶ月でここまで成長する予定じゃ無かったみたいだけど、蓬莱の薬のおかげであっという間成長、もとい元に戻ったわ。
え?永琳は罪に問われてないのか、だって?
…………あくまで服用するのがダメなのであって、作るだけじゃ罪には問われないわよ。
多分あと一年もしないうちに月から迎えが来る。戻ったらどうなるかなんて予想がつくし、大人しく戻ってやるつもりなんてないわ。
もちろん永琳の協力も得てるしね。
まあ、ここまで踏まえた上でお願いするわ。
私の護衛をやってくれないかしら?
やっと進むよ⋯⋯
そういえば投稿の時間は朝昼晩どれが最適なんだろ?