彼は月迅竜である。   作:一般的な犬

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閑話その二
幻想郷に来る前の紅魔館のお話
ちなみに閑話の時系列は滅茶苦茶なので悪しからず

2639字


轟竜 in 紅魔館

とある森の奥深く。

 

そこには全てを紅く染められた洋館がありました。

 

人呼んで紅魔館。

 

地元の人間はそこに近づくことはありません。

 

なぜならそこは誇り高き吸血鬼の館。

 

今日はその館の中を少しだけ覗いて見ましょう。

 

 

 

 

 

 ─────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

時刻は夜の帳が降りてきた辺り。

夜行性の妖怪にとっては朝であり、紅魔館の面々は食卓に集まっている。

 

自己紹介をしよう。

 

私の名はロアーク。元人間の転生者であり、今は轟竜、いわゆるティガレックスをやっている。しかし今は執事服に身を包み、紅魔館に世話になっている。

 

「はぁ、暇だわ」

 

目の前の高そうな、それでいて上品な椅子に深く掛けた幼女がそう呟く。水色の混じった青髪に、紅い目。薄いピンクのナイトキャップにそれに合わせた服。その背中には特徴的な羽が生えている。驚くなかれ、その幼女はもうすぐ齢五百程の吸血鬼である。

 

名をレミリア・スカーレット。紅魔館の主であり、一応私の主でもある。

 

一応 と付くのは、執事である前に私は彼女の親友であるし、仕えているのは彼女の五つ下の妹であるからである。

 

「レミィ、今日は何をやらかす気?」

 

そう言うのはレミィとテーブルを挟んで反対側に腰掛ける女性。長い紫髪の先をリボンでまとめ、パジャマのようなゆったりとした服を着て、頭にはナイトキャップのようなものを着用している。

 

名をパチュリー・ノーレッジ。齢百程の先天的魔女であり、レミリアの親友である。

 

ちなみにレミィというのはレミリアの愛称で、パチュリーはレミリアにはパチェと呼ばれている。斯く言う私もローという愛称で呼ばれたり、二人の事を愛称で呼んだりする。

 

「お嬢様、お手紙です」

 

レミィの傍に突然表れたのは銀髪のボブカットの女性。

ただの人間でありながら、"時を止める"能力を持った規格外の人間である。

 

名を十六夜咲夜。小さな頃にレミィに拾われ、それ以来私と紅魔館の門番とで鍛え、紅魔館のメイド長を務めている。

 

物凄く今更だが、一部の妖怪や人間は特殊な能力を持つことがある。私の見解では、妖怪や人間がより強くなるための一種の進化では無いか、とか思っている。ちなみにレミィも運命を操るとかいう能力を持っている。閑話休題。

 

あ、門番についてはまた後で。

 

 

「ふーん」

 

と、手紙を読んだレミィが面白そうに口を歪める。

 

曰く、東洋の島国にある幻想郷という妖怪の楽園があり、昨今科学の進歩で存在が否定されつつある我々が生き残るために作られた土地であり、西洋の複数の妖怪連合で攻撃、あわよくば制圧するため、わが紅魔館にも協力要請が来たらしい。

 

幻想郷、風の噂では聞いたことがある。

全てを受け入れる楽園と。

 

「で、レミィはどうするの? 向こうに定住するならともかく、攻撃には反対よ」

 

と、パチェは言う。それもそうだろう。

 

全てを受け入れる、ということはどんなことにも対応出来ると宣言している事にならない。東洋には吸血鬼と同格の鬼や、風よりも速い天狗、八百万の神なんて出てきた日には地獄を見るだろう。

 

「でもね、私は誇り高き吸血鬼よ。舐められるなんてあってはならないのよ!」

 

と、豪語する吸血鬼に、私は今日初めて口を開く。

 

「誇り高き吸血鬼ならコーヒーぐらいブラックで飲んだらどうだ」

 

レミィは盛大にずっこけた。

パチェは笑うのを堪えている。

咲夜は澄まし顔だが内心大爆笑だろう。

 

「ロー!あなた今日の第一声がそれなの!?」

「なんの問題がある」

「そうよレミィ、コーヒーぐらい飲めないとかりちゅまの名が泣くわよ」

 

と、羞恥に顔を赤くするレミィにパチェが追撃する。

 

「紫もやし、表へでなさい。吸血鬼の恐怖を教えてあげるわ」

「いやよ、なんでそんなに寒い外へ出なきゃ駄目なのよ」

 

ちなみに現在外は吹雪いている。

 

と、勝手にいがみ合っている二人を放置し、咲夜にさっきから疑問に思っていた事を聞く。

 

「咲夜、フランと美鈴、あとこあは?」

 

基本的に、朝食は紅魔館の面々が集まって食べる。勿論例外があり、喘息を患うパチェは体調が悪いと地下の図書館(自分の城)から出てこない。

 

その図書館では小悪魔というのがいる。愛称はこあ。図書館にて司書をするパチェの使い魔だが、よく魔法の実験台になったりして酷い目にあっている。名前が無いのは、使い魔的には未熟だからとのこと。

 

紅美鈴(ほんめいりん)は紅魔館の門番であり、中華出身の妖怪武術家である。が、よく居眠りしては咲夜に叱られている。

 

そして、フランドール・スカーレット それはレミィの妹であり、ありとあらゆる物を壊すことが出来る力を持って生まれた吸血鬼(化け物) 出会った頃はその能力に振り回されてよく泣いていたが、根気強く付き合った結果、今では制御も出来ている。ただ酷く感情的になった時、無意識で使ってしまうため注意が必要だが。

 

「美鈴はまた居眠りしていましたので吹雪の中門番して貰ってます。妹様は寝坊ですね……起こしに行ってあげたらどうですか?」

 

それもそうだな と、返事をして手をつけてない朝食を放置してフランの部屋を目指す。

 

 

……美鈴には後で何か上着と食べるものを差し入れてやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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気持ち良く寝ていたところに、誰かが優しく肩を揺すってくる。寒くて毛布を取られまいと引き寄せると、諦めたのか肩に置いてあった手が離れる。

 

しかしいなくなったわけでなく、ベットに腰掛けたのか少し身体が沈む感覚がした。一体誰だろうか、咲夜なら起きるまで揺すって来るのに。

 

そこで、頭に優しい感覚がした。誰か……いや、こんなことをするのは一人しか思いつかない。

 

「お兄様っ!」

 

慌てて起き上がって目の前のお兄様に抱き着く。いつもの執事服に、私とお揃いの濃い黄色の髪に、青い瞳。うん、いつものお兄様だ。

 

「おはよう、フラン。朝食はもう出来てるよ?」

「えっと、お姉様達はもう食べちゃったの?」

 

朝食はみんなで食べることになってはいるけど、以前寝坊してしまった時はみんな食べ終わったあとで、食卓には私の食事だけが置いてあって一人で寂しく食べたことを思い出した。

 

「大丈夫だよ、みんなまだ飲み物にしか手をつけてないし、急げば間に合うさ」

 

それを聞いた私は直ぐにベットから飛び降りて、パジャマから着替えるべくクローゼットを開ける。

 

「部屋の外で待っているから、終わったら出ておいで」そういってさりげなく私に気を使ってくれる。お兄様のそんなところが大好きだ。

 

私はお兄様を待たせないように素早く着替えて、ドアノブに手をかけた。




吸血鬼異変は書きません(´・ω・`)

あと、フランちゃんの狂気設定は「過ぎたる力を持ったばかりに、約500年間幽閉され孤独で過ごした影響で精神が耐えられず狂ってしまった」と、解釈しています。つまり、早い段階でロアークという理解者が表れ、能力の制御の修練を積んだフランには狂う要素は無い、ということになります。

つまりは、フランちゃんうふふってことです




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