鈴仙・優曇華院・イナバが永遠亭に来た後の話
閑話は読まなくても問題ないと言ったな?
あれは撤回する。いやごめんなさい(´・ω・`)
2476字
私の名前はレイセン……じゃなくて、鈴仙・優曇華院・イナバ。鈴仙は朧さんに、優曇華院は師匠(八意永琳様)に、イナバは姫様に付けてもらった。
私は元月出身の月兎で、それなりのエリート兵士であったのだが……戦うのが怖くて月から逃げてきた臆病者でもある。だって怖いじゃない。他人の為に好き好んで戦いたくないし、自分が傷つくなんて以ての外だ。
まあ何やかんやで月から逃げて、ここ、幻想郷と呼ばれる土地の一部、迷いの竹林の永遠亭にてお世話になっている。話を聞けば、師匠と姫様も追われる身、情報提供と師匠の助手兼姫様のペットをこなせば匿ってくれるというので、即決で飛びついた。
で、師匠達との生活が始まったのだが、料理は美味しいし、朧さんは優しいし、ほかのイナバ達との会話も落ち着くし、助手としての第一歩である調薬の勉強も中々楽しいし。
困ったところを上げるとするならば、姫様の無茶振りが酷かったり、師匠の薬の実験台になるとロクな目に合わないし、てゐにはよく悪戯されるし……。
まあ永遠亭に来てから退屈はしない。
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「あら、おはよう ウドンゲ」
「おはよございます、師匠」
私の朝は早くもないし遅くもない。兵士だった頃は早起きが当たり前だったので特に苦痛もなく起きることができる。
「今日の当番は……朧ね。朝食はもう出来ているだろうし、取りに行ってくるわ。……姫様は?」
「たしか散歩に行きましたよ。呼んできます?」
遅くても昼までには帰ってくるでしょ と、台所へ向かう師匠。
基本的に永遠亭の料理は交代制で、約七割を朧さんが占めている。残りの三割は私だ。というのも、姫様が料理を作ると暗黒物質になるし、師匠のは料理というか調合だし、てゐが作ると三回に一回は人参づくしになる。
朧さんは他にも荒事とかも担当してるためよく手伝いはするのだが、師匠が朧さんの元へ行く時はなるべく離れている。今更だが師匠と朧さんはいわゆる恋人仲ってやつで、たまに砂糖を吐きそうなぐらいにイチャつくことがある。今回も台所でイチャイチャしてるんだろうなぁ。
時刻は進んで昼前。いつの間にか姫様が帰ってきてたけど、朝ごはんは食べ損ねたみたい。
私は朧さん謹製のお弁当と、師匠特製の薬箱を持ち、頭のウサミミを隠すように菅笠を被って人里へと繰り出す。菅笠を被るのは、人里では妖怪はあんまりよく見られないからだ。
わざわざこんなことをする理由としては、竹林だけでは食料や日常品を自己完結出来ないからだ。食糧面は勿論のこと、いざと言う時に現金や人里の顔繋ぎが欲しい。じゃあ師匠が作った薬を売り出そうということになった。
基本的には契約している家で薬箱を置いて、無くなってる分だけ補充して請求するという、配置販売業と呼ばれる商売である。まだまだ始めたてで知名度も信頼も無いが、値段は良心的に設定されてるのでいずれは売上も増えるだろう。
「えっと、咳止めと解熱剤が二日分だから、これだけの値段ですね」
「わかった、これで間違いないか?」
「ひぃふぅみぃ……はい、間違いないですね」
場所は変わって人里の寺子屋。教室には黒板には何やら数字が書かれてあって、文机には忘れ物か一枚の紙がおいてある。
いま机を挟んで目の前にいるのはワーハクタクという半妖の女性、上白沢慧音さんである。半妖でありながら常に人間側の立場に立ち、寺子屋で教鞭をとって子供達に色々教えている珍しい妖怪である。その立場からか、人里の守護者とか揶揄されてみんなの信頼も厚い。
その生真面目さや面倒見のよさからか、置き薬を真っ先に契約し、子供が病気にかかればすっ飛んでゆくという、本当に妖怪かと疑いたくなるような人物である。
「助かったよ。寺子屋の生徒が急に熱を出してな」
朗らかに笑う慧音さんを横目に薬箱の残りを計算する。こんなふうに寺子屋の生徒に使ってくれるだけで宣伝になるので有難いけど、回る家が増えるのは大変だなあ。
と、そこで教室の扉が開く。
「お邪魔しまーす。あ、やっぱりここにいた」
「邪魔するぞ……って鈴仙じゃないか」
「こんにちわです。赫さん、妹紅さん」
入ってきたのは妖怪の赫さんと蓬莱人の藤原妹紅さん───蓬莱人というのは、師匠が作った蓬莱の薬というものを飲んだ人間を指すもので、師匠や姫様もそれにあたる───だ。何故か妹紅さんは男物の上着を着ている。
「ああ、いらっしゃい二人とも って、妹紅は服がボロボロじゃないか……また輝夜と喧嘩したのか」
上着を脱いだ妹紅さんの上半身の服はズタズタのボロボロで、チラッとみえる素肌はさぞかし人の目を引く。
「あー……永遠亭に赫と一緒に朝飯
姫様と妹紅さんの関係はそれなりにいいと思う。
私がここに来る前に出会ったらしいけど、ある時は仲良くお喋りして、ある時は双六で対戦したり、殺し合ってることもある。まあ、お互い不死だからじゃれあってるようなものなんだけど。
「あ、上着ありがとな。赫」
「いーのいーの。恋人の柔肌が里の男どもに晒されるのが気に食わなかったからね」
「なな、な、なにをいきなり言うんだお前は!」
耳まで真っ赤になる妹紅さんと、ニヤニヤと笑う赫さん。師匠達と言いこの人達と言い、なんで私の周りはこんなに甘ったるいんだ。
そう二人にジト目を送っていると、慧音さんが咳払いし、話題転換を促す。
「コホン、そういえば、大結界の件はもう聞いたか?」
「大結界?」
一応話を聞いてみると、なんでもこのままだと妖怪は衰弱の一歩を辿るらしく、それを阻止するためにこの土地とその他の土地を常識と非常識で分けて土地、ひいては妖怪達を保護するらしい。
「まあ、今すぐどうこうの話じゃないらしいし、この里を離れることがない人にはあんまり関係ないんだけどな」
慧音さんはそう締めくくった。
あまり興味が無いが、一応師匠と朧さんに話しておこう。あ、朧さんからお小遣い貰ったし茶屋に寄ってから帰ろうかな?
補足 正史では鈴仙・優曇華院・イナバが地上にやってくる頃には既に博麗大結界は出来ていました(作者調べ)
敢えて言おう!この小説で細かい時系列は無意味であると!
ΩΩ、Ω「な、なんだってーっ!?」
補足2 妖怪は里でいい目で見られない
当時はあくまで、人里で人間を襲うのを禁止していて、人里から離れようものなら問答無用で殺されました。
ようするに、同じ部屋で自分と虎が居るようなものです。虎の飼い主も自分よりも上の身分の人で、絶対に人を襲いませんよ、と言っても信頼も信用も出来ないでしょう?
以上 作者の妄想設定垂れ流しでした