彼は月迅竜である。   作:一般的な犬

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お久しぶり

2241字


紅魔郷
はじまりはじまり


紫が来てから既に数十年の月日が流れている。永い時を生きてきたからなのか、特に何も無い平凡な日常だったからなのか。

 

相変わらず赫は飯を食いに来るし、妹紅と輝夜はなんだかんだで仲がいいし、雷狼竜こと雷牙もたまに顔をだす。

 

この前なんか九尾の狐であり、紫の式の藍と来ていたのだが、何やら妹紅や永琳と一緒に話し込んでいた。

仲が良いようで何よりだが、何やら妹紅と立ち聞きしていた鈴仙の顔が赤くなっていた。一体何を話題にしてたのやら。

 

 

 

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「スペルカードルール?」

「ああ、幻想郷での新しいルールだそうだ」

 

季節は夏。常に竹林が霧に覆われていて、永遠亭も日陰ならば寝苦しい夜を過ごすことも無い。

 

縁側に腰掛け、膝に永琳の頭を横向きに乗っけて世間話に興じる。永琳に膝枕をしているのは「ちょっと疲れたから膝を貸して」と言われたからである。

 

「まあ簡単に言うと、スポーツに近い決闘だ。お互い霊力や妖力で弾幕を張り、必殺技としてスペルカードを宣言して放つ。難しさもそうだが、美しさも重視される。これによって幻想郷が崩壊するレベルじゃなければ、妖怪は異変(イベント)を起こして畏れを集め、人間は以前よりも比較的簡単にソレを解決できる」

 

ここで一息ついて、さっき鈴仙が置いていってくれた冷たいお茶を一口飲む。

 

「大事なのは、これによっての人間と妖怪が対等に戦えること。そしてこの決闘での勝敗で禍根を残さないことだ。ルールに則って戦うわけだから、どちらかというと暇を持て余した妖怪の遊び、って感覚だけどな」

「ふーん……」

「まあ俺達にも関係あることだからな。覚えといて損はない」

 

そういえばさっきお茶を持ってきてくれた鈴仙が微妙に疲れた顔をしていたが、疲れていたのだろうか?こんど甘いものでも差し入れよう。

 

「……彼女と二人っきりなのに、他の女の心配をするのはご法度よ」

 

と声に出ていたのか、心を読まれたのか。いつの間にか仰向きで俺の顔を見ていた永琳に冷たい目で睨まれたので思考を中断し、右手で頭を撫でながら話を逸らすように質問する。

 

「男の膝枕なんて何処がいいんだ?」

「あら、私は貴方の膝枕が良いのよ。こうやってるだけで落ち着くし、暑くて寝苦しい夜もぐっすり眠れそうよ」

 

と、左手を取られて永琳の手と繋がれる。

手はいつもよりも温かい。

 

「左様で。……というか竹林(ここ)は基本涼しいが」

「比喩よ、比喩。……本当に眠くなってきたから寝ちゃってもいいかしら?」

 

と欠伸混じりに言う永琳。

 

「まあ、いいが。板張りの床だと起きた時痛いぞ」

「いいわよ、三十分位したら起こして」

 

ああ、おやすみ と返事をし、視線を空へと向ける。

 

空は青々としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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紅魔異変 後にそう呼ばれた異変は夏のある日に始まった。空には紅い霧が広がり、太陽の光は遮られ、霧に含まれる微量の妖力により子供や老人等の体が弱いものが体調不良を訴え、妖精達が活発になった。

 

「ということで見学に行こうよ」

「何がというわけでだよ」

 

また朝飯を集りに来た赫がこう言う。

せっかくだしこの異変の元凶を見に行こうよと。

 

まあスペルカードルールというルール制定は既に行われてるし、今後俺達が異変を起こす側にならないとは限らない。予習は大切だろう。

 

「でも忙しそうな身内を置いてまで行こうとは思わないかな」

 

永琳も鈴仙もせっせと対抗薬、身体の霊力を微妙に増加させて妖力に対抗するという薬を作っている。値段設定は低いが、必要とする人は多い。薄利多売になるが、塵も積もれば山となるし、お金はあっても困らない。今のうちに稼いでおこうと提案した結果である。

 

薬が出来次第人里に持っていって、販売担当のてゐに手渡して、戻ってきたらまた薬が出来るのを待って……

 

「朧 永琳が「今あるやつを全部届けてくれたらあとは鈴仙に任せるわ。気をつけて行ってらっしゃい」って言ってたわよ。相変わらず永琳はあなたに甘いわね」

 

と、話を聞いていたのか輝夜が出てきた。ニヤニヤしているが、無視しておく。帰ったら永琳に出来るだけのことをしてやろう。

 

「さて、君の嫁さんの許可もでたことだし行こうよ」

「ああ。で、元凶の場所は把握してるのか?」

 

靴を履き、空へと飛ぶ赫を追いかけながら尋ねる。……この幻想郷に常識と非常識の結界が出来てから、多少力があれば人間でも飛べるようになった。

 

「もちろん。竹林に籠っている君たちと違って僕はあちこちフラフラしてるんだ。情報へのアンテナの数も強度も違うよ。君達ももっと外に目を向けようよ!」

 

ドヤァ、と言わんばかりの赫に妖力で弾を作って撃ち込む。イメージとしては尻尾の針だろうか。

 

「危なっ!」

「チッ、あーすまない、妖力が暴発してしまったようだ」

「いま僕の顔を狙ってなかった?!」

 

ギャーギャー言う赫を無視して手元にもう一本針を作る。毒々しい色の太い針だ。

 

「んっ?んー……朧君、ちょっとそれかして?」

 

と返事をする間もなく手元の針を取ると、上から下から眺める。

 

「……もしかしたら。ねえ朧君、これ鱗とかでもできる?」

「ああ、永琳の指輪も欠片もそうやって作った。ただ物凄く妖力を注ぎ込んだから創ろうと思っても時間がかかるぞ」

 

赫はニヤりとして針を俺に放り投げる。

 

「この異変が終わったら鱗とか創り溜めといて。溜まったらいいもの作ってあげるよ! あー!テンション上がってきた!先行ってるよ!」

 

と、大声で叫んでから速度を上げて飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

…………人里とは真逆の方向に。




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