stage2.5~です
今回はついに紅白のやべーやつが出てきますよ
2413字
「そこ行くお方、こんばんは。いい夜ね」
こんな紅くて妖精や妖怪がウロウロとする夜半ばに、少女特有の高い声が聞こえた。
「あぁ、今晩は」
「こんばんはー」
俺たちは振り返って挨拶を返す。
そこには巫女、と表現するしかない少女が浮いていた。
「さて、貴方達がこの真っ赤な夜の元凶かしら? 貴方達のせいでお布団は干せないし、お賽銭は入らないし。空が紅いってだけで鬱屈になるわ」
少女は肩と脇を晒した紅白の巫女服の
「なにか勘違いしてないかい? 僕達は夜に散歩をする善良な里人さ」
赫は軽くそう言って見せるが、目を鋭くし何が来ても対応出来るように身構えているようだ。
それも当然か。少女は明らかに殺意、とまでは行かないものの敵意を持って接して来ている。
斯く言う俺も直ぐに回避に移れるレベルには心の準備をしている。
「そう。でもアンタ達が黒幕だろうがそうでなかろうが、妖怪は巫女に退治される運命なの、よっ!」
言うが早いか、針が俺達目掛けて飛来してくる。
かなりの速度であったが、危なげもなく避けていく。
「ふーむ。彼女が博麗の巫女で、これが弾幕ごっこ。こんな針とか刺さったら痛いし、妖怪とかだったら妖力を固めてばら撒くんだろう? 人間が当たれば良くて打撲悪くて粉砕骨折、下手すれば死にもするだろ?」
「そこはアレだよ。ラグビーとかアイスホッケーは怪我は多いし、ボクシングやプロレスだと死亡事故もある。弾幕ごっこも似たようなもんでしょ。そもそも人間が力が強い妖怪と公平に戦う為のルールだから、"ちょっと"危険なスポーツになるのは仕方ないさ」
確かに公平に勝負は出来るのかもしれないが、強者が力加減を間違えようものなら"ちょっと"ではすまないだろう。
そう会話を重ねている間にも、どこにしまってあったか針は大量に飛び交い、御札は何故かこちらを追尾して飛んでくる。
それでも、こちらが二人で的が絞れないからか、もしくは手加減されているのか、危なげなく回避していく。
「んー、あれって博麗の巫女だよな?」
「そうだけど? 博麗神社と呼ばれる里から離れた所にある神社に住んでいて、里から離れているせいか、もしくは彼女を気に入った妖怪がたむろするせいか、はたまた何を祀っているのか誰も知らないせいか、賽銭は殆ど無く、収入も乏しい、通称貧乏巫女」
「詳しい解説どうも」
どうやら幻想郷のキーマンなのに貧乏らしい。妖怪退治というのは儲からないのだろうか?
というか賽銭が入らないのは常日頃のことらしいので、この紅い夜は関係無いのでは?
「誰が貧乏巫女よ! 余計なお世話よ!」
どうやら会話が聞こえていたらしく、先程よりも弾幕の密度が増している。どうやら先程までは手加減、というか手を抜いていたらしい。針や御札に混じって霊力らしき弾も飛んできている。
「朧、くん、ちょっと、これは、キツくない?」
赫からはさっきの余裕綽々といった雰囲気は消え、会話も途切れ途切れとなっている。俺も無駄口を叩かず、回避に専念する。本来の弾幕ごっこなら反撃を織り交ぜて行くのだろうが、俺は手加減や回避しながらの弾幕発射は練習はしてないし、花形であるスペルカードも作っていない。
仕方がないので逃走を視野に入れて隙を伺っていると、ほとんど弾幕が当たらない俺達に焦れったくなったのか、懐から御札とは違うカードのようなものを取り出し掲げた。
「ええい、ちょこまかと! 霊符[夢想封印]!」
彼女がそう宣言すると、彼女の周りには七色の玉が浮かび、辺りに御札で出来たラインが無造作にひかれる。先程まで飛んでいたホーミング御札とは違い、動かない代わりにかなりの霊力を孕んでいる。これは大妖怪ですら触れれば危うい。
「これがスペルカード?切り札と言う割にはちょっと弱いんじゃないかい?」
赫が意識的にか、はたまた無自覚にか、そう彼女を煽る。
「ふーん。そういう口が聞いていられるのも今のうちよ」
彼女は彼女でどこぞの三流のようなセリフを吐く。その態度からはこの技と自分への自信が溢れていた。
「さあ!くらいなさい!」
そう彼女が叫ぶとそこに浮遊していた大きくて、それでいて大量の七色の玉がこちらへと飛翔してくる。先程の弾幕のようにかわそうにも、御札のラインが邪魔をする。
「ちょっ、やばっ」
赫が左の方から来た七色の玉に反応しきれず被弾し、破裂する。咄嗟左腕で庇ったのか、左腕がだらんと垂れ下がっていた。
「大丈夫か?」
「大丈夫に見える? これ多分封印系の術式だね。おかげで左腕の感覚が無いよ」
どうやら左腕は封印されてしまったらしい。……赫の左腕が封印されていると聞くと、赫がただの痛い人に聞こえるな。
「いや、冗談言ってる場合じゃないって。マジでどうすんのこれ? 反撃できない、避けきれない、勝てない。これが世に言う詰みゲーかなー?」
「結構余裕そうだな、お前。そこまで出てるならもう手はひとつだろう」
「ああうん。ですよね」
つまり、だ。
「逃げるんだよォ!スモーキーーーーーッ!!」
「三十六計逃げるに如かず、だ」
ということで、俺達の初弾幕ごっこはこうして幕を閉じたのであった。めでたくねえよ。
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「な、なんなのよあいつら……」
最初は適当にやっていたとはいえ、途中からは本気も出したし、切り札も使った。さらに言えばあちらは反撃すらしなかった。
その結果が、赤い方の左腕を封印しただけ。しかもあの様子だと簡単に解かれてしまう。
人生で初めて感じる、敗北感とは違ったモヤモヤ。
ああ、何となく自分にイライラする。
「おーい!霊夢! はぁ、やっと追いついた。あの宵闇妖怪しつこすぎだろ……霊夢?どうしたんだ?」
「……私、異変終わったら修行するわ」
「そうか、頑張れ……よ…………え?」
私こと博麗霊夢は人生で初めて、自主的に修行を行う決心をしたのであった。
なんか唐突に初めからしたくなる"ニューゲーム症候群"になったみたいで、この作品最初のほうから手直ししつつ書き直したいです……
ただでさえ更新遅いのに何言ってるか分からないって話ですけども