彼は月迅竜である。   作:一般的な犬

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第一声

彼がおそらく初の人化の第一声はなんというのか。

聞き逃すまいと全神経を研ぎ澄ます。

 

「つ……」

「つ?」

「つかれた……」バタリ

「へっ?」

 

彼は前のめりに倒れてしまった。

慌てて駆け寄って脈や呼吸、瞳孔など簡易的なチェック──一応薬師なのだが平凡な医者よりも医療の腕は確かだと自負している───をすると一般的な霊力枯渇症の初期症状に凡そ当てはまった。

 

つまりは霊力……いや、この場合は妖力の使い過ぎによる疲労で倒れてしまったのだろう。

 

霊力枯渇症の初期症状程度ならこのまま放置していても二、三日程で自由に動けるまでに回復する。ので果実の回収が終わり次第都市に帰る必要があるのだが、今回は前例の無い妖怪であることなので何時回復するか確証が無い。さらにここは安全とは言い難いので流れの妖怪が偶然抵抗出来ない彼を殺し、力をつけてしまう可能性がある。

 

人間に友好的とまでは行かなくても中立を保つ珍しさと、ここまで案内してくれた事、そして私を助けてくれたこと。

 

様々な事を天秤に掛け、結果的に出した私の決断は

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「知らない天井だ」

 

思わず某アニメのセリフを呟いてしまった。

 

あの身体は猫のように丸まって寝るため、最初に目に入るのは土の壁なのだが、今目の前には清潔感のある白いタイルが広がっていた。

 

というかなんで白いタイル?

 

落ち着いて現状を整理しよう。

えーと確か……あぁ、あの銀髪の美人さんから人化という素晴らしいものを聞いて、何とか念じていたら体が急に小さくなって人型になり…………なんとも言えない喪失感と凄い疲労感を感じ眠ってしまった。

 

人型であるなら目に入るのは土の天井のはずだが……寝てる場所も柔らかいし。

 

「あら、おはようございます」

 

隣から声が聞こえた。

首をそちらに向ける───どうでもいいが人の状態は実に二十年ぶりなのだが、なんの違和感もなく動いた───と、例の銀髪の美人さんが佇んでいた。……鮮やかな赤青ツートンカラーのその服は現代のファッションに疎い俺でもちょっと刺激的だ。

 

まず何故自分はここに居るのか説明を求めると、妖力の使い過ぎで倒れた恩人……恩妖?をあのまま放置するのは忍びなく、半ば彼女の独断で都市、ひいては彼女の自宅で療養させることにしたらしい。

 

「貴方様に命を助けていただけただけでなく、必要な物も集まり感謝の念が尽きません」

 

とりあえずその敬語はやめて欲しい。

何だかむず痒い。

 

というか人の街に妖怪って入って大丈夫なのか?

 

 

「そうです……コホン、分かったわ。自己紹介をしましょう。私は八意XX この都市で薬師をしていて、それなりの役職についてるわ。今回の件も妖怪を都市に引き込むって普通なら大問題なのだけど、一応あなたは遭難者として話が通っているから。それと、親しい人には永琳と呼ばれているからあなたもそう呼んでくれて構わないわ」

 

大問題な事を改変できる権力者だったわ。

 




次回 遂に主人公の名前が明らかに。(名前どうしようかな?)

あ、あと5件の評価と36件のお気に入り登録ありがとうございます

これからも頑張ります
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