今回は1400字ダイジェストでどうぞ
この都市に来てから一年程過ぎた。
(飛びすぎ?こうでもしないと進まない)
なにか電波を拾ってしまったが、俺は元気である。
さて、この一年の様々な出来事があった。
掻い摘んで話そうと思う。
まずこの都市に来たばかりの頃は、与えられた部屋でひたすら妖術の練習をしていた。というのも外に出れず、永琳も忙しそうだったので、家事以外やることが無かったのだ。そこで教えて貰ったのが妖術だ。曰く、妖力を効率的に運用するための"式"、だそうだ。
以前人化した途端妖力切れで倒れてしまったのだが、あれは式の部分を力技で誤魔化したから人化するのに必要な妖力がギリギリで倒れてしまったらしい。
「普通の妖怪は本能的にある程度の妖術を扱えるのだけどね。あなたはそういう意味でも規格外ね」
と、苦笑されてしまったのは苦い思い出だ。
ともかく、その甲斐あってか今では人と月迅竜を行ったり来たりするのにも全く負担を感じなくなったが。
続いて、二ヶ月程たった頃。
永琳の仕事──どうやら都市で流行病があり、その治療薬の材料をあの森に取りに来ていたらしい。この二ヶ月間ずっと治療のため奔走してたそうだ。───が一段落し、俺にも新しく仕事が与えられた。
事務仕事兼治験の被験者だ。正確には治験がメインで、事務仕事は手に職が欲しかったからだが。
治験は文字通り新薬の実験で、貴重な妖怪のサンプルケースを取れると喜んでいた。
様々な薬を飲んできたのだが、シンプルな体調を良い方向に向ける薬もあれば、胡蝶夢丸(ナイトメア)とかいう飲むと悪夢を見る薬とかも無理矢理飲まされた。
内容は朧気だけど、凄い酷い悪夢で、起きたあと四日程気分が沈んでいた記憶が有る。ちなみに調合を間違えたらしく、本当なら引きずっても一日だそうだ。結構永琳が気を使ってくれたため四日で復帰出来たが。
……今更だが一体何種類の薬を俺は飲んだのだろうか?副作用とかないよな? 永琳ってここでは天才と呼ばれてるらしいが、それでも怖いものは怖い。調合ミスという前例があるだけに。
ま、まあなんだかんだで上手くやってると思う。
……え?男女ひとつ屋根の下なんだからもっと浮ついた話は無いのかって?
無くはない。この都市の実質トップであるツクヨミ様という方がいるのだが、一度会っておくべきと、永琳を交えて会話したことがある。初対面で妖怪と見破られ、「永琳を籠絡しようとする妖怪死すべし」と殺されそうなった。曲がりなりにも神なのだから見破られるのは考慮すべきだった、とは永琳談である。
ともかく初対面でそんなことはあったものの、永琳の説得により現在ではお茶飲み仲間程度にはなっている。そこで問題なのだが、毎度毎度永琳を弄る。
「永琳ってだいぶマッドサイエンティストだよね」と軽いジョークから、「あれれwww永琳太った?あれかな?幸せ太りってやつかなwww」女性にしてはいけない体重の話まで、神とは思えないぐらい軽い。
さらに「朧君とはいつ結婚するの?」とか「実際どこまでシたの?」と、そっち方面でも弄ってくる。
当初こそ面食らったものの、今では軽く流せる……永琳も最初は真っ赤になって「彼とはまだ恋人じゃありません!」と「あ、まだなんだ。いつ頃告白するの?」と自爆していたが、今となっては毎回ツクヨミの額に矢をぶち込んでいる。仮にも神なのだけど、それでいいのか。
そしてちょうどここに来てから一年目の事
いつもように書類仕事をしていると、気になるものを見つけた。
[月移住計画予算書]
これは一波乱ありそうだ。
ツクヨミ様
すっごい軽い神
別に永琳に懸想してる訳ではない。
むしろ永琳と朧をくっつけようとあの手この手で頑張ってる。それでいいのか神