インドの奮戦と敗北、そして…   作:空社長

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やっぱり、この話は書きたかったので書いてみました


番外編2① 不穏な空気

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Title:パキスタン管区軍作戦履行報告書」

the Date:AD2026/5/5

the Text

「OperationMarsは成功し、インド亜大陸における対BETA作戦計画は安定化の兆候を確認した。我々パキスタン軍も作戦参加部隊の一員となり、ムンバイやジャンムーへの陽動作戦を遂行することが出来た。これは誇るべき結果である。また、その陽動作戦でのインド軍との連携は多少のいがみ合いがありつつも良好な関係を築くことが出来ている。もし叶えられるならば、BETA戦が終わった時、インドとパキスタン両国は力を合わせ協力して復興していき、手を取り合うことで再び1つの国へとまとまることが望ましい。

一方でOperationMarsにおいて隣国イラン管区も作戦参加表明を出したが、彼らは最も醜い部隊を派遣したことをここに断言する。

彼らは西インド方面作戦参加部隊集結地でもあったカラチ駐屯地に入ったが、その際、多数の暴行事件を起こし、また、民間人への略奪事件も相次いだ。また、作戦中にはわざと我々の方に陽動するように仕向けているように見え、その陽動先はインド軍だったり、我々であったり、アフガニスタン軍でもあり、そして、アフガニスタンの民間人が多数住む市街地もあった。この作戦においての民間人の死傷者の発生原因がイラン軍部隊であると言っても過言ではない。彼らとの連携はまず無理であった。無理に連携しようとすれば我々が逆に窮地に陥るという体たらくであった。彼らは利敵行為を行っているとも過言ではない。彼らとは手を取り合うことも出来ないのだ。」

 

 

 

 

 

パキスタン管区臨時首都カラチ

 

 

~臨時政府設置場所:カラチ市政庁~

 

 

 

イブラム「これは本当か?ムルラム。いや、レノメルド・ムルラム大将。」

 

 

パキスタン管区臨時大統領イブラム・ハーンが大きな円状の机の真ん中にタブレット型の端末を置く

そこには先のパキスタン軍作戦参加部隊の報告書が映っていた

 

 

そして、それをもう一人の男が手に取り、見ながら口を開く

 

 

レノメルド「確かに本当だ。私の元にも報告が上がってきている。」

 

 

イブラム「……イランか……かつてサウジと並び中東の大国と呼ばれたこの国が今や新ソビエトの眷属とはな。」

 

 

外務大臣「どうする?」

 

 

イブラム「カザフスタン政府に情報を送ってくれ。イラン管区の処遇について考えなければならないという文を添付してな。」

 

 

外務大臣「分かった。」

 

 

 

 

 

カザフスタン管区:首都アスタナ

 

~カザフスタン管区行政府~

 

 

 

???「皆はどう考える?イランについての対応を。」

 

 

そう発言したのはカザフスタン管区大統領アルベール・ドモナフであった

 

 

国防長官「難しい問題ですな。ですが、我が軍からもイラン軍への苦情が届いています。」

 

国防長官は顔をしかめつつ、話す

 

 

すると、外務省職員らしき人が外務長官に耳打ちする

 

外務長官はドモナフ大統領に振り向き……

 

 

外務長官「大統領、アフガニスタン管区政府が中央議会での全会一致により、イラン管区との関係断絶を決定しました。その上で対応は我々に一任すると。」

 

 

アルベール「うぅむ……」

 

アルベールは目を閉じ唸った

 

 

国防長官「パキスタン管区としての対応はどうなのだ?」

 

外務長官「パキスタン管区も我々に一任すると言っていた。」

 

 

国防長官「スエズ解放戦を行ったイラク管区はどう言ってるのだ?」

 

 

外務長官「イラク管区はスエズ解放戦以前からの挑発行為があったらしく、この機会にイラン管区を連合から追放すべきと言っております。」

 

 

アルベール「なかなか強気だな……インド管区の発表はあるか?」

 

 

その時、全閣僚が外務長官に視線を集中した

 

 

インド管区は国土は失えど、カザフスタン管区に並ぶ盟主としての軍事力を未だに半分以上有していた

カザフスタン管区とインド管区の決定が連合の方針を決定づけると言っても過言ではない

 

 

 

外務長官「インドか……たしか…」

 

 

その時再び外務省職員らしき人が外務長官に耳打ちした

直後、外務長官は驚愕したような表情を見せる

 

 

アルベール「どうした?」

 

 

ドモナフ大統領は外務長官に聞く

 

 

外務長官「それが……『経済面においてはカザフスタン管区に一任する。軍事面においては現在の状況を踏まえ、イラン管区の作戦参加部隊指揮官の連合中央軍法会議での弾劾を主張する。が、最終的な判断はカザフスタン管区に一任し、我々はそれを支持する。』との事です。」

 

 

アルベール「……そうか。外務長官。」

 

 

外務長官「はっ。」

 

 

アルベール「イラン管区の代表に伝えてくれ。イラン管区作戦参加部隊指揮官の中央軍法会議の出席を要求する。期限は1週間以内。もし期限内での拒否及び無返答の場合、貴管区の連合からの追放を検討する……と。」

 

 

外務長官「はっ!」

 

 

 

その後、イラン管区は沈黙したように何も反応がなく、カザフスタン管区外務省職員がイラン管区大使館を訪れても、うやむやな回答をするだけだった

 

 

 

そして、1週間が過ぎた

 

 

 

 

 

5月12日

 

 

~カザフスタン管区行政府~

 

 

全閣僚は外務長官からの報告を聞いていた

 

 

そして、報告が終わると、1番先にドモナフ大統領が口を開いた

 

 

アルベール「イラン管区からは何の返答も無しか……ここまで静かだと逆に反応に困るな。」

 

 

国防長官「外務長官、各管区に情報は伝えたんだろうな?」

 

 

外務長官「はい、伝えました。」

 

 

アルベール「それで、その返答は?」

 

 

外務長官は少し渋った動きを見せるも、直ぐに口を開いた

 

外務長官「……イラン管区とアフガニスタン管区はすぐにでも連合から追放すべきとのコメントが、パキスタン管区は経済援助の全面的な中止を含めた一時的な経済制裁を求めています。ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、キルギス等は我々に一任するとの事、最後にインド管区ですが、中央軍法会議での弾劾を要求すると共に拒否した場合に経済封鎖を敢行するため第4打撃隊を向かわせてるとの事です。」

 

 

国防長官「第4打撃隊……プラハン級高速戦艦ネームシップを旗艦とし駆逐艦6隻を指揮下に持つ部隊か……大統領、彼らは本気です。」

 

 

アルベールは考え込むために閉じていた目をゆっくりと開き、視線を外務長官に向ける

 

 

アルベール「外務長官、イラン管区に作戦参加部隊指揮官の中央軍法会議の出席を命じてくれ。ただし期限は3日だ。そして、拒否及び無返答の場合は、イラン管区の連合追放措置を実行すると。」

 

 

外務長官「…分かりました。」

 

 

 

 

だが、イラン管区は再び沈黙を貫いた

 

 

返答すらなかったため、中央アジア連合行政府はイラン管区の連合追放措置を実行

管区として名は外され、イラン共和国となった

また、全ての経済援助が断ち切られた

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

5月15日午後

 

 

即座に連合追放措置が実行されたその日の午後

 

 

イラン共和国はイラク管区に宣戦布告、侵攻を開始した

 

 




かなり短かったな……

※設定


・カザフスタン管区

中央アジア連合でインドと並ぶ権限を持つ
BETA侵攻によるインド亜大陸失陥後は経済面での事実上の盟主
軍事面でもインド管区は一部権限をカザフスタン管区に譲渡しており、カザフスタン管区は軍事経済両面での盟主になりつつある


・第4打撃隊

インド管区海軍の小規模編成部隊の1つ

プラハン級戦艦一番艦プラハンとヴィシャーカパトナム級(15B型)駆逐艦6隻によって構成される
インド管区海軍の中で最強級の1隻であるプラハン級とBETA戦初期からの連戦を生き抜いたヴィシャーカパトナム級6隻がいるため、インド管区政府がこの部隊を派遣すればインドが本気の姿勢であることが分かる

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