インドの奮戦と敗北、そして…   作:空社長

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実際のところ、イランとイラクの国力差ってどのくらいなんだろう……


番外編2② 北ペルシア湾大海戦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5月15日

 

 

 

イラク管区はイラン共和国に突如として宣戦布告され、イランに先手を取られる形で領土になだれ込まれた

 

 

46年前に始まったイラン・イラク戦争の再発

第二次イラン・イラク戦争が勃発したのだった

 

 

イラン管区軍は警戒はしていたものの、完全な戦闘態勢では無かった、いや、すぐに侵攻してくるとは思っていなかった為、当初形成は不利であった

 

それでも国境から30㎞地点にある都市バアクーバで足を止めることに成功し、バアクーバ市内での市街戦に発展した

 

イラン共和国軍はT-14アルマータやT-22イェルネールなどの125㎜や140㎜砲等の威力の高い砲を用いる戦車連隊を突入させ、

イラン管区軍はT-90イラク仕様やM1A2エイブラムス市街戦仕様を防衛戦に展開させた

 

 

 

 

その最中

 

海上でも戦いは起こっていた

 

 

 

「ビエール轟沈!!」

 

 

アメリカがイラク管区に設計変更をした上でライセンス供与したアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の1隻が大きな爆発を起こす

 

 

「くっそ……ザカフカース級か……」

 

 

司令官らしき男性が敵艦の艦級を忌々しく呟き、今も3連装砲を連続発射し続ける敵艦を睨む

 

 

イラク管区海軍はアメリカよりライセンス生産が許可されたタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦とアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦や既存のフリゲート艦、サウジアラビアから供与されたミサイル艇等で構成されていた

 

対するイラン共和国海軍はザカフカース級ミサイル巡洋艦やキーロフ級ミサイル巡洋艦、ソヴレメンヌイ級ミサイル駆逐艦、既存のムェルヴェール級ミサイル巡洋艦、国産フリゲート艦等で構成されていた

 

 

イラク管区海軍が制海部隊としか考えておらず、改良はしているものの設計は半世紀前の艦艇で構成されるのに対し

イラン共和国海軍は周辺各国への侵攻目的のために艦艇を輸入及び建造をしていた

 

 

 

「司令、敵魚雷補足!迎撃不能!!」

 

 

「何……」

 

司令官が強ばった表情で振り向いたその時

 

 

司令官の乗るタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦フローグに魚雷が命中、大きな水飛沫を上げ、さらに同時にザカフカース級からの3連装砲弾が上部構造物や甲板に命中、大きな爆発を起こし炎上する

 

 

 

「ふんっ、流石は最強の巡洋艦と謳われるだけはある。この程度の抵抗、なんの造作もない、全艦、殲滅せよ。遠慮はいらない。全て沈めよ。」

 

 

旗艦としているザカフカース級の艦橋で一人の男が命じる

 

その命令に呼応するように同型艦やキーロフ級ミサイル巡洋艦が前進し、指揮官を失い混乱するイラク管区海軍に容赦なく130㎜砲や300㎜砲を放ち、沈めていく

 

 

旗艦のザカフカース級は別の艦とは違った動きを見せる

VLSを開放し、大きな轟音と噴射炎を上げ、対地巡航ミサイルを放った

 

 

放たれた先はイラク領内にある唯一のイラク管区海軍基地

 

一発目で基地司令部を貫き、大爆発を起こし、ほかの艦艇からも放たれた巡航ミサイルで基地は壊滅した

 

 

 

「さて、あとは……クウェート国内の基地のみか……攻撃せよ。」

 

 

「クウェート海軍のフリゲート艦が展開しております。迎撃されるかもしれません。」

 

 

「構わん、どちらにせよクウェートも攻略目標、今のうちに戦力を削っていくのも悪くは無い。」

 

 

再び全艦より対地巡航ミサイルが放たれ、クウェート湾北部にあるイラク管区海軍基地に向かう

 

パトリオットミサイル迎撃システムが基地内に1つあり、対地巡航ミサイル1発を迎撃成功するも

それを想定した飽和攻撃のため、即座に破壊され、同基地は壊滅する

 

また、隣接していたクウェート海軍基地及びクウェート湾外に展開していたフリゲート艦部隊にも攻撃が加えられる

 

ザカフカース級1隻の300㎜3連装砲によりフリゲート艦が一撃で撃沈されたのを始まりに戦闘態勢の整ってないクウェート軍に容赦なく砲火が襲う

 

クウェート海軍のフリゲート艦から反撃として対艦ミサイルが放たれるも巡洋戦艦クラスの装甲防御を獲得しているザカフカース級によって全てが損害軽微で防がれる

 

 

イラク管区海軍よりも劣るクウェート海軍はより短時間でフリゲート艦部隊を殲滅され、イラク管区海軍基地に隣接するクウェート海軍基地も壊滅する

 

 

 

勝利に沸くイラン共和国海軍だった

 

だが、中立国を攻撃するのがどんなに愚かしいか分かっていなかった

 

 

 

「宣戦布告すらしていない部隊に攻撃するとは……全艦最大戦速!!」

 

 

ホルムズ海峡にてイラン船舶のみの海上封鎖を行っていたインド管区海軍第4打撃隊は最高速力でペルシャ湾北部に向かう

 

 

また、サウジアラビア王国連合及びアラブ首長国連邦の連合海軍もペルシャ湾中部に艦隊を展開し始める

 

カタール及びバーレーン政府は海軍艦艇数隻を緊急展開させる

 

 

そして、バーレーン・マナーマに駐留するアメリカ合衆国海軍第五艦隊はジェネラルホーク級ミサイル駆逐艦やヨークタウン級ミサイル巡洋艦、そして、アイオワ級戦艦『イリノイ』を中心とする駐留艦隊の5割以上を最も突出する形で展開させた

 

 

 

イラン共和国海軍が上陸部隊の揚陸作戦を行っている間の2時間でアメリカ合衆国海軍第五艦隊、サウジアラビア王国連合海軍ペルシャ湾艦隊、アラブ首長国連邦国防海軍、インド管区海軍第4打撃隊が同艦隊を包囲する形で展開した

 

 

 

「ふむ……まあいい、攻撃せよ。」

 

 

「長官!?ですが、相手はあのアメリカ海軍ですよ……それにインドも第4打撃隊という精鋭を、サウジアラビアでさえ本腰を上げてます。」

 

 

「艦長、我らは新ソビエトの犬でしかないのだよ。だから、犬らしい働きをするまでさ。それに奴らは旧時代の異物を持ってきている。そしてそれらは彼らの主戦力の1つ、ここでこのザカフカース級をもってアイオワ級を撃沈すればこのザカフカース級が最強ということが証明され、新ソビエトも作戦行動がしやすくなる。」

 

 

「……分かりました。撃て!」

 

 

 

だが、イランは知らなかった

いかに大国であろうと超大国には叶わないことを

そして、超大国と大国の違いも

 

 

 

 

最も先頭のザカフカース級が300㎜砲3連装砲を斉射し

アイオワ級戦艦『イリノイ』の甲板上に直撃させる

 

キーロフ級ミサイル巡洋艦がプラハン級戦艦『プラハン』の甲板上に130㎜砲弾を直撃させる

 

ソヴレメンヌイ級ミサイル駆逐艦3隻がサウジアラビア王国連合海軍ペルシャ湾艦隊の艦艇やカタール、バーレーンの沿岸警備隊に砲弾を直撃させる

 

 

 

 

アメリカ合衆国海軍第五艦隊

 

 

「反撃せよ、徹底的にな。」

 

 

リアム・ベンソン海軍中将がマナーマに停泊している原子力空母ロナルド・レーガンの艦橋で命じた

 

 

 

 

インド管区海軍第4打撃隊

 

 

「損害報告!」

 

「損傷軽微!」

 

「とうとうやったか……全艦砲雷撃戦用意!ぶちのめせ!」

 

グルム・ブレンディ海軍少将が『プラハン』の艦橋で怒りを顔に滲ませながら言い放った

 

 

『イリノイ』前部甲板の40.6㎝3連装電磁加速砲一基が重い動作音を響かせながら右舷方向に旋回し、3門超高速の砲弾がソニックブームを輝かせながら放たれた

 

狙われたのはキーロフ級ミサイル巡洋艦でその艦体の中央付近に直撃し、一撃で爆沈した

 

 

 

 

『プラハン』が大きく右に回頭し始め、40.6㎝3連装砲3基はそれに呼応して、左に旋回し始めた

 

そして装填されていた対艦用砲弾が一門ごとに連続で発射される

 

その砲撃はキーロフ級ミサイル巡洋艦、ソヴレメンヌイ級ミサイル駆逐艦、ムェルヴェール級ミサイル巡洋艦、モルジ級ミサイルフリゲート艦に尽く直撃し、どれもが40.6㎝砲弾の破砕力で撃沈される

 

 

 

その2艦の砲撃を合図に攻撃が開始された

 

 

アメリカ海軍のジェネラルホーク級からは特殊兵装《フォースロッグ》が起動し、イラン海軍艦艇20隻ほどを巡洋艦からミサイル艇の区別なく海面下から雷撃が突き上げた

 

 

インド管区海軍のヴィシャーカパトナム級は対地攻撃強化目的で装備された127㎜電磁速射砲によって超音速で砲弾がソヴレメンヌイ級等にぶち当てられ、既に数隻は艦橋と機関部に被弾し航行不能となった

 

 

バーレーン及びカタール海軍はミサイル艇からの対艦ミサイル攻撃を共同で行い、ソヴレメンヌイ級等を大破させていった

 

 

サウジアラビア王国海軍のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦やアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の砲が連続発射され、数の暴力と言わんばかりに次々と航行不能となる艦を続出させた

 

 

「多数の艦艇が航行不能および轟沈!長官、話が違うではありませんか……え?……」

 

旗艦であるザカフカース級の艦長は狼狽するも……

振り向いた先にいた長官に銃でこめかみを撃ち抜かれ死亡する

 

「反抗は許さない。全艦、アイオワ級とアイオワ級のコピーに集中攻撃。」

 

 

 

通常の戦闘距離でもない程の接近戦なのにも関わらず、イラン海軍全艦艇はP-270モスキート対艦ミサイルを発射

 

その全てが『イリノイ』及び『プラハン』に向かい、直ぐに両艦は電磁放射防壁を展開し、数秒後ミサイルが殺到する

 

全てのミサイルが電磁放射防壁に阻まれ、その爆煙が艦を覆い尽くす

 

ただ、『プラハン』の電磁放射防壁は2発のみ貫通を許し、左舷副砲群が損壊した

 

 

 

「やっぱりな……よし、ザカフカース級全艦最大戦速!」

 

 

ザカフカース級3隻だけが『イリノイ』と『プラハン』の前に躍り出た

 

 

『イリノイ』がザカフカース級1隻の量子シールドに着弾したことから、戦闘は次の段階に移行した

 

 

ザカフカース級3隻は130㎜砲、300㎜砲を次々と放ち、『イリノイ』と『プラハン』、そして、ジェネラルホーク級ミサイル駆逐艦2隻とヴィシャーカパトナム級駆逐艦6隻は3隻に集中攻撃した

 

 

 

 

『イリノイ』と『プラハン』はイラン海軍艦隊旗艦を識別し、その艦に対し40.6㎝全門をもって砲弾を量子シールドに叩きつけた

また、旗艦のザカフカース級も300㎜全門を両艦の電磁放射防壁に叩きつけていた

 

その光景は現代にも第二次大戦期にも全く見られなかったであろう、『イリノイ』と『プラハン』がザカフカース級を挟み込む形での、超近距離の砲撃戦であった

 

 

 

そして……

 

とうとう『イリノイ』の1発の砲弾が量子シールドを貫き……

 

強制跳弾した

 

そこは砲弾入射角が最もきつい場所であったため、貫通されることは分かっていた

 

 

その後もまたしばらく砲撃の応酬が続き、

 

 

再び砲弾が量子シールドを突破

 

ついにザカフカース級の艦体を貫き爆発

 

量子シールドが停止した瞬間、数秒前に放たれた砲弾が再び艦体を貫き、2連続で爆発、その後機関が誘爆を起こし、

 

 

艦隊旗艦のザカフカース級は撃沈された

 

 

 

 

ちょうどその時、クウェート空軍のF/A-18C戦闘攻撃機14機が到着

イラン海軍によって一方的に蹂躙された憎しみを抱え込んだクウェート空軍は旗艦を失い混乱しつつも反撃を行うイラン海軍に容赦なく襲いかかった

 

「全機、かかれぇ!!」

 

F/A-18C計14機は一斉に増槽を切り離し、混乱するイラン海軍の上空からハープーン対艦ミサイルを放った

 

 

コールチク対空システムで迎撃する艦艇がいたものの、それは数隻に過ぎず、多くが対艦ミサイルの餌食となる

 

 

 

結局、イラン共和国海軍の残存艦艇はムェルヴェール級ミサイル巡洋艦、ソヴレメンヌイ級ミサイル駆逐艦、モルジ級ミサイルフリゲート艦の3隻のみとなり、他は全て海の藻屑と化した

また、その3隻も各所に被弾しており、修復することはほぼ困難であろうと思われた

 

 

 

 

 

 

 

 

イラク管区海軍とイラン共和国海軍の衝突から数えて既に16時間が経過していた

 

 

 

 

 

 

 

 

戦争も次の段階へと移行する……




地上戦があまり書けなかった( ̄▽ ̄;)

特に説明することがないような……

ムェルヴェール級ミサイル巡洋艦はロシアのスラヴァ級ミサイル巡洋艦とほぼ同じと考えてもらって構いません
モルジ級ミサイルフリゲート艦はタランタル級フリゲートですかねぇ


次回予告 番外編2③ この戦いの意味とは

第二次イランイラク戦争は転換期を迎えようとしていた
この結末は……
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