インドの奮戦と敗北、そして…   作:空社長

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誰にも名前付けてないの初めてかもしれないw


番外編2③ この戦争の意味とは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペルシア湾にて行われた海戦、通称北ペルシア湾大海戦

この戦いでイラン共和国海軍は壊滅的な敗北を受け、イラク管区海軍は1隻も海軍艦艇が残っていないものの、結果的にイラク管区海軍がペルシャ湾を制することとなった

 

 

その為、インド管区海軍第4打撃隊はホルムズ海峡で船舶の臨検行動を開始

アメリカ合衆国海軍第五艦隊はペルシャ湾の各地に哨戒艦を置き、イラン共和国海軍がペルシア湾に躍り出てくるかどうかの警戒監視を実施

そして、イラク民間船舶の護衛にバーレーン及びカタール海軍が付いた

 

 

 

 

 

5月18日

 

 

既にイラン共和国海軍が大敗北したニュースが世界中を駆け巡っていたその日

 

 

パキスタン管区及びアフガニスタン管区がイラン共和国に宣戦布告

 

 

M1A2エイブラムスⅡを中心とする機甲部隊を侵攻させた

 

 

 

さらにその2日後、5月20日

 

 

トルクメニスタン管区が管区成立直後からの妨害行為及び領土要求等の国権侵害を理由としてイラン共和国に宣戦布告

同時に海軍を一方的にイランに殲滅されたクウェート国もイラク領内における軍事通行権が許可されたのを機にイラン共和国に宣戦布告

 

 

 

 

 

ー バアクーバ市街地 ー

 

 

 

キュラキュラキュラと履帯が回転する音を発しながら、1両のM1A2エイブラムスⅡ市街戦仕様がゆっくりと前進していた

 

 

「……どこだ、どこにいる……」

 

 

車長が外部カメラから送られた映像を凝視していた

 

 

傾斜がかかった平面装甲が特徴的なM1A2の砲塔が左へと旋回する……

 

 

砲手はその間にも照準をずっと覗いていた

 

そこに……イラン陸軍のT-14アルマータが映っていた

 

 

「車長!敵車両補足!!」

 

 

「ファストルックファストキル!!さっさと撃て!!」

 

 

砲手が車長に報告すると、車長は怒鳴り返した

 

 

相手もこちらに気づいたのか、砲塔旋回を始めていた

 

 

砲手は照準カメラを凝視すると、砲身を微調整し、トリガーを引いた

 

 

44口径120㎜滑腔砲よりM912APFSDS砲弾が放たれる

 

 

その砲弾はT-14の車体側面に吸い込まれ、車体が粉砕され、砲塔は吹き飛んだ

 

 

 

続いてその撃破に呼応して味方のT-90戦車が躍り出る

 

 

そこではイラン軍歩兵を履帯で踏み潰していた

 

 

 

しかし、その直後、爆散し砲塔が吹き飛ぶ

 

 

 

「どこから……!」

 

砲手が驚きながら砲塔を前方に旋回させる

 

 

車長が砲塔が旋回している間にハッチから頭を外に出し車両前方を見ると

 

「T-22イェルメール……!!」

 

顔をしかめながら叫んだ

 

 

そこには凶悪な140㎜砲から発射煙を吐く戦車の姿があった

 

 

 

 

T-22イェルメール かつてのロシア連邦がユーラシアから消える寸前まで最新鋭戦車であった、また現在の新ソビエト連邦では旧式と見なされており1部の辺境のみしか使用されていない

 

 

 

 

直後、車長はハッと思い出し、車内に入りハッチを閉めた

 

 

「次弾装填は!」

 

 

「既に完了!」

 

「前進!動かなければ的になる!」

 

 

 

彼らの乗っているM1A2はT-22に対しカタログスペック上の性能だと劣っていた

 

 

M1A2は広い街路で最高速度を出し、T-22に対し斜めになるように右斜め方向に移動していた

 

T-22の140㎜砲がゆっくりとそれを追尾する

 

車長は車内の外部カメラからの映像でT-22の様子を見ていた

 

 

「!、このままの速度で左旋回!」

 

車長は映像でなにかに気づく

「え…了解!」

 

操舵手が一瞬困惑したものの、操縦桿を左に回す

 

M1A2は左に急旋回して停車する

 

その直後、140㎜砲から砲弾が発射され、砲塔を掠め……

 

 

背後にあったマンションを粉砕した

 

 

「ふう……車長よく気づきましたね。」

 

 

「以前、ロシア連邦の軍事演習でT-22の外から見た発射機構の様子を観察してたんだ。当たりだったようだな。よし、再度前進!回り込めるようなら回りこめ!砲手は砲塔を旋回して敵戦車が照準に入ったら構わず撃て!」

 

 

「は…了解!」

 

 

 

操舵手が再び操縦桿を限界まで押し出す

履帯が回転し、再びM1A2エイブラムスⅡ市街戦仕様は動き出す

 

その動きに反応してT-22イェルメールは140㎜砲塔をゆっくりと旋回させ追尾した

 

この遅さなら回り込めると思われたが、追いつかないと判断したのか、重戦車のような動きで超信地旋回で左に旋回し回り込まれるのを防いだ

 

 

「くっそ!回り込めれると思ったのに!」

 

 

「愚痴を吐くな!まだ撃たないのか!」

 

 

「ちょうど撃てます!発射!」

 

 

44口径120㎜滑腔砲よりM912APFSDS砲弾が放たれる

 

それはT-22の車体右正面に直撃し複合装甲の1枚目を貫き、そこで運動エネルギーが完全に停止する

 

 

「やはり、硬いか……そこは。ん?!反撃くるぞ!」

 

 

反撃とばかりにT-22の140㎜砲からも砲弾が放たれ、

 

 

「おっと!!」

 

 

操舵手が一時的に車体を停止させ、車両の前に砲弾が直撃し、道路が粉砕される

 

 

 

「このままだと埒が明かないな……ん?何だこの音は?」

 

 

車長や他の乗員が轟音を耳にした

 

 

その正体はイラク管区空軍のF-16改ジャール戦闘攻撃機だった

 

その翼下より対地ミサイル2発が切り離され、超高速でT-22イェルメールに向かう

 

もう既にT-22戦車に為す術はなく

 

 

直撃し大きな爆発が起きた後、砲塔が空中に飛び上がった

 

 

その様子をハッチから顔を出し眺めていた車長は「制空権が確保出来たようだな……」

と呟き、安堵した

 

 

しかし

 

 

「車長、正面!」

 

 

「何……」

 

車長は正面を向き、双眼鏡を覗き込んだ

 

 

(あれはイスラム教軍の旗だと?まさかイスラム教軍も我々に?だが、なぜイラン軍の服装を……!?、あれは、旧イスラエルの対戦車ミサイル『スパイク』だ……まずい!)

 

 

車長はすぐに中に入りハッチを閉め、砲手に怒号を浴びせる

 

「砲手!目標敵歩兵!さっさと撃て!!」

 

 

「え、了解!」

 

 

だが、照準を調整する内に対戦車ミサイル『スパイク』は放たれ、照準が甘かったのか右の履帯正面に直撃した

 

 

「車長!履帯が!」

 

 

「反撃せよ!」

 

 

その一声で120㎜滑腔砲から砲弾が放たれる

 

それは対戦車ミサイル『スパイク』を放った敵歩兵数人に命中し、肉片と変えた

 

 

「よし!」

 

 

履帯を破壊した元凶を撃破したことで車内は一度安堵した

 

 

 

だが、既に死への切符は切られていた

 

 

砲塔右側面に高威力の粘着爆弾が貼り付けられ

 

 

当人達が知る由もなく、時限式の爆弾は爆発、車内を高温の豪雨が襲い、砲塔が吹き飛ばされた

 

 

 

数分後

 

 

 

「くっそ!間に合わなかったか……」

 

 

イラク管区陸軍第6機甲中隊が、砲塔が吹き飛ばされ、車内では炎が燻ってるM1A2を発見した

 

 

「これで……最後の1両、先遣隊は全滅したようですね。」

 

「……だが、一定の戦果は上げたようだ。もうこの街に敵部隊はいない。それと、これを見ろ。」

 

「なんです、中隊長?……これは!?」

 

中隊長が降りて拾ってきた布とある装備を見て、副中隊長は絶句する

 

 

それはイスラム教軍の旗とイラン軍の歩兵装備の残骸だった

 

 

「これらは一緒に落ちていたものだ、このことから推測されることは……」

 

「……イスラム教軍とイラン軍は協力していた……ということですか?」

 

「まあ、そんな事は上層部が調べればいいことだ、我々はこのイラクの領土からイラン軍を一掃し、この戦争を終わらせることだ。」

 

「そうですな。」

 

 

 

 

 

 

 

2日後

 

 

5月22日

 

 

ー イラン共和国首都テヘラン ー

 

 

既に勝敗は決したも同然ではあったが、イラン軍はそれでも抵抗を止めなかった

 

 

東西からの挟撃、そして、イラク軍による怒涛の反撃により、イラン軍は既に首都テヘラン郊外まで追い詰められていた

 

 

 

そして、先程連合軍がイラン軍のテヘラン郊外の防衛線を陥落させ、戦車と歩兵の混合部隊が首都テヘラン市内に進軍を開始する

 

 

目指すべきはイラン共和国大統領府

 

 

途中、大東亜民主共和国のJ-40可変人型戦闘機甲『毁坏』のコピーと思われる機体数機が立ちはだかるも、コピーという名の劣化品で、シールドさえ生成できない代物はその巨体による当てやすさにより戦車部隊からの主砲一斉射を受けて砕け散った

 

 

 

ー テヘラン大統領府 ー

 

 

「そうか……負けか。貴様の責任だな。大統領。」

 

黒ずくめの男がスーツを着た中年ぐらいの男性の背中に短剣をあてながら話しかける

 

 

「いやいや、まだ終わったわけではありません。数日後、新ソビエトで"事"が起きるでしょう」

その大統領と呼ばれた男は笑みを浮かべる

 

 

「何をする気だ?」

 

 

「世界の……清算ですよ……」

 

その時、イラン大統領はほくそ笑む

 

「ふんっ、我々イスラム教軍としてはどうでもいい。少しは利益を貰い、女でさえ手に入れた。だが、私はどうなるのだ?」

 

 

「ご安心を。カスピ海から脱出できますので……」

 

 

「なるほど……提案に乗ろう。」

 

 

 

 

 

30分後、黒ずくめの男とイラン大統領が脱出した後

 

お飾りとして置かれていた副大統領が大統領が見つからない為、全責任をもって、全部隊の戦闘停止と対戦国及びカザフスタン管区政府に降伏宣言を通告した

 

 

 

ここに第二次イラン・イラク戦争は終わった

 

 

イランが何の目的で戦争を始めたかは不明のままであった




戦車の描写とか難しい……これでいいのか?



次回予告 東方危機⑴

新ソビエト連邦に異変が起こり始める

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