インドの奮戦と敗北、そして…   作:空社長

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番外編2⑤ 東方危機⑵

 

 

 

 

 

 

 

 

ー エーゲ海 ー

 

 

 

アメリカ合衆国海軍第6艦隊第2打撃群と新ソビエト連邦海軍黒海艦隊は23日の深夜には両艦隊の航空機の索敵範囲内に進入した

 

 

ー 第2打撃群旗艦:CVN-82『レキシントン』 ー

 

 

「壮観だな。」

 

この艦隊の総司令官であるスコット・ルマイヤー海軍中将が呟いた

 

 

「ですな。」

 

参謀が言葉を返す

 

 

「だが、こんな状況下では嬉しくないものだ。」

 

 

ルマイヤー中将はレーダー表示が映されているモニターに視線を向けた

再び前方に戻す

 

 

「あちらからも動きはないみたいだな。」

 

 

「ええ。ソビエツキー・ソユーズ級3隻を先頭に置き、『ブレジネフ』は艦隊の中心に王のごとく鎮座しています。付け加えるならばレニングラード級から発艦した航空機が飛び回ってるぐらいですかね。」

 

 

「で、例の艦についてだが、今は海の中かね?」

 

 

「ええ、潜水艦部隊と共に待機しています。」

 

 

「通常の原潜を上回る、というか戦艦クラスの大きさの癖に隠蔽は最高性能という……どんな技術を使ってんだ?」

 

 

「まあ、技術を提供してもらった白の世界には視覚すらもごまかせる技術がありますからな。」

 

 

「……とんでもない技術だな……まあ、とにかくその艦についての件は一旦棚上げだ。全艦、臨戦態勢で待機せよ。」

溜息を吐きながら、ルマイヤー中将は待機命令を下す

 

 

「ところで……国防大臣の救出と、大統領の拘束任務、成功するでしょうか?」

参謀が不安そうに尋ねる

 

 

「それは奴らに任せるしかないだろうな、SOCOM(特殊作戦軍)の連中にな。」

ルマイヤー中将は少しニヤッとしながら話す

 

 

「自信ありげですね?」

 

 

「まあ……奴らが失敗したら第三次世界大戦が始まってしまうんだ、気楽にいなきゃ待機しているあいだに疲れるぞ?」

 

 

「分かりました。」

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

 

 

ー グリーンランド島上空 ー

 

ー 地球大気圏限界高度 ー

 

 

そこにはPBU超音速ステルス輸送機と随伴する護衛のFS-1宙空両用戦略偵察攻撃機4機がいた

 

 

ー アメリカ空軍空軍特殊作戦コマンド輸送隊 ー

 

ー PBU機内 ー

 

 

「隊長、あと数分で新ソビエトの防空圏内ですね。」

 

「ああ、そうだ。心配か?」

 

「そりゃあ、俺たちが失敗すれば世界大戦が始まるんですから。」

 

「だとしてもやることは変わらん。俺たちの任務は要人を救出し対象を拘束か射殺することだ。」

 

「はぁ……。」

 

その時、機体の外部から通信が入る

 

《こちら、【ファルコン】、我々はもうすぐ離脱準備に入る。それでは、GOOD LUCK(幸運を祈る)。》

 

 

FS-1宙空両用戦略偵察攻撃機4機がスラスターを起動し離脱を始めた

徐々に離れていく……

 

 

 

「とうとう、我々だけになったな。機長、事故るなよ?」

 

「ふんっ、何年やってると思ってんだ。任せてくれよ。」

 

機長は前を見ながら、頼りになるグッドのハンドサインを見せつけてきた

 

 

「ハハッ、はいはい。」

 

 

「そういや彼女ずっと寝てますね。大丈夫ですかね?」

 

「逆に寝てもらわんとうるさいがな。」

 

そこでほかの隊員から笑い声が聞こえてくる

 

 

「まあ、寝ないと体力持たないんだろう。だが、頼りにはなるさ。なにせアメリカ魔法軍の出身らしいし。」

 

「それだけですか?」

 

「……お前は知らんのは当然だが、こいつはテロリスト集団を何個も壊滅させた実績がある狂人さ。ま、殺し好きとは違うらしいが。」

 

「……え?」

 

その兵士は言葉を失う、理解が追いつかなかったようだ

 

 

「この話、初めて耳にした時、俺もこいつのようになりましたよ。」

 

隣にいた仲間、詳しく言うならば一年早く入った先輩が口を開く

 

 

「だったな。さて……」

 

隊長は席をたち、その誰もが信じられないような戦績を持つ寝ている少女に近づき、銃のグリップで頭を軽く叩く

 

 

「イタッ。何するんですか隊長~!」

 

その少女は叩かれた痛みに軽く涙目を浮かべながら、隊長に口答えする

 

 

「金髪少女がなにダッサイ姿で寝てんだ。まあ、そんな事よりももうすぐ出撃だ。」

 

「はぁ~……リョウカイー」

 

 

その少女は棒読みで返事しながら、起き上がり、金髪の髪の毛をまとめあげポニーテールに結んでいく

 

 

「さて……機長!降下してくれ。」

 

 

「おうよっ!しっかりつかまってとれ!まあ、落ちたりはしないがな、ハハハッ!」

 

機長は顔は見せないが、ニヤケ顔を表した

 

 

機長は操縦桿を倒し、それに応じてPBU超音速ステルス輸送機は機種を下に向け降下していく

 

 

そこは既に新ソビエト連邦の領空内、詳細を話せば、コラ半島の上空であった

 

いわば、一度捕捉されれば、撃墜される危険性が最も高い場所であった

 

 

 

 

 

3(スリー)、、、」

 

 

 

 

 

 

2(ツー)、、、」

 

 

 

 

 

 

1(ワン)、、、」

 

 

 

 

 

 

「GO!GO、GO、GO!!!」

 

 

降下予定だった10人が後部ハッチから飛び降り、空気の流れに乗り、滑空していく

 

 

 

 

 

数十分後

 

 

 

彼らはモスクワ郊外に着陸する

 

 

 

「総員、無事か?」

 

 

「もちろん。」

 

一番最初に返事したのは、戦場にいると雰囲気がガラリと変わる金髪の少女であった

 

 

「そうか、他は?」

 

 

「もちろんですぜ。」

 

「は、大丈夫ですっ!」

 

 

「新人、少しは落ち着け、問題ない。我々は一度たりとも捕捉されていない。」

 

「それは……良かったです……。」

 

 

「では、動き出すぞ。ついてこい!」

 

 

 

 

アメリカ空軍特殊作戦コマンド第1特殊作戦航空団第91小隊は自分達の存在を無いものとして行動を開始した

 

 

 

 

 

 

ー 新ソビエト連邦 ー

 

ー 首都モスクワ:大統領府 ー

 

 

 

「どうかね、全ての部隊の様子は?」

 

ヴィレシコフ大統領が口を開く

 

 

その言葉に返答を返したのは国防大臣……ではなく、連邦軍首都管制司令部司令官であった

 

 

「はっ!全ての部隊の展開は完了しています!ですが、各地にてアメリカの艦隊が展開しております。」

 

 

「片付けろ……とは言いたいが、まだだ。まだ機は満ちていない。」

 

 

その時ヴィレシコフは視線を前に向ける

そこには四角形の大きな机が並べており、左右に挟み込むように閣僚たちが座っていた

 

そして、その誰もが両手に手錠をつけられ拘束されていた

 

 

その筆頭である国防大臣セルゲイ・ザルコフは大統領を眺めて心の中で思った

 

 

(クソっ……我々は大統領のありがたい言葉を聞くだけの存在か……)

 

その内、視線はヴィレシコフ大統領の後ろにいる男二人に向く

 

 

(そもそも、あの黒ずくめの男はなんだ……?その隣にいるのはイラン大統領、一体なぜ……?)

 

 

その後

 

 

「では、君。我々はこれからヘリで向かう。君は彼らの相手をしてやってくれ。まだ遊び足りないらしいからな……ククク。」

 

ヴィレシコフ大統領は黒ずくめの男に話しかける

 

「……全く面倒事を押し付けるとはな……まいい、こいつらの処分については任せられた。」

 

 

 

(とうとう世界大戦は止められなかったか。まあいい、残りの人生を悔いなきように過ごすとしよう。)

 

 

すると、ある士官が大統領の元に歩み寄る

 

 

「失礼します。大統領。ある通信信号が確認されました。」

 

 

「一体どこのかね?」

 

 

「……アメリカです。」

 

 

「そうか……」

 

 

ヴィレシコフはポケットから通信機を取り出すとすぐに話し始めた

 

 

「親衛隊長。」

 

『なんでしょうか、大統領閣下。』

 

「付近にアメリカ軍が展開している。片付けろ。」

 

『はっ!』

 

新ソビエト連邦大統領を護衛する役割を持つ親衛隊長はクレムリン防衛隊の1部を動かし始めた

 

 

(……アメリカ、彼らが世界大戦を防ぐための希望となってくれるだろうか……)

 

ザルコフは願った

 

 

 

 

 

 

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