インドの奮戦と敗北、そして…   作:空社長

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chapter20 泥沼と化す戦場

 

西暦2026年5月25日日本時間午前1時

 

ー 東南アジア連合ベトナム共和国ハティン省ハティン ー

ベトナム人民軍臨時作戦司令部

 

 

暗い室内で正面のモニターを見ながら話し合う6人の影があった。

 

「観測衛星によるとBETA梯団20万はドンホイに向かっているらしい、既に半分は越えたか……?対応自体は遅くなったが、作戦航空部隊が向かいつつあり、陸上部隊も順次展開中、海軍が少し遅れているが、その代わりにアメリカ海軍が迅速に展開してくれている。南には向かってないが、ダナンに展開している部隊はどうするんだ?」

 

高級将校らしき男がモニターと手前のタブレット端末で現在の状況を口頭で確認する。

 

「BETAへの対応が無くなったことでハイヴへの直接攻撃が可能になった。作戦開始と同時にハイヴへ攻撃するんじゃないか?」

 

高級将校の問いに別の将校が予測を立てる

 

「そもそも人民議会が余計な反応を示したからこうなったんだ!速攻を前提としている作戦計画263は既に破綻している!」

 

一人の将校が憤慨する。

 

「ある情報によると、本来ならもっと時間がかかっていたらしい。だが、アメリカ、オーストラリア、タイ、インドの駐在武官が押し寄せ、強行させたらしい。まあ……アメリカと核戦力支援協定を結んで核保有しているタイと三大国からの圧力を受ければな……それにタイは我が国の対応がさらに遅ければ、領空侵犯してでもハイヴに核を投下するつもりだったのが恐ろしい。」

 

「人民議会の件は仕方ないだろう、我が国は強権的とは言っても、紛れもない民主主義国家だ。人民委員長の独断で行うことは出来ない……まあ今回の議会の行動は宜しくないがな。ところでBETA梯団への砲爆撃を行う際に、ドンホイへの被害が気になるが、ドンホイの民間人は全員疎開させたんだな?」

 

「ええ。」

 

「それなら良いだろう。少し遅れてはいるが、作戦計画263は実行に移せる。作戦航空部隊には作戦計画263第1行動を開始するよう命じろ!ダナンに展開している部隊には1時間後に攻撃するよう伝えろ。人民委員長には作戦計画263を実行すると伝えるのだ!」

 

「はっ!」

 

この部屋の中で最も階級が高い、司令と思われる男が矢継ぎ早に指示を飛ばす。

 

 

 

ー ドンハ市より北西60㎞ 上空 ー

 

暗い漆黒の空を飛ぶ20機の編隊。

機体の翼端に描かれたレッドグリーンの塗装と機体後部にある黄色い五芒星とそれを囲う赤い円と2つの四角が月光に照らされる。

 

ベトナム人民空軍第912連隊第16作戦機隊所属FA-12Aグローム

 

この機体はアメリカが中小国用に開発した機体で、AV-8BハリアーⅡをモデルに、高出力ジェットエンジン、共同交戦能力等の高性能の電子機器、ステルス性、そして対光線級防御システムを注ぎ込み、垂直離着陸機能は簡潔化している。

FA-12Aとして制式化され、アメリカ海兵隊やアメリカ海軍にも採用され、対BETA作戦計画263が纏まりつつあったベトナムはこの機体を輸入する形で多数の機体を購入した。

 

 

『ペシー02、機体は良好か?』

 

『こちらペシー02、良好だ。ペシー01。』

 

『そうか……全機に告げる。これより作戦計画263第1行動を開始する。内容は簡単だ、ただ光線級の注意をこっちに集中させればいい、それだけだ。では、諸君!我らの勝利の華をBETAの体液で咲かせようぞ!』

 

20機の編隊が高度3000mを進む中、後方では倍の数のFA-12Aの大編隊、第15、17作戦機隊が超低空で突き進んでいた。

 

そして、光線級からの光線第1射が第16作戦機隊の内1機に殺到、展開されていた蒼白い膜がそれを防ぐ。

 

対BETA戦の航空機において必ず装備しなければならないと言われる電磁放射防壁発生装置、略して電磁防壁はこの機体にも装備されており、抜群の防御力を持っていた。

 

何射撃たれようが、電磁防壁の前には防がれていく。

 

 

「よし!全機攻撃用意!」

 

第15,17作戦機隊は第16作戦機隊に光線級が釣られていることをしっかりと確認し、翼下にぶら下がっているミサイルの最終ロックを解除した。

そして……

 

「全機発射!」

 

40機に上る大編隊からAGM-65Hマーベリック空対地ミサイル2発ずつを解き放った。

光線級が高空に注意が向いてる中、BETAには何も出来ることは無く、57㎏成型炸薬が着弾と同時に爆発し、高温がBETAを飲み混んでゆく。

 

 

 

その頃

ー ベトナム沿海 ー

 

アメリカ海軍太平洋艦隊第9艦隊第32任務部隊

 

「交戦が開始されたか……」

 

480㎜3連装電磁加速砲2基を前甲板に備える艦隊旗艦モンタナ級戦艦『コロラド』の艦橋にてキース・ナカハラ海軍中将はそう呟く。

 

「ええ。既に光線級の注意は高空に向いてます。」

 

「そうか……四艦砲撃準備!ただし、念の為にDESP(防御装備艦)には用意させておけ!」

 

「了解!」

 

モンタナ級『コロラド』 『ワシントン』、アイオワ級『イリノイ』 『ケンタッキー』が単縦陣を編成、その前後にDESPが置かれ、陸地とは反対側の方に駆逐、巡洋艦が配置された。

なお、空母2隻も艦隊に付属しているものの、今回はあくまで艦隊防空任務として、任務部隊の南北100㎞の海上に配置されている。

 

「照準良好!対地制圧の振り分けも完了しています!」

 

「よし!FIRE!!」

 

ナカハラが吠えると同時に、480㎜3連装6基18門、406㎜3連装18門が咆哮し、砲口が蒼白く輝くと同時に480㎜サーモバリック気化弾頭が超音速で放たれ、陸地の一部に巨大な爆炎を上げ、406㎜サーモバリック気化クラスター弾頭が広範囲に小さな爆炎を無数に作り出す。

 

「艦隊、ミサイルセル解放!対地巡航ミサイル順次発射開始!」

 

駆逐艦と巡洋艦の垂直発射装置が次々と開かれ、艦対地ミサイルを放っていく。

また、円筒キャニスターの4連発射機からもミサイルが放たれていく。

全ての艦対地ミサイルは砲撃から逃れたBETAを次々と死骸に変えていく……それも容赦なく。

 

 

「米海軍も攻撃を開始、現状の戦況は優勢です。」

 

「ダナンの部隊はどうしている?」

 

「まもなく攻撃を開始します!」

 

ベトナム人民軍作戦司令部の管制室ではオペレーターと将校が話し、モニターにダナンの部隊のアイコンが映る。

 

 

 

ー ベトナム中部 ダナン市より北西100㎞ ー

 

「急げ!!まもなく攻撃開始時刻だぞ!」

 

指揮官が声高らかに叫ぶ。

 

FA-12A戦闘攻撃機80機にも上る大編隊が既に上空に上がっており、さらに増えつつあった。

 

「北側では我らの友が光線級を引き付けてくれているそうだ、我らはその隙をつき、直接BETAの落着ユニットを攻撃するっ!」

 

FA-12A全機の翼下には艦対地ミサイル4発がぶら下がっており、

 

「放て!!」

 

の一声で一斉発射され、約400発に上る艦対地ミサイルが放たれ……

 

ドンハ市より南東30㎞地点では日本から輸入した99式自走155㎜りゅう弾砲が機甲部隊の護衛の元、次々と榴弾を放つ。

 

ミサイルは落着したユニットや形成中のハイヴの外壁に命中し、榴弾はハイヴ付近のBETAを吹き飛ばしていく。

 

 

戦況は優勢であった、しかし……

 

 

 

事態は戦闘開始から6時間が経過した時、一変する。

 

 

最も早く事態に気づいたのは第16作戦機隊のパイロットであった。

 

「……ん?なんだこの反応?」

 

そのパイロットは困惑した表情でレーダー画面を見る。

 

『どうした、ペシー04。』

 

「いえ……ただレーダーに他の初期照射に混ざって別の反応が……」

 

隊長が問いただすも、そのパイロットの回答は非常に困惑しているといった口調であった。

 

「……別の反応だと?こっちには見えないぞ?故障じゃないか?」

 

「うーん……多分そうだと思いますので、一旦帰投します。」

 

「そうか……では待つぞ。2機ほど護衛についていってやれ。」

 

 

これが生死を分けることとなった。

 

そして……超重光線級からの極大出力照射の第1射目が放たれた

 

9つの照射膜が強烈に白く輝き、一斉に照射する。

 

「なっ、なんだあれはっ!!たすけ_」

 

「来るなぁーっ_」

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁ_」

 

 

如何に光線級や重光線級からの光線照射に耐えられる電磁防壁を展開していたとしても、もはや光線(レーザー)ではなく光線(ビーム)を照射してくる極大出力照射に耐えられるものなど、地球上の航空機には一切無かった。

極大出力照射1射目で、戦域を離脱していた3機を除く第16作戦機隊17機は残骸すら残さず()()()()

 

 

 

ー ハティン省ハティン ー

ベトナム人民軍臨時作戦司令部

 

「第16作戦機隊消滅!」

 

司令部の管制室において、オペレーターの悲鳴が響く。

その声を聞き、作戦計画263の実行指揮官や参謀がそのオペレーターの近くに集まる。

 

「消滅だとっ!ほんとに消滅したのかっ!?」

 

「はい……突然レーダーから消えたとしか……。通信も途絶しています。」

 

6人の将校は思わず顔を見合わせて唖然としてしまう。

彼らからすれば電磁防壁を装備した航空機が消滅する事など考えられなかった。

 

「……そうだ、第15及び第17作戦機隊のどちらかに同じ役目を命じろ!このままでは作戦が完全に破綻してしまう!」

 

「それが……通信とレーダーの状態がかなり悪いのです……現在繋がりません。」

 

「つながり次第命じろ!」

 

「はっ。」

 

 

司令部がモタモタしている間に、ダナンより往復攻撃を行う人民軍部隊にもその牙が向かれようとしていた。

9つの照射膜が再び白く輝き、一斉に放たれた。

 

その極大出力照射は高度400mを飛ぶベトナム人民空軍第901連隊80機を襲い、40機以上を消滅させ、残りを超巨大光線属種積乱雲(レーザークラウド)によって混乱に陥れた。

さらに、地上の機甲部隊の護衛の元で展開していた自走砲部隊がその極大出力照射のプラズマ爆風で吹き飛ばされる。

 

 

ー ダナン市 作戦司令部 ー

 

「40機以上が突然消滅してレーダー障害、その上他の機体とは通信障害で繋がらないとか……こんなバカげた話があるかぁっ!」

 

ダナン市に展開している部隊を1つに統率するこの男は大声を上げて叫ぶ。

レーダー上ではRADAR LOSTの表示とともに作戦展開していた航空機を示すアイコンがありバツという撃墜されたことを示す表示が多く現れていた。

 

「くそっ!第902、903連隊も動員して再び攻撃を開始するぞ!」

 

「しかし、またあの攻撃を食らってしまえば無様に人が死ぬことになりますよ!」

 

司令と参謀が言い合いを始める。

 

「だが、何もせんというわけには行かんだろう!」

 

「だからこそです!地上部隊にも損害が出ています。彼らの生存者を救出することが先では?」

 

「ぐぬぬ…………分かった。やってくれ。」

 

司令の男は自分が自暴自棄になっていたことに気づき、唸った後、素直に命じた。

 

 

 

ー ベトナム沿海 ー

 

アメリカ海軍第32任務部隊

 

「空母『マーティン・ルーサー・キング・ジュニア』のDNAコンピューターがベトナム軍のデータサーバーをハッキングしました。内部の情報によると、北側に展開していた航空部隊が消滅、さらに南側に展開し落着ユニットに攻撃を仕掛けていた部隊は航空部隊が半数以上、地上部隊が壊滅したとの事です。」

 

情報管制官がナカハラに伝える。

さらに広域レーダーを見つめていたオペレーターが同様の報告を伝える。

 

沈黙するナカハラに参謀らが話しかける。

 

「中将……これは……」

 

「お前らも勘づいたか。」

 

「もちろんです。」

 

「……まさか……ここに来るとはな。艦隊の警戒レベルをひとつ上げろ。DESPには防御装備を展開をさせろ。ただしまだ起動はするな。」

 

「はっ!」

 

その直後

 

「レーダーに高エネルギー反応補足!さらに陸地より重光線級の初期照射来ています!」

 

オペレーターがナカハラに声を上げて言う。

 

ナカハラは目を見開き、常時より低い声で命ずる。

 

「DESPに伝達、防御装備を起動せよ。」

 

防御装備艦(DESP)とされた艦隊の前方を航行するズムウォルト級は艦体中央部が青白く輝き始め、その輝きは増すばかりで衰えることなく……そして艦隊後方のDESPと連動し、艦隊を覆う規模のドーム状の電磁放射防壁を展開した。さらに、そのドーム状の電磁放射防壁の層も分厚くなり、個々の艦艇にも陸地から遮る形で1枚の分厚い電磁放射防壁の壁を作り出した。

 

 

DESPが全て起動し終わった次の瞬間、

 

第32任務部隊に極大出力照射の光線(ビーム)が照射された。

 

光線(ビーム)は白く輝きながらも、ドーム状の電磁放射防壁に衝突、互いが干渉しあい強烈な光が発せられる。

 

「ぐ……」

 

ナカハラは苦悶の表情を浮かべる。

水兵達にあるのは光線に呑み込まれないかという()()だけではなく、極大出力照射の際に発生するプラズマ爆風と衝撃波、爆風は海面に大波を作り艦隊にぶつけられ、衝撃波は直接、電磁放射防壁にぶち当てられていた。

 

その揺れは凄まじいものであり、何かに掴まなければ立っていられないものだった。

 

数十秒間の照射時間、それら彼らにとって長く感じられたが、だんだんとその光線(ビーム)の束は細くなり、最後には消えていった。

 

「状況確認しろ!」

 

攻撃が止んだのを確認し、ナカハラはやるべき事を叫ぶ。

 

「全艦に損害なし!艦艇間通信良好!ですが、空母群との通信が不可能となり、広域通信も応答しません!」

 

ナカハラは苦虫を噛み潰したような表情を顔に表す

 

(あれほどの熱エネルギーだ。レーザークラウドを発生しててもおかしくない。)

 

ナカハラは意を決したような面持ちを浮かべて

「……全艦、目標超重光線級、発射用意!」

 

「司令っ!?」

 

その命令に参謀らが驚くが、その声を流してさらに命令を発する。

 

「また、アーレイ・バーク級及びタイコンデロガ級は戦域より退避せよ。」

 

艦隊に命令が伝達され、タイコンデロガ級とアーレイ・バーク級は進路を変え、フィリピン諸島の南を通過するような進路を取り始める。

なお、その艦隊の右側にはタイコンデロガ級に防御装備を特設したSDS(特設防備艦)2隻が配置された。

 

その艦隊に残ったのは『コロラド』『ワシントン』、『イリノイ』『ケンタッキー』他、ズムウォルト級DESP2隻、デンバー級ミサイル巡洋艦3隻、ジェネラルホーク級ミサイル駆逐艦10隻程度だった。

 

「全艦、攻撃開始!」

 

モンタナ級2隻とアイオワ級2隻の巨砲が蒼白く輝くと共にサーモバリック気化弾頭を撃ち出し、同時に両舷のVLSから巡航ミサイルを放つ。

 

ジェネラルホーク級は電磁加速砲を高速装填で次々と撃ち出し、デンバー級は主砲を撃ちながらも、100セルを越えるVLSから大量の艦対地ミサイルを放つ。

 

光線級や重光線級では撃墜しきれないその高密度重点飽和攻撃だったが……

 

超重光線級は違った。

 

 

9つの照射膜が飛んでくる飛翔体の方向を向くと同時に、ガトリング砲のような凄まじい連続照射が開始された。その照射インターバルは確認できるだけでもわずか0.2秒であり、十秒も経たないうちに全て叩き落とされた

 

 

「……全艦艇の重点飽和攻撃……全て叩き落とされました……」

 

オペレーターが声を震わせながら報告する。

信じられないという表情をしており、その報告を聞いたナカハラ他参謀らも唖然とする。

 

「……もう一度、もう一度攻撃しろ!全ての武装を使ってな!」

 

全ての艦艇が再び砲火を放つ。

それも対艦ミサイルや対潜ミサイル、副砲や艦対空ミサイルすら使って。

 

しかし……

 

「結果はどうだ?」

 

「……同じです、再び全て叩き落とされました。」

 

艦橋に重苦しい雰囲気がただよう。

 

「司令……ここは質量弾攻撃を持って叩くしかありません。」

 

その最中に参謀が提案を行う。

 

「なんだとっ!貴様正気か!ダナンまで100㎞しかないことはわかってるのか!そんな事をすれば……半径100㎞は壊滅するぞ。」

 

「……ですが、それ以外の方法が……。」

 

「くっ……」

 

ナカハラは苦虫を噛み潰したような表情を顔に浮べる。

 

(まさか……これほどだったとは……。超重光線級の出現、そして『レッドウォルフ』の存在は耳にしていた……だが、まさかこれほどの強さだったとは。我々は……舐めていた。)

 

「いや……ここは魔法協会と統括軍に支援要請してもらうよう上層部に図ろう。質量弾攻撃も検討はしておくが……。」

 

「……我々は反対は致しません。ただ命令に従うのみ。」

 

 

ー ハティン省ハティン ー

ベトナム軍臨時作戦司令部

 

「空軍第15作戦機隊半数以上撃墜されました!第17作戦機隊はレーダー障害により特定不能!」

 

「米軍はどうしたぁっ!!」

 

オペレーターの相次ぐ被害報告に思わず1人の将校が()()()()()()()の名前を叫ぶ。

 

「それが……超重光線級と呼ばれる個体にアメリカ海軍でも叶わず、北上しているようです。」

その報告に将校達が絶句する。

 

「中将!!通信繋がりました!」

 

通信オペレーターが叫ぶ。

 

「誰とだ?」

 

通信オペレーターはあえて言わず、管制室全体に流す。

 

『こ…ちら……第17…作戦機…隊……残存……3機……帰還…許可を…求む。繰り返…す、帰還許…可を求…む。』

 

ノイズ混じりの通信だが内容はハッキリ聞こえた。

将校達はただ顔を青ざめることしか出来なかった。

 

「たった3機……ほぼ壊滅じゃないか!!」

 

たった1人だけなんとか声を出したその言葉は全員の心情と一致していた。

 

「くっ……どうすれば……」

 

将校の1人が本音を漏らす。

その声に反応するかのように通信オペレーターが叫んだ!

 

「作戦司令!」

 

「今度はなんだ!」

 

「総司令部を介してWMTAM軍より伝達です。」

 

「何……?」

 

作戦計画263の最高指揮官にして陸軍中将のこの男は思わず眉をつり上げる。

 

「なんと言ってきた?」

 

「はっ、それが……インドシナ半島地域において超重光線級が確認されたため、この撃破の為に統括軍、魔法協会、西側連合軍、アメリカ魔法軍、日本国陸上自衛隊の合同部隊の特殊任務隊を増援として差し向ける。丁重に扱えとの事です。」

 

「……特殊任務隊……」

 

「従来通りの倒し方が効かないから……別の倒し方か……。なるほどな。」

 

 

その時、司令部に急報が届く。

 

『こちら、ドンホイ外周観測班!落着ユニット周辺に未確認個体を確認!!何だ……あれは……触手……大量の触手を生やす巨大な個体が……あ…あっ、あ!!……』

 

「どうした!」

 

「……戦車砲弾を簡単に弾いて、戦車をひっくり返しました……。正直言ってやばい予感がします……。」

 

彼の目には戦車を簡単にひっくりかえした後、その車体裏を貫き爆散させた光景だった。

 

 

後に『レッドウォルフ』と並び【国防総省遭遇回避推奨個体情報】(DRI)に登録されることとなる個体、『ビオランテ』との初激突だった。




『ビオランテ』はGODZILLAアニメの前史にあたるGODZILLA怪獣黙示録の方を参考にしています、本来の方はほとんど知らないので……ごめんなさいm(_ _)m

※次回
chapter21 鮮血の舞
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