インドの奮戦と敗北、そして…   作:空社長

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約7500文字…


話タイトルから分かる通り?血の表現があります。


それではどうぞ


chapter3 砂塵が覆う血の攻防

ー西暦2024年4月22日ー

 

 

 

…ガンガナガル基地へBETA群の先遣隊が接近する数十分前…

 

 

 

~インド管区軍ニューデリー総司令部~

 

 

 

オペレーター1「…インド管区行政府から通信です。」

 

アサーヴ「繋げ。」

 

バレン『アサーヴ大将、魔法協会や統括軍、アメリカ合衆国大使、日本大使より通告があった。内容はそちらに送った。以上だ。』

 

オペレーター2「…来ました。敵性生物群の呼称を【BETA】、Beings of the Extra Terrestrial origin which is Adversary of human race…【人類に敵対的な地球外起源種】との事です。」

 

オペレーター3「統括軍、魔法協会よりデータ受信!…これは!BETAの情報です!」

 

アサーヴ「何!前線司令部へデータを送信しろ!」

 

オペレーター3「…やってみましたが、無理です!大規模な通信障害により、各前線司令部情報データベースへの送信ができません!」

 

アサーヴ「なんだと…」

 

将校「閣下。少しよろしいでしょうか?」

 

アサーヴ「構わん。」

 

将校「では、一旦映像を切り替えます。」

 

 

先程のBETA各個体の情報から入れ替わり、そこにはジュリーナガル、ジャンムーの2つの都市を上空から映し出した映像だった

 

しかし…都市という文明の面影が一切なく、ただ、巨大な構造物が各中心部に立っていた…

 

 

アサーヴ「…これは…?」

 

将校「統括軍、魔法協会が地上から撮った映像と我が軍の衛星監視部からの映像です。魔法協会の調査によると、この構造物がBETA群の巣であることが判明してます。我々も衛星で確認したところ、BETA群個体がここから次々に出現してることが確認でき、これがBETAの巣であることが断定できます。」

 

アサーヴ「は…?今でも数が多い。さらに増えるのか…」

将校「統括軍と魔法協会はそのように予測してるらしいです。我々も同じ計算結果が出ました…」

 

アサーヴ「そうか…」

 

オペレーター1「閣下…ここの地上防衛部隊から通信です。」

 

アサーヴ「ん?繋げ。」

 

第81歩兵中隊『こちら、第81歩兵中隊!魔法協会魔法士及び統括軍兵士と接触!ゲートを生成し、ニューデリー及びインド全土の民間人の脱出を行うとの事。また、ニューデリー都市外縁部に結界を設置、理論上、敵の光線攻撃に対抗可能との事です!』

 

将校「…どうします?」

 

アサーヴ「……任せる…とでも伝えておけ。ただし、政治家及び軍人は民間人を守る盾だ。最後にしてもらう。」

 

第81歩兵中隊『了解、伝えておきます。』

 

アサーヴ「…行政府に通達、職員や官僚の脱出準備を。」

 

オペレーター1「はい。」

 

アサーヴ「民間人の疎開状況は?」

 

士官「現在、周辺は軍主導で進めており、集合地点にて魔法士のゲートを使い疎開させています。前線地域は魔法士及び統括軍が我が軍とともに率先して避難させております。アメリカ軍によりますと、ムンバイ周辺域の避難は完了。空港は民間機は全て離陸し輸送完了、民間人の軍用飛行機での輸送も継続中との事です。」

 

アサーヴ「義理堅い…な。…大侵略以前は考えられなかったな…」

 

オペレーター2「…閣下!ガンガナガル基地より連絡。『航空攻撃を行い敵先遣隊を殲滅、なお、航空隊は全機撃墜され全滅。敵性生物群本隊の襲来に備える。』との事です。これ以後、連絡出来てきません!」

 

アサーヴ「…そこまで来たか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ガンガナガル防衛基地前方臨時塹壕設備~

 

 

 

 

~第3戦車大隊~

 

 

 

HQ『こちら、基地司令部HQ。先遣部隊は殲滅したが、新たに敵部隊が接近中だ。前方200体規模の斥候と思える部隊を確認した。対処されたし。』

 

大隊長「さて…どうするか…」

 

第5戦車中隊長『こちら、第5戦車中隊、斥候の対処は我々に任せていただけますか?』

 

大隊長「…分かった…斥候どもを蹴散らしてこい!」

 

中隊長『はっ!』

 

 

 

 

~第5戦車中隊~

 

 

 

 

中隊長「…という方針だ…行けるか?」

 

ルドラ『承服できないというか…三倍以上の敵にですか!?』

 

中隊長「無論…無理なのは承知してる…だが、我々だけで対処した方が他の部隊の為にもいいだろう。」

 

ルドラ『…分かりました。全力を尽くします。』

 

中隊長「頼んだぞ…副中隊長。」

 

 

 

 

 

第5戦車中隊64両は、BETA群約200体との戦闘を開始した…

 

 

 

T-90戦車の砲発射式ミサイルが連続で放たれ、赤い奴(戦車級)にあたり、爆散…

 

前方の死骸に動きを弱らせた個体をM1A1戦車群が120㎜で粉砕…!

 

数が多い為、砲塔上部の20㎜機関砲、12.7㎜重機関銃も連射し、次々に赤い奴は死滅していった…

 

しかし戦闘開始して数十分後…入れ替わり、大型種とも思われる白く腕が黒い個体(要撃級)が出てきたことで、今までのワンサイドゲームは終わる…

 

あるM1A1戦車の1両が砲弾を弾かれ…黒い腕に潰され、爆散…

 

さらにT-90戦車の1両も車両旋回が終わった頃に、追いつかれ車両後部が潰されエンジンが破壊され行動不能になり…そこを赤い奴が近づき、逃げ遅れた乗員は硬い顎で噛み砕かれ、餌となった…

 

 

T-90『赤いやつが来る…やめろ…やめろ…あ…あ"あ"あ"あ"あ"…!!…痛い痛い痛い…やめろ…ぐ…』

 

 

中隊長「……全車両…奴の頭部を狙え。弱点かもしれん。」

 

各車両『了解!』

 

 

中隊長の助言に各車両は狙い始めた…

 

黒い腕に阻まれて反撃とばかりに潰されるなど、被害が増加していたが、狙える車両は頭部に着弾させダメージを与えた…

 

生存性が高いのか…一撃では死ななかったが、数発叩き込んで死滅させた…

 

 

…30分後…第5戦車中隊は犠牲を出しながらも…BETA群斥候を撃破した…

 

中隊長「…何両やられた?」

 

ルドラ『11両です。』

 

中隊長「…分かった。全車両、第1防衛線へと後退する。」

 

 

 

第5戦車中隊は第1防衛線へと後退した……

 

 

 

 

その後…監視衛星、無人偵察機が5万を越すBETA群を補足した…

前者は大体の位置を…後者は撃墜されるも、その直前まで詳細な位置情報をガンガナガル基地部隊に送った…

 

その後、第1防衛線の戦車の車長が双眼鏡で敵をハッキリと捕らえた…

 

 

 

 

 

ブォクシー3:T-90

 

ルドラ「敵性生物接近中!!」

 

中隊長「…来たか」

 

ガンガナガル基地HQ『HQより各部隊へ、5万の敵性生物群が確認された、現在、総司令部とは通信が繋がらないため、敵の情報が一切入ってきていない。恐らく苦戦を強いられる…何人生き残れるのかわからない。だが、これだけは言えよう。我々はインドの民を守る…国民軍だと…各員乗車!!戦闘配備!』

 

 

その言葉にインド将兵全員が敬礼し、それぞれ自分たちの車両へと乗車した…

 

 

 

基地司令官『よくぞ申した!HQ!まずは編成を再編成する。』

 

との声により再編成された…

 

内容は…第3戦車大隊に全ての部隊が配属されたのだった…

戦車部隊以外の部隊数が少ないことと第3戦車大隊長以外の統合指揮を可能とする現場指揮官がいないことが原因だった…

 

 

 

 

基地司令官『戦闘による混乱が起きる前までは私が指揮をする。対地ミサイル部隊、誘導弾撃て!』

 

 

その声に基地にいたMLRS、スメルチの誘導弾が多数発射された…

 

その数の多さに…5万の大群にいた光線を放つ個体が迎撃するものの、迎撃しきれずに5万の大群に次々と着弾する…

ただし…

赤い個体は撃破していくも、先頭の亀に似た個体(突撃級)は直撃しても耐え切っていた…

 

基地司令官『…こちら、ガンガナガル基地!通信障害…後は現場…に任せる。』

 

 

~第3戦車大隊~

 

大隊長「…弾着観測射撃用意…自走砲中隊砲撃始め!」

 

M109A6パラディン等の自走砲が砲撃を開始…

誘導弾でも数を削られたBETA群がさらに数を削られた…

 

 

 

戦車兵「射程距離に入りました!」

 

大隊長「…全車、車体を後方に旋回。砲撃開始!」

 

 

 

遂に最も数が多い戦車大隊のT-90やM1A1戦車、BMP-3歩兵戦闘車の射程に入り、重厚な弾幕を形成した…

 

 

~第5戦車中隊:ブォクシー3~

 

 

 

ルドラ「次、赤い個体を狙え。」

 

カイラ「了解…」

 

 

続けざまに125㎜徹甲弾が撃ち放たれ、赤い個体を粉砕…

 

ルドラ「白い個体、次だ。ジョン、リモコン機関銃使え!」

 

ジョン「了解。」

 

 

 

白い個体(要撃級)に12.7㎜M2機関銃が放たれ、牽制…その間に僚車が砲弾を放ち、頭部を破壊して撃破…

 

 

 

中隊長『…ブォクシーリーダーより全車、我が中隊は後退を開始する。』

 

ルドラ「何故です!?」

 

中隊長『他で食い破られた…文字通りな…』

 

 

 

 

そう…一部、BMP-3や装甲車で編成された部隊の場所があり、数が少ない為、弾幕が形成できず…食い破られた…

 

 

 

 

中隊長『…第2防衛線へと後退する。後退開始…。』

 

 

 

 

 

 

 

その時…赤い個体(戦車級)が高く跳躍し、中隊長のT-90へと飛びつき…砲塔を強引に外し…限られた空間での殺戮が始まった…

 

 

 

中隊長『がぁぁぁぁぁあ"あ"!?…がぁ…ルドラ…任せた…ぐぁ…』

 

ルドラ「…中隊長!?…全車、指揮権限は副中隊長である私が継承する。命令はそのままだ!カイラ、奴を殺せ。」

 

カイラ「了解。」

 

 

すぐさま、砲塔を旋回させ、赤い個体を粉砕した…

 

 

ルドラ『こちら、第5戦車中隊、大隊長へ。中隊長が戦死、私が継ぎます。』

 

大隊長『何…分かった、健闘を。』

 

 

 

 

 

 

 

~第2防衛線~

 

 

 

後退中にも数両がやられ、残存車両数は46両となった…

 

 

ルドラ「…砲撃続けろ!」

 

ギーブ『そこのゲパルト!やつの足に鉛玉喰らわせろ!』

 

ゲパルト車長『は…?うちは対空砲ですよ?』

 

ギーブ『そんなの関係ねぇ!M2重機関銃が効くんだから、その20㎜は効くだろ!それに戦闘機よりも当てやすい…お前のその機関砲はお飾りか!!』

 

ゲパルト車長『うるせぇ!!くらいやがれ、亀野郎!』

 

 

 

その機関砲の咆哮により、亀野郎(突撃級)の足が破砕、足が止まり、後ろのBETA群の動きも遅くなり…そこを多数の155㎜榴弾が直撃し粉砕された…

 

 

 

ルドラ「…ふぅ…第1陣は何とかやれたか…だが…次が来る…」

 

基地司令官『コマンドポストより各部隊、敵後続の接近を検知。戦闘態勢を維持!』

 

ルドラ「全車、次弾装填!」

 

 

T-90は砲発射式ミサイルの弾頭を再装填、自動装填装置も次が撃てる体制に整えた…

 

M1A1は自動装填装置とM2重機関銃の装填を完了した…

 

 

 

そして…

数分後…

 

基地司令官『各部隊に告ぐ、最後の面制圧対地ミサイル攻撃だ!次は長い装填をしないといけん。全車、攻撃開始!』

 

 

基地にいるMLRS、スメルチの全車両から遠距離面制圧ミサイル攻撃が開始され、光線攻撃の個体からの迎撃で3割が撃墜されたものの、多数の攻撃が着弾した…!

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それでもBETA群本隊、5万の大群は莫大に削れず…

 

前進していた…

 

 

 

大隊長『全車、砲撃開始!弾薬を気にするな!素早く、そして確実に化け物を殺していけ!』

 

 

 

 

 

その声に応えるかのように、全ての戦車、歩兵戦闘車、装甲車、対戦車ミサイル車両、歩兵部隊の弾幕が形成された…

 

 

 

 

 

 

そして…順調にー第2防衛線の1部が食い破られ、小隊規模の車両がやられたがー防衛に成功していた…第5戦車中隊の損失数も5両に抑えきれていた…

その後、第3防衛線に全車両が後退

 

 

 

 

その時…異変の兆候が始まった…

 

 

 

 

 

突然、どこかの米軍防衛陣地から低空で飛んできたB-1B

ー左翼から煙を吹いており損傷していたー

が捨て身の攻撃として、BETA群上空に展開、MOAB(大規模爆風爆弾)を投下…B-1Bは撃墜されたが、MOABはそのまま下降していき、振動が聞こえると共に爆煙が巻き上がった…

 

 

 

 

 

 

戦車兵たちが爆風お構い無しに歓声を上げる中、ルドラは疑問に思っていた…

 

ルドラ「(…今の振動が早すぎでは…?煙の広がり方もおかしい…)」

 

 

その疑問と予測は的中することとなった…

 

 

 

 

爆煙が晴れた時…第3防衛線の兵士達には絶望に包まれた…

 

 

 

 

そこには全高60mを超える…巨大な10本脚の怪物(要塞級)がほぼ無傷でたっていた…

また、周辺のBETA群もほとんど損害が出ていなかった…

 

 

 

 

 

第3防衛線の戦車部隊は砲撃を再開、撃ち続けたが巨大な奴はその砲弾をまともに受けてるのにも関わらず、微動だにしなかった…

 

 

 

 

その巨大な個体は鈍重に、しかし、しっかりと前進し第3防衛線の先頭に到達…

 

 

 

 

そこを巨大な衝角がついた触手がなぎ払い、5両程度が巻き込まれ、横転…

さらにその触手から放たれたの溶解液がその5両含めた数十両に飛散、砲塔が動かない、履帯が溶けた等の被害が出た…

 

そして、そこにBETA群の赤い個体が接近し、一方的な殺戮が起きた…

 

 

だが、人類は破壊されるだけの存在ではなかった…

 

出撃準備が遅れていたEC665ティーガー、Mi-35M30機ほどが前線地域に展開…

大半は光線攻撃によって撃墜されたが…残った10機ほどが奮戦をみせた…

 

それぞれが巨大な個体にロケット弾、機関砲、ミサイルを食らわし、脚という弱点を見いだしたパイロットは集中的にそこを攻撃した…

 

光線攻撃を行う個体は狙おうとするも、巨大な個体を影に攻撃するヘリを狙えなかった…

 

 

 

ヘリ部隊の活躍により窮地を脱した第3混成大隊だったが…

 

反撃もここまでであった…!

 

 

 

 

 

突如、上空に巨大な光線攻撃が過ぎていき

その直後に地上部隊に対して光線攻撃が的確に撃ち放たれ、命中し次々と戦車や歩兵戦闘車や装甲車が爆散していった…

 

その標的に不運にもブォクシー2のM1A1が選ばれてしまった…

 

 

~ブォクシー2:M1A1~

 

カビーア「…まさか、光…」

 

ギーブ「…くっそ…くっそぉ!」

 

 

 

そして…他の戦車同様、光線に貫かれて爆散した…

 

 

 

 

 

~ブォクシー3:T-90~

 

 

ジョン「ギーブさん!」

 

カイラ「カビーアさん…嘘…」

 

ルドラ「…何故だ!光線は航空機しか狙わないはずでは…」

 

 

 

唯一の希望だった残ったヘリも突然真下に現れた光線個体の光線攻撃の直撃で全滅した

 

 

 

~第3戦車大隊~

 

 

大隊長『司令部!ミサイル及び観測射撃を!!繰り返す、ミサイル及び観測射撃を要請する!聞こえてんのか!!司令部!観測射撃だ!』

 

大隊長「くっそ!!なんでだ!!」

 

砲手「…まさか…さっきの光線…」

 

その時…大隊長に悪寒が走った…

 

 

大隊長「…ま、さ…か…」

 

 

 

 

 

 

そのまさかであった…

 

 

 

 

 

先程前線地域上空を過ぎ去っていた光線はガンガナガル基地の自走砲、ミサイル中隊が展開している場所を直撃し、7割が破壊された…

残った3割も熱波により砲身が溶ける、台車が崩れる、そして…砲弾の自然暴発が起き…使用不能と化していた…

 

 

 

 

~ガンガナガル基地司令部~

 

 

 

自走、ミサイル中隊が展開している場所から500mしか離れていない司令部でも被害が発生していた…

 

基地司令官「何が…起こった…?」

 

副官「司令!大丈夫ですか!?」

 

基地司令官「まあ、少し傷を負った程度だ、で…」

 

その時…外の光景を見て唖然とした…

 

基地司令官「ほぼ全滅か…通信は?」

 

副官「先程の攻撃で通信機が全滅、現場部隊専用の通信機を優先して応急修理中です。」

 

基地司令官「……脱出準備を行え。恐らく戦線は崩壊する…その前にここを離れ、ニューデリーへと向かわねばならん!」

 

士官「「「はっ!」」」

 

 

 

 

 

 

~ガンガナガル基地周辺戦闘地域~

 

 

 

 

~第3混成大隊~

 

 

 

大隊長『全車…撤退!全速力!』

 

砲手「司令!横!」

 

大隊長「なに…」

 

 

大隊長の乗るM1A1は横を前面を硬い甲羅のようなものに覆われた個体(突撃級)に追突され、横転、そこを巨大な個体の脚が貫き、爆散した…

 

 

 

 

副大隊長『大隊長戦死!私が引き継ぐ!全車撤退!!』

 

 

大隊長の戦死により瓦解しかけていた大隊だったが、副大隊長の指揮により、なんとか統制を回復させ、全速撤退を開始した…

 

しかし、それすらもBETA群は認めなかった…

 

 

 

 

 

副大隊長のT-90の後ろから光線攻撃が放たれ、叫び声も上がらずにT-90が爆散した…

 

 

そこで大隊は混乱が生じたが、死への恐怖から全車両が全速撤退を行った…

 

 

 

 

 

その中にはブォクシー3…ルドラの乗るT-90もいた…しかし…第5戦車中隊は彼の戦車以外生き残っていなかった…

 

 

 

 

~ブォクシー3:T-90~

 

 

ルドラ「くっそぉ!…何故だ…」

 

ジョン「…今は生き残る。全速撤退だ!」

 

カイラ「その通り…車長、外の警戒を!」

 

ルドラ「…そうだな、その通りだ。」

 

 

 

そして、砲塔上部のハッチから警戒を行おうとした矢先、後方の地面から、巨大な個体が現れ、その衝撃で速度が下がった瞬間、巨大な個体の脚が車体前部を貫通…ジョンが体を貫かれ、悲鳴をあげる暇もなく、絶命した…

そして…T-90の足が止まった…

 

だが、次の瞬間、巨大な個体が穴に滑り落ちて行った…若干希望を抱いた3人だったが…それはことごとく打ち砕かれた…

 

 

その巨大な個体が放った触手が脚が離れた瞬間、ブォクシー3を数十メートル吹っ飛ばしたのだった…

 

 

その衝撃でルドラは車外に放り出され、カイラは中で何度も頭を打って気絶した…

 

 

 

 

 

 

数分後…

 

 

 

 

 

カイラは目を覚ました…

 

 

カイラからは分からなかったが、T-90戦車は後部が炎上していた…その熱で目を覚ましたのだった…

 

 

 

カイラ「…あ、れ…私は…」

 

かすれ声で話していたカイラはあるものに気づく…

 

 

カイラ「…あぁ……ジョン…ルドラ…」

 

 

 

 

カイラは、ルドラが死んでることは見てないが、ルドラの声の代わりに、食べるような音が聞こえていたことで察していた

 

 

ルドラはBETAに既に心臓と頭を食われ…絶命していたのだった…

 

 

そして、ジョンとルドラの2人の死を悲しんでるカイラにも死が近づいてきた…

 

 

 

 

赤い個体が強引に砲塔を外し…カイラを直視したとたん…

 

顎を使って心臓付近から捕食し始めた…

 

 

カイラ「…!…!…!………!!!!あ…ゲボ……あ"あ"あ"あ"!!」

 

 

 

 

声にならない絶叫をよそに自分の体を食べている化け物を見て…痛みと失血で薄れゆく意識の中、死を実感し…

 

 

 

 

カイラ「(…エド…アールシュ…ごめんなさい…生き延びて…)」

 

 

 

 

ニューデリーにいる夫と子供に向かって祈った…

 

そして…最後の力を振り絞って、拳銃と時限式グレネードを取り出し…

 

 

 

グレネードを10秒後の起爆でセットし…化け物の口に放り込んだ…

 

 

口を痛みで開けるのも辛い中、口を開け拳銃を奥に突きつけ…トリガーを引いた…

 

 

 

1発の銃声とともに絶命し、その5秒後…未だにカイラの体を捕食している赤い化け物の体内でグレネードが爆発…内部器官にダメージを与えたのか…ゆっくりと絶命した…

 

 

 

 

 

 

その後も第3混成大隊の撤退は続いていたが、やられにやられ続け、ガンガナガル基地を超えて撤退できたのはわずか3割…自走、ミサイル中隊含めれば4割だった…

 

ガンガナガル基地司令官は最後まで基地施設に残り、基地にBETA群の大群が乗ったところで基地ごと自爆した…

 

 

 

 

ガンガナガル攻防戦の敗北により、北部攻防戦でも連敗へと傾き…

さらなるインド亜大陸への浸透を許すことになった…

そして、ニューデリー総司令部は禁忌の力を使うことを決定した…




巨大な個体=要塞級

赤い個体=戦車級

白い個体=要撃級

亀野郎=突撃級


地中から現れたりしてます。現時点で地中侵攻するなんて今回の人類知りません。

地上攻撃してる光線攻撃は重光線級です。
基地攻撃してるの超重光線級です。



次回chapter4 絶望の光と暗躍する影


状況は絶望的であった…
ここに、インドは禁忌の力を使う…それは絶対に使ってはいけない力…だった…

そして、暗躍する影も表立って動き始める…

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