中央暦1639年10月9日午前4時
ロウリア王国・ラスーシ海岸沖5km地点、軽巡「エミール・ベルタン」―
『全く敵が居ないじゃないか、ロウリア軍もここに上陸して来るとは予想外だったという訳か―』
ドゴールがそう考えていると、副官が来た。
「閣下、全上陸部隊の準備整いました!」
と、副官のジュスタン・ベルニエ少佐が敬礼をする。
「報告有難う。よし、オコーナー少将に連絡だ!」
ドゴールがそう言うと、ベルニエが通信機を取った。
数分後、ベルニエが通信機をドゴールに渡した。
「お早う御座います、オコーナー少将。
「これはこれはドゴール殿、いよいよ決戦ですな。」
「そうですね、身の引き締まる思いです。さて、こちらは全部隊準備整いました。そちらの状況は如何でしょう?」
ドゴールが訊く。
「こちらも配置についています。では、予定通り、
オコーナーが答えた。
遂に、ロウリアの本土への上陸が始まろうとしていた―
30分後
ロウリア王国、ラスーシ海岸―
ここラスーシ海岸は、英仏連合軍の輸送艦で埋め尽くされていた。
海岸の砂浜に次々と輸送艦が着岸し、兵達が上陸する。
クラリーの搭乗する戦車は、途中途中海岸の砂に悪戦苦闘しつつも、上陸を遂行した。
「こちらクラリー、各車両無事か?」
上陸が完了すると、クラリーは各中隊に安否確認をした。
「こちらドロール中隊、全車両無事です!」
「こちらフォーレ中隊、全車両無事上陸!」
と云った具合に、各中隊から返答が返ってきた。
クラリーは全中隊の無事を確認すると、指令を出した。
「こちらクラリー、全車両進撃開始せよ!目標は4km先のカンヨー村だ!」
指令が出ると、ソミュアS35中戦車やAMX-40中戦車が内陸部へと進撃していった。
同日5時30分
ロウリア王国、ギーウナーの郊外―
輸送機内から、次々に兵士達が降下していき、空中でパラシュートを開く。下から見ると、その光景はまるで空に突如として花が咲いたようだった。
降下は無事に進み、重機関銃や迫撃砲といった重火器類も、1時間後には強行着陸によって前線に到着した。
降下が完了すると、ブルワーは各中隊長を呼び集めた。
「よし、総員ギーウナーへ向かう街道を制圧するぞ!」
ブルワーが各中隊長に指示を出す。
そして20分後には、各中隊がそれぞれの制圧地点へと向かっていった。
ブルワーも自身の中隊を率いて、ギーウナーの入り口にあたるビエー橋へと向かった。
1時間後、ブルワー中隊はビエー橋まであとの2km地点にいた。
ブルワーは双眼鏡を構えると、偵察を開始した。
『ん、あれは敵の兵士じゃないか?』
彼がそう考えていると、敵側から矢が飛んできた。
『クソッ!危なかったな―』
彼はそう心の中で呟くと、指令を出した。
「各員、攻撃開始せよ!!敵を痛い目に合わせてやれ!」
ブルワーが指令を出すと、各自がエンフィールド銃やブレン軽機関銃で敵への攻撃を開始した。
乾いた銃撃音が辺り一帯に響き、敵の弓兵達が斃れる。
ブルワー自身もエンフィールド・リボルバーを構え、敵を撃っていった。
銃撃戦は15分ほど続き、生き残った敵は逃げていった。
「全軍前進!ビエー橋を占領するぞ!!」
ブルワーが大声で言うと、中隊は前進を開始した―
10月11日午前10時
ギーウナー、市庁舎の会議室―
ここ市庁舎では、ギーウナー守備隊長のスマーク歩兵大将と
会談の内容は、ギーウナーの無血開城と守備隊の投降であった。
会談は4時間に亘ったが、午後には遂にスマークが説得に応じ、ギーウナーは連合軍の手に渡ったのだった。
10月15日午前9時
ジン・ハーク、ハーク城―
ロウリア国王であるハーク・ロウリア34世は、渡された紙切れを見て驚愕していた。
「ギーウナーに英仏軍が上陸した...だと..」
彼はそう呟くと、その紙切れを破り捨てた。
「失礼致します、陛下。会議の準備が整いました。」
ハークの元に、ヤミレイ首相が来た。
「おお、ヤミレイか。直ぐに向かおう。」
ハークはそう言うと、会議室に向かった。
会議室には、政府の主要閣僚が集まっていた。
会議が始まると、ハークは早速戦況についてパタジン国家元帥に訊ねた。
「パタジン、戦況は?」
「極めて劣勢です、防衛線を何とかジン・ハークの南部に築かせましたが、それも何時まで持つか―」
パタジンが答える。
「会議中失礼致します!」
会議室のドアが勢いよく開き、若手の将校が入ってきた。
「何事か!?」
ヤミレイが訊く。
「敵の鉄獣部隊と思われる軍勢が、首都の防衛線に―」
将校が答える。
「何...だと...」
閣僚たちの顔が一気に青褪めた。
「陛下、一先ずビーズルへ逃げましょう!首都籠城戦をすれば、その分再起に要する時間が稼げます!」
ヤミレイが言う。
「その必要は無い!ヤミレイ、其方はこの城塞が軟弱だとでも言うのかね?」
ハークが反論する。
「いえ..そう云う訳では...」
ヤミレイが答える。
「では、よいな!」
ハークが念を押すと、会議が再開された。
同刻
ジン・ハーク郊外、
ドゴールは仮設司令部の中で、参謀達と作戦計画を練っていた。
「敵の城壁は3重になっていると聞いたが?」
ドゴールが参謀達に訊く。
「はい、閣下。敵はその中に弓兵部隊と魔導士部隊を配置し、籠城の構えを見せています。」
参謀の一人、アラス・クァンタン中尉が答えた。
「155mmカノン砲で攻撃するのはどうかね?」
ドゴールが提案する。
「確かに、カノン砲を使えば敵の射程外である遠距離から攻撃できます!」
もう一人の参謀、ウーロ・ティボー少尉が納得する。
「よし、では先ず最初にカノン砲を有する第35と第45の2個重砲大隊が、敵の城壁に徹底的な砲撃を加える。そして城塞の抵抗が落ちてきた頃を見計らい、機甲部隊を先鋒に、一気に市街地へと攻め入る。基本作戦はこれでよいかね?」
ドゴールが訊く。
「はい、閣下。では、
クァンタンが訊く。
「うむ、直ぐカノン砲大隊に配置に就くよう連絡してくれ。」
ドゴールがそう言うと、会議は解散した。
10月15日正午
ジン・ハーク郊外、第35重砲大隊陣地―
ジン・ハークの郊外は、平原が広がっており、見晴らしがよく利く場所だった。
その為、ドゴールはここを重砲大隊の陣地に選んだのだった。
「全く、嵐の前の静けさといった感じだな―」
第35重砲大隊の指揮官、ジャン=リュック・ラヴェル中佐が落ち着いた声で呟く。
「よし、総員砲撃開始。」
彼が指令を出すと、155mmカノン砲が轟音を立て、敵の城壁へ砲弾を撃ち込んでいった。
ヒュルルルル...ズドォォォォン
凄まじい轟音が辺り一帯に響く。
「
という声がする度、砲弾が撃ち込まれる。
砲撃は1時間続き、敵の城壁を崩していった。
『よし、敵の城壁はボロボロになってきているな。』
ラヴェルが双眼鏡で敵の城壁を見ていると、伝令兵が来た。
「中佐、司令部から連絡です!」
「よし、直ぐに応答せねば。」
彼が通信機を取る。
「こちら第35重砲大隊、ジャン=リュック・ラヴェルです。」
すると、意外な人物が答えた。
「ラヴェル中佐、ドゴールだ。重砲大隊の活躍に謝意を表する。」
なんと、声の主は
「閣下、ありがとうございます。」
ラヴェルが答える。
「さて、本題に移ろう。これから機甲部隊が敵市街地へ攻撃する、砲撃に巻き込まれない様、一旦砲撃を停止してくれ。」
ドゴールが指令を言い渡す。
「了解しました、閣下。
ラヴェルが答えた。
30分後
ジン・ハーク郊外、ドゴールの指揮戦闘車―
「閣下、全大隊の進撃準備整いました!」
副官のジュスタン・ベルニエ少佐が走ってきた。
「こちらドゴールだ。各大隊、進撃開始せよ!」
ドゴールは通信機を取ると、各大隊長に指令を出した。
指令が出ると、部隊が一斉に進撃を開始した。
ドゴールの指揮戦闘車も、ジン・ハークの市街地へと向かっていった。
暫く前進すると、突如として通信が洪水の様に入って来た。
「前方の部隊が、敵の重装歩兵部隊と戦闘に入りました!」
通信兵がドゴールに伝える。
「よし、他の大隊は市街地の方へと向かえ!出来るだけ市街地の奥へと突き進め!」
ドゴール自らが通信機を取り、指令を出した。
「
と、各大隊長から返答が返ってきた。
一方、前線では、ヨアン・ベネトー中佐率いる第3機甲大隊が、市街地への進撃を続けていた。
ベネトーは、大隊長兼「
「こちらベネトー、司令部から連絡だ。市街地へ進撃しろとの事だ。」
ベネトーが通信機を取り、他の車両に指令を伝える。
「ヨアン、この戦争もそろそろ終わりそうだな。」
ベネトーの戦友で操縦手の、アルド・ゴロバン少佐が言う。
「ああ、ロウリアの暴君も今じゃ自室で震えてんじゃないのか?」
ベネトーが言う。
「まあ、この戦いが終われば―」
「10時方向に敵!火炎弾を撃ってきます!!」
砲手のヤン・ガレル大尉がベネトーらに伝える。
「よし、照準合わせろ!」
ベネトーが言う。
「
ベネトーが指示を出すと、ガレルがトリガーを引き、榴弾が敵陣に打ち込まれた。
ドゴォォォォン
爆発音と共に、敵が飛ばされる。
更に味方の戦車が容赦なく機関銃を撃ち込み、敵の部隊は潰走状態となった。
「よーし、敵は斃したな。進撃再開!!」
ベネトーの指示で、「
10月16日深夜2時
ハーク城、国王の居室―
連合軍がジン・ハークの市街地に突入すると、ロウリア国王ハーク・ロウリア34世は逃亡の準備を始めていた。
『あの城壁が破られただと、そんな莫迦な―』
そうハークが考えていると、突如として庭園の方から騒がしい声がした。
ダダダダダダダッ
「何だ!この音は!?」
ハークが思わず叫ぶ。
すると、ハーク親衛隊の隊員が入って来た。
「陛下、敵がこの城に侵入して来ました!直ぐに脱出しましょう!」
「分かった。直ぐに逃げよう。」
ハークがそう言うと、親衛隊員から服を渡された。
「これは?」
ハークが訊く。
「変装用の服でございます。敵が迫っています!お急ぎください!」
隊員が言う。
「うむ、直ぐに支度する。」
ハークの支度が終わると、その親衛隊員が護衛につき、郊外に繋がる地下秘密通路から脱出を図った。
「しかし、危なかったな。危うく捕まる所だった―」
ハークがそう呟く。
「残念でしたな、もう捕まってますよ。」
親衛隊員がハークにエンフィールド・リボルバーを突き付けて言った。
「何っ!?冗談を申すな!」
ハークの顔が一気に怒りへと変わる。
「本当ですよ、私は親衛隊員なんかじゃありません。貴方を連れ去りにイギリスから参りました。」
と、親衛隊員もとい
「そんな事許され―」
ハークが逃げようとすると、アシュトンは直ぐにハークの気を失わせた。
ハークが気を失うと、アシュトンは郊外にあるロウリア潜入部隊の拠点へと向かったのだった―
MI6の活躍、いかがでしたか?
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ロデニウス戦争編、次回いよいよ完結です!
※今回実は隠しネタがあります。皆さん気付きましたか?