1941年5月1日
イギリス、プリマス・デヴォンポート海軍基地―
17世紀に新世界へ向かった「メイフラワー号」が出航したこの町では、東方海域(旧北海)を調査する為の探索船団が出航しようとしていた。
出航の記念式典には、政府の閣僚らが集まっていた。
「遂にこの計画が実現されるのか!」
チャーチルが探索船団の主力艦、重巡「ロンドン」を見上げながら感慨深げに言う。
「構想から半年がかりですからね、何としても大陸を見つけて貰いたい物です。」
イーデンが期待を持った声で言った。
何故、探索船団が東へと向かう事となったのか、話は半年前に遡る。
1940年10月10日
ロンドン、海軍省―
ロデニウス戦争が始まる1ヶ月前、時の首相ネヴィル・チェンバレンは、グレートブリテン島東側海域の探索航海を、海軍首脳部に提案していた。
「確かに、我々は未だ帝国の西側しか知りませんからな―」
チェンバレンの提案を聞いた当時の海軍大臣であるチャーチルが頷きながら言った。
「友好国は出来るだけ増やしたいですものね。」
ルイス・マウントバッテン大佐も賛成の意を述べた。
「そして国を見つけることも勿論だが、上手く行けば植民地を手に入れることも出来ると思わんかね?」
チェンバレンが笑みを浮かべて言う。
「尤もですね、しかし現地の反抗や国際社会の目は大丈夫なので?」
マウントバッテンが訊ねる。
「保護下に置く、といった形にすれば良いだろう。」
チェンバレンが自信を持った声で反論する。
「しかし実行するとして、リスクは大きい。それに多くの艦船は派遣できんだろう。」
チャーチルがチェンバレンに言った。
「それは私も承知している。しかし幾らか強い艦で探索せねば、乗員に危険が生じかねん。」
チェンバレンが力強く言う。
こうして、近日中に計画会議を行うことが決定した。
そして1週間後には、この計画は承認され、「コロンブス計画」の
しかし、この「コロンブス計画」はロデニウス戦争の勃発によって棚上げとなってしまう。
1941年2月10日
ロンドン、ホワイトホール・内閣戦時執務室―
大蔵省庁舎の地下にあるこの執務室では、「コロンブス計画」の再開についての閣議が行われていた。
「ロデニウスにおけるロウリアの野望が砕かれた今、我々はあの計画を再開するべきだと思わんかね?」
チャーチルが愛用の葉巻「ロメオ・イ・フリエタ」を手に閣僚たちに訊ねる。
「海軍としては賛成です。」
マイハーク沖海戦の英雄、カニンガム海軍卿が言った。
「植民地省としても賛成です。帝国の植民地が失われた今、再び海外へと乗り出すのは良いかと―」
帝国主義者として知られる、現植民地大臣のソールズベリー伯も賛意を表した。
更に内務大臣や国防大臣らも賛成した事で、「コロンブス計画」の再開が決定したのだった―
1941年5月1日
イギリス、プリマス・デヴォンポート海軍基地―
「コロンブス計画」のトップであるマウントバッテン大佐は、旗艦である重巡「ロンドン」の操舵室に居た。
「さて、いよいよ出航だな。」
彼は腕時計に目を遣ると、副官のブライアン・バトラー中佐に言った。
「そうですね、大佐。国家の威信を懸けた計画なだけに、失敗できませんね。」
バトラーが緊張した声で言う。
「よし、全艦出航だ!速度10ノット、方向1‐7‐5だ。」
マウントバッテンが伝令兵に指示を出す。
「了解!全艦、速度10ノット、方向1‐7‐5!」
伝令兵が通信兵に伝える。
こうして、イギリスの東方海域調査計画「コロンブス計画」が始まったのだった―
今回はイギリスが植民地を求め、調査船団を旧北海へと向かわせるまでを書きました。
原作ではあまり触れられていない、惑星裏側の国家などが、これから出て来る予定です。
コメントや評価、お気に入り登録も沢山頂いています、皆さん、ありがとうございます!