英仏召喚   作:Rommel

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前回から更新が大分遅れてしまいました。楽しみにして下さった皆さん、お待たせしました!
そして今回は「令和」一発目の英仏召喚となります。新時代も「英仏召喚」を宜しくお願いします!


第14話 ―東方への進出〔中編〕―

1941年5月2日夜

イングランド沖、イプスウィッチから9.5海里の海上・重巡「ロンドン」―

 

東方海域調査船団の旗艦、重巡「ロンドン」の艦長室では、船団の指揮官であるマウントバッテン大佐が艦長日誌を書いていた。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

艦長日誌

1941年5月2日

航海2日目。我が船団はドーバー海峡を通り、北海へと出た。明日より船団は、本国のレーダー圏より外側に出る。この先、如何なる物が見つかるのかという期待も有るが、異世界の化け物に遭遇しないか不安でもある。

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「艦長、少々宜しいでしょうか?」

 

大佐が艦長日誌を書いていると、副長のブライアン・バトラー中佐がノックをした。

 

「構わんよ、入ってくれ。」

 

大佐がそう言うと、バトラー中佐が入って来た。

 

「何の用かね?」

 

「明日から未知の海域に入る船員達を、鼓舞して頂こうと思いまして―」

 

「其れは良いな、船員達の士気も上がるし―」

 

大佐はそう言うと、艦内放送のスイッチを入れた。

 

「船員の諸君、艦長のルイス・マウントバッテンだ。

いよいよ明日から、船団は今まで誰も行かなかった海域へと入る。

この先、我々には驚くような発見や、予想もしない困難が待ち受けているかもしない。しかし、船員皆が一致団結すれば、如何様な困難も乗り切れるだろう!

私は、各員がそれぞれの職務を全うする事を期待している。国民もその様な思いを抱いているだろう。それでは諸君、仕事に戻ってくれ。」

 

大佐の演説は、艦内の士気を大いに上げた。

 

そして船員達は、未知の海域を前に気を引き締め直したのだった―

 

 

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艦長日誌

1941年5月5日

航海5日目。我が船団は現在旧スウェーデン領を航海している。潮の流れがかなり早い海域で、慎重に航海をしている。未だ陸地は見えないが、海洋生物はそれなりに存在している様だ。海の化け物には一度も遭遇していないが、まだまだ気は抜けない。

―――――――――――――――――――――――――――――

 

同5月5日深夜11時

バルト海・旧スウェーデン領海域を航行中の重巡「ロンドン」―

 

新米兵士ののディラン・コレット一等水兵は、甲板で海上の監視をしていた。

 

海面は真夜中と云う事もあり、不気味だった。

 

「ん?」

 

彼が双眼鏡で監視をしていると、海面が大きく動いた。

 

彼は目を疑い、もう一度その方向を見た。すると、今度は何かが波を立てて向かって来るのが見えた。

 

「何か巨大な物が泳いで来るぞ!?」

 

彼は直ぐこの事を上官に報告する為、走ろうとしたその時だった。

 

「ドゴォォン!」

 

凄まじい衝撃音が前から聞こえて来たのである。

 

勿論その音は、操舵室で船員を労おうとしていた艦長のマウントバッテンの耳にも聞こえた。

 

「何かに衝突したのか!?」

 

彼が思わず叫ぶ。

 

「座礁したのでは?」

 

副長のバトラー中佐が持論を述べた。

 

「その可能性も充―」

 

マウントバッテンがそう言いかけた時だった。

 

「何だこの音は!?」

 

耳を劈くばかりの咆哮が聞こえて来たのである。

 

「急げ、サーチライトを照らせ!」

 

マウントバッテンが唖然と立ち尽くしている水兵に言う。

 

水兵は急いで甲板へと向かうと、サーチライトを点けた。

 

「な...何だこの怪物は!?」

 

灯の先には、海龍の様な怪物が居たのである。

 

勿論、操舵室に居た全員がその怪物に呆気を取られた。

 

「急ぎ現海域から離脱するぞ!出力限界まで上げろ!」

 

マウントバッテンは一早く気を取り直すと、各員にテキパキと指示を出した。

 

指示が出ると、士官や水兵が大急ぎで作業に取り掛かった。

 

「急げ急げ!」

 

「怪物から逃げるぞ!」

 

といった水兵の声があちこちから聞こえる。

 

兵士達の努力の甲斐も有って、船団と怪物の距離は徐々に離れていった――――――かに思えた。

 

「艦長、怪物もスピードを上げて追って来ます!」

 

双眼鏡を構えて後方を監視していた、副官のピット少佐が言った。

 

「何っ!?」

 

マウントバッテンが思わず持っていたペンを落とす。

 

「そこで提案なのですが―」

 

バトラーが言う。

 

「言ってくれ。」

 

「例の怪物への攻撃許可を―」

 

「もし怪物が何処かの国で、海神として崇められていたら如何するんだ?」

 

マウントバッテンが宥める様に言った。

 

「しかし閣下、今は乗員の安全と人命の方が大事です!」

 

バトラーが机を叩いて言った。

 

マウントバッテンは手を組み、目を閉じた。

 

目を閉じていた時間は数十秒だったが、ピットにはその時間がとても長く感じられた。

 

そしてマウントバッテンは目をゆっくりと開けると、こう言った。

 

「全く君の云う通りだな、砲撃を許可する。」

 

こうして、怪物に対する攻撃の準備が始まった。

 

艦長の砲撃許可命令が下りるや否や、砲室とその下の区画では、大急ぎで砲撃の準備が始まった。

 

 

10分後

重巡「ロンドン」、操舵室―

 

「艦長、砲撃準備完了との事です。」

 

バトラーがマウントバッテンに伝えた。

 

Right(よし), shoot(撃て).」

 

艦長の指令が出るや否や、主砲のマークⅧ20.3cm砲が火を噴く。

 

砲弾は怪物の頭部に命中し、怪物は悲鳴を上げた。

 

しかし怪物も黙っておらず、艦列の前方を航行していた駆逐艦「グレネード」に体当たりをした。

 

「ドゴォォォン!」

 

怪物の攻撃を受けた「グレネード」は、2本の煙突が圧し折られてしまった。

 

怪物は雄叫びを上げると、再び「グレネード」を攻撃しようとした。

 

しかし、それが怪物にとって誤算となった。怪物の弱点である側頭部を、多くの艦に晒してしまったからである。

 

勿論、マウントバッテンはこの瞬間を見逃さなかった。

 

彼は直ぐに通信機を取ると、こう告げた。

 

「全艦、怪物の頭部を砲撃しろ!」

 

「ドォォォォン!」

 

「ドゴォォォォン!!」

 

凄まじい爆発音と怪物の叫びが辺り一帯に響き、下手すると鼓膜が破れる勢いだった。

 

怪物も必死の抵抗を見せたが、凄まじい集中砲火の前には無力だった。

 

そして20分近くの戦いの後、血だらけとなった怪物は暗い海の底へとゆっくり沈んでいった―

 

―――――――――――――――――――――――――――――

艦長日誌 補足

船団は午後11時過ぎに海中の怪物と接触、攻撃を受けた。その後、海域からの離脱を図るも、怪物から逃れられず。

0時前、砲撃を許可。翌6日0時12分、駆逐艦「グレネード」損傷。0時34分、怪物を撃破。

怪物には本当は敵意は無く、我々が怪物の敷地に侵入し、正当防衛をされただけなのかも知れない。何が正しく、何が間違っていたのかは、後世の評価に委ねるとしよう―

―――――――――――――――――――――――――――――




今回は私も大好きな「スター・トレック」を意識しつつ書いてみましたが、如何でしたか?
次回はいよいよ、新大陸編です!
コメントやお気に入り登録、沢山頂いています!皆さん、ありがとうございます!
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