中央暦1639年9月15日
ジン・ハーク、ハーク城の大広間―
ここハーク城では、ロデニウス沖海戦とエジェイ攻略作戦の敗北を受け、ハーク・ロウリア34世出席の元、国防会議が開かれていた。
「まさかな...我が無敵艦隊が..敗れるとは―」
ハークは、海戦で無敵艦隊のほぼ全てが海の藻屑になった事で、ショックを受けていた。
「うーむ、我々はイギリスの力を見くびり過ぎていたのかも知れませんな。」
と、ヤミレイ首相が言った。
「しかし、イギリスの快進撃も止まりますでしょう。」
と、第1軍(先鋭隊から改編)司令官のパンドール国家元帥が自信満々に述べる。
「ギム防衛作戦か―」
ハークが訊いた。
「はい、閣下。我が第1軍はギム前方に、幾重にも防御陣地を設置しております。更にギムの西に位置している森にも、多数の歩兵部隊を配置、更に川沿いにも兵を配置しており、準備は万端です。流石にこの防衛線は、イギリス軍とて突破できぬかと―」
パンドールが資料を見せながら答えた。
「パンドール、森の兵をギム前方に移動させるのだ。」
ハークがパンドールに言う。
「閣下、お言葉ですが、それでは余りにも危険性が高すぎます。」
パンドールが反対する。
「いや、あの深い森は、到底突破出来まい。それよりも、もっと分厚くギム前方に陣地を敷くのだ。」
ハークが自信に満ちた声で言う。
「閣下、可能性は0では―」
パンドールが進言しようとする。
「パンドール!余の命令に逆らう気か!」
ハークが声を荒げて言う。
「了解しました。閣下、ギム前方の陣地を増強いたします。」
パンドールが咄嗟に言った。
「うむ、それでよい。」
ハークがそう言うと、会議はお開きになった。
その頃
大西洋(ロデニウス海)、空母「アーク・ロイヤル」艦上―
イギリス海軍の空母「アーク・ロイヤル」には、名だたる人物たちが集まっていた。
イギリスからはチャーチル首相、フランスからは11月15日に大統領に就任したペタン大統領、そしてクワ・トイネのカナタ首相にクイラのフートー首相が集まっていた。
勿論、議題はロウリア侵攻作戦と、戦後処理についてであった。
「しかし、あれは凄かったですな。ロウリアの「無敵艦隊」をたった12隻と僅かな鉄竜で破るとは―」
カナタがチャーチルに言った。
「いえいえ、それ程でもありませんよ。」
チャーチルが笑みを浮かべる。
「さて、本題に移りますかな。」
チャーチルがそう言うと、外務省の職員が資料を持って来た。
4人が資料に目を通すと、ペタンが口を開いた。
「我がフランスは、クワ・トイネとクイラに義勇軍を派遣する事を表明します。」
「義勇軍?」
フートーが訊いた。
「ええ、国家として参戦せず、部隊を派遣するのですよ。」
ペタンが答えた。
「成る程、部分的参戦という訳ですね。」
カナタが頷きながら言う。
「して、兵力はどの位で―」
フートーが訊くと、新たな資料が来た。
そこには、こう書いてあった。
第1機甲旅団、第2機甲旅団、第3機甲旅団、第5機械化騎兵連隊、第6歩兵師団と第4戦闘機大隊、第17戦闘機大隊、第6爆撃機大隊、第16近接支援機大隊を、クワ・トイネ公国とクイラ王国に派遣する。
「総司令官は、シャルル・ド・ゴール准将です。」
フランスの外交官が言った。
「ド・ゴール准将ですか。彼が提唱している「電撃作戦」をロウリアでも行おうという訳ですな。」
チャーチルが訊く。
「そうです、チャーチル首相。私は最初、彼の考えを疑問視していたのですが、彼の熱意とドイツがポーランドで行った作戦を見て、考え直したのですよ。」
と、ペタンが言った。
その後も会議は続き、その日の夜には、四ヵ国が共同で声明を出した。
こうして、「大西洋協定」が結ばれたのである。
内容はこの様なものだった。
1. 四ヵ国は、互いに軍事含む各種の支援をする。
2. 四ヵ国のそれぞれは、ロウリア王国との単独講和を禁ずる。
3. 戦争終結後のロウリアは、1年経過するまで、四ヵ国の分割占領とする。
4. 平時においては、貿易などの交流を活性化させる。
5. 平時において、四ヵ国の内のどこかが第三国に攻撃された場合、他の国々は直ちに第三国に対し、攻撃を行う。
そして、ロウリアへの攻勢作戦を、12月10日(中央暦10月2日)までに実施する事が決定した。
それから1週間、イギリス軍参謀本部は、
1940年11月30日午前9時
ロンドン・ホワイトホール、戦争省―
「皆様、こちらが今回の作戦計画です。」
と、チャーチルの軍事首席補佐官であるヘイスティングス・イスメイ将軍がチャーチル首相やイーデン陸相、そしてフランスのペタン大統領らに資料を配った。
資料が配り終わると、説明が始まった。
「まず、今回の作戦について説明いたします。今回の作戦は、3段階からなります。」
―作戦の説明―
1. 作戦の目標は、ギムにおける敵戦力の包囲殲滅と、敵本土南部への上陸、そして敵首都であるジン・ハークの電撃的占領の3つである。
2. まず、モントゴメリー大将の
3. その間に、フィリップ・ルクレール中佐の
4. ギム陥落と同時に、シャルル・ド・ゴール准将率いる
5. 上陸後は、速やかにラスーシ海岸の要港のギーウナーを攻略。補給路を確保する。
6. 上陸軍は、電撃的侵攻で敵の首都、ジン・ハークを背後から占領、ロウリアを降伏させる。
7. この作戦に付随して、敵の主要都市への威嚇飛行と工場への爆撃を行う。なお、爆撃前には避難勧告のビラを撒く。
イスメイの説明が一通り終わると、各大臣がそれぞれ意見を述べ、作戦が承認されたのだった。
「チャーチル首相、作戦名は如何しますか?」
イーデンが訊いた。
「そうだな...
チャーチルが答えた。
「良いですな。自由の十字軍という感じがしますぞ。」
ペタンがチャーチルの案に賛成した。
こうして、作戦名は
中央暦1639年10月2日午前5時
エジェイ近郊、ギムへ向かうデーンスイ街道・モントゴメリー大将の指揮戦闘車内―
「閣下、全車両準備整いました!」
モントゴメリーの副官、ポール・ハイアット中佐が報告した。
報告を訊くと、モントゴメリーは通信機を取り、指令を出した。
「こちらモンティ、全部隊に告ぐ。進撃開始せよ!」
モントゴメリーの指令を受けると、次々にマチルダⅡ歩兵戦車やマークⅣ巡航戦車などが、次々に発進を始めた。
こうして、ロウリアへの反攻作戦である、
いよいよがフランス参戦しました!
次回は戦闘回です!
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オリジナル用語解説 ① ハーク親衛隊
ロウリア王国の国王、ハーク・ロウリア34世の命で編成された私設軍隊。隊長はギムの攻略を指揮したアデム大佐である。クワ・トイネ侵攻作戦時では、一部の部隊が先鋭隊として戦った。
親衛隊は強靭な兵士達で構成されており、国王への絶対的な忠誠心と残忍さで有名であった。