五月雨ちゃんが結婚を迫ってきて今日も眠れない 作:たなか やまなか
回想
6ヶ月前、五月雨の練度が99になった。
回想終わり。
いやまぁこの時点では指輪はあったんだよ?
ちょっとね?バタバタしてたから?
明日渡そうかなぁーなんて思ってたわけですよ。
五月雨には
「お疲れ様。今日はゆっくり休んでいいよ。それと、明日の朝大事な話があるから。」
なんて前フリまでしちゃって......。
次の日引き出し開けてみるとね?
まぁ無いわけですよ。指輪が。
やっべー、どーしよ。とか考えてるうちに
五月雨が来ちゃうわけですよ。
ガチャ
「て、提督。大事な話って......。」
「ああ、五月雨。えーっと......、あれだよアレ......。イギリスがEU離脱するじゃん?
そして、その後の欧州情勢について語り合おうと思ってだな......。」
いやまぁこの話題も大事なのだが......。
スケールがでかすぎる。まさにおおごとだ。
「え?あ、あぁそうですねえ......。だ、大事ですよねぇ欧州情勢......。」ワタワタ
なぜか五月雨も焦っている。
なんでだよ。
その後1時間にも及ぶ議論の末に
フ◯ーメイソンによる陰謀だという結論に至った(ちがう)。
......。
Hey Siri, 指輪の行方は?
と、投げ出したくなる気持ちだったのだが
五月雨もなんだかよそよそしく、その日はそれでお開きとなった。
それ以来、五月雨とは何事もなかったかのように接しているのだが......。
やっぱり気にしてるよなぁ。
そろそろ頃合いかなぁ。
などと、昼食後の司令室でうだうだ悩んでいた。すると、頭痛の種がもうひとり
ガチャ
「提督さーん、遊びましょーっぽい。」
「いま忙しいんだよ。帰れ。」
「嘘っぽい。今さっきまで寝てたっぽい。」
「あれは仮眠だ。」
「どっちも同じっぽーい。」
バーサーカー夕立さんだ。
真夜中に俺を襲撃(?)してきては俺の睡眠時間と精力を削りにくる。そして、翌日には知らんぷりである。
「そこの芋けんぴでも食べてろよ。好きなだけ食べていいぞ。」
もちろん比叡作。
昨日の残りもんだが......。
「これ、出来立てじゃないっぽい。二流っぽい。」
「貴族かよお前は。」舌の肥えた犬である。
「それより間宮がいいっぽい。」
「いやだよ。間宮さん俺が来るとぼったくろうとするもん......。」
正しくはぼったくるというか、電子決済をする際に桁をひとつ増やしたり、
勝手にリ◯払いにしたりするなど様々な嫌がらせをしてくるのだ。
「提督は女心がわかってないっぽい。」
「......。」
女心というか、そんな心を間宮さんが俺に持ち合わせているとは思えないのだが......。
心があるかさえ怪しいところだ。
「はやく行くっぽい!」グイグイ
「いたいいたい!本気で引っ張るな!服が破けちゃうだろうが!」グッ
「おこ?おこっぽい?」グイグイ
「おこじゃねーよ。」ズザー
夕立に振り回されつつ(文字通りだ)間宮へと向かった。
ガチャ
「こんにちわー」
「あら、いらっしゃい。夕立ちゃんと
ゴm......提督さん。」
「ねぇいまゴミって言いかけなかった?」
「伊良湖ちゃーん、お茶お願いします。」
「はーい、いらっしゃいませ、夕立ちゃんとクs......提督さん。」コトッコトッ
「ねぇやっぱゴミって言いかけたよね?ねぇ。」
「ご注文はお決まりでしょうか?」
シカトである。
「夕立は抹茶パフェにするっぽい!」
「じゃあ俺はクリームあんみつで」
「ご注文承りました。抹茶パフェと特大大和パフェですね。」
「ねぇ、おこ?おこなの?」
注文の品が届くまでの間...
「お、ヒm...提督じゃん。ちーっす!」
「あ、外d...提督でち!こんにちわ!」
「はわわわ、死令官さんこんにちわなのです。」
「Hey, mother f***er」
艦娘達と戯れつつ(?)時間をすごした。
......。
最後のやつは誰だ?
うちは海外艦なんていないんだが......。
少しだけ心が荒んだところで(少しだけだぞ)注文の品が来た。
特大大和パフェはさすがに冗談だったようだ。
厨房の方から
「くっ......今日ヤツが来ることがわかっていれば仕留められたのに......。」
と聞こえてきたのは気のせいだろう。
いや、仕留めるて。
なんだ?そろそろ謀反でも起きるのか?
意外なところから危険因子が発生しているのを感じつつ、クリームあんみつに食らいついていると、
「提督はヒモっぽい?」ムシャムシャ
「いやむしろサイフだろ」ムシャムシャ
それはそれで問題ありか......。
豪快かつ綺麗に抹茶パフェを食らいついていた夕立はどうでもよさそうに聞いてきた。
「じゃあ、あたしがヒモ?」
「......」奢られる気満々である。
うちは完全に年功序列制なので、わりと古参な夕立は、結構貰ってるとおもうんだが...。
そういえばコイツも古参なので練度が高めだった。いくつだっけ?
「なぁ夕立、お前練度いくつだっけ?」
「90を超えてからは数えてないっぽい。」ムシャムシャ
「そこからが大事な気がするんだが......」
「数字はただの記号っぽい。本当に大事なのはここよ」
とんとん、と抹茶パフェを食べ終えたスプーンの柄で自分の胸を叩く。
かっけーなコイツ。さすがバーサーカーである。てか、食うの速すぎだろ。
俺もクリームあんみつをかきこんで会計へ。
当然のように俺の奢りである。
「お会計は114514円になります」
「ついに小細工さえもしてこなくなりましたね、間宮さん」
「リ◯払いですね?」
「いやシカトかよ」
「わかりました。一括ですね?」
「いやそこじゃねーよ」
兵糧(金)攻めは最も有効な手法である。
どうやら謀反も近いようだ。
運良く今回は現金を持ち合わせていたので、現金で払った。
「ありがとうございました。またお越し下さい」ニコッ
2度と来るもんかと言い放ちたいところだが俺をいじめてる時の間宮はすごくいい笑顔をしているので、多分また来てしまう
いや、違うんだよ。あれだよアレ、
ソフトMってやつ。
......。
俺がソフトMだということが判明したところで、夕立とわかれる。
「提督、ゴチっぽい」
「おー。じゃ俺は仕事にもどるわ」
結局夕立は俺とお茶をしただけだった。
相当暇だったらしい。
俺も司令室へと戻った。
司令室にて、
「暇だなぁー」
これは俺である。
夕立には見栄を張って忙しいなどとほざいていたが、先日の五月雨の活躍により、うちの今月分の仕事はなくってしまったのだ。
故に暇だ。暇である。
俺は大淀のように”物資の在庫の数を毎日チェックする”といった性癖(?)は無いため、上からの仕事をこなしてしまうと、基本的に暇になる。自ら仕事を探す真面目さも持ち合わせていないので、こういうときは明石と一緒に遊んでいたのだが......。
駆逐艦どもが置いていったハンドスピナーでもやってみるか、と引き出しをあさっていると、
プルプルプルプル ガチャ
「はい、こちら司令室。なに?大リーグ養成ギブスを作った?バカヤローもっとはやく報告しろよ。試験体がほしい?どっちだ?
的か?着るほうか?おっけー、夕立連れて来るわ。じゃあ工廠集合な。」ガチャン
俺は夕立を小脇に抱えて(文字通りだ)工廠へと向かった。
工廠にて
「提督さん仕事は終わったっぽい?」
「あー、終わった終わった。ていうか、今日は仕事無かったわ」
「提督、あたしを騙したっぽい!?じゃああたしと遊ぶっぽいっ!」
「おう!いくらでも遊んでやるよ!野球でな!」
と、やけにハイテンションな俺と夕立に軽く引いていた明石だったが、
「え、野球につかうんですか?」
「いや、逆に何に使うんだよ」
「いや、戦闘に......」
いやまぁ大リーグ養成ギブスは野球には使えないのだが......。実際の戦闘に役立つものを作るとは明石にしては真面目である。
「大リーグ養成ギブスなんていってますけど、普通に身体能力を底上げするボディースーツみたいなもんですからね。」
「そのネーミングはなんなんだ?」
「いや、五月雨ちゃんのアレが......。聞いたところによると、爆雷を投げたそうじゃないですか。だから、タイムリーかなぁと思って」
「なるほど」
爆雷を投げる→野球→大リーグ養成ギブス
まぁ......うん。
「そのスーツはアイア◯マン的なやつか?」
「はい。アイア◯マンwith妖精さんです」
また物騒なものを......。
というかそれはもはやアイア◯マンでは?
それでも、大リーグ養成ギブスという名をつけたということは、五月雨の武勇伝は相当なインパクトがあったらしい。
「うーん。じゃあ夕立着てみる?ってあれ?夕立がいないぞ」
危険を察知したのだろうか。さすがである。
「......。じゃあ、あいつにするか」
「そうですね、あいつにしましょう」
俺、明石両名により拘束された大淀は抵抗も虚しく、無事試験体にされた。
スーツの性能はすこぶるよかったが、バッテリーに難があり、鎮守府湾内の上空を走行中に充電が切れて、大淀は海中へ落下した。
「きゃーーっ!」バシャン
「おい大丈夫なのか、あれ。それとも水陸両用なの?」
「大丈夫ですよ、提督。こんなこともあろうかと......」ピコ
そこらへんはさすが明石。抜かりなく脱出装置もしっかりと用意していたようだ。スーツは、大淀の体から射出され、手元に戻ってきた。大淀は海上で浮き輪のようなものにしがみついてた。
「......。逆じゃないか?普通は」
「私も苦渋の決断だったんですよ......」トオイメ
これだから理系は......。
という一言では片付けることのできない重要な何かを失っている気がしたが、まあ気のせいか。
大淀は帰ってくるなり明石に説教を始めた。
よくよく聞いてみると、
「関節部分がぎこちない!スーツ内がサウナ状態!計測器がめちゃくちゃ!騒音がやばい!耳がちぎれるわ!あとはあとは......」
と、スーツの文句を言っていた。
まずは強制連行されたことにキレるべきなのだが、さすがは大淀さんである。寛大な心をお持ちのようだ。
夕飯
五月雨に、一緒にどうですか?
と誘われたので食堂へ。
当たり障りのない会話をしながら、夕食を食べ終えた。
そろそろ戻ろうかと席を立とうとすると、
「あの、その、提督」
「んー?なに?」
「だ、だだだ、だ、ダリのおヒゲってかわいいですよね!」
「うん?かわいいか?あれ」
どっちかというとオシャレな気がするが。
まぁ感性は人それぞれだしな。
「う......。そ、それでは、今日は、おやすみなさい!」
まだ1900過ぎなのだが。
まあ寝る子は育つしな。
「うん、おやすみ」
その後は、風呂に入ったり艦娘と戯れたりして、2200には自室へと戻った。
今夜は夕立が来そうな予感がするので早めに寝ることにしよう。歯を磨き、電気を消して布団に入る。寝るのは得意だ。
......。
真夜中、俺の布団に誰かが潜り込んでくる
感覚で目が覚めた。
また夕立か.....。と布団が動くほうへ目をやると、そこにいたのは
目を真っ赤に腫らした五月雨だった。
「て、提督ぅ......、ご、ごべんなざぁい。
ゆ、ゆ、指輪なくしちゃいましたぁ」グスグス
つづく