ボウケンシャーキリト   作:月蛇神社

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 お久しぶりです。
 書く暇ならたくさんあったんだ。


宿屋での朝

 時間は流れて次の日の朝。

 

 予想通り、この世界から解放されていない現実という、昨日より薄れた恐怖を受け止めた俺たちはこの街を出るための準備をしていた。

 

「ポーションは全然まだあるから補充の必要は無いかな、ネクタルとか糸とかを考えなくてもいいのは楽と観るか、感覚が鈍ると観るか⋯⋯」

 

 2階建ての宿屋。その1階の食堂兼ロビーの片隅で水を片手に、俺はユウキとアスナを待っていた。少し前からアイテムや装備の確認をしていたのだがそれも2、3分で終わってしまい今は暇時間だ。頭の中では今日の行動予定を考えいるが決めるのは全員そろってからでもいいだろう。しかし、集合時刻にはまだ10分近くはある。

 

「まあ1つ決まってるのは確実かな」

「それって、私の装備のことよね」

 

 俺のつぶやきに後ろからの返答。驚いた、まだ10分前なのに彼女は来たらしい。

 

「おはよ、アスナ。あと、それに+で街を出るのは午後ってのもな」

「おはよう、キリト君。ごめんね、私のせいで遅れることになっちゃって」

「仕方ないさ。君はフィールドから出ずにいたんだ。最低でもこの層を攻略するまで戦ってもらうんだし、準備は必要なことだよ」

 

 俺たちの出発が遅れる理由。それはアスナがフィールドに出たことが無く、戦闘経験がゼロだからだ。装備も金も手を付けておらず、出費は今のところ宿代と晩飯代だけ。

 一先ずは、彼女に合う武器を選び、それから進みながら次の街を目指すのが今日の目標になるだろう。いくらこの第1層がアインクラッドで一番広いと言っても流石に野宿が必要な程に街との間隔は広くないはずだ。アルゴからの情報もあるし安全まではいかないが今日の夜には着くことだろう。

 

「とりあえず、最初に武器屋で身体に合うのを探そう。あっちの世界でやってたことがあれば見つけやすいと思うからそれを参考にするのもありじゃないかな」

「ならレイピアがいけるかな。私フェンシング習っていたことあるし」

「フェンシングか⋯⋯レイピア⋯⋯フェンサー⋯⋯幻影⋯⋯」

「⋯⋯何の話?」

 

 おっと。つい軽くボウケンシャー思考に入っていたらしい。

 

「わりぃ、俺のリアルでやってるゲームのフェンサーの型の話。裸装備で相手の攻撃をひたすら回避してカウンターを叩き込んでいく戦闘スタイルなんだけど⋯⋯」

「は、はだっ⋯⋯あなたまさか」

「違う!裸ってのはアスナが想像してることじゃない!」

 

 しまった忘れてた、アスナはゲーム知識が少ないんだった。とりあえず誤解を解くために説明をしなければ。

 

「裸ってのは防具とかの装備を何もつけてない状態のことだよ、その、ほら、丸腰とかそんな感じの」

「あ、ああ⋯⋯裸ってそういう⋯⋯あら?でもそれだと防御力がないじゃない。それで戦えるの?」

 

 誤解を解くことになんとか成功した。そして、彼女はいいところに目をつけた。

 

「そう思うだろ?たしかに防御力はほとんどないし、攻撃なんて喰らえば即危険域だ。それに、言ってしまえば確率の問題だから攻撃を絶対に躱せるなんてこともない」

 だがしかし利点もある。

「まず、装備にかかる金の負担を減らせる。あのゲーム、中盤終盤になるといくら金があっても足りないからな。次にダメージの多さ。幻影型って躱せば躱すほど強くなっていくっていうスキルがあってさ、それにターゲットを集中させやすくすることもできるから、それで攻撃してきたところをカウンターしていけば結構ダメージが出るんだ。それにターゲット集中で壁役にもなれるしな」

「へぇ、思ったよりも戦えるのね⋯⋯それ、参考にしようかしら。もちろん、は、裸装備の方じゃないわよ」

 

 どうやらアスナは何となく戦闘イメージを描くことが出来たらしい。俺も戦い方を少し考えた方がいいだろう。

 それにしても。

 

「そろそろ時間になるけどユウキの奴来ないな⋯⋯」

「もうすぐ来ると思うのだけれど⋯⋯まさか寝坊とかじゃないでしょうね」

「いやどうだろう⋯⋯」

 

 約束の時間から10分後

 

「ふわ~あ⋯⋯おはよ~寝坊してごめん⋯⋯」

 

 眠たそうに欠伸をしながらユウキが下りてきた。

 

「おはよう、ユウキ。⋯⋯とりあえず、どんまい」

「ふぇ?」

「ユウキ」

 

 突然名前を呼ばれ振り返るユウキ。そしてそこには、

「おはよう。とりあえず正座なさい?」

 ものすごくいい笑顔の(アスナ)が仁王立ちして死刑宣告をした。これにはユウキも目が覚めたらしくピシッと姿勢を正した。

 

「お、おはようアスナ⋯⋯先ずは落ち着こう?」

「ユウキ」

「ひゃい!」

「二度は無いわよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、約5分に渡り遅刻者への制裁という名のお説教は下された。とりあえず、アスナ関係の時は時間に気を付けようと肝に銘じた瞬間だった。

 因みに、のちに彼女は笑いながらこう語る。

 

「あのときはまだ会ったばかりだったし、時間も無かったからあんなものだったけれど、今だとあと10分追加されているかなー」と⋯⋯。

 

 

 

 

 

 

 無事に、とまではいかないが武器屋で武器を入手した俺たちは裏手にある練習場で予定通り案山子相手にソードスキルを打つ練習をした。やはり2人とも最初は苦戦していたが、少ししたら安定して発動することが出来ていたので、とりあえず発動するという課題は達成できた。あとは2、3戦模擬戦をして動く相手に当てられる訓練をする。

 そして、このエリアを出る。

 それが今日の目的だ。割と時間はかかると思う、けど生き残るなら基礎はしっかりとしなければならない。それに後々を考えると無駄にはならないだろう。

 

「それじゃあいくよー」

 そう言ってユウキは片手剣を構える。対するアスナはレイピアを胸の前で構える。

 初めての戦いが始まった。




 現在新作の構想をしております(終わる気配ないのに)
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