バンドリの世界に転生したって?   作:0やK

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気になるパン屋さんのあの娘

 白鷺親子と別れて、おやつを800円分買った。飴、ガムは駄目らしいからチョコ、クッキーとかだ。

 でも、持ってくるの禁止と言うと誰かしら持って来るんだよな。飴。ダメって言われるとやりたくなるよね。

 他の階へ行こうとしたら、お腹がギュルル〜と鳴った。

 

 もう、昼か。

 

 ここのレストランで食事してもいいけど一人はなんか寂しいし、待つのも嫌だな。他の階を見るのはまた別の機会にしよう。それに今の俺の口の中はパンの味だ。焼きたて食いてぇ。

 

 せっかくここまで来たんだ、パン屋に行こう。

 

 でも、場所を知らない。スマホがあれば、GPSで一発なのに・・・。父さんにスマホ欲しいと言ったら、ウチはスマホは中2からと言われた。なんで中2?厨二病になっちゃうよ?

 

 それにしてもあと2年か。

 

 駅に着いてから駅員さんに近くに商店街ありませんか?って尋ねたところ、ここから1駅先に地蔵通り商店街ってとこあるよと親切に教えてくれた。あの商店街って地蔵通り商店街って言うのか・・・。初めて知ったわ。

 

 その後、電車に乗って1駅先、商店街のある駅に着いた。改札口を出て、駅の入り口付近にある地図の看板を見る。

 

 結構遠いな・・・まあ、徒歩10分ってとこか?

 

 10分ぐらい歩くと商店街が見えてきた。思っていたのより大きいな。まあ、ガルパのマップでは一部分だけだったからな。ここに『羽沢珈琲店』『北沢精肉店』『やまぶきベーカリー』があるのか・・・。

 

 気づけば羽沢珈琲店の前だ。

 

 ほぉ、ここが羽沢珈琲店ですか。いつか入ってみよう。今、入らないのかって?入ってもバイトの人と彼女の父親しかいないのに入ってどうする。まだ幼い彼女を見に来たのだとしたら、俺はロリコンだぞ?え?もうロリコン?違う、シスコンだ!

 

 でも、珈琲の味がすごく気になる。ゴクリ。やっぱやめとこう。近くにやまぶきベーカリーがあるはずなんだが・・・。

 

 ん?あった!

 

 向い側にあると思いきや、少し離れた数メートル先にやまぶきベーカリーはあった。ガルパのマップだと3人の家は近いはずなんだが、ここではそれぞれ少し離れているらしい。

 ゲームで沙綾とはぐみとつぐみは近所であるはずなのに絡みが全くない。沙綾とはぐみはあるのに、沙綾とつぐみ、はぐみとつぐみのエリア会話がないのだ。

 

 

 正直言って、闇を感じる。

 

 

 今後のイベントストーリーで何かあるのかもな。俺にはもう関係・・・・・はあるな。

 

 とりあえず、『羽沢珈琲店』『北沢精肉店』『やまぶきベーカリー』の場所は把握した。うん、問題なし。

 北沢精肉店には原作が始まるまでは行くことはないだろう。行ったらはぐみの母ちゃんに絶対、はぐみ呼ばれるわ。香澄より先に再会しても意味ないしな。

 

 ではでは、やまぶきベーカリーへレッツゴー!

 

 扉を開くとパンの甘い甘〜い香りが俺の鼻孔をくすぐる。

 やべぇぇ、いい匂い。唾が止まらへん。おお、これが伝説のチョココロネか!?何にしようか。

 パンをじっと眺めて悩んでいると、後ろから視線を感じた。

 レジの方からか?

 

 視線が気になった俺はバッと素早く後ろを振り返る。

 しかし、レジの方には誰もいない。気のせいか?と思い、またパン選びに戻る。

 

 

 ジーーー

 

 

 やはり気のせいではないようだ。

 

 

 もう一度、バッと素早く後ろに振り返るが誰もいない。そして、また視線をパンに戻す。

 

 

 

 ジーーー

 

 

 

 三度目の正直。今度こそと思い、素早く後ろを振り返る。だが、いない。

 

 

 もうなんやねん!?

 

 

 視線が気になる俺はトングとトレイを持ったままレジに近づく。

 

 

 すると・・・

 

 

「あっ!?」

 

 

 ひょこりとレジの下から少女が出てきた。シャンパンピンクもとい薄柿色のポニーテールをした娘だ。

 うん。まあ、来れば会うとは思ってたよ。自らフラグ回収しに行ったようなもんだし。彼女はもうこの歳からお手伝いしてたのか?

 

 

 

 山吹沙綾。

 

 Poppin'Partyのドラム担当だ。

 ポピパのまとめ役でもある。

 面倒見が良く、皆から頼りにされている。オカンレベルで。

 後に香澄のよき相談相手となる。

 ある事情によりバンドを止めてしまったが、香澄により自ら蓋をしていた『バンドの情熱』、本当に自分がやりたいことを思い出す。

 

 

 ところで、なんでこの娘。俺をこんなキラキラした目で見つめてくるんだ?

 

 ええ??俺なんかした?いや、待て。落ち着くんだ!よし!

 

 

 

 ジーーー

 

 

 

 俺は負けじと彼女、山吹沙綾をジーーと見つめ返す。

 

 

 

 ジーーー

 

 

 ジーーー

 

 

 

 

 山吹沙綾VS戸山光夜

 

 

 

 

 

 ここに開幕!

 

 

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 見つめ合うこと数分。ついに彼女は視線を逸らした。

 

 俺の勝ちや!ん?なんで顔赤くなってんの?その時、奥から焼きたてのパンを持った男の人が来た。

 

「ん?どうした?沙綾?さっきからそこにいて何を・・・ほぉ」

 

 彼女の父親と言えば山吹亘史だ。

 

 やまぶきベーカリーの店主であり、沙綾の母、山吹千紘の夫だ。そんな彼、亘史さんは焼きたてのパンをさっさと陳列させて、レジに戻ってきた。

 

「べ、別になんでもないよ」

「隠さなくてもいいっていいって、さっきからレジの方で何をじっと見つめているのかと思ったが········」

 

 亘史さんは俺を一瞥すると、納得したかのようにウンウンと頷いている。

 

「このイケメンのお兄さんを見てたんだな。お父さん、納得納得。沙綾はおませさんだなぁ」

「お、おませさん?」

「あ、わからないよな。気にしないでくれ」

「う〜、お父さんのバカ!?」

 

 彼女は俺を最後にチラッと見て、店の奥へと走り去って行った。

 

 

 

 俺、完全に空気じゃん・・・

 

「あー、すまんな。あそこまで沙綾が男の人を見るなんて初めてでな。凄い事なんだぞ?ところで君は?あ、でも君がもし嫌なら言わなくても········」

「え?その、大丈夫です。戸山光夜です」

「おお、ありがとう。戸山光夜くんね。君はうちの店に来たの初めてかい?」

「ええ、そうです」

「そうかそうか、うちのパンは美味しいから是非これからも買いに来てくれ」

 

 話が終わり、俺はパン6つを買ってやまぶきベーカリーを出た。

 メロンパンとあの伝説のチョココロネを5つ。メロンパンとチョココロネ1つは美味しくいただいた。残りは家族の分だ。

 

 

 なんであんなに好感を持たれてんだ?初対面なのにな。

 特に沙綾のお父さんはホント分からん。




山吹家

山吹亘史:父
山吹千紘:母
山吹沙綾:長女
山吹純:長男
山吹紗南:次女

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