バンドリの世界に転生したって?   作:0やK

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泣くのはおよし、こころ

 バレンタイン以来、特に何もないまま時は過ぎること3ヶ月。

 え?ホワイトデーはどうしたって?お返しはちょっと高そうな飴にしたよ。家族にはホワイトチョコで作ったケーキにした。香澄が舞い踊るように食べてたわ。

 

 

 カワユス。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 進級して中2の休みの日の事だった。

 中2になっても、スマホを買って貰えない俺は休みになると外へ出掛ける。2週間に1回、やまぶきベーカリーのパンを買いに行くのが俺の密かなブームだ。俺が店内と入るとよく亘史さんが笑顔で歓迎してくれる。

 その後、沙綾ちゃんを呼ぶのがお決まりである。最初こそ恥ずかしがっていたものの今では「お兄さん」と呼んでくれるようにはなった。呼ばれたその日の帰りに嬉しすぎて転びそうになったのは内緒な?「お兄さん」って呼ばれるのいいよね。「お兄ちゃん」とはまた違った良さがある。

 

 そして、スマホは母さん達が2年契約らしくて、あと1年待って欲しいとの事だ。最近流行りの家族割にしたいらしい。ザケンナ。

 その間に香澄と明日香に何かあったらどうしてくれる?脳内フォルダにも限界があるんだぞ!

 そんなくだらなそうで大事な事を考えながら駅に向かう。その途中にある公園近くを歩いていると泣き声が聞こえてきた。

 

「えぐっ、ひぐっ、ぐずっ」

 

 女の子の泣き声だ。

 

 俺は公園に入り、泣いている女の子を探す。その女の子はブランコにいた。ん?金髪にあの顔。・・・こころじゃん!もう、そんな驚かないわ。いつ、出会ってもおかしくはないし。

 

 

 弦巻こころ。

 

 超が何個もつくほどの金持ちの家の一人娘。

 天真爛漫で香澄以上にポジティブな少女だ。

 花咲川女子学園『異空間』と名高い。

 笑顔が何より大好きで好奇心旺盛な性格。

 ゲームのプロフィールに裕福な家庭の一人娘とあるがどこが裕福な家庭だよ。そんなレベルぶっ飛んでんじゃねーかと思う程である。

 はぐみの誕生日プレゼントにソフトボール専用バッティングセンターをあげているのだ。これでぶっ飛んでいないなんて言えまい。

 ゲームのストーリーを読めば分かると思うが、彼女はハロハピの苦労人奥沢美咲にバカと称される程、超超超ポジティブ(バカ)だ。

世界を笑顔にするため、こころは強引に周りを巻き込む。それでいて、周りを本当に笑顔にしてしまうのだからある意味恐ろしい。

 

 そんな彼女がどうして泣いているのか?理由が気になるところだが、今は目の前の彼女を放ってはおけない。俺は彼女のいるブランコに行き、彼女の目の前で屈む。

 

「えぐっ、ひぐっ、あなた……は?」

「どうして君は泣いているんだい?」

「わたしは……」

 

 わたし?こころの一人称はあたしだったはずだ。この時の彼女はまだわたしが一人称だったらしい。

 香澄と同じ小学3年生の彼女がここまで泣くか?こころが泣く姿なんて想像できないが、今こうして俺の前にいる彼女が泣いている。

 小学3年のこの歳だと、こころが泣いているのはいじめられたからではないか?まあ、家に両親がいなくて泣いているって可能性もある。

 仮にこころをいじめていたとして、いじめられたことを弦巻家が知ったら、ただ済むはずがない。

 

 しかし、悪口ならどうだ?録音でもしない限り口では幾らでも嘘を言える。こころが泣く理由はそれしか思い当たらない。

 

「誰かに殴られたり、物を隠されたりした?」

 

 首を横に振るこころ。

 

「誰かに何か言われたのか?」

 

 先程から辺りを確認しているがいるはずの黒服が・・・・・いた!?俺から見て正面、こころから見ると後ろの草むらに1人潜んでいた。1人?ゲームのストーリーでは複数人いたはずだが?

 

 まあ、今は黒服を気にしても仕方ない。

 

「………うん」

「…………」

「わたしね、自分がしたい事してるだけなのにみんな、うざいとかちょうし乗ってるって言うの」

「…………」

 

 俺は黙って聞くことにした。

 

 家に帰っても使用人、周りには黒服、両親は仕事で会えない。彼女からしたら知らない人がたくさん家にいる。よく彼女は狂わなかったと思うよ。え?未来で狂ってる?気にしたら負けだ。

 未来での彼女は自由奔放。先生ですら手が出せない始末だ。ゲームではちょっとヤバイやつ扱いだが裏ではこころへの陰口のオンパレードだろう。

 

 しかし、未来でのこころはそんな集団を気にしない程超超超ポジティブ(バカ)で真夏の太陽が照り付けるみたいに眩しい。

 

 だからこそ、彼女には明るくなってもらわないと。

 

 彼女はもうこの時からいろいろやっていたらしい・・・と先ほどの「調子乗ってる」と言われたという事から推測できる。

 たぶん、金持ちへの嫉妬や憎悪だろう。けれど、他人にどうこう言われたぐらいで自分の在り方を変える必要がどこにある?ないだろ?

 

「だからどうした?」

「えっ」

 

 こころはキョトンとした顔をして俺を見つめる。

 

「君がやりたい事をしているのに他人に言われる筋合いはない。」

「こころ!」

「え?」

 

 気づけば彼女は泣き止んでおり、目元が赤くなっていた。

 

「こころって呼んで!わたっ……あたしのこと!」

「分かった、こころ。他人から悪口を言われるのなら、こころ。それを笑顔に変えてしまうくらい、巻き込んでしまえ」

 

 こう言っちゃったけど未来の彼女は何もかも巻き込んでたし、大丈夫だよな?大丈夫だ・・・よね?

 

 うん、大丈夫だ・・・たぶん。

 

「巻き…………込む?」

「そうだ、こころがやりたい事の中にそいつらを何もかも巻き込んでしまえ」

「素敵ね、それ!」

「…………」

 

 ナワケナイダロ!巻き込まれる側からしたらたまったもんじゃない。でも、こう言わないとなんか終わる気がする。

 

「ありがとう!悩みがさっぱりなくなったわ」

 

 ポジティブなるの早すぎます。本当にあなた、悩んでたの?

 

「ねぇ、あなたの名前はなんて言うの?」

「光夜だ」

 

 苗字は言わない。バレて家から拉致られたくないしな。偽名言うと後々バレた時、黒服にOHANASHIされちゃう...

 

「光夜ね、ありがとう。また(・・)会いましょう」

 

 と言って公園を去って行き、その後を黒服が追って行った。

 

 

 ええ(困惑)

 

 

 えっ、マジか。未来の皆さんごめんなさい。

 

 俺はとんでもない事をしてしまったようです。まぁ、でも俺が焚きつけなくても遅かれ早かれそうなってたよな?美咲がストッパー役になる前からいろいろやらかしてたみたいだし。

 

 

 先に言っておく、美咲すまん!!!

 

 

 

 

 HAHAHA、俺は知らんぞ。

 




超超超ポジティブ(バカ)

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