バンドリの世界に転生したって?   作:0やK

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Happy Valentine's Day!


バレンタインと病み 再び

 

 

 2月13日

 

 

 

 嗚呼、今年もやって来てしまった。

 

 

 

 

 そう、バレンタインデーだ。

 

 

 

 

 自惚れているわけではないが、今年もチョコをたくさん貰うだろう。去年はヤバかったからな……香澄と明日香が。

 

 アレはヤヴァイ、とにかくヤヴァイ(語彙力)

 あの目からスッと消えていくのは本当にヤヴァイ。

 

 だから、俺は決めた。

 

 

 バレンタインデーは学校に行かない……と。

 

 

 そもそも学校に行かなければチョコを貰うことなどないのだ!よって、欠席する。次の日も渡される可能性があるから、2日欠席する。

 

 

 

 HAHAHA、行ける!行けるぞ!今年はこれで勝つる!

 

 

 何に勝つのかって?HAHAHA、なんだろ?

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 2月14日

 

 

 あっれー?おっかしいな〜?なんで俺、登校しているんだろ?俺の計画は完璧だったはずだ。

 

 

 学校を2日欠席する

   ↓

 バレンタイン(今日)が木曜なので明日も欠席すれば土日になるからさすがにチョコは渡されないだろう

   ↓

  これで勝つる!

 

 

 なのに………

 

「光夜?いつまで寝てるの?アンタが香澄たちより遅いなんて珍しいわね」

「母さん、俺、体調が少し……」

「はいはい、そういう年頃だもんね。サボりたくもなるけど、特に今日はバレンタインだから行ってらっしゃい。今年もチョコたくさん貰うんでしょ?告白とかされたりしてね……ちゃんと女の子からの気持ちを貰って来なさい」

 

 そういう年頃ってなんですか?あと、女の子からの気持ち貰うってなんです?告白?知りませんねぇ。気持ちっていうのはチョコだよ………ね?

 

「行かなきゃ……ダメ?」

「うん、行ってらっしゃい」

 

 母さんはちゃんと行ってらっしゃいって言っているのに俺の脳内では「逝ってらっしゃい」に変換されるのは何故だろう?

 

「はい、紙袋」

「……ゑ?」

「絶対にエナメルだけじゃ入りきらないと思うから」

 

 大きめの紙袋を2つ受け取り、朝食を済ませた後、登校することになった。

 

 

 

 学校

 

 

「と、戸山くん!受け取ってください」

「戸山くん、義理だけどあげるわ」

「ふ、ふん、どうしてもって言うのならあげる」

「センパイ、どうぞ」

「戸山先輩!チョ、チョコ、受け取ってくれますか?」

 

 

 わーい、たくさん貰えて嬉しいなぁ〜。

 

 今年は後輩も加わった為、去年よりチョコの量が増えてる。 話したことない知らない子までくれるのは何故に!?去年と同じく、名前を書いていく。みんな、手渡しでくれたから下駄箱や机の中に名無しで入っているということはなかった。どうやら去年、全員にお返しした事が伝わっているらしい。

 ただでさえ、エナメルと紙袋1つがパンパンなのに、追加で美術部の女子からトドメよと言わんばかりにたくさん貰う。

 

 うん、みんなありがとうね。お返しはちゃんとするから(白目)

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 パンパンのエナメルを肩から下げ、両手には溢れんばかりの小包に包まれたチョコの箱が入った紙袋を持ち、俺は帰宅していた。

 

 はぁ、マジでどうしよう。

 

 思い出されるのは去年の香澄と明日香。お兄ちゃん大好きって言って慕ってくれるのは嬉しいんだけどね……。構いすぎたせいか?うーん、分からん笑

 

 さて、まだ諦める時ではない。香澄と明日香にバレずにこのチョコの山を隠せば俺の勝利や。

 

 

 よく言うではないか

 

 

「諦めたらそこで試合終了だよ?」

「Never give up!」

 

 

 …………と。

 

 

 ふふふ、大丈夫だ。諦めない限り、希望はある!あれこれ考えているうちに家に着いた。

 

 

 さあ、ここからが勝負だ!

 

 

 

 

 

 

   ガチャ

 

 

 

 

 

 

「あっ!お帰り!お兄ちゃ……?」

「お兄ちゃん、お……かえり...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オワタ\(^o^)/

 

 

 

 

 

 

 

 希望なんてものはなかったんや。最初から詰んでいたというわけか。

 

 

 

 香澄と明日香の視線の先はパンパンのエナメルバックと紙袋だ。

 

 

「ねぇ、お兄ちゃん?」

 

 ひっく。香澄の声、ひっく。小学3年生の9歳が出すような声じゃない。それに………はい!ありがとうございます!ハイライトが見事に消えてますね。ふぇぇ。

 

「は、はい」

 

 一度あることは二度ある。うん、だろうね。俺の現状が物語っているもんね。去年と同じ状況ですわ。

 香澄から視線をずらし、明日香を見ると………はい!この()もハイライトがありません。ふぇぇ、無言で見つめてくるから余計に怖いよ。

 

「どうして?香澄とあっちゃんのだけじゃダメなの?」

 

 いや、そうしたいのは山々なんですが世間(みんな)が許してくれなさそうで……。

 

「………お兄ちゃん」

 

 香澄よりも明日香が怖い。なんで香澄より目が濁ってるの?それよりこの状況をどうにかしないと。これはあまりしたくはなかったんだが仕方あるまい。

 

 エナメルバックを下ろし、紙袋を置いて……

 

「香澄、明日香」

 

 香澄と明日香に近づき、2人の頭を俺の胸元あたりに抱き寄せてから軽く声に張りをつけ、落ち着いた声、所謂イケボで香澄と明日香に語りかける。

 

「これはみんな義理だから。それに義理より香澄と明日香から貰ったチョコの方がお兄ちゃんは嬉しいぞ」

 

 嘘は言っていない。実際、告白はされてないし、ラブレターなるものや手紙もなかった。貰えるのはうれしいが、やはり一番嬉しいのは香澄と明日香からのチョコだ。

 

「じゃ、じゃあ、明日香、チョコ持ってくるねお兄ちゃん」

「か、香澄も!」

 

 香澄と明日香を離し、軽く頭を撫でてやる。

 ふぅ〜、なんとかなったな。無事、ハイライトさんも仕事している事だし、結果オーライかな。心なしか香澄と明日香の頰が赤かった。

 

 

 

香澄と明日香のチョコは美味しかったです。香澄はやはりと言うべきか星型のチョコ。明日香はハート型。

 

 

 

 バレンタインから2週間、香澄と明日香は俺にべったりだった。このままじゃ数年後どうなることやら。少し距離を置くべきだな。仕方ない。これも愛する妹たちのためだ。明日から少しずつ距離を置くか、具体的には俺が香澄と明日香に構わないこと。

 

 

 

 バレンタイン。来年は受験だし、私立受験の人もいるから学校はお休みだっていうから大丈夫だな。うん、安心。

 

 

 『二度あることは三度ある』ってあるけど大丈夫だよね?ね?


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