原作開始直前あたりに戸山姉妹の話を予定しているからです。
ほんとは原作後に話を飛ばしたいんだけど脈絡は大事だし、後々それが話のネタにできるからね。
高校を卒業してから1週間後、事務所に呼び出された俺は戸田さんからこう告げられた。
戸田さんとは俺が高校1年生、事務所に所属してからの付き合いになる。
「おめでとう、戸山くん。君のデビューが決まった」
…………………はい?
「はははっ、嬉しすぎて言葉も出ないか」
違います。
急にデビューだなんて言われて、思考が少し止まっただけです。
それに………
「ということは………つまり……」
「ああ、
「はぁ、よかったです」
「ふっ、それは何よりだ。君は歌手としては無名だが、
「……うっ」
そう、何を隠そう。俺はもうすでにデビューしている。
いや、別に歌手になるのを諦めたわけじゃない。
これには
それに現にこうして、歌手としてデビューが決まったと言っているのが答えだ。
そもそもの話、俺がタレントデビューして2年半も活動しているのはこの戸田さんが原因である。
それは3年前……ちーちゃんと再会した後の事だ。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
3年前 8月
ちーちゃんと連絡先を交換して別れた俺は応接間へと向かう。
コンコンコン
ドアを3回ノックする。
2回じゃないのって?それはトイレだよ?
昔、調べた国際標準マナーによると
2回のノックは、トイレ。
3回のノックは、家族・友人・恋人などの親しい相手。
4回以上のノックは、初めて訪れた場所や礼儀が必要な相手。
うん、4回以上とかどんだけノックするんだよ。しつこいわ。だから、日本では面接とか3回が適切になったんだろうよ。
「入ってくれ」
中に入り、お互い軽く挨拶を交わす。
今日、俺に話があるという人、戸田さんは話を切り出した。
「戸山くん。君、カラオケバトルに出てみないかい?」
「………はい?」
「おお、そうかそうか。出るのだな。とは言っても番組に出るためには応募する必要があるが、君なら大丈夫だろ」
どうして俺の周りには「君なら大丈夫だよ」と言う人ばかりなのだろうか?何を根拠に言ってるんですかねぇ。
それと俺が言ったのは疑問形の「はい」であって、肯定する「はい」じゃないよ!?
それにしても………カラオケバトルか。
カラオケバトル。
毎週カラオケ大会を開催して、歌のプロ、アマチュアを問わず、カラオケマシンが採点した得点によって、出場者の中から優勝者を決める人気の歌番組。
LIVE DEMの精密くんDXを使って採点し、点数を競い合う事で有名。
応募条件はLIVE DEMの精密くんDXで歌い85点以上であること。それを送り、その中から選ばれるというわけだ。
このカラオケバトルの番組、俺は毎週観ている。いや、俺一人で見ているわけではないから家族全員と言っておこうか。家族全員、この番組が大好きだ。
「どうしてこの番組に出ろと?」
意図がわからないので聞いてみると
「今はまだ話せない。だから、カラオケバトルに出るか出ないかは君に任せる」
…………おい!
今はって言ったから、とりあえず出てね?結果が出たら話すよってことか?
「………出ます」
「おお、そうか。すまんな、まだ詳しい事は話せないんだ」
やってやんよ!でるからには優勝だ!
こうして俺はカラオケバトル出場にするべく応募するのを決めるのだった。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
結果、本戦出場つまり番組に出ることになった。応募は100点の画像と動画を送りましたよ?当たり前だよなぁ。
ちなみに曲は『TOMORROW』
泣くのはかっこ悪いことではない、涙が明日の糧になるという前向きな歌詞で元気をもらえる曲だ。
本戦の予選でこの曲を歌う。あとは決勝で歌う曲だな。
決勝曲をどうするか迷っているとちーちゃんから連絡が来た。ちーちゃんとは、ほぼ毎日L○NEしている。ちーちゃんと連絡先を交換した日の夜からL○NEがたくさん来るのだ。本当に「後で」だったよ。そして、趣味や好きな食べ物など根掘り葉掘り聞かれた。
途中、「ご、ごめんなさい。こんなにしつこく聞いて迷惑でしたよね?」と本当に申し訳なさそうにしてたけどさ、俺は知ってるんだよ?その純情さが5年後には黒く染まってしまうのを。表は白、裏は黒で密接だから表裏一体かな?
なるほど、「白鷺」が「黒鷺」になるのか……。
ふぇぇ、そんなちーちゃん見たくないよぉ〜。
そのうち、ちーちゃんって呼ばないで下さいって言われるかもな。
香澄と明日香にカラオケバトルと芸能界のことは言えないから、ちーちゃんに相談しようかな?
センパイだからね、カラオケバトルは全く関係ないけど笑
数日後、俺とちーちゃんはカラオケに来ていた。
※ちーちゃんのご両親から許可をいただいてます。