バンドリの世界に転生したって?   作:0やK

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トークこころ

「あの、こころ?こころの部屋にはいつ着くのかな?」

「まだよ?」

 

 ……デスヨネ。分かってはいたけどさ、広すぎじゃない?もう10分以上歩いているのに、一向に着く気配がない。

 

 

 さらに歩くこと10分後。

 

 

 

「ここがあたしの部屋よ!」

 

 こころは3mぐらいあるアーチ状の扉を開け、両手を広げて言う。

 

「あたしの部屋に入るのはお父様、お母様と黒い服の人たち以外ではあなたが初めてよ!」

 

 初めて……なるほどなるほど。

 

 ……フヘヘ。おっと、いけね。

 

「それじゃあ、失礼します」

 

 中に入るとそこは……

 

 上を見上げると広い部屋を照らすシャンデリア。

 お姫様ベッドと言える天蓋付きベッド、そのベッドには可愛いらしいぬいぐるみがある。他にも80インチは超えているテレビに座り心地が良さそうなソファ、カーペットなどあげればきりがないが、どれもこれも高級なものに違いはあるまい。

 

「どうかしら?」

「・・・すごいな」

 

 こころの部屋、教室4つ分はくだらない広さだぞ。こんなに広くてこころは寂しくなったり怖くなったりしないのかな?

 それにしてもぬいぐるみはくまさんが多いな・・・ミッシェルはどこですか?原作開始後にはこころの部屋の至る所にミッシェルのグッズがありそうだ。

 

「よかったわ!それじゃあ、お話しましょ!」

 

 ソファは2つあり、真ん中の長机を挟むような形で配置されている。

 こころはソファに座ると空いている隣を手でポンポンと叩いた。

 

 あ、隣に座れってことね。さて、何を話すことやら……。

 

「こころさま、お菓子とお飲み物をお持ちしました」

「うおぉ!?」

 

 いきなり背後から声が聞こえて、驚きとともに俺は立ち上がった。

 

「光夜?どうかしたのかしら?」

 

 どうかしたって、いきなり背後から黒服の声がしたんだぞ?誰でも驚くわ。黒服さん?ナチュラルに気配を消すのやめよ?

 

「い、いや、何でもないよ」

「戸山様」

「はい?」

「常に平常心でございます。それともう少し余裕を持っているとよろしいかと……」

 

 そう言って黒服はお菓子と飲み物を置き、こころの部屋から出て行った。

 へ、平常心か。余裕って黒服にバレてらぁ。黒服の人には何もかもお見通しなのだろう。俺はリムジンに乗った時からそわそわして落ち着かなかった。だって、弦巻家だぞ!?誰でも弦巻家に入ったらこうなると思う。

 

「光夜?」

「ああ、大丈夫だよ。じゃあ、話そうか?」

 

 

 だいじょばないけど大丈夫だよ、たぶん。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 こころはぽつぽつと話し始めた。あの日、公園で俺と会ってから再会するまでの事を。

 

「それでね、光夜の言った通りに何もかも巻き込んだの!」

 

 ………そっか(白目)

 

 こころの話を会話にして要約するとこうだ。

 

「こ、こころだぁ!?逃げろぉ!」

「あら?鬼ごっこかしら?いいわよ!待て〜」

 

「何を描いているのかしら?」

「つ、弦巻さん。えっと、その……」

 

「げっ、弦巻こころ」

「あら?どうかしたの?」

 

「や、やべぇ、弦巻こころだ」

「また鬼ごっこかしら?いいわよ!」

 

「つ、弦巻さん!?門の上に登ってはいけません!」

「あら?あそこで何やっているのかしら?えいっ」

「あ、こら!弦巻さん!待ちなさい!」

 

「こころ!今日こそ、お前を倒す!」

「ドッジボールかしら?やりましょ!」

「や、ヤメロォォ!」

「あはは、楽しいわね!」

 

「こっちにいいところがあるそうよ、一緒に行きましょ!」

「え、ちょまっ」

 

 ……うん、いろいろやってるね。特にドッジボール、こころ無双していそう。自分(こころ)の世界に巻き込まれた人たち、ごめん。元凶は俺です。でも、まあ、こころが楽しそうにしていて安心した。巻き込まれた人たちのことは知らないけど笑

 

「それでね、毎日がハッピー、スマイルなの!」

 

お、『ハッピー!ラッキー!スマイル!イエーイ!』かな?

 

「光夜のおかげよ」

 

 超超超ポジティブなこころのことだ。俺が巻き込んでしまえと言わなくても遅かれ早かれ巻き込んでいただろう。巻き込んだ先にあるのは笑顔。不思議だよなぁ。

 

「それはよかった」

 

 自分でも頰が緩むのが分かる。

 

「それで光夜はどうしてテレビに出ていたのかしら?」

 

 あー、やっぱりそれが気になるか。

 

「カラオケバトルのこと?」

「そうよ!光夜の歌、とっても上手だったわ!TOMORROWと奏(かなで)だったかしら?いい曲ね!」

「ありがとう、テレビに出ていたのは応募したからだよ。歌は自信があってね。それもあるけど、デビューするためかな」

「……デビュー?」

「まだひよっこだけどさ、芸能人なんだ」

「すごいわ!光夜はテレビに出るような有名人になるってことでしょ!」

 

 概ねそれで合ってるかな。

 

「うん、まあ、本当にひよっこだけどね」

 

 

 その後、昼をこころと一緒に食べた。時間というのは本当にあっという間で、こころからのマシンガントークが止まらず16時がすぎた。そろそろ帰ると言うと、リムジンにこころも乗り込み家まで見送ってくれたがこころに家の場所がバレてしまった。いつかウチに突然来そうで今からヒヤヒヤしちゃいそうだ。

 

 

 最後にこころは

 

「光夜!また今度(・・・・)お話ししましょ!」

 

 と、また今度という不安しか残らない言葉を残して行った。こころと香澄が原作開始するまでは会いませんように……。

 俺は去って行くリムジンを見て、そう願うのだった。

 


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