開始あとは3000〜5000字にします。
『バレンタインと病み』より
「……香澄よ」
「んー、なに?お兄ちゃん?」
「そろそろお兄ちゃんから離れない?」
「やっ」
「」
今の俺の状況を説明すると、香澄がひしっと俺の右腕に腕を絡ませている。右腕に腕を絡ませてひっついてくるのはいつもの事なのだが、バレンタイン以来、香澄と明日香の甘え度が激しい。甘え度は香澄と明日香が「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」と構って欲しい度合いの事だ。甘えてくれるのはすごく嬉しいけど、おはようからおやすみまで1日はちょっと疲れるかな。いや、ちょっとじゃないよ!?すごく疲れるよ!嬉しいんだけど嬉しいんだけど………さすがに1日中ひっつくのやめない?二人ともよく疲れないな。
最近、学校のない日は俺を逃すまいとずっとひっついてるし、これじゃひっつき虫ならぬひっつき妹だよ。
香澄の事は後回しにするかと自分の膝元に視線を移す。
「明日香は………って寝てるし」
「……すぅ…すぅ」
明日香は俺の膝の上で可愛らしい小さな寝息を立てていた。30分前まで香澄と明日香、2人に両腕にひっつき、途中、明日香は俺の左膝に頭を乗せた。道理で先ほどから静かなわけだ。
「ふっ、しょうがないなぁ」
明日香の頭に手を乗せ、軽く優しく撫でる。
「あー!あっちゃん、ずるい!」
「シッー、静かに。香澄にもしてあげるから」
香澄は俺の右腕を解放すると頭を撫でろとばかりに頭を出してくる。
「よしよし」
「ふにぁ〜」
まったく……姉妹揃って自由気ままな猫だ。
ま、こんな日常も悪くはない。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
『泣くのはおよし、こころ』より
ここは弦巻家の執務室。その一室に一人の男と黒服の女性がいる。
「ふむ、それで最近のこころについてだが……」
「はい、こちらでございます」
「……仕事が早いな。さすがだ」
「恐縮です」
この男、弦巻
晴翔は黒服の女性から渡された書類に目を通す。
「ほぉ、これは……」
そこには戸山光夜について、身長・体重から趣味、好きな食べ物、学力など、顔写真付きで余すことなく記されている。
「なかなか見所がある少年じゃないか」
「……っ!?」
「どうかしたかね?」
「い、いえ」
晴翔が下した評価は意外にも高かった。それ故に黒服の女性は驚いたのだろう。晴翔は仕事柄、日本だけでなく世界中の人と関わる。いろんな人と接してきたせいか顔を見ただけで人を見極めることができるようになっていた。
その弦巻グループ、総帥になかなか見所があると言われたのだ。黒服の女性が驚くのも無理はない。
「最近、こころが暗くて心配していたんだが……どうやらこの少年が解決してくれたようだね。この少年の経歴を全てまとめてきたということはそういうことだろう?」
「はい、戸山光夜様……戸山様はこころさまが公園で泣いておられるところを声を掛けられ、お話されました。それからでした、こころさまが常に笑うようになったのは……」
「つまり、この少年……戸山くんがこころに何か笑顔になるような話をした……と。ふっ、彼が
「承知いたしました」
こうして光夜の知らないうちに弦巻家から歓迎されることが決まった。それと同時にこころが再会を望むまで光夜の安全が保証されたのであった。