分かる人には分かる...はず
6月が過ぎて7月に入った。昼夜を問わずセミが鳴いてる。
夜、セミ鳴くくなよ。求愛だと思うと・・・うん。マジ卍、マジ卍ってマジ便利!
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毎週ではないが2週間に1回は母さんと香澄について行く。そして今、毎週ついて行かなかったことを激しく後悔した。
香澄が自転車に乗れるようになっていた。
補助輪なしで。
嘘でしょ!?
俺とあんなに練習しても乗れなかったのに・・・。
はぐみちゃんと一緒だと乗れたのか!?許すまじ!だって、香澄が自転車に乗れる歴史的瞬間だぞ?
可愛い可愛い妹が自転車に乗って、「ばびゅーん」する瞬間に立ち会えなかったなんて・・・。
香澄の兄失格だ。
え?それは親の役目だって?知らんがなそんなこと。明日香の時は絶対に立ち会うんだ。フラグではないと思いたい。
※もちろん、立ち会えませんでした。
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6月の第4週の日曜日に、はぐみちゃんと香澄はベンチで七夕の短冊に願い事を書いていた。
短冊を持っていたはぐみちゃんが
「たなばたのねがいごとをかくかみなんだー!ここにねがいごとをかくと、かなっちゃうんだって!」
と言ったからだ。それを聞いて香澄は俺に
「ほんとにかなうの?」
と不安げな顔で聞いてきたから、俺が今できるとびっきりの笑顔で
「そうだね、香澄が願えばね」
と答えておいた。断じてマジキチスマイルではない。
子どもの夢を壊してはならん。それが大人ってもんだろ?あ、自分も子どもやったわ笑
残酷なことを言ってしまえば、
『願えば叶う、祈れば通じる』
そんな夢物語など、どこにもありはしない。
どこぞの桜の木だよって話だ。それが許されるのは物語だけだ。
しかし、ここは現実。
転生前となんら変わりのない世界だ。
いつかきっと事実を知る日が来るのだ。そう遠くない未来に。世界はそんな綺麗事だけでは済まされないということを。
それでもさ、夢が叶わなくても夢を見続けることは素敵だと思わんかね?そんでもって、夢があるやつは強い。
タイトルがDream!ってあるからね
ま、現実を知るまでは、そっと見守って行こう。そっとね。
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ついに来てしまった。
はぐみちゃんと香澄が一緒に遊べる時間に終わりを告げる時が。端的に言うと公園が工事の為、閉鎖したのだ。
俺は数週間前から公園の入り口付近に、看板が立っているのを知っていたから驚きはしない。それはこの公園をなくして、新しく建物を建てるという旨の看板だった。
母さんとはぐみの母もこの事を知ってはいたのだが、はぐみちゃんと香澄が仲良く遊んでいるのを見て、言うにも言えなかったのだろう。
母親たちがどうにかしようとあたふたしていると、とうとうはぐみちゃんと香澄が泣き出した。ヤダヤダと駄々をこね、泣き止まない。
どうにかしなくていいのか?と意を込めて母親たちを見る。
え、何その目?俺にどうにかしろと?ハイハイ、お兄ちゃんがどうにかしますよ。
「なぁ、はぐみちゃん、香澄。」
彼女たちの目線に合わせるようにしゃがみ込む。
「う''う''、グズン、おにいちゃん」
「ゔ''ん''、かすみちゃんのにいぢゃん」
二人からダラダラと垂れ流している鼻水をかませ、ゆっくりと語りかける。ポケットティッシュとハンカチは常に持ち歩くもの。常識だよ?
「二人は、お別れだから泣いてるの?」
「「うん」」
なるほど、じゃあ・・・
「もう一生、もうこれから会えないってわけじゃないんだよ?」
「え?そうなの?」
「ふぇえ?」
これで納得してもらうしかないよなぁ。てか、ふぇぇって既視感を覚えるぞ。
「ああ、しばらく会えないし、遊べない。でもね、はぐみちゃんと香澄が大きくなったらまた遊べるんだよ?」
会える保証なんてどこにもないのに、口から出まかせを言う。
まあ、高校で再会するはずだ。香澄が違う高校行ったら詰みだけどな。
「だから、泣くことはないんだよ。また、会えるのだから」
もう何言ってんだコイツレベルである。
「うん、わかった!おにいちゃんがそういうんだもん!」
「はぐみもわかったよ!」
ウッ、ま、眩しすぎる。
ごめんよ、香澄。こんなお兄ちゃんで。ごめんよ、はぐみちゃん。こんなのが香澄の兄ちゃんで。
俺は 改めて、子どもの純粋さを思い知るのであった。
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余談だがその後、はぐみちゃんと香澄はゆびきりげんまんをした。
なぜか、俺もゆびきりげんまんをさせられた。
ゆびきりした後、はぐみちゃんが
「やくそくやぶったら、はりせんぼんね」
と言ってきたときは何故か背筋が寒くなったね。
はぐみちゃんの言う約束とは香澄とだけ再会するのではなく、俺とも再会するという事だ。
ところで、はぐみちゃんとゆびきりしている間、香澄の目が据わっていたのはき、気のせいだよな?うん、きっと気のせいだ。
最後、「またね」と言い合ってバイバイした。
俺、本当に再会しなかったらどうなるんやろ・・・。