バンドリの世界に転生したって?   作:0やK

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桜の木のネタ
分かる人には分かる...はず


お別れ、そしていつか・・・

 

 6月が過ぎて7月に入った。昼夜を問わずセミが鳴いてる。

 夜、セミ鳴くくなよ。求愛だと思うと・・・うん。マジ卍、マジ卍ってマジ便利!

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

 

 

 毎週ではないが2週間に1回は母さんと香澄について行く。そして今、毎週ついて行かなかったことを激しく後悔した。

 

 香澄が自転車に乗れるようになっていた。

 

 

 補助輪なしで。

 

 嘘でしょ!?

 

 俺とあんなに練習しても乗れなかったのに・・・。

 はぐみちゃんと一緒だと乗れたのか!?許すまじ!だって、香澄が自転車に乗れる歴史的瞬間だぞ?

 可愛い可愛い妹が自転車に乗って、「ばびゅーん」する瞬間に立ち会えなかったなんて・・・。

 

 

 

 香澄の兄失格だ。

 

 

 

 え?それは親の役目だって?知らんがなそんなこと。明日香の時は絶対に立ち会うんだ。フラグではないと思いたい。

 

 

 

 

 ※もちろん、立ち会えませんでした。

 

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 6月の第4週の日曜日に、はぐみちゃんと香澄はベンチで七夕の短冊に願い事を書いていた。

 

 短冊を持っていたはぐみちゃんが

 

「たなばたのねがいごとをかくかみなんだー!ここにねがいごとをかくと、かなっちゃうんだって!」

 

 と言ったからだ。それを聞いて香澄は俺に

 

「ほんとにかなうの?」

 

 と不安げな顔で聞いてきたから、俺が今できるとびっきりの笑顔で

 

「そうだね、香澄が願えばね」

 

 と答えておいた。断じてマジキチスマイルではない。

 

 子どもの夢を壊してはならん。それが大人ってもんだろ?あ、自分も子どもやったわ笑

 残酷なことを言ってしまえば、

 

『願えば叶う、祈れば通じる』

 

 そんな夢物語など、どこにもありはしない。

 どこぞの桜の木だよって話だ。それが許されるのは物語だけだ。

 

 しかし、ここは現実。

 

 転生前となんら変わりのない世界だ。

 いつかきっと事実を知る日が来るのだ。そう遠くない未来に。世界はそんな綺麗事だけでは済まされないということを。

 それでもさ、夢が叶わなくても夢を見続けることは素敵だと思わんかね?そんでもって、夢があるやつは強い。

 

 タイトルがDream!ってあるからね

 

 ま、現実を知るまでは、そっと見守って行こう。そっとね。

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 ついに来てしまった。

 

 

 はぐみちゃんと香澄が一緒に遊べる時間に終わりを告げる時が。端的に言うと公園が工事の為、閉鎖したのだ。

 俺は数週間前から公園の入り口付近に、看板が立っているのを知っていたから驚きはしない。それはこの公園をなくして、新しく建物を建てるという旨の看板だった。

 

 母さんとはぐみの母もこの事を知ってはいたのだが、はぐみちゃんと香澄が仲良く遊んでいるのを見て、言うにも言えなかったのだろう。

 母親たちがどうにかしようとあたふたしていると、とうとうはぐみちゃんと香澄が泣き出した。ヤダヤダと駄々をこね、泣き止まない。

 

どうにかしなくていいのか?と意を込めて母親たちを見る。

 

 え、何その目?俺にどうにかしろと?ハイハイ、お兄ちゃんがどうにかしますよ。

 

「なぁ、はぐみちゃん、香澄。」

 

 彼女たちの目線に合わせるようにしゃがみ込む。

 

「う''う''、グズン、おにいちゃん」

「ゔ''ん''、かすみちゃんのにいぢゃん」

 

 二人からダラダラと垂れ流している鼻水をかませ、ゆっくりと語りかける。ポケットティッシュとハンカチは常に持ち歩くもの。常識だよ?

 

「二人は、お別れだから泣いてるの?」

「「うん」」

 

 なるほど、じゃあ・・・

 

「もう一生、もうこれから会えないってわけじゃないんだよ?」

「え?そうなの?」

「ふぇえ?」

 

 これで納得してもらうしかないよなぁ。てか、ふぇぇって既視感を覚えるぞ。

 

「ああ、しばらく会えないし、遊べない。でもね、はぐみちゃんと香澄が大きくなったらまた遊べるんだよ?」

 

 会える保証なんてどこにもないのに、口から出まかせを言う。

 まあ、高校で再会するはずだ。香澄が違う高校行ったら詰みだけどな。

 

「だから、泣くことはないんだよ。また、会えるのだから」

 

 もう何言ってんだコイツレベルである。

 

「うん、わかった!おにいちゃんがそういうんだもん!」

「はぐみもわかったよ!」

 

 ウッ、ま、眩しすぎる。

 

 ごめんよ、香澄。こんなお兄ちゃんで。ごめんよ、はぐみちゃん。こんなのが香澄の兄ちゃんで。

 俺は 改めて、子どもの純粋さを思い知るのであった。

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 余談だがその後、はぐみちゃんと香澄はゆびきりげんまんをした。

なぜか、俺もゆびきりげんまんをさせられた。

 

 ゆびきりした後、はぐみちゃんが

 

「やくそくやぶったら、はりせんぼんね」

 

 と言ってきたときは何故か背筋が寒くなったね。

 

 はぐみちゃんの言う約束とは香澄とだけ再会するのではなく、俺とも再会するという事だ。

 ところで、はぐみちゃんとゆびきりしている間、香澄の目が据わっていたのはき、気のせいだよな?うん、きっと気のせいだ。

 

 

 最後、「またね」と言い合ってバイバイした。

 

 

 俺、本当に再会しなかったらどうなるんやろ・・・。

 


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