ドラマに沿っているので原作とは全く違います…
0からのスタート
生死をかけたゲームから、あいつが姉に負けてから一年……
ゲームの参加者達は日常に戻り、新たなスタートに踏み出していた。
変わったことと言えば、銀髪の男が就活したりと氷川ユウキが在全グループに来たこと、そして、その2人が義賊に加わったことだろうか。ま、そのリーダーである彼は自分の夢を再び追いかけているからそれどころじゃないらしいけど。
え、俺?彼と同じようにあの時の夢、車椅子にはなっちゃったけど、いつか歩けるようになれたらって思いを込めてカメラマンとして修行中。今度は彼の力、借りたくないしね。
そんなこんなで今も連絡取り合ってるしそれに、新しい友達も出来た。
「おーい!ブラザー!!」
「声でけぇわ、こっちは寝不足なんだからな…」
大声で俺を呼ぶ金髪と迷惑そうな顔でそれを睨む赤髪。
どうやら今日はペアルックらしい。白いシャツにそれぞれ、ピンクとカーキ色の上着を羽織っていた。
「相変わらずだね、カズヤも小太郎も、元気そうでよかった」
俺は苦笑いを浮かべながら構えていたカメラを膝の上に置き、2人を見つめた。
「相変わらずなのはミツルもだよ?」
「一番変わんないのはお前だろ……」
いや、あんたらまとめて変わらんわっと心の中で突っ込みながらカズヤに車椅子を押してもらった。
「にしても、あの馬鹿無事かねぇ」
「あの馬鹿って、あいつのこと?」
と、俺が聞き返すと小太郎は大げさに頷いた。
「当たり前じゃないかブラザー、研究に没頭しすぎて時間忘れてそうだもん」
「あいつに限ってはありそうだな」
「うーん、まぁ、どうなんだろ……」
地味に暴言吐いてる2人に首を傾げているとある部屋に着いた。
ちらりと表札を確認しカズヤの方を向き小さく頷く。車椅子からゆっくり立ち上がり小太郎にサポートしてもらいながらゆっくり壁を使って歩き始めた。まだ、そんなに歩けないし車椅子からは離れられないけど少しなら大丈夫なようになった。
ゆっくり、相手にバレないように部屋に入り近づく。
カタカタとキーボードを打つ音、猫背でパソコンを見つめほんの少し笑みを浮かべている。
よし、バレてない、そして、後ろからそーっと抱きつこうとした瞬間……
「なにしてんの?ミツル」
と、黒髪の綺麗な顔立ちをした青年が振り向き俺を優しく抱き寄せた。
「いつから、気づいてたの……?」
「んー、ミツルが部屋に入ってきた時ぐらいからかな」
視界の端って意外と敏感なんだよっと苦笑いする青年ーー宇海零は膝の上に俺を乗せ、落ちないようにしっかり抱きしめた。
「零にはかなわないなぁ……」
「んなことないよ、いつまでも、俺はミツルに勝てないもん」
「何言ってんだか、天才勝負師が」
「元、だよ、今はただの宇宙物理学者」
苦笑いをしながら先程までやっていたであろう暗号を見つめていた。
「そこ、2人の空間作らない」
「零とミツルのくせに……」
「嫉妬?」
「違うわ!そもそも、君たちそんなイチャイチャして、付き合ってるのか?」
「ねーだろそれは……零鈍感野郎だし」
カズヤと小太郎の暴言と零のド天然回答をスルーすることにした。というか、突っ込みきれないから諦めた。
「はいはい、そこまでにしなさい、目的忘れたらダメだろ?」
「はーい」なんて子供みたいな返事をする、カズヤと小太郎、頭にはてなマークを浮かべる零。
やっぱりこいつ馬鹿だわと思いながら小太郎から花束を受け取り零に渡した。
「誕生日、おめでとう」
キョトンとしていたがすぐになんの事かわかり「ありがとう」と言って花束を受け取っていた。
「あ、あとさ、こんなの見つけたんだけど…」
と、小太郎が一枚の写真をポケットから取り出し俺たちに差し出した。
5、6才と言った所だろうか、幼い四人の少年達が右手に天に向かって手を合わせていた。そして、その右手には……
「黒い紐?」
怪訝そうに零が呟いた。小太郎は頷き「しかも、これ、見覚えない?」と彼にしては珍しく、真面目な表情で言った。
よーく顔を見るとどこかで見たような気がした。
小太郎が不意に写真を裏返すと15年前の今日の日付と……
「『後藤ミツル、城山小太郎、山口カズヤ、宇海零』って……」
いつも、冷静なカズヤが低い声で呟いた。零も驚きを隠せていない。
「俺たち、15年前に既に出会ってたみたいだね」
そうみたいだなと、小さく苦笑いを浮かべた。
俺たちの手元にはもう、あの黒い紐はない。
でもーー
「僕達は見えない紐で繋がってるみたいだな」
「うわ、零のくせに詩的〜」
「べ、別にいいだろ」
「ま、零は全教科出来たもんね」
「お願いだから拗ねないで」
騒がしい日々と、15年振りの4人の再開。
零の言うとうり、僕らの旅路には見えない紐があって、来た道と行く先を結びつけているのかもしれない。
窓の外は0(どん底)からやり直す僕らを照らすように綺麗な青空だったーー