ロマンシングサガ2 東方 ~緋色の運命~   作:四口一人

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第12話

 帝国暦 995年 バレンヌ帝国 帝都アバロン正門広場

 

 私が正門に駆け付けた時、状況はかなり悪くなっていた。

 正門内側では即席のバリケードが作られ、そこでゴブリンとの攻防が続いていた。本来ならば城門の跳ね橋を閉じゴブリンが攻め込めないようにすべきだが既に城門内部まで攻め込まれており跳ね橋の操作ができない。ゴブリンの数はかなり多く、かつこちらの兵は少数だ。

 私は状況を把握するため辺りを観察し正門外の惨状に気が付いた。兵と共に何人も農民が倒れている。本来ならゴブリンの襲撃を監視している見張り兵が襲撃を報せ避難と討伐を行うのだが、貴族が騎士と一部の兵を護衛にして連れて逃げたため監視に穴が生じ農民の避難が遅れてしまったのだ。農民を見捨てて門を閉めることができず、ぎりぎりまで避難を続けた結果ゴブリンの襲撃を止めきれず正門を奪われてしまったようだ。

 私は歯噛みしつつ苦戦する兵の加勢に入る。大剣を抜いて最前線まで駆け抜け交戦中のゴブリンたちを切り飛ばす。ゴブリンの武装は石の斧、弓、棍棒など非力な武器で扱いもいまいちだ。私は大剣でまとめて2~3体を切り飛ばしていくが数で勝るゴブリンは数量でこちらを押し込んでくる。

「くっ・・・!前線を維持しろ!これ以上押し込まれるな!」

 私が加勢に入ってなお前線は押され始めていた。私は激を飛ばすがいつまで持つかは分からない。

(最悪、道連れ覚悟で突貫する・・・!)

 私が覚悟を決めたとき後ろで兵がざわついた。ゴブリンが突破したのか?確認するため振り向き、私は驚いた。

「お嬢様!?」

 バリケードの前、レミリアお嬢様が剣を抜きゴブリンに対峙していた。足は震え、腕は剣を支えるだけでやっと。顔には恐怖がありありと浮かんでいる。とても戦える状態ではない。ゴブリンが棍棒でお嬢様に襲い掛かる。悲鳴を上げ棍棒を剣で受け止めるが、そのまましりもちをついて倒れこむ。私は全力で駆け寄り、棍棒を振りかざしたゴブリンの両腕を切り落とした。

 両腕から血を噴き出しているゴブリンを蹴り倒し、私はお嬢様を怒鳴りつけた。

「なぜ・・・!?なぜこんなところに来たのですか!?死ぬおつもりですか!すぐ安全な場所へ避難してください!」

 お嬢様は私の怒声に震え上がる、だが剣を取り再び立ち上がる。

「何をしているのです!?早く・・・!」

 その声にかぶせるように、震える声でお嬢差は叫んだ。

「私は・・・私が逃げるわけにはいかない!」

 その声に辺りのゴブリンが一瞬怯む。ゴブリンを睨み付け、レミリアお嬢様は続けて叫んだ。

「私はあの人に誓った!国を支えると!民を守ると!あの人は約束を守ってくれた。今度は私が守る番!お前たちにこれ以上奪わせない。私が盾になってこの国と民を守る!」

 にらみつけるお嬢様に一瞬怯んだゴブリンだったが、その表情はせせら笑いに変わる。言葉は通じていないがやせ我慢だと伝わったのだろう。ゴブリンたちが棍棒と斧を振り上げお嬢様に襲いかかろうとする。私が割って入ろうとしたとき・・・。

 ゴブリンの頭に石が飛んできた。最初は1つだけだったが、すぐに大量の石つぶてがゴブリンに降り注ぐ。振りむけば、そこには石を拾いゴブリンに投げつける人達がいた。鎧も剣も持っていない。兵ではなく農民たちだった。

 そして、お嬢様の前に農具を持った農民達がやってくる。先頭に立った農民の男がお嬢様に告げた。

「あんなに偉そうにしていた騎士と貴族は俺たちを見捨てて逃げた。だがレミリア様。あなたは俺たちの前に立って守ろうとしてくださるんですな。まるでジェラール様みたいじゃないですか。

 ・・・ジェラール様には返しきれないほどの恩があります。もう返すことはできません。だからあなたに返させてください。」

 そう言って男は振り返る。

「俺たちも戦って守る!行くぞ!お前ら!ジェラール様の国を守れ!」

 鬨の声を上げ農具を持った農民がゴブリンたちに突撃する。その声と気迫に圧倒されゴブリンたちの勢いが一気に弱まり、おされ気味だった戦線は持ち直した。私も兵士に檄を飛ばす。

「国民達が戦線に立っているのだ!兵である私達が奮起するのは今だ!皆でやつらをこの国からたたき出せ!」

 兵たちも鬨の声を上げ突撃する。一転した反攻によってゴブリンたちは一気に崩れ逃げ出し始めた。私たちはそのまま攻勢を続けついにすべてのゴブリンをアバロンから追い出した。

 

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