ロマンシングサガ2 東方 ~緋色の運命~   作:四口一人

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第14話

 帝国暦1000年 バレンヌ帝国 帝都アバロン 城下町

 

 私達がアバロンに戻ると、国民がお姉様を取り囲んだ。

 お姉様は国民に手を振り、声を交わしながら城へ向かう。お姉様はあの時以来、ずっと国民に寄り添った皇帝としてバレンヌ帝国を治めている。

 城に戻り、美鈴達と別れ私とお姉様は玉座の間へ向かう。城の玉座の間。皇帝が腰掛ける椅子の横で私達を出迎えたのはサクヤだった。あの時お姉様に忠誠を誓った騎士は騎士長として帝国軍を率いている。指揮においても剣の腕においてもバレンヌ帝国で彼女の右に出るものはない。名実ともにサクヤはこの国で最強の騎士となっていた。

「お帰りなさいませ。陛下。」

 サクヤが恭しく頭を下げる。お姉様は玉座に座り、サクヤに討伐が無事完了したことを告げていた。

「フラン。あなたはもう下がってもいいわ。」

 お姉様は私にそう告げる。私は頭を下げた後、玉座の間を後にした。玉座の間で談笑する2人。私にとって憧れであり・・・自分の劣等感をはっきり感じる遠すぎる目標だった。

 

 

 

 

 

 

 帝国暦1000年 バレンヌ帝国 帝都アバロン 玉座の間

 

 私は玉座に腰掛け5年前のことを思い出していた。

 5年前、滅亡寸前だったバレンヌ帝国は国民の団結により持ち直した。跋扈していたモンスター達を皆で力を合わせて倒し、滅亡した国の民をバレンヌ帝国に迎え入れた。貧しい民が増える為で国は楽にならないが・・・それでも力を合わせ皆で国を支えている。今バレンヌ帝国は北バレンヌで一番大きな国だろう。最も、かつてのカイドウ王国と比べればお話にならないくらい弱小国だが。

「お嬢様・・・お話があります。」

 物思いにふける私にサクヤが話しかけてきた。サクヤは私と2人の時は昔のようにお嬢様と呼ぶ。私が彼女にそう頼んだのだ。サクヤとは皇帝と臣下ではなく・・・幼い頃からの友人としてあってほしいのだ。

「ご自身でモンスターの討伐を行うことは考え直して頂けませんか?」

 サクヤが私に告げる。最近、時折サクヤから言われている。

「サクヤ。いまだに国は荒れ国民はモンスターの脅威にさらされ続けているわ。モンスターだけじゃない。他国の侵略、飢饉、病気・・・脅威となりえるものはいくらでもある。彼らの負担を少しでも取り除くために私に出来ることがあるなら私は喜んでそれをするわ。たとえそれが命の危険があるとしてもね。」

「兵がほとんどいない5年前ならいざ知らず、今は帝国軍がモンスターの討伐を行っています。民の努力によって畑も増え、僅かですが贅沢品と言えるようなものも作る余裕も出来ています。今の帝国はお嬢様が命の危険を犯してまで戦う必要はありません。」

 私の反論にサクヤも食い下がる。サクヤからすれば心配するのは無理もないだろう。

「確かに5年前と比べて国は良くなったわ。でもバレンヌ帝国は決して一枚岩ではない・・・。元々バレンヌ帝国の国民だった人と滅んだ国から逃げ込んだ人。住処と家族を焼かれ追われた人と無事だった人。生き延びるために誰かを襲って必要なものを手に入れた人と襲われて奪われた人。対立が生まれる要因はそこらじゅうに転がっている。

 でも彼らは私を信じてついてきてくれる。それは5年前に私が皆を守ると誓い今でもそれを果たしているからよ。

 バレンヌ帝国がここまでやってこられたのは民が私のことを信じてくれているから。なら私はその信頼にこたえる姿を見せなければならない。そうして見せた姿が新しい民の信頼に変わり国を支える力になる。それが私が自ら戦う理由よ。」

「・・・それでしたら私もお嬢様と共にお連れください。美鈴達は優秀ですが、私もお嬢様のお役に立てます。」

 サクヤは私が戦うことを認めるものの引き下がらない。サクヤの一番の望みは私を守ることだ。にもかかわらず危険な戦いのときに私の傍にいられないのはもどかしいだろう。しかし・・・

「駄目よ。私がいない間この国を守ることが出来る存在がいる。それはサクヤ以外に任せられないわ。」

 私はサクヤにはっきりと言い放った。

「お嬢様・・・。」

「この話はおしまいよ、サクヤ。心配しないで。美鈴達は優秀よ。それにあなた以外の指揮官も育ち始めている。いずれはあなたと一緒に出かけられる日も来るでしょう。それまで待ってくれないかしら?」

「・・・かしこまりました。お嬢様。」

 サクヤは引き下がった。そのとき文官がやってきて私に報告する。

「陛下。アバロン北西の村がモンスターに襲われたそうです。現在討伐部隊が出払っており動かせる部隊がありません。最も早く戻る予定の部隊でもあと3日先になります。いかが致しましょう?」

 私の答えは決まっている。

「私が行くわ!詳しい状況を教えて頂戴!」

 

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