ロマンシングサガ2 東方 ~緋色の運命~   作:四口一人

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第24話

 帝国暦1000年 バレンヌ帝国 帝都アバロン 会議室

 

 緊急で開かれた軍義。参加者の顔つきは皆険しかった。それはそうだろう。斥候から上がってきた報告は厳しい現実を突きつけていた。

「敵の規模は確認できただけで7000体以上、未確認も合わせれば推定10000体を超えるモンスターの群れ。それらが現在アバロンを目指し侵攻中です。

 モンスターの群れは七英雄 正邪が指揮しており、アバロンとソーモン間の国や町はモンスターの侵攻を受け壊滅状態とのことです。モンスターはアンデッドを中心に構成されており、飛行タイプや城壁を破壊できる大型モンスターも確認されています。

 アンデッドは動きが遅いため侵攻速度は遅めですが、それでも7日後にはアバロンまで侵攻されることが予想されます。

 一方、こちらの戦力は帝国領全土の兵をかき集めても4000強・・・また国境付近の兵は招集に間に合わない恐れもあります。」

 文官からの説明を私は黙って聞いていた。戦うには厳しすぎる状態。打って出るにしても篭城するにしても勝機はほとんどないだろう。

「和平の可能性はないだろうか?もともと敵はこちらを従属させたがっていたはずだ・・・。」

「馬鹿を言うな!奴は国庫の財産全てと国民のほとんどを奴隷として要求したのだぞ!従属ではなく隷属だ!」

「いまから帝国民を南バレンヌへ非難させることは・・・?」

「不可能だ。時間も移動のための船や馬も足りん。道中でモンスターに襲われて死ぬか餓死するだけだ・・・。」

「篭城して戦うしか・・・。」

「城壁を崩されればおしまいだぞ・・・。それに増援が来るわけでもない・・・。」

 皆が口々に意見を言うが、絶望的な状況を何とかする方法は出てこない。皆の意見がまとまらず言い争いになりそうになった時、私は文官に尋ねた。

「正邪の居所は確認できた?」

「・・・現在の正確な位置は不明です。最後に確認できたのは4日前、この場所の旧カイドウ領地の町でモンスターと略奪を行っている姿が確認されています。」

「・・・モンスターたちは真っ直ぐアバロンへ進軍しているのね?」

「はい。進軍速度は遅いながらも・・・真っ直ぐアバロンを目指しています。」

 戦力差は絶望的だ。策を講じても勝てる相手ではない。正邪もそれが分かっているからまっすぐ侵攻しているのだろう。モンスターたちが多少攻撃を受けても最短距離を進み正面から叩き潰すつもりなのだ。

 つまり正邪は小細工を仕掛けてこない。ならば・・・。

「皆。作戦が出来たわ。」

 周りの視線が私に集まる。私は地図を指差しながら説明を始めた。

「地図を見て。正邪を最後に確認した町とアバロンを直線で結んだこの山、このまま行けばここを正邪たちは通過する。正邪が山に入った時点で私が囮になって正邪に奇襲をかけて逃げる。正邪をうまく山の中におびき出すの。正邪が山に入ったら山に火をつける。アンデッドなら火は有効のはず。これで正邪の取り巻きを倒すわ。

 正邪も一緒に倒せれば理想だけど、駄目だった場合は火が収まったのを見計らって正邪と直接戦って倒す。正邪がいなくなればモンスターは統率が取れなくなる。そうすれば勝機が出てくるわ。」

 私は淡々と説明をしていった。だがその内容は皇帝を囮にしてかつ皇帝ごと正邪を火攻めにする作戦だ。文官があわてて口を挟む。

「い、いえ!お待ちください!陛下が逃げた山に火を放つのですか!?陛下はどうなります!?」

「この山は以前お姉様と一緒に来たことがある。モンスターを退治した洞窟がここにあるわ。山に火を放ったら私はそこへ逃げ込む。広い洞窟だから火から逃れることは出来るはずよ。」

 私は文官の割り込みに答える。危険な作戦ではあるが無謀ではない。だが文官達の不安は晴れない。

「危険すぎます!何も陛下が囮とならなくても・・・!」

「この作戦は正邪を山へ確実におびき出さないといけない。私が直接奇襲に来たらプライドの高い正邪はきっと食いつくでしょう。私なら避難先の洞窟の場所も知っている。他の誰よりも私が適任なのよ。」

「しかし・・・!」

「アバロンまで侵攻されれば正邪を倒してもモンスターの攻撃を耐え切れないわ。アバロンに侵攻される前に正邪を倒しモンスターの統率を崩さなければなければ勝機はないの。危険は承知。それでも国を守れる可能性があるなら私は躊躇しないわ。だからどうか分かって頂戴。綱渡りだけどこれが今出来る一番確実な作戦なの。」

 私が皆を見て話す。もはや誰も異を唱えるものはいなかった。その時、私の後ろから声がかかる。

「さて陛下、その囮の役目、もちろん我々もご一緒してよろしいですね?」

 私が振り返ると、そこにはルーミアと美鈴、こあ、チルノの姿があった。

「この作戦は危険よ。無理に私についてくる必要は・・・。」

 私の言葉を遮って美鈴が口を開く。

「陛下を危機から守るのが私達の役目。そのためならば命を賭けて戦います。いつ何時でも私達は陛下をお守りします。」

「・・・ありがとう。皆。力を貸して頂戴。」

 私の言葉に美鈴が敬礼し、続けてルーミア、こあ、チルノも敬礼する。作戦は決まった。

 

 私の全てを賭けて帝国の運命を救って見せる!

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