ロマンシングサガ2 東方 ~緋色の運命~   作:四口一人

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第3話

 帝国暦 995年 カイドウ王国 王都ソーモン スカーレット邸

 

 久しぶりに帰ってきたお姉様に私は喜びを隠せないでいた。

 お姉様がバレンヌ帝国に嫁いでから9か月以上が経つ。本来ならまだお姉様が戻ってくる予定はなかった。それが急遽戻ってくることになったのは今度行われる大規模な作戦からの避難のためだった。

 北方の荒野に集結したモンスターの大群。最少でも1万体、多ければその倍以上が集まっている。このことに危機感を覚えたカイドウ王国は北バレンヌ各国に呼びかけモンスターの大討伐作戦を計画した。

 モンスターに対抗するため各国の主力軍を全てモンスター討伐に動員し荒野からモンスターが出る前に殲滅する。全ての国が主力軍を出して参加する計画は各国から反対の声が次々と上がったが北バレンヌ最大国のカイドウ王国が恫喝に等しい要請を行ったことにより全ての国が参加する大規模作戦となった。

 当然カイドウ最大貴族のスカーレット家に援助を受けるバレンヌ帝国は率先して皇帝自らが指揮する主力軍を投入することになった。しかしカイドウの威光があるとはいえ手薄となったバレンヌ帝国に敵が攻め込まない保証はなく、お姉様の身に何かあればスカーレット家からの支援が途絶えてしまう。そのことを恐れたバレンヌ帝国はお姉様を一時的にスカーレット家に戻すことにした。

 その結果、お姉様と再び会えることになったのだ。すぐに戻ることになるかもしれないがそれまではまた一緒にいられることは素直に嬉しかった。そして・・・。

「初めまして。君がフランか!レミリアからいつも話を聞いているよ。ジェラールだ。」

 そう言って握手の手を差し出す相手。お姉様の結婚相手でありバレンヌ帝国の第2皇子。ジェラール様との初対面だった。

 その後ジェラール様はスカーレット邸に招待される形で一緒に夕食の席に着くことになった。もっともジェラール様の主な話し相手は次期当主のお父様であった。現当主の祖父は時折会話に参加はするもののジェラール様にはあまり関心がないらしい。よって夕食の席ではお父様が質問しジェラール様が答える場となっていた。

「そうすると今回の作戦ではジェラール様率いる部隊はカイドウ軍と共に参加されるのですか?」

「そうなります。と言っても私が率いる部隊はほとんどありません。レミリアの護衛として動員した部隊のみですから。元々バレンヌ帝国軍は父上を元帥として兄上が指揮を執る軍ですから。」

「しかしバレンヌ帝国にはジェラール様の直属軍もあると聞いております。そちらの指揮は執られないのですか?」

「名目上は私の軍もありますが恩赦による出兵免除を受けた兵で構成された部隊がほとんどで動かせる部隊はほとんどありません。仮にあったとしても今回のような大規模な出兵であれば指揮系統を統一するため兄上に指揮権を譲渡するよう父上から要請されるでしょう。」

「なるほど・・・。そういえば今回の作戦ではレオン皇帝が直々に出陣されるとか。」

「そうですね。今回のように大規模な部隊を運用する場合は父上が全体指揮を執り前線指揮を兄上が執ります。兄上は特に前線での攻勢機会を掴むことが得意ですから。」

 このような会話がずっと続いている。正直私にはあまり興味がない。夕食が終わってもお父様はまだジェラール様を質問攻めにしている。

 皆が席を外し私も自分の部屋へ戻ろうとしたとき、お父様が不意に私を呼び止めた。

「フラン。せっかくの機会だ。ジェラール様にお聞きしたいことがあれば伺ってみなさい。」

 突然そう言われても何を聞いてよいのかわからない。戸惑った私は適当に思いついた質問を口に出した。

「ジェラール様が最も大切にされているものは何ですか?」

 その時、それまではきはきと質問に答えていたジェラール様が考えこんだ。適当に思いついた質問で考えこませてしまい申し訳なくなって謝罪の言葉を口にする。

「あの、申し訳ありません。無理に答えていただかなくても・・・」

 私がそこまで言ったとき、ジェラール様は私のほうを向いてはっきりと答えた。

「先日までは国の未来が一番大切だった。だが今は・・・君の姉上をそれ以上に思っている。」

 

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