ロマンシングサガ2 東方 ~緋色の運命~   作:四口一人

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第6話

帝国暦 995年 カイドウ王国 王都ソーモン スカーレット邸 フランドールの寝室

 

私はそのとき、自分の部屋でベッドに腰掛けていた。

お姉様がアバロンへ出発したのを見送った後、私は自分の部屋に篭っていた。一人に慣れたと思っていたがどうやら気のせいだったようだ。誰とも会う気が起きず何かをする気にもなれず、私はただベッドに座ってお姉様の事を考えていた。

どのくらい時間が経っただろうか?私は不意に、何かが割れるような音で我に返った。続けて聞こえてきたのは叫び声。ただならぬ事態を感じた私は部屋の外へ出た。外へ出たとき私の耳に聞こえたのは母の悲鳴だった。

「お母様!?」

悲鳴は父の書斎のほうから聞こえた。慌てて駆け出していく。父の書斎に行くまでの間、何回も何かが割れるような音と悲鳴が聞こえてきた。

(何が・・・何が起こっているの!?)

「お母様!」

私は書斎の扉を開け飛び込んだ。書斎の中は本が散らばり、窓が割れ散らかっている。そして、部屋の真ん中で父が倒れ・・・父を足で踏みつけるモンスターがいた。

「・・・!?」

あまりの光景に声が出ない。体が金縛りにあったように動かず、私は父を踏みつけるモンスターの姿を見ることしかできなかった。

モンスターは書斎に飛び込んできた私を見てニタァと不気味な笑みを浮かべた。こちらへ向き直りゆっくりと近づいてくる。逃げなければ・・・。そう思う頭とは裏腹に私の体は恐怖で縛り上げられ動かない。モンスターが私を掴もうと手を伸ばしてくる。

「フラン!!早く逃げなさい!」

私を叱る声が響き、モンスターの頭に本が飛んできた。モンスターが振り返り本を投げつけた相手を睨みつける。その視線の先には母がいた。モンスターに睨まれ恐怖の表情を浮かべている。私を掴もうとしたモンスターは狙いを母に変え、そちらへ一歩踏み出す。

「早く・・・!フラン・・・!」

恐怖で震えた声で私に逃げるよう訴える母。モンスターがそちらに近づいていく。私を掴もうとした手が今度は母を狙い、そしてその首を掴んだ。

母が恐怖の表情を浮かべ、続けて苦痛に歪んだ表情に変わる。母の腕がモンスターの手を必死に払いのけようとするがモンスターの手はびくともしない。そして、鈍い音が鳴り響きモンスターが手を放す。母は床に崩れ落ち倒れ伏した。うつぶせに倒れ伏した母の首はありえない方向へ曲がり私のほうを向いていた。口から血が吐き出され恐怖と苦痛が入れ混じった表情が私を見つめていた。

私は書斎から飛び出した。今起きていることが理解できず・・・、いや、理解したくなくて私は必死に逃げ出していた。自室に走って戻り、自分の部屋の前まで来たところで突然部屋の扉が乱暴に開く。扉の向こうから絶叫が響き渡り、そして全身を炎に包まれたメイドが私の部屋から放り出され廊下を転がった。メイドは悲鳴を上げあたりに炎をまき散らしながら廊下を転げまわり動かなくなった。私はメイドの惨たらしい死に様をただ茫然と眺めていた。そして私の部屋の中からモンスターがゆっくりと出てくる。モンスターはメイドの死体を愉し気に見つめ、そして振り返ってニタァと笑い私を指さした。

私は恐怖で気が付かないうちに後ずさりし何かに躓いて転んだ。そして必死に立ち上がり再び走って逃げだした。後ろを振り向けばモンスターが追いかけてきている。幸いモンスターの足はそこまで早くない。私は廊下を走り抜け玄関ホールへ続く階段を駆け下りる。何とか外まで逃げ出せば・・・。

そんな私の希望はあっさりと打ち砕かれた。玄関の扉は破壊され玄関ホールの真ん中にはモンスターが一体居座っていた。そいつは階段を駆け下りた私を見つけると立ち会がりこちらへ向かってくる。後ろには私を追いかけるモンスターが迫ってきている。逃げ場所はもうない。

「いや・・・助けて・・・。」

かすれた声しか出せない私に玄関ホールのモンスターが迫る。恐怖で完全に体が動かない。

「誰か・・・誰か・・・!」

私の助けを呼ぶ声はモンスターに届く。モンスターがそれを嘲笑い手を伸ばしてきた。母の時の光景を思い出す。もう助からない。

「ファイアーボール!」

突如私の前のモンスターが炎に包まれる。私が呆気に取られた時、燃え上がるモンスターの体が剣で二つに切り裂かれた。モンスターを切り裂いた誰かはそのまま私の横を駆け抜ける。

「二段切り!」

私の後ろに迫っていたモンスターは一撃で切り捨てられた。モンスターを切り捨てた誰かは私へ振り返った。

「フラン!大丈夫か!」

「ジェラール様!?」

私の危機に現れたのは剣を抜き勇ましく戦うジェラール様だった。

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