…今回色々な意味ではっちゃけ過ぎたね? まぁ見ててくれ。
私はここで摩耗した精神を回復させるから…おぼぁ。
○「五島列島沖海底の祈り」
・ステージ「四国沖/九州西方五島列島沖」
・難易度「甲」
・基地航空隊×2
・ギミックあり
五島列島沖の海底に謎の動きが観測された。また、敵機動部隊も接近中だ。
深海艦隊を捜索、これを捕捉撃破せよ!
…あれ、ここって?
「もしかせんでも「オレらの」とこ?」
「宿毛泊地から出撃、佐世保鎮守府近海に謎の大穴…司令官、この状況って」
大穴はともかく、まるで「2017夏イベ(EGO)」のような状況ですねぇ?
「これってよ、この大穴は女王級のヤツのがやないが?」
『(宮河さん)言いたいことは分かるわ、でも…この場合はまだ大丈夫みたい。女王ではないけど、ここの大ボスの怨みの力みたいなものが強すぎて、空間に影響を与えている段階ね。怨みの力は女王の資質のようなもので、ここまで干渉が強いのを放置してたら、それこそ後の大災害に繋がるわ』
『(谷部さん)そうですね。ここまで強い怨念を持つ深海姫を見逃していたとは…失態ですね』
こんな近くに女王級の脅威が居ただなんて…この五島列島で何が起こっているのでしょう?
『(宮河さん)それを貴方たちに調査してほしいの、このままじゃ軍備を整えるどころの話じゃないしね?』
『(谷部さん)ですね。あの大穴に潜むモノは何なのか、脅威の規模はどれほどあるのか、接近中の機動部隊を抑えつつそれを調べて下さい』
「おぅ分かったわ。…最初はルートを探るとこからかや?」
ですね。詳しく説明すると、最初はボスまでのルートが無い状態なので、それを解放していくのが始めにやることですかねぇ。
「ルート解放か…どうすればえいんや?」
はい。先ず知っておいてほしいのは、ボスルート解放には「ギミックを段階的に」解除する必要があります。全て解除すれば晴れてルートが出現します。
※e-3ギミックその1
・Bマス(空襲)で航空優勢
・LマスでS勝利
・NマスでS勝利
・基地防空 2回優勢
「中々の多さですね…?」
これを解除すると新たなルートが現れますが、まだボスまでは行けません。追加で…。
※e-3ギミックその2
・RマスでS勝利
・SマスでS勝利
…と、新しい海路の先のマスで敵艦隊を殲滅。すると?
──テコリン♪
・・・・・
「終わったかや?」
「っあ、見て下さい司令官! ボスマスに続く道が開きました!」
「(ミウスケ)後は倒すだけ…?」
『(宮河さん)えぇ。ボスのデータも概ね集め終わったわ』
『(谷部さん)どうやら五島列島沖に破棄された艦が、そのまま姫になり始めていたようですね。接敵した敵艦隊は彼女に近づこうとしていたみたい』
「(ミウスケ)深海群にスカウトしようとしてたってこと?」
『目的は不明瞭ですが、そう考えるのだ妥当でしょうね? そもそも何故あの場の娘たちが姫になったのかは分かりませんが…?』
「とにかく、敵のデータを元に作戦を立てていきましょう。それから艦隊の編成を…」
「待ってくれ」
おや、提督。どうしたんですか急に?
「ゴーヤ、こっち来ぃや」
「(伊58・ゴーヤ)みんな…ちょっといいでちか?」
ゴーヤちゃん? 何かありましたか?
「ゴーヤが皆ぁに話したいことあるち、オレに相談して来たんや」
「っえ、そうなの?」
「うん。あのね…あの大きな穴に居るのって、艦種は「潜水艦」じゃないでち?」
『(谷部さん)…! そう、ですね。よく分かりました…いえ、貴女だから理解出来たんですね?』
谷部さんの問いに頷くゴーヤちゃん。
「あの海底に居る娘たちは、色々な辛いことがあって…その上で「破棄」されて、何もかもボロボロになって、疲れて眠っている状態なんでち。それが周りで大きな戦いが続いたから、目を覚ましたんでち。きっと…あそこで眠ってる「ダレカ」が、何かの拍子に起きちゃったんでち」
つまり…2017夏イベなどに起きた我々の戦いが、彼女たち? の眠りを呼び覚ましてしまった…ということですか?
「はいでち、ゴーヤの「本体」もそこで眠ってるみたいだから感じるんでち。あの場所から…悲しみや苦しい気持ちの負の"かんじょー"みたいなものが」
「…ふーむ? 要するにオレらぁがアイツらを起こいてしもうたがやな。好きで戦いゆうわけやない、と」
「司令官、だとしても我々の管轄域で女王が誕生するのを看過出来ません。ここは佐世保鎮守府と共同で対処して、彼女を倒すことを進言します。…それが、彼女を助けることに繋がるかと」
吹雪ちゃんの言い分も尤もですが…うーん。
「…にゃあ皆、ホントにソイツを討ってえい思うか?」
「えっ?」
『どういうことですか?』
吹雪ちゃんと谷部さんの問いに、提督は真剣な表情で問いかけます。
「その娘は…何で今になって「姫」になったと思うてにゃあ? 考えるとよ、オレは"帰りたいから"やないかと思うてな? あの大穴は怨みの力で空いちゅうとして、その大元は何や考えてゴーヤの話を聞きよったら…"寂しい"ち思いが膨れ上がって、姫になってもうただけ。どういたちそう思い浮かんでな?」
「それは…」
「まぁそれだけで姫になるわけないわな。けんどな…その娘は海の底で静かに居りよった思うがよ、寂しい思い我慢して…それがオレらぁが周りでドンぱちやりよるきよ、神経逆撫でされたがなやい? ウチら他所に何しゆうが、無視するなやー…ってな?」
「…!」
吹雪ちゃんとミウちゃんは、その言葉に目を見開きます。
「そう思われますか?」
「おう、その娘はまだ何も動いてないがやろ? 怒り任せに起きたんやったら、何処かしらを攻撃するもんやない? それをせんゆうことは…何かを「待ちゆう」と思うねん」
『(宮河さん)その口ぶりだと貴方は、彼女の討伐を待って話し合いで解決出来ないか…って言いたいの?』
「…無茶を言ゆうことは分かっちゅうけんど、ソイツがどんな気持ちでそこに居るか…それを見るまで待ってくれへんやろか? 責任は…オレが取ります、お願いします」
提督は頭を下げて、運営二人に意見具申します。…ここまで真剣な提督は久しぶりですね。
『…はぁっ、分かったわ。何があるか分からないからとりあえず装備は万全にね?』
『あまり無理はしないで下さいね。向こうがこちらの話に応じないのであれば…お願いしますね?』
「ありがとうございます。…んじゃあ行こうか、吹雪」
「…はいっ」
さぁ、果たしてどうなるのか。編成はこちら。
○列島沖交渉部隊
・国後
・多摩
・葛城
・ジャーヴィス
・伊勢(改二)
・初春
「…行こうや」
提督の意思を汲み、艦隊は九州付近の大穴へと向かいます。そこに待っていたのは──
・・・・・
──ボスマス到達…敵深海群、発見。
海没処分潜水艦
五 島 沖 海 底 姫
『………』
九州より西の五島列島沖、その海面に現れた巨大な穴。それを近くで観測出来る位置まで到達した交渉部隊。
不穏な空気が感じられる中、我々の下まで近づいて来る何モノかが現れました。それこそが「五島沖海底姫」。
姿形は潜水艦の娘たちに似てますが…何でしょう、表情から考えが読み取れません。怒っているようにも見えるし、泣いているようにも見える…一番近いのは「虚しさが溢れている顔」ですかね?
「ねぇ! 貴女が五島沖海底姫でしょ? ぁあこれはこっちが勝手につけたヤツだから、言っても分からないのか…とにかく! 私たちは敵じゃないよ、貴女を…迎えに来たのっ!」
クナちゃんが立派に旗艦の役割として、向こうに事情を説明しています。
『…何デ、ココニ来タノ?』
五島沖海底姫ちゃんが疑問を呟きます、よく聞いてないと聞き逃しそうな、小さな掠れ声です。艦隊一行を睨みつける瞳は、深い闇を感じます。
「だ、だから…貴女を、迎えに」
「…イマサラ?」
「…っ!?」
五島沖海底姫ちゃんの「凄み」のある声は、大きな拒絶の感情を表しているようです。それを表すように彼女の周りは赤い光に包まれ禍々しい気配を放ちます。あまりの威圧感に艦隊一行は怯んでしまいます。
『私ハ…コノ海底デ眠ル…変ワラナイママ、ズット。愛シイミンナト、一緒二。… 起コサナイデ…! ココデ…イイノォ……ッ!』
五島沖海底姫ちゃんが威嚇すると同時に、彼女の艤装が姿を現します。
『──Goooooooon…!』
見た目は潜水艦型で、口が開き左右から腕が露出、艦尾には「魚のヒレ」が。そんな深海艤装に、五島沖海底姫ちゃんが座り込みます。
「待って! 私たちは戦いは…」
『聞キタクナイ……ッ!』
五島沖海底姫ちゃん、深海艤装から「大型魚雷」を射出…避けなければ、確実に「大破」です…!
「っ、クナ!」
──ボガァン!!
あっ!? 伊勢さんが…クナちゃんを庇って魚雷を受けました…大破です…っ!
「っ! そんな…伊勢さん…っ」
『喪イタクナイダロ、オ前タチモ…! ダカラ…モウ来ルナ、来ナクテ…イイカラ…!!』
彼女も本気のようですね。このまま何もしないはやられっぱなしになりますね…っ。
「司令官!」
「しょうがないにゃあ。…各艦、戦闘準備や。先ずは頭を冷やいたりや」
「っ、了解…」
艦隊はそのまま口火を切った五島沖海底姫ちゃんと向き合います、いよいよ始まります…彼女を迎えるために「必要な戦い」が…!
──敵艦発見、攻撃開始!
『モォ…来ナクテイイッテ…言ッタヨォ……言ッタヨォッ…? ナンデ来ルンダヨ、ココニ居ルカラ! 起コサナイデ……モォイイカラッ!!』
『Goooooooon…!』
五島沖海底姫ちゃんの深海艤装が咆哮を上げます、すると…艦隊招集されたように深海群が現れます。
海中に影が二つ、おそらく敵潜水艦でしょう。そして軽巡ツ級一隻、駆逐ハ級が二隻。潜水艦退治に時間を掛けていたらボスに逃げられてしまいます!
「うし、基地航空隊、東海部隊。先に随伴潜水艦を退かいて!」
提督の言葉を聞き入れたように、松山に設置された航空基地より基地航空隊「東海部隊」が推参します…!
──ズゥン!!
『Oooーーーッ!!?』
「敵潜水艦二隻、轟沈しました…」
「あの娘はどうや?」
「まだ大丈夫みたいです。でも…」
『……ッ!?』
五島沖海底姫ちゃんが、随伴の深海潜水艦を眼に映すと…轟沈する様を凝視していました。
『イヤ…ソンナ……「マタ」ナノ、マタ……ッ、ヤメテ……ヤメテヤメテッ!!』
眼に涙を零しながら、怒りを露わにした五島沖海底姫ちゃんは、またも深海魚雷を放とうとします。
「っ、ごめん…これも貴女を助けるために!」
クナちゃんたち対潜装備員による爆雷投下、五島沖海底姫ちゃんは魚雷発射を中断した後海中に潜航、苦い顔をして海面に建つ水柱を避け切ります。
『誰モ…ソンナコト頼ンデイナイ! 私ハモウ嫌ナンダ…アノ時ノヨウニ、愛シイ彼ラヲ守レマナイママ、悲痛ノ顔デ出テ行ク彼ラヲタダ見テイルダケナンテ…モウ…タクサンナンダヨ。戦争ハオ前タチダケデヤレバイイ、私タチヲ…巻キ込ムナ!!』
五島沖海底姫ちゃんは泣き叫ぶように、戦争の苦しさや悲しみを物語ります。確かに…戦いを当然のように受け取れる人なんて、それこそ限られていますからね。
「お前が辛いことを経験したことは、その顔を見ればよう分かる。けんどお前は…そのままでえいが? お前やって…もう一度海の上戻りたいがやろ? やきそんな姿になってまでここに居るがやろ? 本当に嫌やったら…この場にすら居らんとオレは思うきよ」
『…ッ』
「オレは…オレかて戦争は嫌や。大切なモノと別れるなんて…”辛い”ねん。お前の気持ちはそういう意味ではよう分かっとるつもりや。やき…お前やお前の仲間に無理強いをさせるような戦いは、絶対にせん。そんなことが起こらんような平和な時代っちゅうやつにしていこうや。…オレらぁの手で?」
「司令官…」
提督の過去に裏打ちされた決意、五島沖海底姫ちゃんはそれを聞いて俯いています。思うところがあるのでしょうか…?
『…ソウヤッテ、オ前タチハ平和ノタメ、国ノタメト言ッテ…結局無駄ナ犠牲ト知リツツ、ソレデモ勝ツタメニ他人ヲ平然ト切リ捨テル。ソノオカゲデ…ドレダケノ”イノチ”ガ潰エタト思ウ?』
「…っ! それは昔の状況や、今は──」
『──違ワナイ。何モ変ワラナインダヨ、オ前タチハ…「戦争」ヲシテイル、ドンナニ平和ヲ尊ボウトモ…鮮血ト硝煙ハヒトヲ狂ワセル、疑心暗鬼ハ…ヒトニ「異常」ヲ与エル…ッ、ソノ結果ガ…アノ「大敗」ナンダ…!!』
「…っ!?」
『平和ナ時代ナド…在リハシナイ、ソンナ虚言デ……ココカラ浮ク気ハナイヨ…! ココハ……暗ク、何モ無イ……。デモ、悲シミモ無イモノ…。ココデ、イイ……ッ!』
「…こんの、分からず屋!!」
提督の説得も虚しく、状況は切迫しています。
敵随伴艦は軒並み排除完了、残すは彼女…五島沖海底姫のみ。度重なる爆雷のダメージにより、彼女の先程の威圧は嘘のように掻き消え、青いオーラを纏った痛々しい姿に変貌しています。このまま行けば…撃破は間違いなく出来るでしょう。
『…仕方ないわ、このまま一気に倒してしまいましょう。しょうがないわ提督君、彼女は辛いことが多すぎた。戦いたくないなら…もう一度海に』
「駄目やっ!!」
声を荒げて宮河さんの提案を断固拒否する提督…。
「アイツはただ昔みたいになるんが怖いだけや、喪うことの恐ろしさに足が震えて動かんだけなんや! それでも…もう一度浮かびたいって思うとる。そんなアイツを倒さないかんなんて…オレにはどういても思えん!!」
「司令官…でも…っ」
吹雪ちゃんの視線はモニターの向こう側に…場面は今正に雌雄が決しようとしています。一矢報いるため深海魚雷を穿つ五島沖海底姫ちゃん、それを阻止するために爆雷投下準備をする艦隊…。
『…アァ、ヤッパリコウナルンダ。私ハ…マタ……爆雷ハ、嫌…眩シクテ…痛イ、ヨォ…!』
「…っ」
…胸が痛みます、でもこうしないと我々は……本当に、当人たちですらどうにも出来ないなんて…!
「…くっそぉ……っ!」
提督も思わず涙が零れ落ちます。…この状況は…もう、止めることは…誰にも…っ。
「………」
──そう、なら、仕方、ないよ、ね?
「…っ! 今のは…”ミウ”…っ!?」
執務室の全員が、その場に居た「彼女」を見つめます。ミウちゃん…声が出ないはずなのに…今、掠れた声でしたが確かに「声」を…っ!
「…すぅ──」
──し、ず、ま…れ…♪
『…!?』
「え…何この歌声? 通信機から?」
♪鎮まれ……迷える…命…は………海…に…浮かぶが…さだめ……。
例え…世界に…裏切られ……愛しい…人が…傷ついて。
悲しみが…ココロを…包んでも……貴女の変わらぬ、思い…それは何?
さぁ…進もう。
貴女の…愛した…人たち、その想い。
意味が…あったと……言える…よう、に──
『…アァ………!』
あっ、五島沖海底姫ちゃんが…オーラがみるみる内に霧散していきます。力が抜けたのか…いえ、それだけじゃなく明らかに「歌」に耳を傾けています! 動きが止まりました…!
『五島沖海底姫、行動停止。…嘘、本当に…こんなことがあるんだ…!』
「良かった…やったねミウちゃん! …ミウちゃん?」
「──ゴホッゴホッ!!」
「ミウちゃん!?」
「ミウっ!」
ミウちゃん、魂の歌声で見事戦いを止めました…しかし、無理をし過ぎたようです。右手で口を抑えて苦しそうにしています…っ。
「…ヒュ……ヒュ……」
「ミウ…ありがとう。ようやったな、ゆっくり休んでくれ」
苦しそうに息をするミウちゃんを抱きかかえ、提督は感謝の言葉を告げます。ミウちゃんも…辛そうですが笑顔で応えます。
『…意味ガアッタト、言エルヨウニ……? …ッフ、フフフ………何ダヨ……ソレ? 意味ナンカ…無カッタンダ…最初カラァッ!!』
五島沖海底姫ちゃん、怒りに任せて言葉を紡いでいきます。あの時…何があったのかを。
『ダカラ、言ッタンダ! 止メタンダヨォ! ダケド…止マッテ、クレナカッタ。皆…泣イテイタノニ…ッ、自分カラ…ソレニ…乗リ込ンデ……。デモ…何ノ意味モナクテ…最後ハ、負ケテ……ッ、マタ…繰リ返セト言ウノ? アノ悲シミヲ……ドウシテ? 私ハ…ソンナコトニナルナラ、モウ戦イタクナイ。ソンナ未来ニナンテ…意味ナンテナインダヨォ!!』
泣き叫び、大粒の涙を流す五島沖海底姫ちゃん。悲嘆に暮れる彼女は、未だ暗闇に包まれていました。
「──えい加減にせぇや!!」
『…ッ!?』
えっ!? 提督が…本気で「怒っています」。今まで彼がここまで怒気を見せたことはなかったのに…?!
「おんしゃあ…もう一遍言うてみぃ? ミウがこんだけ身体張ったっちゅうに、まだ意固地張るが?! お前がそんな悲しい顔をせんでほしいち、お前の「仲間」が願いゆうことがまだ分からんがか!!」
『…ッ!』
「繰り返す言うたな? 違うわアホっ! ”やり直す”がじゃあ! そうならんように…お前の仲間の犠牲が「無意味やない」ち、お前自身が証明せんでどうするがや!!」
「司令官…」
「ここに行きたいがやろ? やったら手ぇ伸ばせやっ、それがきっとお前の仲間たちの「祈り」じゃあっ!! ……っ、もうえいやろ…っ、これ以上…お前が傷つくことないき…!」
提督の言葉を受け、五島沖海底姫ちゃんは思い詰めた顔になり沈黙します。
誰もが沈痛な表情で、彼女の「その瞬間」を待ち侘びます。…後は君次第なんだよ?
『…………──』
──ありがとう…!
『…ッ!』
『(ソウダ…ドウシテ……忘レテタンダロウ…? 皆ハ、アノ時…)』
『(”
──ピシッ
「…! 見て、ヒビが…っ!」
艦隊の眼に映るのは、何かを悟ったような顔で己の崩壊を受け入れる五島沖海底姫ちゃんの姿…。
『モシ、ソウなラ…誰も悲しマなクテ良い世界、そンナ時代があるナら…見てミタい…!また──』
──海の…上で!
・・・・・
──数日後、提督執務室にて。
パソコンの画面に映るのは、運営鎮守府の二人。提督は…少し疲れた様子で応対していた。
「谷部さん、宮河さん。こん度は無理言うて数日お休み貰うて、ほんまにありがとうございます」
『(宮河さん)良いのよ。ミウちゃんのためでしょ、私たちもあんな凄いもの見せられたら、文句はないわ』
『(谷部さん)ですね。…それで、ミウちゃんはどう?』
谷部さんに問われ、提督は微笑んで答えた。
「大分体調は戻ったみたいで、まだ安静にせんといかんがやけんど…本人が早う戻りたい言うて聞かんき、様子見がてらこっちに移すことにしたがよ」
『そう? まぁ貴方が側に居てあげるなら、良いんじゃないかしら?』
「あはは…無理させんようにしっかりお目付けしますよって?」
宮河さんと提督は少しの談笑を交わすと、提督が心から気がかりだった「ある事柄」について谷部さんに尋ねた。
「谷部さん…あの娘はどうですか?」
『ん? …っふふ、気になりますか?』
「そりゃあもう、あんなことがあった後やし…」
『大丈夫ですよ、彼女は無事我々が保護しましたので。後は色々な整備やらチェックやらで送れますが…このイベントが終了する頃には、そちらに配備出来るかと?』
「そうですか! …良かったわぁ」
提督は心底安堵した表情で「彼女」の無事を喜びました。…本当に、幸せになってほしいですね?
『提督君、前段作戦はいよいよ最終段階よ。各鎮守府泊地は最後の防衛拠点に赴いているわ、皆待ってるだろうから、無理がないようなら早めに顔を出しておきなさい?』
「おう、 分かったわ! 宮河さん、それと谷部さん…色々ありがとうな?」
『ええ、貴方のより一層の活躍を期待しています。…でも、ゆっくり休んで下さいね?』
『じゃね!』
二人はそう会話を締め括ると、画面の電源を切った。
「…ふぅ」
「お疲れ谷部ちゃん。…ねぇ、あのミウちゃんって、谷部ちゃん的にはどう?」
「…? どう、とは? どういうことですか、宮河さん?」
「うん。あの時…あの娘の「歌声」が、弱っていたとはいえ深海の「姫」の暴走を止めた。今までは力ずくで倒さないと話すらまともにとれないモノばかりだったのに…ぶっちゃけ凄いことだよ?」
「っ! 宮河さん…それは何れ彼女の力を借りて、深海群を打破したいと聞こえますが…?」
「いやいや、私もそこまで非情じゃないよ。一回歌ってあんな状態じゃあね? でも…彼女の「歌声」には特殊な能力があって、それが深海群…女王を倒す「鍵」になるかもしれない、どうしてもそう考えちゃってさ?」
「…確かにそうかもしれませんね? でも…私は彼らなら、そんな力に頼らなくても、いつか本当に全ての深海群を「降伏」させてくれる。まだ何となくですが…そう思います」
「っ! …っふふ、そこは「仲良くなる」の方が良いんじゃない?」
「そうでしたね、あはは…」
やれやれ、二人はあぁ言ってますがどうなんでしょうね? …まっ、そんな先のこと考えても仕方ないですよね、ってなわけで次回「e4編」に続く!
○宿毛泊地ショート劇場
※うおあああ…!?
吹雪「作者どうかしたんですか?」
提督「あまりものシリアス&ミウの例のシーンで恥ずかしさが頂点になったがよ」
良いじゃないですか、素敵なシーンでしたよ?
※いやぁ年甲斐もなくピュアな感じを書くと、この、ヤバイんですよね? でも書きたかったからなぁ〜いやほんと失礼しました?!
吹雪「何ですかそれ…;」
それにしても、国後ちゃんも立派になりましたねぇ。まさか旗艦になるとは。
提督「そうやろ? ウチのエース海防艦やきな!」
吹雪「最近は海防艦の育成にも力を入れてますから、それでも甲作戦に入れる海防艦はまだ国後ちゃんか択捉ちゃんぐらいですけど?」
ですねぇ、まぁ今回の課題は「如何に先制対潜出来る「駆逐艦」を増やすか」でしたが?
提督「それな、ホンマ苦労したわぁ。初春も先制対潜出来そうで出来ん練度やし」
※…演習の海防艦変えようか、対潜駆逐艦に。
吹雪「うーん、どうなんでしょうね?」
というわけで、作戦参加出来る海防艦も増えたので、対潜駆逐艦育成にも視野に…?
提督「そうやな…今も「フレッチャー」の育成が長引きそうやし、暫くはそうしてみよか?」
そうなんですね…って、今さらっと凄いこと言いましたね?!
吹雪「まぁ、どちらにしてもe1やe3の教訓を活かさないとですよ、司令官!」
提督「ほうやなぁ、いっちょやってみるかや?」
やることが多いですねぇ、ここ最近は…ま、程々に頑張りましょうね?
フレッチャー「うふふ…♪」