──アリーゼ・マルティーニ(サモンナイト3/もしも五代雄介がサモンナイト3の主人公だったら?)
異世界「リィンバウム」の大富豪マルティーニの一人娘、帝国軍人見習いとなるため雄介と共に帝都を目指すも、航海途中に嵐に見舞われ謎の無人島に流れ着く。
おっとりとしているが、少し臆病で人見知り。だが慣れ親しんだ、もしくはシンパシーを感じた相手には心を開く。雄介には憧れと同時にほのかな恋心を抱いているが、本人も雄介も気づいていない。
趣味は本や小説を読むこと、物語を自分で創作するのが好き。気兼ねのないお喋りも好きだが、親しい仲にはものすごい勢いで喋り倒す一面も。
・・・
深雪「読書好きって言うけど、どんなのが良いのさ?」
アリーゼ「私のオススメは「恋する乙女シリーズ」です、恋愛小説なのですがとても感情描写が多彩で面白いんです」
提督「アレか? 「恋する乙女は片手で龍をも殺す」か」
アリーゼ「そうです! オススメです!!」フンス!
ミウ「(…恋愛小説?)」
○「北九州防空戦」
・ステージ「東シナ海~北九州沖」
・難易度「丙」
・基地航空隊×3
・ギミックあり
九州沖に出撃した敵機動部隊を捜索撃滅しつつ、敵超重爆より北九州の空を防空せよ!
艦隊及び防空迎撃隊、出撃!
・・・・・
飛行機に揺られること一時間、提督たちは福岡県は北九州市にやって来ました。
空港から歩いて数十分、大きめのレンタカーを借りて中に乗車する一同。
運転席に宮河さん、助手席に提督、その後ろの座席にミウちゃん、深雪ちゃん、その又後ろの座席にはアリーゼちゃん、五代さんの順に並んで座ってます。
「──八幡製鉄所?」
車が走り始めて数分後、提督たちは宮河さんから事情を聞いているようです。提督の言葉を皮切りに、運転する宮河さんが説明を始めます。
「そうよ、百年以上前から続く製鉄所で、あの戦いの中でも政府お抱えで艦船の原料となる「鉄鋼」を供給し続けたの。今は名前が消えて新しく生まれた会社の一部となっているけど、その技術力に変わりはないわ」
「成る程にゃあ、しかし何でまたこんなとこに?」
「話が長くなっちゃうけど、ここだけの話…政府と例の製鉄所の関係は今も続いているわ、あんまり詳しくは言えないけど…艦娘の艤装に使う鉄鋼を造ってくれているのも、その製鉄所さんよ。私も艤装開発部の関係者として懇意にしているの」
「その…製鉄所さんは新しい会社にはなってるけど、国のためにこっそりと鉄を作り続けているってこと?」
雄介さんの疑問に、宮河さんは運転中なので前を向いたまま小さく頷きます。
「その解釈で間違いないわ、でも厄介なことに…深海群がその製鉄所を襲っているって連絡があったの」
「マジかや…製鉄所さんは大丈夫なが? 艦娘の艤装は…?」
提督の心配の声色を聞いても、宮河さんは淡々と事実を伝えていきます。
「被害は軽微という話だから、今のところは。でも不可解なことばかりだから、先ずは現地に飛んで現場を調査したいの」
「ほうか、やったらオレらぁも出来ることするで!」
「そのために来てもらったんだけど、本当に助かるわ。製鉄所のことに加えて現在九州に向かって深海群の艦隊が攻めて来ているらしいから。それは確か佐世保鎮守府が対応する手筈だったでしょう?」
「おぅ、宿毛からも長門とかが向かってくれよるき、向こうは大丈夫やろ!」
「そっか、なら私たちは向こうの方を何とかしないとね!」
「よっしゃ! そういうことなら、いざ製鉄所へ行くぜー!」
宮河さんの言葉を受けて、深雪ちゃんが勢いよく叫びます。車内の一同は強く頷いて気持ちを確かめ合うと、意を決して一路製鉄所へ向かいます。
・・・・・
製鉄所の敷地内へ入った一同は、そのまま車を走らせます。
「…ここよ」
そして大きな工場のような施設の前に止まると、宮河さんはそのまま車のエンジンを止めて外へ出ます。
提督たちも倣って外に出ると、鼻に「火薬」の匂いが漂っていることに気付いた提督は、辺りを見回すと──施設の屋根にもくもくと立ち昇る黒煙を見つけます。
「宮河さん、ありゃ…!」
「大丈夫、被害はあれだけみたいだから。今現在この製鉄所は「敵の超重爆部隊」に狙われているわ、でも…基地航空防空隊は既に配備、発進済みよ。どうやら撃ち漏らしが居たみたいね…それでもイタチの最後っ屁みたいなものよ」
敵の航空部隊がこの製鉄所を狙っている…提督は敵の攻勢が強くなっていることをまざまざと見せつけられたワケですが、宮河さんはただこの現状を見せたかったものでもない模様です。
「実はね、さっき言ってた防空隊ね…敵部隊との交戦に行ったきり「帰って来ていない」のよ。
「えっ…?」
「(ミウスケ)敵に押し敗けたとかじゃなくて?」
ミウちゃんの疑問の書かれたスケッチブックを見て、宮河さんは黙って首を横に振ります。
「そうだとしたら敵部隊がもっと襲って来てもおかしくないでしょ? 私が聞いた限りではあの屋根の被害を出したのは「敵重爆一機」ということだし、それだけ撃滅出来ているなら少しは防空隊が戻ってもいいはずよね。でも…戻ってないのよ? 一機たりとも」
「…何かがあったゆうことか? その…防空戦の時に敵も味方もちゃがまる(壊れる)ようなことが起こったちゅうこと?」
提督の言葉に肯定の意を込めて頷く宮河さん。
「そう、一体何があったのかは調査中なんだけどね。皆の意見も聞かせてほしくて」
「んー、そんな航空隊をちゃがまらせること出来るヤツち限られるやろ? 例えば「艦娘」とか…」
提督たちが話し合っていたその時、辺りにけたたましい音が鳴り響きます。
──ヴウゥ~~~~~~~ゥウ!!
「っ! サイレンかや?」
「どうやら「空襲警報」のようね? 敵が第二次攻撃隊を出したみたいだから、こっちも第二次防空隊を出す筈よ」
宮河さんがそう言うや否や、提督たちの上空を小さい模型のような飛行機隊が飛んでいきました。
「アレか…しっかし一体何が起こって…?」
「…ちょっと調べてみる!」
そう言うと前に進み出たのは五代さん、右手を前に出して構えを取ると…彼の腰に「ベルト」が装着されます。
「超変身!」
五代さんが力強く変身を宣言すると、身体が鎧に包まれていきます…緑色の鎧が全身を覆うと、五代さんは徐に防空隊の飛び去った遠くの空を見つめます。
「っあ、そのフォームは…なるほど、それなら分かるかもしれんにゃあ!」
提督の喜びが含まれた声を余所に、五代さんは全神経を集中させています…。
「…戦闘機隊が別の部隊と戦っている…海の上で……ん? これは……海の中から「光」が…戦闘機隊に向かって……っ!!」
情報を整理しているのでしょうか、何かを呟き終わると即座に変身を解除しました。そして…解除した途端に膝から崩れ落ちました…!?
「ユースケさん、大丈夫ですか!?」
アリーゼちゃんが五代さんに駆け寄ります、苦しそうですが「何ともない」と言うように「サムズアップ」する五代さん。
「大丈夫、緑のクウガになるとちょっと疲れちゃうんだ。…それより宮河さん、戦闘機隊は海の中から発射されたたくさんの「謎の光」に撃ち抜かれていたみたいです」
「何ですって!? それは…本当なの?」
「はい、緑のクウガはどんなに離れたところにいる相手の状況も分かっちゃうんです。戦闘機隊は敵との交戦中に、ここからすぐ沖の海上から出た光に全部撃ち抜かれてしまったんです!」
「宮河さん、五代さんの言うことは本当やと思うで」
五代さんの証言と提督の助言に、宮河さんは眉を顰めると口に手を当てて考え始めます。
「…だとしたら、そういうことよね? …ありがとう皆、とりあえずそのことは佐世保や本部に通達させてもらうわ」
「おう、ホンマにありがとうにゃあ五代さん?」
「役に立てたみたいで良かった…っう!」
「ま、待ってて下さい。今回復を」
アリーゼちゃんは懐から「青い石」を取り出すと、目を閉じて石に手を当てます。すると…石から淡い光が出ると、そのまま光が宙に浮かんで徐々に形を作ります。
「──キュピピ~♪」
何だか浮いているキュー〇ーちゃんみたいな召喚獣が、五代さんに向けて淡い光を放ちます。光に包まれて少しして五代さんの表情が、少し和らいでいった気がします。
「…ありがとうアリーゼ」
「いいえ、お礼は私じゃなくキユピーに言って下さい。ね?」
「キュピー!」
「あはは、ありがとうキユピー!」
こうして五代さんの容態の回復を見届けた一行は、宮河さんの報告を待ちました。
──そして、戻って来た宮河さんから報告を受けた提督は、驚きながらも佐世保鎮守府に連絡して宿毛泊地の面々を招集し、とある場所へ向かうのでした──
〇決戦艦隊
第一
・長門
・陸奥
・伊勢
・日向
・神州丸
・秋津洲
第二
・矢矧
・最上
・木曾
・初霜
・霞
・ヴェールヌイ
・・・・・
──ボスマス到達…敵深海群、発見。
埋設防空駆逐艦
防 空 埋 護 冬 姫
『眠ッテイルノダ……起コサナイデ…クレ……ッ! 波ノ音ヲ聞イテ……』
──ブゥーー…ン…!
『…チッ、無粋ナ奴ラダッ! 仕方ナイッ…ナアァ!』
──ズドオオォオン…!
隠れ潜んでいた深海の姫が、北九州に舞う防空隊と深海超重爆部隊に向けて「対空射撃」を放ちます。正確無比な射撃はあっという間に二隊を撃ち落とします。容赦ないですねぇ…敵味方区別無しとは。
そんな暴走する姫──防空埋護冬姫は、何と製鉄所の直ぐ近く…北九州市の「軍艦防波堤」近海に姿を見せていました。
製鉄所内の事務室にて置かれたパソコンから映し出された映像を観て、宮河さんは何処か皮肉めいた笑いを浮かべながら、画面向こうで姫と対峙する艦隊に言葉を投げます。
「灯台下暗しとはこのことね? とはいえこれ以上ウチの防空隊を撃ち落とされたら堪らないわ、非情かもだけど撃退して頂戴!」
「よっしゃ、皆頼んだで!」
提督の号令に、艦隊は防空埋護冬姫の近くまで行くとそのまま辺りを滑りながら様子を窺います。
フードを被って顔を隠し、両手が鎖で縛られています。この特徴は約4年前に登場した「防空埋護姫」と似ていますね?
しかし彼女の両隣に展開された深海艤装はと言うと… 青黒い鱗が張る胴体、針状の歯が並んだ口、そして頭部に取り付けられた砲身と防盾。膨れた腹部…まるで深海魚がそのまま艤装化した印象です。
『Urrrooooo…!』
そんな深海艤装が不気味な雄叫びを上げると、防空埋護冬姫はフード下の虚ろな眼で辺りを見回し始めました。
『何ダ…? 波ヲ分ケル複数ノ音、近ヅイテ来ル。…ッ、ソウカ…敵、敵ダナッ!!』
気迫凄まじい顔つきの防空埋護冬姫ですが、その視線は艦隊に向けられずあらぬ方角を見ていました。これは…?
「あいちゃあ…
「成る程ね、だから敵味方の識別も出来なかったんだ。目が視えない分空中の戦闘機の音は喧しかったでしょうね?」
「っ! おいお前!! 眠りゆうところを起こして悪かった! けんどもうやめてくれんか、皆ぁこの土地を守るために必死なだけながよ、やき…」
『五月蠅イッ!!』
防空埋護冬姫、深海艤装を空中のドローンに向けると対空砲火を射出、そのまま射貫かれたドローンが爆発してしまいました…パソコン画面は砂嵐とザー…という音が響くだけになってしまったようです。
「うわっ!? っくそ、聞く耳ぐらい持てぇや!?」
「ど、どうすんだよ!?」
「今新しいドローンを向かわせるわ、その間は…艦娘たちの通信機越しの音声で、我慢してね?」
宮河さんの迅速な対応に、深雪ちゃんは胸を撫で下ろします。しかし…冷静に辺りを見回すと、一言呟きました。
「…あれ、アリーゼと雄介は?」
「えっ、どこ行ったが?!」
「ぁあ安心して、彼らは──」
宮河さんは彼らの行方を知っているようですが、彼女の話を遮るように通信から聞こえる、今作戦最終ボスの怨嗟の声が響きます。
『コノ私ノ眠リヲ妨ゲタ報イ……受ケルガイイサッ! …ココカラタダデ帰サナイ! オ前タチヲ……ッ、波ト土ノ下ニッ……!』
──敵艦発見、攻撃開始!
防空埋護冬姫の闘志に呼応するように、海中から姿を現す敵連合艦隊。それを見た長門さんは…苦い顔ですが決意を固めたようです。
「っ! 致し方ない…やるぞ陸奥!」
「えぇ、いつでも良いわ長門!!」
「よし…行くぞ、主砲一斉射!! てえぇーーーーっ!!」
──ズドオオオオォンッ!!
連合艦隊旗艦長門さんと陸奥さんの「一斉射撃」、敵第一艦隊に甚大なダメージを与えていきます。
「これで…どうだっ!!」
『…ッ!?』
おっと、長門さんの砲撃が真っ直ぐ防空埋護冬姫へ向かって行きます。敵旗艦は早々にやられてしまうのか…!?
──ズドドドオオオォォ…ッ!!
長門さんの砲撃が轟轟と燃える炎を作ると、硝煙が辺りを包んでいきます。息を呑んで敵の様子を窺う艦隊でしたが…視界が晴れたその先には「驚きの光景」が広がっていました。
「…なっ!?」
長門さんが視た衝撃的光景…それは、防空埋護冬姫を庇うように前に出て障害となった、彼女に似た謎の黒い影でした…これはまさか「怨念型」ですか!?
『ッ! スズ…スズッ…? …ソコニ…居ルノ?』
『──……ァ』
背後の防空埋護冬姫を一瞥すると、謎の影はそのまま霧散してしまいました…!
『…ッ!! ス、ズ…ッ、嫌ダ…私ヲ置イテ、行カナイデ…スズ……スズゥーーーッ!!!』
『Urrrooooo…!』
うぉ!? 防空埋護冬姫の深海艤装から空中に放たれた凶弾が、分散して雨あられと海上に降り注いでいきます…?!
「回避ぃーーーっ!!」
長門さんが怒号を叫ぶと、艦隊は一時防空埋護冬姫から離れるよう距離を取ります。錯乱した防空埋護冬姫が所構わず砲撃を繰り返しています!
『アアアアアアアアアアアアアアアアaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!』
「っく! 参った…これでは迂闊に近づけん!」
「…っ! 長門さん、艦隊後方から何者かが接近中です!」
通信から長門さんに呼びかけるのは第二艦隊旗艦の「矢矧」さんです、矢矧さんの報告に長門さんは驚きを隠せません。
「何だと!? 敵の増援か?」
「いえ、待って下さい…これは……っ! 援軍です! それも「異世界」の!」
「何…はっ!?」
矢矧さんの回答に長門さんが困惑していると、直ぐにその意味を知ることになります。
長門さんの視線の先には何と、赤い鎧の人物が海上を走る「バイク」に跨って颯爽と駆け抜ける姿が。その背中に抱きついているのはヘルメットを被った青い服の少女のようです。
「ま、まさか…提督の客人たちか!?」
長門さんの言葉を余所に、五代さんたちは早速攻勢に転じます。
「超変身!」
五代さんが叫ぶと、鎧の色が「緑」に変わります。そして…片手に持った銃のような構造のボウガンで狙いを定めると、後ろのスロットルを素早く引いて離します。するとボウガンの先から「空気の弾」が弾き出されるように放たれます。
──ズドンッ!
『Urrrooooo…!?』
おぉ、防空埋護冬姫の深海艤装の右砲にクリーンヒット、そのまま爆炎に呑まれると沈黙しました。どうやら…五代さんの力で深海艤装を無力化出来る見たいです!
『ッ! チッ、痛イジャナイカ…! 誰カハ知ランガオ前……”嫌イ”ダヨ! 嫌イダァッ!』
「…ごめんね」
防空埋護冬姫の恨み節に対し、静かにそして小さな声で謝罪する五代さん。その様子は第二ドローンによって撮影され、提督たちの目にも届いていました。
「五代さん、何で海上をバイクで?」
「私が艦娘艤装の技術を応用して改良した「水上バイク」よ、ちょっとゴツイ見た目でしょうけど水の上も陸と同じように走れるわ。二人には私から艦隊のサポートを頼んでいるのよ」
宮河さんナイスです! 敵の戦力も順調に削れているようですし、これなら…!
『…ソコカァッ!』
『Urrrooooo…!』
「っ!」
おおっと、防空埋護冬姫が残された片方の深海砲を駆使して五代さんに攻撃を仕掛けました。五代さんも赤い鎧に戻ると見事な運転技術で砲撃を回避していきます、それでも当たったらどうなるのか…!?
「提督の客人を援護するぞ! ってえぇーーーっ!!」
長門さんたちも敵艦隊に向けて砲撃を開始します、この弾幕に敵第二艦隊は完全に撃沈したようです。残すは敵旗艦のみ…!
『コノ私ヲ…舐メルナアァーーーッ!!』
「っ!?」
──ボガアァアアンッ!!
っ! 防空埋護冬姫の砲撃が…五代さんたちのバイクに「命中」…!? これはまさか……。
…いえ、待って下さい? 空中に何か…これは!
「おぉ「ゴウラム」やん! やっぱりクウガと言えばやんな!」
空中を飛ぶ巨大な黄金のクワガタムシ、その前足に五代さん、後ろ足にアリーゼちゃんもしっかりしがみついています!
『カディル・サキナム・ター』
「来てくれたんだ!」
『…ッ! 貴様ァ…何故空ノ上ニ?! 無駄ニ足掻クナ…黙ッテ、沈メエェーーーッ!!』
──ズドオオォオン…!
空中に放たれた対空砲火が五代さんたちを狙います。ゴウラムも縦横無尽に動き回りますが、あまり激しい動きも出来ないようで避けるのが精一杯のようです。
「きゃあっ!?」
「アリーゼ! しっかり捕まっててね!!」
「は、はいぃ!」
『落チロォーーッ! 落チテ、堕チテ……埋マッテシマエ”ェーーーッ!!』
一難去ってまた一難です、このままでは五代さんたちは…一体これからどうなってしまうのでしょうか?!
「っ、もう…駄目……っきゃあ!」
「アリーゼっ!?」
アリーゼちゃんが宙吊りに耐えられなくなり、手を離してしまいました…!?
『──スズ、スズ……居ナイ、居ナイナン、テ…』
「…っ!」
「危ない!」
アリーゼちゃんが海面に叩きつけられようとした、その時…下で待っていた矢矧さんが両腕でアリーゼちゃんをナイスキャッチしました!
「っ、大丈夫?」
「は、はい。…ぁ、あの! 彼女…さっきから小声で「スズ」って言ってる気がして…何か知りませんか?」
「っ! スズ…確かにさっきも叫んで……っ、まさか…!」
「何か知ってるなら教えてあげて下さい、彼女はきっと…そのヒトを探しているんだと思います。お話の中ではぐれた姉妹みたいに…彼女もきっと最後には「会える」と思うから!」
「…解ったわ。霞、初霜。少し良い?」
何やら矢矧さんが、霞ちゃんと初霜ちゃんに通信で話をしていますが……?
「っ、このままじゃ…!?」
五代さんはそれどころではないようです、ギリギリ避けられていますが、防空埋護冬姫の対空連続射撃に、今にも撃たれてしまいそうです…!
『ハハハハハハ…! 愉快ダナァ、笑エルゾ! 何モカモ……埋マッテシマエェッ!!』
「…っ! どうして…君が今物凄く辛い思いをしているのは、何も知らない俺でも分かる。なのに…どうして笑おうとするの? 悲しい時に無理に笑ったって…余計に悲しくなるだけだよ」
五代さんの投げかけた疑問に対し、防空埋護冬姫はハッとしたかと思うと、肩を震わせて感情を露わにしました。
『…ッ、黙レ! 知ッタ風ナ口ヲ……スズハ、モウ居ナインダヨ。何度モ呼ビカケタンダ、デモ…返事ガナカッタ。ナカッタンダヨォ、聞コエテイタハズノ優シイ声ガ! ソンナノ…笑ウシカナイジャナイカ、スズハ私ヲ置イテ、何処カヘ行ッテシマッタ! 私ノコトナンテ……モウドウデモヨクナッタンダ!!』
「──いいえ、彼女が貴女を忘れたことは片時もなかったわ!」
『ナニ…!?』
アリーゼちゃんを抱えた矢矧さん、そしてその傍らに霞ちゃんと初霜ちゃんの姿も見受けられます。少しづつですが防空埋護冬姫との距離を詰め始めています、話し合いが出来る状況ではないと思うのですが…?
「…そう、やっぱり貴女だったのね。といってもこんなところから出てくるとしたら…貴女しか居ないのでしょうね?」
『貴様ラ…何ヲ企ンデイル? 懐柔シヨウトシテイルノカ』
「そうじゃないわ。…貴女の言う「スズ」はね、貴女より早く目が覚めているの。今は私たちと一緒に居るけど…彼女が貴女を忘れたことなんて一度もないわ」
『ナンダト…ソンナコト』
「事実よ。あの娘ってば聞いても居ないのにアンタの話ばっかりして?」
「はい、本当に幸せそうに…貴女が浮かんで来ることを、誰よりも心待ちにしているんです」
「そうね、終いには育てた南瓜を貴女に見立てて呼んでいるのよ? でもそれだけ…貴女が「特別」だったのでしょうね? 辛い時も嬉しい時も…私たちより彼女の傍に居た貴女が」
そういうことですか…。霞ちゃん、初霜ちゃん、矢矧さんの順で言葉を紡いでいきます。彼女がどれだけ…離ればなれの妹を「想って」いたのかを。
少しの間、しんみりとした静寂が辺りを包みます…そして、そんな沈黙を破った第一声には…悲しいことに「疑心」が込められていたのです。
『…ッ、ナラ連レテ来イヨ。スズヲ……ドンナニ言イ繕ッテモ、私ハ信ジナイ! スズノ言葉ダケガ…闇ノ中ノ私ノ「支エ」ダッタンダ! ソレヲ…貴様ラァ……ッ!』
「っ! (しまった…予想が外れた…!?)」
「あわわ…っ!?」
っ! 防空埋護冬姫が深海主砲ヲ矢矧さんたちに突き付けています!? 不味いですって!!
「っ、させるか!」
長門さんが主砲を構えて撃ちました、しかし防空埋護冬姫には当たらず夾叉、近くの水面に水柱を立てました。しかし…?
『ッ! 何ダ!?』
「(砲撃の音に気を取られた…!)皆一旦離れて!」
矢矧さんチャンスを逃しません、そのまま霞ちゃんと初霜ちゃんを連れて距離を取りました! どうやら敵は目が視えないせいで、予想外の攻撃に対応出来ないようですね?
「──今だ!」
ここで五代さんが動いた、ゴウラムの足を軸に、鉄棒を回る時のように前後に勢いよく揺れると、そのまま手を離して前にジャンプ、綺麗なフォームから身体を丸めて縦回転すると…足を突き出して空中から降下様の「ジャンプキック」をお見舞いします!
「うおりゃあああああっ!!」
『…ッ!?』
目まぐるしく変わる状況を把握出来ないまま、防空埋護冬姫は自身の深海艤装の左砲を、五代さんの強力な跳び蹴りによってまたも無力化されました。
『Urrrooooo…!?』
『グア”アッ!?』
防空埋護冬姫の完全な非武装化に成功した五代さんは、飛来したゴウラムにより再び上空へ飛びました。
「私たちも続くわよ、雷撃用意!」
「矢矧、でもあの娘が!」
「分かっている、でも今の彼女を説得することは難しいわ。信じるしかない…彼女が自力で「浮かんで」来ることを…っ!」
「…っ、ぁあもう! 浮かんで来なかったら絶対承知しないったら!」
「行きます…!」
矢矧さん、霞ちゃん、初霜ちゃんはそれぞれ魚雷の用意を始めました。そして…願いを込めてそれを撃ち尽くします。
──ボガアァアアンッ!!
『グア”ア”ア”アアアアアアアアアアアアアアアアッ!!?』
魚雷は防空埋護冬姫に命中、盛大な爆炎と轟音が上がると…防空埋護冬姫の体中に「ヒビ」が入っているのが見られます。これは…勝負ありましたか?!
『…ッ! コレハ…嘘ダロ? 私…沈ムノカ…ッ!? 土ノ中デハ、ナク……水ノ中ニ……? 海ノ、底ヘ……! ……ァ、ァア…スズッ…! スズゥーーーッ!!』
「…っ!!」
泣き叫びながら海底に沈もうとする「少女」を見て、咄嗟に海に飛び込もうとする人影が居ます。これは…五代さん!?
「いけない! このままだと彼も爆発に巻き込まれて!?」
「そんな…ユースケさああああん!!」
あまりに衝撃的な行動に対し、誰も動きを合わせられるモノは居ません。
爆発と共に巨大な火柱が立つと、防空埋護冬姫と五代さんは…諸共海の中へ消えていきました。
・・・・・
──寒い。
沈む度に感じる、全身を刺す「寒さ」、暗闇がその感度を増大させる。
そうか…敗けたのか、私は。
敗北か…私は何のために戦っていたのだろうか? ココロに灯っていた確かな「意志」は、永い時の果てに吹き消えてしまったようだ。
もう…隣に居たはずの「ダレカ」の名前も思い出せない、とても大事な筈だったのに…私にとって…大事な。
…ぁあ、もういい。どうでもよくなってきた、もう……酷く…眠い…──
──…? 手が……温かい…? ダレカが…私の手を握っている? 一体…?
「こんなところで寝てたら風邪引いちゃうよ? それも”冬”の海でなんて凍え死んじゃうよ?」
…冬、か。今の私には温かさは必要ないさ…寧ろ「涼しい」くらいだ……ん?
『ス、ず…涼、月…?』
「それが…君の探していたヒト? だったら早く帰らないとね、きっと…そのヒトも寂しがっているよ」
『……ワタシ……私、マた…涼と、一緒ニ』
「うん…」
『…光ノ下で…波ヲ、蹴ッて…!』
「きっと出来るよ、君が…あの海の上へ浮き上がるまで、頑張ることが出来ればね?」
『──私…ッ!』
──パキッ
──深海で確かに交わされた、未来を歩もうとするモノと、それを後押しする者の会話。
「…これで、良かったんだよね? きっと──」
青年は海の中で淡い「光」に包まれると、柔らかな笑みを浮かべ…そのまま姿を消すのだった。
・・・・・
──その頃、海上でも少女が「光」に包まれていた。
「アリーゼ…貴女」
矢矧さんの腕の中に居るアリーゼちゃんは、もうすぐ役目を終えてこの世界から退場しようとしていました。
「…そうですか。なら…ユースケさんも、あの娘も無事ですよね? ここが夢の世界なら…幸せな終わり方じゃないと、いけませんもの」
何かを悟ったようなアリーゼちゃん、信頼しているからこそ想い人の無事を確信しているのでしょう。
「ヤハギさん…ありがとうございました。提督さんたちにも…よろしく伝えて下さいね?」
「えぇ、私たちの方こそ…やっと最後の仲間と出会うことが出来た。貴女と雄介さんのおかげ…本当に、感謝しているわ」
「えへへ…♪」
感謝を素直に受け止めて零れた無垢な笑顔、アリーゼちゃんはこの世界の「
「…ふぅ、作戦完了ね? 帰投しましょう、長門さん、皆?」
「そうだな…作戦終了! これより帰投する…新たな仲間を迎えに行くぞ!!」
長門さんの号令により、艦隊は泊地へと戻っていきます。守り抜いた北九州の──冬の空を見上げながら。
・・・・・
「…ふぅ、終わったかや?」
「えぇ。まだ超重爆部隊の問題はあるけど、敵の基地が見つかるのもすぐだろうし、防空隊が無事なら後は何とでもなるわ…お疲れさま、皆?」
提督たちも戦いが終わってひと段落しているようです、次はどうされます?
「もう帰ろうや…いつまでもこんなこと居ることもないやろ」
「あら? 折角九州のグルメを一緒に堪能しようと思ってたのに?」
「…博多ラーメン?」
「もち」
「よっしゃ行こうや! ついでに一晩飲み明かそうかや!」
「うんうん♪」
「(ミウスケ)帰りたい・・・;;」
「旨いメシ食えるだけマシだぜ? よっしゃ深雪サマも付き合っちゃうよ~!」
こうして、北九州を巡る戦いは終止符を打ちました。まぁ後は佐世保の方々に任せましょうや。
では今回はここまで、次回の作戦はどんな地獄が待っているのか…震えて待て!
○宿毛泊地ショート劇場
提督「やっと帰ってこれた・・・」
ミウスケ「疲れた・・・」
吹雪「あっ! 司令官ミウちゃん、お帰りなさい!」
提督「おう吹雪、留守番お疲れさんやな?」
吹雪「はい、司令官たちが福岡に行くのに私まで行くわけにはいきませんから!」
提督「ぁあ、いつも悪いにゃあ…ごめんな?」
吹雪「いえいえ。さぁ…二人も帰って来たことですし、早速新艦娘紹介と行きましょうか!」
ミウスケ「えぇ…;」
提督「もう少し休ませてちや;」
吹雪「駄目ですよ、新人さんたちの挨拶は大事なんですから!」
提督「…何かテンション高くないかや、吹雪?」
ミウスケ「一人ハブられたのが、ショックだった模様」
吹雪「何のことやら? まぁ話はそこそこにして…新しい艦娘さんたち、どうぞ~!」
山汐丸「特設輸送空母、山汐丸であります。あの…よろしく、お願い…致します」
八幡丸「特設航空母艦、八幡丸よ。妹がお世話になっているわね、私も……よろしく?」
梅「丁型駆逐艦、松型三番艦の梅です。これからよろしくお願いします!」
中々特殊な立ち位置の娘たちが来ましたね? 山汐丸ちゃんは厳密には補給艦扱いで、梅ちゃんは改装で大発が乗るらしいですよ?
提督「マジ!? そんなの鍛えるに決まっとるやん! 掘り頑張った甲斐があったわぁ!」
吹雪「それはそうと司令官、このイベントで八幡丸さんが初ドロップと言うことは…?」
提督「うん、7-4クリアーしとらんで?」
ミウスケ「何やってんの…;」
提督「いやぁ別に急ぐ必要ないかにゃあ…と?」
まぁ仮に任務達成したとしても、ドロップ順ですかねこれは?
提督「まぁまぁ、さぁ次がメインやで。この娘の紹介が出来るなんて…よし、自己紹介!!」
冬月「秋月型防空駆逐艦、八番艦冬月、参る! 提督…若輩モノではあるがこの防空能力、存分に使ってくれ。よろしく頼む」
おぉ……お、お冬さん…!
提督「お冬さんや…!」
冬月「あぁ、お冬さんだぞ。その呼び方…涼の仕業だな? 私は特に構わないが…それにしても、大袈裟なぐらいに感動しているようだが?」
吹雪「いや…ねぇ?」
ミウスケ「姉が出て貴女実装まで4~5年掛かったんすよ」
冬月「そうなのか? それは悪いことをしたな。っと…涼はどこだ? 久しぶりに会うから楽しみにしているんだ」
提督「おう、スズはここに来るよう言うとるから、もう…」
──グチャッ。(カボチャが床に落ちた音)
涼月「・・・お、ふゆ、さん・・・?」
冬月「涼! 久しぶりだな! 皆から聞いたが随分と待たせたようだ、これからは海の平和を守るために、一緒に戦おう!!」
涼月「…ぉ」
吹雪「涼月ちゃん?」
涼月「オ”フ”ユ”サ”ッ!!?」盛大な喀血
吹雪「ぎゃああああっ!? 涼月ちゃんが…穴というあなから血を噴き出してるうううう!!?」
提督「スズ…タオル、持ってきとるで?」
涼月「あ”り”か”と”う”こ”さ”い”ま”す”う”う”う”」
ミウスケ「ええんやで・・・思う存分泣いてな?」
冬月「ははっ、そんなに喜んでくれるとは。私も嬉しいよ…これからはもう離れることは無い、安心してくれ」
涼月「う”ん”・・・!」
良かったですねぇ…顔面が鼻血に鼻水塗れで大変汚いですが、まぁこんなに待たされたのですから、仕方のないことでしょう。
それでは今回はこの辺にしておきましょうか? 後は姉妹水入らずということで…?
提督「皆ぁ、まぁ次のイベントでな!」
涼月「う”あ”あ”あ”あ”!!!」ギャン泣き
冬月「ははは…!」
ミウスケ「ここが桃源郷か…」
吹雪「なんだろう…私まで感動して……っぅう、また次回です!」