異生神妖魔学園   作:さすらいのエージェント

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ハンカチ泥棒への制裁

剛力「……俺のハンカチを盗んだのは誰だ?」

 

 

剛力は眉間にシワを寄せ、生徒全員を睨みつけていた。怒りと殺意のオーラを感じているのは遠くでもよくわかる。

そんな中、声を出して笑ってしまった者が数人現れた。

 

 

剛力「ほう…?人の不幸を笑うとはいい度胸じゃないか。犯人は絶対この中にいる!正直に名乗り出れば、今回は特別に許してやる」

 

 

だが生徒たちは担任から聞いただけで身に覚えがないし、そんなことを知っているわけがない。

 

 

剛力「俺が優しいうちに早く名乗り出てくれ。俺はみんなを信じてるぞ」

 

ディーゴ(みんなそんなことするわけねぇだろ…先生がただ忘れただけなんじゃねぇのか?)

 

辰美(いくら口悪い紺子様でもそんなことしませんよね?)

 

乱(こんこんじゃなかったらお祝いに思いっきりチューしよっと)

 

紺子(おいちょっと待て!?みんなの視線が痛すぎるんだが!私のこと向きすぎだろ!)

 

 

2年のクラスメイト全員が紺子に注目する中、他の生徒たちは全員名乗り出ることはなかった。

そして剛力が口を開く。

 

 

剛力「つまりお前らの中に嘘をついている奴がいるということだ。しかし!取り調べはさせてもらう!学園長、今から持ち物検査してもよろしいでしょうか?」

 

辰蛇「まあ、あなたが?ダメですよ、その役目は全部私の役目ですから♡」

 

剛力「といってもまともにやったことありますか!?学園長が調べたら必ずセクハラになるじゃないですか!!お願いしますよ!俺にやらせてください!」

 

辰蛇「………わかりました。ですが今回だけですよ?」

 

剛力「ありがとうございます!絶対邪魔しないでくださいよ?」

 

辰蛇「わかっていますわ」

 

剛力「よーし、これより持ち物検査を始める!生徒全員起立!今からポケットを調べろ!俺のハンカチの柄は確か………水色の無地に青い魚柄だ!」

 

 

生徒たちは観念したのかポケットの中に手を突っ込み、ありとあらゆるものを出してみた。

出された持ち物は椅子の上に次々と置かれていく。

 

 

紺子「よかったぁ…狐柄だったよ」

 

龍哉「俺も持ってなかったぜ…」

 

辰美「私もです。色は違いますが」

 

許人「あっ、入ってなかった。忘れちゃったよ…」

 

高見「ティッシュならあるでしょ?」

 

冷火(そこ気にするか!?)

 

ライエル「僕でもなかったみたい……龍華ちゃんは?」

 

龍華「持って…ないな」

 

盾子「こっちも」

 

ディーゴ「俺もですたい」

 

セー「僕も………」

 

乱「入ってないで~す」

 

仁美「同じく~」

 

死宴「獄炎ちゃん、ど~う?」

 

獄宴「…あっ、違った」

 

炎宴「よかったね。一生は?」

 

一生「持って……ないね」

 

司「俺様…も……?」

 

 

司も無実を証明しようとした途端、それは起こった。

 

 

司「え…?え?あれ!?」

 

 

なんと上着のポケットから剛力が言っていた『水色の無地に魚柄』のハンカチらしきものが出てきたのだ。

 

 

辰蛇「犯人、前へ」

 

司「お、おいおいおい…何で入ってんだこれ…」

 

剛力「上がってこいオラッ!!」

 

司「いや、『上がってこい』っつったって…!」

 

 

もちろん司は今日一度も剛力と話していないし、剛力の持ち物に手を出したこともない。

ということは…………。

 

 

 

 

 

司「ちょ、これ絶対誰か俺様がいない間に入れただろこれ!!

 

ディーゴ「理科の授業でも暴れて先生のものも盗むなんて最低じゃの!」

 

司「だったらお前だけおかしいだろ!何でお前だけ反省文で済まされたんだよ!!」

 

獄宴「悪あがきはやめてさっさと怒られてきなよ。また書かなきゃならない反省文が増えたね」

 

炎宴「あーあ、早くレクリエーションしたいのになぁ…」

 

死宴「とにかく、それ返して全力で謝れば剛力先生もきっと許してくれると思うわよん?」

 

司「嘘つけよ!!殴られる未来しか見えねぇよ!!」

 

剛力「さっさと上がれ!!」

 

高見「もうホント時間潰れるから早く行ってくれない?私もホントに怒るわよ」

 

ライエル「確かに僕が言うのもなんだけど……いくら抵抗しても無駄なんだよ?ポケットから先生のハンカチが出てきたことは事実なんだし、洗いざらい全部話して謝罪した方がいいんじゃないかな」

 

司「ざっけんなよお前ら…後で覚えとけよ…」

 

 

悪態をつきながら渋々ステージへ上がる司。そして…………。

 

 

 

 

 

剛力「水色の無地に魚柄。完全に俺のハンカチだな。何でお前がそれを持っているんだ?」

 

司「知らねぇよ!だいたい今日一度も俺様と話してないだろ!先生のものに手出すなんてそんなわけあるか!」

 

冷火(うーわ、この期に及んで言い訳かよ……財閥の親が知ったら絶対悲しむ……わけないか)

 

剛力「くだらねぇこと言いやがって。お前、さっきクラスメイトと話してたみたいだが、素直に謝る気はないか?」

 

司「ないに決まってんだろ!俺様はちゃんと授業受けてたって!理科室に行く時も必要なものしか持っていかなかったぞ!」

 

剛力「ほーう?じゃあ理科室で暴れたってのはあれ何だったんだ?まあそんなことはどうでもいい。なぜお前が俺のハンカチを持ってるのか理由を聞きたいんだが」

 

司「理由なんかあるかー!!」

 

剛力「そうか…………なら覚悟はできてるんだろうな?」

 

司「はぁ!?いやいや、待て待て待て待て!待ってくれ!!体罰はダメだろ、体ばっ!?」ガバッ

 

 

司の言葉が終わらないまま剛力に口を塞がれてしまった。

 

 

剛力「うるせぇこの野郎!!

 

司「※@☆■#∞◎Ω!!£§♪$∴√¢∬!!

 

龍哉「クククッ…も、もうしゃべらせてくれないっ…」

 

紺子「早く謝れよっ…!ププゥッ…!」

 

辰美「あの性格からして絶対謝らないと思いますよ?」

 

乱「往生際悪いなぁ……後で死の接吻あげようかなぁ?」

 

龍華「ダメだやめろ!!お前のせいであいつ死んだら司の家族殴り込んでくるから!!」

 

乱「ああいう人たちにもキスしたくない。死の接吻はあげるけど」

 

龍華(ダメだこいつ…!完全に本能の赴くままだ…!)

 

 

紺子たちが話しているそんな中、司はまだ抵抗していた。謝る気も完全にない。

 

 

剛力「お前ホントに往生際が悪いな!ハンカチを盗んだことを認めず、こんなに抵抗するとは!」

 

司「お願いだ、信じてくれよ!!ポケットから出てきたのは事実だけど今日一度も話してねぇじゃねぇか!!ボコるのはやめてくれ!」

 

剛力「仮にそうなったとしても鬼塚先生がちゃんと治してくれるだろ」

 

司「あの痛い治療は嫌だー!!後生だ!マジで体罰だけはやめてくれ!!頼むからこの通りだ~~~!!」

 

 

見よ、大財閥の跡取り息子の惨めな姿を。

宇佐間のように殴られたくない司はクラスメイト、新入生、先輩、教師たちの目の前で必死に剛力に土下座した。

 

 

紺子「うーわ、何あいつ!あの金持ちの息子土下座しちゃったよ!情けなっ!」

 

乱「やっぱ死の接吻あげようかな?」

 

ディーゴ「まだそんなこと考えてたの!?誰もあいつの血なんか見たくねぇだろ!」

 

ライエル「司の死……兄さんの死……あああ…………」

 

ディーゴ「そいでライエルは何怖がってんだよ!?」

 

ライエル「知ったことじゃないだろ!!ほっといてよ!!」

 

冷火(ライエルの奴…見るからして絶対冷火と同じ境遇持ってるのかもしれねぇ……)

 

龍華「クソ頑固かよ…なーんであいつ『すいませんでした』の一言が出てこねぇのかな………」

 

 

だが土下座された剛力は困っていた。

どうしようかと思った挙げ句、許すか殴ろうか辰蛇に決めてもらおうと目を向けた。

 

 

剛力「どうしますか?土下座しちゃいましたが…」

 

辰蛇「やってください。この子理科の時間にもクラスメイトと教師に暴力振るいましたし♡」

 

剛力「……わかりました」

 

司「はあぁ!?ざっけんなよ、おい!!

 

 

剛力と辰蛇の話を聞いてしまった司は思わず立ち上がり、怒鳴り返した。

だが辰蛇が決めてしまったことだから仕方ない。剛力は司を逃げられないように胸ぐらをつかんだ。

 

 

剛力「非常に残念だ………『すいませんでした』の一言があれば酌量の価値があったんだが………」

 

司「……す、スマン!悪かったよ!今から謝るから今回だけは見逃してくれ!」

 

剛力「ダメだ、許さねぇ。それに言われてからじゃもう遅いんだよ。わかるか?」

 

司「ぐっ……………」

 

 

ついに観念したのか、抵抗をやめる司。剛力はこう問いかけた。

 

 

剛力「5から行くか?3から行くか?」

 

司「え?」

 

剛力「殴られるまでのカウントダウンだ。5か3か、どっちだ?」

 

司「……3で」

 

剛力「3か…よし、3だな。ほら、ちゃんと立って歯食いしばれ」

 

司「ぐっ………!」

 

剛力「よし、カウントダウン行くぞ!3ッ!!2ッ!!1ッ!!

 

 

 

ドグオォォォォォォン!!!

 

 

 

司「ブゥゥアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!

 

 

剛力の恐ろしいほどのスピードの鉄拳が司の顔面の中心をとらえた。宇佐間同様顔面がめり込み、壁に叩きつけられた司は走り出したら止まれないディーゴのように穴を空けた。

 

 

剛力「ガァッデム!」

 

 

剛力は穴など気にせずステージから下りた。

同じく殴られた宇佐間だが、実は加減されていたようだ。何事もなかったかのように平気で立っており、パイをぶつけられた大狼は顔面真っ白でパイまみれのままだ。

 

 

大狼「ふええ…もし私もあんな感じに殴られてたら………」

 

宇佐間「やっぱ俺が筋肉ムキムキだからかな?全然何ともなかったぜ」

 

大狼「顔めり込んでたじゃないですかぁ…」

 

辰蛇「剛力先生、ありがとうございました。宇佐間先生も大狼先生もお戻りください」

 

龍哉「あれ?そういえば剛力先生の種族って何だったっけ…」

 

紺子「超越者」

 

龍哉「うわ……俺の龍王連撃打といい勝負だな………」

 

辰美「今度会った時勝負してみては?」

 

龍哉「おいおい無茶言うなよ…学園崩壊しちまう…」

 

辰美「うふふ、冗談ですよ♪」

 

一生「全然笑えねぇよ…」

 

 

 

 

 

数分後、ようやくまともにレクリエーションが始まると思っていた時だった。

 

辰蛇「それではこれよりレクリエーションを始めたい…………と言いたいところですが、いろいろハプニングが起こったせいで、私の気が変わりました。よって延期します

 

全員『超気まぐれかァァァァァァァァァァァァァ!!!!!

 

 

学園中に生徒たちと教師たちの絶叫が響き渡った。


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