異生神妖魔学園   作:さすらいのエージェント

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マジで気になって集中できません!

トリノ「授業開始前からいきなりどうしたァァァァァァ!!?

 

 

教室に戻り、まもなく国語が始まろうとしていたが、入ってきたトリノが虹色の紺子もといレインボー紺子を見て絶叫していた。

 

 

紺子「理科の授業で変身しました。レインボー紺子です」

 

司「龍哉が宇佐間先生の股間蹴った時ぐらい驚いたわ!紺子はもはや妖狐じゃねぇよ!」

 

紺子「さっきトイレ行ったけどパンツも虹色だったわ」

 

乱「パンツも虹色!?いや、今日のこんこん別の妖怪みたいでホントに怖いんだけど!」

 

紺子「失礼な!私は元から妖狐だよ!」

 

ディーゴ「妖狐がプリズム通れるわけあるかー!!むしろ羨ましかったわ!!」

 

 

教室全体がざわめき、全員虹色の紺子に集中する。

それもそのはず、紺子がプリズムを通るなどあり得ず、彼女の体はどうなっているんだと聞きたいぐらいだ。

 

 

トリノ「と、とにかく!僕は国語担当なので紺子さんに何があったか全然わかりませんが、授業始めますよっ!教科書開いて!」

 

 

全員机の上にある教科書を開くが、司だけ様子がおかしい。

持ってきた教科書を持ち、表紙をまじまじと見ている。

 

 

紺子「おい、教科書開けっつってんだろ」

 

司「その前にいろいろ問題があるんだよな」

 

紺子「え?」

 

司「国語の教科書じゃなくて………落語の教科書持ってきちまったぜ」

 

トリノ「なぜに落語!?」

 

 

机に置かれていたのは分厚い教科書。表紙には司の言う通り、確かに舞台で座布団に座る落語家の絵があった。

 

 

紺子「いや、おかしいだろ!?何をどうしたら落語の教科書持ってくるんだよ!?」

 

冷火(それよりその落語の教科書どこで買った!?)

 

 

そんな中龍華は相当呆れたのか、ゴミを見るような目でこう言い放った。

 

 

龍華「………司。お前バカだろ」

 

司「はぁ!?俺様がバカだぁ!?おいエビフライ尻尾女、俺様のどこがバカってんだ!?」

 

龍華「短歌やるって先生言ってただろうが!ってか、エビフライのどこが悪いんだ!!」

 

司「悪くねぇけどテメェ、頭と尻尾にタルタルソースぶっかけんぞゴリラ女!!」

 

龍華「ゴリラ女って言うなよ!!せめて筋肉バカにしろよ!!」

 

冷火(いや筋肉バカでいいんかい!?)

 

トリノ「2人共喧嘩しない!!司さん、後で職員室に来なさい」

 

 

司に目を向けたトリノの顔は微笑んでいたが、全員不思議と恐怖を感じてしまった。

 

 

司「はぁ!?ふざけんな!なぜ俺様が!」

 

トリノ「い・い・で・す・ね?

 

司「ヒェ!?は、はいぃ…!」

 

トリノ「あと龍華さん、せめてバカは否定して?」

 

龍華「エビフライとかゴリラ女とかよりはマシだよ!」

 

紺子(ゴリラって言った人ここにもいるんですけど!?脳筋ゴリラって言いましたけど!?)

 

 

 

 

 

ようやく授業が始まり、司以外全員教科書の短歌のページを開く。

 

 

ディーゴ「万葉集?ヤベェ、いくら歴史得意でも昔の文章の意味全然わかんねぇかも…」

 

トリノ「少しずつ訳せば簡単だよ。でも笑いをとろうとして変な訳し方をするのはやめてね」

 

ライエル「そういえば紺子ちゃん平安生まれだったっけ。紺子ちゃんなら普通にスラスラ訳せちゃうかもね」

 

ディーゴ「そんならいいんじゃがのう……あえて言うけど俺、漢文も無理かもしれん」

 

ライエル「紺子ちゃんに教えてもらったら?」

 

ディーゴ「おう」

 

 

ディーゴとライエルが話している中、落語の教科書を持ってきた司は。

 

 

司「俺様いっつも不憫すぎない?先生から暴力受けたり、職員室に呼び出されたり…………」

 

盾子「全部あなたが悪いんじゃないの?」

 

司「ふざけんな」

 

 

明らかに文句ありげな雰囲気を漂わせている。

 

 

一生「あっ、教科書忘れた」

 

盾子「私の貸してあげる」

 

一生「悪いね」

 

 

 

 

 

ようやく授業が始まり、万葉集の短歌の意味を答えたり朗読したりする。落語の教科書を持ってきた司は国語の教科書を貸してほしいと頼むことはなく、むしろ全く手つかずだった。

獄宴はわからない部分は炎宴と死宴が教えてくれるが、天才な冷火は当てられるとスッと答えてしまう。それでも全員気になることはある。ひとつは龍哉がいないこと、もうひとつはプリズムを通って虹色になった紺子だった。

文武両道の龍哉がいないのはまだいいとして、まさか紺子がプリズムを通るなんて。

だが今はそれを気にしている場合ではない。いや、それでも気になってしまう者は数人いた。

 

 

ディーゴ(俺も早くレインボーディーゴになりてぇ……)

 

司(紺子も気になるが、俺様もどんなお仕置きされるのかマジで冷や汗が止まらん…)

 

高見「紺子、ホントは妖狐じゃないんじゃないの?」ヒソヒソ

 

許人「油揚げ出せば妖狐かどうかわかるんじゃないかな」ヒソヒソ

 

冷火(それであいつの種族がわかるのか!?ここに油揚げ好まない妖狐いるんですけど!!)

 

ライエル(僕油揚げあんまり好きじゃないんだよね。チョコミントアイスならいくらでも食べれるけど…)

 

 

一方でトリノが紺子に目を向けたが、見るなりいきなり驚いて目を丸くした。

 

 

トリノ「あ…あれ!?紺子さん!?急にどうしたの!?」

 

紺子「………………」

 

獄宴「嘘でしょ、ちょっと……」

 

炎宴「あの子…よく見たら…」

 

死宴「泣いてる?」

 

紺子「っ…………ぅっく…………」ポロポロ

 

 

短歌を見る紺子はなぜかしゃくりあげながら涙を流しているではないか。

 

 

辰美「紺子様、いかがなさいました!?」

 

龍華「あいつ、マジでどうしたんだ?」

 

一生「短歌の中に何か変なの入ってたのかな?」

 

盾子「さすがに変なのは入ってないでしょ」

 

龍華「入ってたら問題だぞ………仮に学園長のが入ってたら問題だけど」

 

冷火「いやいや、それはないでしょ(そういえば朝学園長の悲鳴聞こえてきてたけど大丈夫なのか?)」

 

 

教室全体が困惑する中、紺子が何か呟く。

 

 

紺子「……………ゃん」

 

トリノ「?」

 

紺子「お母ちゃん……………」

 

トリノ「お母……ちゃん?」

 

 

泣きながら呟く紺子にトリノは首をかしげた。

他の者も紺子が呟いた「お母ちゃん」に気づく。

 

 

冷火(こいつ、何を言ってるんだ?)

 

盾子「お母ちゃんとか意味わかんない…」

 

ライエル(昔お母さんとかいたのかな…?)

 

 

疑問を抱く中、突如チャイムが授業終了の合図を知らせた。

複雑な気分で号令をかけたディーゴは紺子に話しかけようとする。紺子の目からは涙が止めどなく溢れていた。

 

 

ディーゴ「お、おい紺子?どうしたんだ急に泣いたりして……」

 

紺子「………………」ポロポロ

 

 

紺子は泣きながらディーゴに顔を向ける。一方で呼び出しを受けた司は授業終了後、すぐに職員室に連行された。

 

 

ディーゴ「わかった。龍哉が退学になんの嫌で泣き出したのか?」

 

紺子「…………ちげぇよ」ポロポロ

 

ディーゴ「違う?……あっ、そうだ!理科終わった時約束したよな!俺をレインボーディーゴにしてくれよ!できるよな?なあ、頼むたい!」

 

紺子「…………悪いけど、その話辰美に頼んでくれない?私その気分じゃないんだ…」ポロポロ

 

ディーゴ「お前3時間目と比べてテンションおかしくね?『プリズムに光をー!!』とか叫んでたお前どこ行っちまったんだ?」

 

紺子「………………」ポロポロ

 

ディーゴ「なあ、聞いてんのか?」

 

紺子「黙ってろよ!!自然に悲しくなっちまったってのに、ゴチャゴチャ聞いてくんじゃねぇよ!!

 

 

泣きながら怒鳴ると、そのまま教室を出ていった。

 

 

ディーゴ「紺子!」

 

 

出ていった紺子の後を追おうとするディーゴだったが、辰美に背後からつかまれた。

 

 

ディーゴ「辰美!?」

 

辰美「ディーゴさんはこちらですよ~」

 

 

辰美は人魚の少女の体に合わず、ものすごい怪力の持ち主だった。

暴れるディーゴだったが、それに動じず平気でズルズル引きずっていく。

 

 

ディーゴ「放せ!おい、放せよ!どこに連れてく気だ!」

 

辰美「どこって、美術室じゃないですか~。紺子様に言われたんですよね~」

 

ディーゴ「あの狐野郎ォオオオオオオ!!」シュウウウーッ

 

 

ディーゴは鼻から煙を出しながら暴れ、解放を試みたが無駄なこと。辰美の怪力には全く敵わず、そのまま美術室へ連行された。


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