異生神妖魔学園   作:さすらいのエージェント

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終わったら授業?いいえ、逃走中です

黒いステージから『肘打ち』と書かれた鬼が飛び出した。

突然現れた鬼に全生徒が驚くのも無理もない。悲鳴をあげながら三々五々散るように逃げていくが、そのうち1人の女子が転んでしまった。

 

 

ココ「ま、待ってですぅ!!こっち来ないでぇぇぇぇ!!」

 

 

1年のココだった。

当然肘打ちはココに目をつけ、必死に懇願する彼女に無慈悲に襲いかかる。

 

 

ココ「お母様ぁ~~~!!」

 

 

母親に助けを求めながら悲鳴をあげるも、もちろん無駄な抵抗。肘打ちは肘を曲げると、ココの腹めがけてエルボーを食らわせた。

 

 

ココ「ギャボォ!!

 

 

肘打ちがココにエルボーを決めた途端、再び短いラッパの音が鳴る。黒いステージから煙が噴き出し、もう1人の鬼が現れたのだ。

その鬼の胴体には『ザリガニ』と書かれ、手には虫籠を持っていたが、入っている生き物は胴体に書かれた名の通りザリガニ。エルボーを食らったココを無視して別の獲物を捕らえに向かった。

 

 

龍哉「おぉぉぉい!!何で俺なんだよォォォォ!?てか持ち方からしてあいつはネズミ小僧かー!!」

 

 

抵抗する間もなく鼻の穴にザリガニを挟まれ、激痛に悲鳴をあげた。

 

 

龍哉「イダダダダダダダダダダダ!!俺はお笑い芸人じゃねぇぇぇぇぇ!!」

 

 

やっとザリガニが離れたかと思うと、3人目の鬼の登場を知らせる短いラッパの音が鳴った。

次に出てきた鬼は『ゴムパッチン』。そのターゲットにされたのは遠呂智だった。

 

 

遠呂智「こいつメッチャ速ぇ!?執拗に俺を狙ってきやがる!」

 

 

するとどこからともなく胴体に何も書かれていない2人の黒無地の鬼が現れ、遠呂智を動けないように羽交い締めにした。

ゴムパッチンは抵抗できない遠呂智にゴムを咥えさせ、片手で持ちながらそのまま引っ張った。もう片方には1枚の紙を持ち、そこにはこう書かれている。

 

 

【離したら尻叩き1000発の刑!】

 

遠呂智「グォ!?ホイ(おい)ホヒャ(そりゃ)ヒフヒン(理不尽)ハホ(だろ)ホウヒハヘフホホヘイ(そう言われるとよけい)ハハ()ヒハフハフア(したくなるわ)!」

 

 

口にゴムを咥えたまま拒否するが、ゴムパッチンは無慈悲のごとくゴムを手離した。

 

 

 

バチーン

 

 

 

遠呂智「イッデェェェェェエエエェエエェエエエエェェエェエェエエェェェ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、校舎に逃げ込んだ生徒たちの一部が遠呂智の悲鳴を聞いていた。

 

 

龍華「今のはマスターの悲鳴!?何に捕まったんだ!?」

 

 

遠呂智の悲鳴を聞いた龍華は紺子、一海、竜奈、綾野と合流しており、どこへ逃げるか隠れるか話し合っているところだった。

 

 

竜奈「どうせプロレス技でも食らったんじゃないのか?いや、小道具を使われたというのもあり得るな」

 

綾野「現在の鬼は肘打ち、ザリガニ、ゴムパッチンの3人ですが、その鬼たちによってすでに犠牲者が出た模様。肘打ちはココ、ザリガニは龍哉、そしてゴムパッチンは遠呂智です」

 

龍華「マスターゴムパッチンされたの!?捕まらない方だと思ってたのに!」

 

綾野「鬼はまだどんどん出てきます。隠れ場所も全部探すつもりですし、増えれば増えるほど逃げ道がなくなるので覚悟しておいてください」

 

 

綾野が解析している中、紺子が無言で逃げ出した。

 

 

一海「って、出雲姐ちゃん!?」

 

 

逃げたのにはしっかり理由があった。先ほどまで綾野の解析を確認していたのだが、彼女の背後から鬼が迫ってきていたのだ。

しかも現れた場所は職員室。どうやら鬼はステージ以外にも別の場所から現れることもあるらしい。その鬼の胴体には『校長のおへそ』と書かれていた。

一海たちは全く気づかず、校長のおへそに捕まったのはそのうち1人。竜奈だった。

 

 

竜奈「なっ!?」

 

 

羽交い締めにされた竜奈は今の状況を理解できず、他の3人も嫌な予感がしたのか竜奈と鬼から離れる。

目の前に現れたのは優しく微笑むアルケーだった。

 

 

竜奈「こ、校長…?」

 

アルケー「うふふ……怖がらなくても大丈夫ですよ。暴力は与えないから安心しなさいな」

 

 

アルケーは優しい言葉を投げかけると、ドレスのスカートをめくる。

目の前にあったのは見るからに触り心地のありそうな腹、白いパンツ。それを目の当たりにした竜奈は絶句し、困惑。龍華と一海は何が起きているのかさっぱりわからず、綾野は今の状況を解析している。

 

 

竜奈「いくら女同士だからといって、なんというものを…!」

 

綾野「校長は悪臭系」

 

龍・一「「?」」

 

 

爪に水色のマニキュアが塗られた指を自分のへそに突っ込むアルケー。グリグリ動かした後、その指を竜奈の鼻へと近づけた。

 

 

竜奈「ヴェアアアアア!!!

 

 

どうやら相当臭かったのだろう、竜奈は悲鳴をあげると同時に失神してしまった。

 

 

龍・一「「竜奈先輩!!」」

 

 

だが背後にはもう1人『屁』と書かれた鬼が静かに迫ってきていた。危険を感じたのか、綾野も紺子同様気づいていない龍華と一海に黙って逃げてしまった。

声をかけようとした一海だったが、急に悪寒が走った。龍華も悪寒が走っており、振り向こうとした瞬間屁につかまれた。

 

 

龍華「どいつもこいつも俺たちに黙って逃げやがってー!!」

 

一海「鬼ごっこなんだから逃げるのは当たり前なんじゃないのー!?」

 

 

屁が2人を羽交い締めにし、アルケーは微笑みながら近づく。

 

 

アルケー「あなたたちにも悪臭をプレゼントしましょう」

 

 

背を向けながらそう言い、前かがみになったかと思うと。

 

 

 

ドォンッ!!!!

 

 

 

この世のものとは思えない爆発するような音の屁がアルケーの尻から放たれた。自分のスカートがめくれるほどだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、音楽室へ逃げてきた紺子は。

 

 

紺子「ここまで来れば大丈夫……なはず………」

 

???「出雲先輩」

 

紺子「きゃあ!!」

 

 

机の下に隠れていた無亞に声をかけられ、一瞬足がすくんでしまった。

 

 

紺子「な、無亞ぁ……驚かすんじゃねぇよぉ……私そういうの一番嫌いなんだよぉ…………」

 

 

涙目になる紺子に無亞はいたずらそうに笑っていた。

 

 

無亞「悪い悪い。俺もいい隠れ場所ねーかなーって思って探してたんだけどさ、なかなか見つからないもんだな。2時間連続逃げっぱなしも辛いし」

 

紺子「次って授業ないの!?学園中全部探されるって綾野先輩言ってたし……どうすんだよ!?序盤から私たち不利だぞ!?」

 

無亞「まあ落ち着けって。逃げ道が減ってきてもいい作戦はあるんだぜ」

 

紺子「いい作戦って何だよ!?教えてくれよ!」

 

無亞「残念だけど出雲先輩は絶対無理なことだ。俺にとってのいい作戦だよ。さっき学園長を殴ったように空間から触手生やして攻撃する作戦さ。鬼に抵抗してはいけないってルールあったら失格になるかもな」

 

紺子「期待して損したー!!」

 

 

紺子は諦めて音楽室を出た。だが恐怖はまだまだ終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校内放送『デンジャラス・逃走中、開始10分経過。鬼、増量します』

 

 

学園中に流れた校内放送に再び黒いステージから煙が噴き出し、鬼が2人出てきた。1人は『ねこです』、もう1人は『ローラースケート』だった。

だが生徒たちはどんな鬼が追加されたかわからない。唯一知っているのは全教師及び学園長の辰蛇だった。

 

 

ライエル「今度は何が来るんだ?僕もいつ襲われるか怖くてしょうがないよ………」

 

 

今ライエルがいる場所は教員トイレの前。いつ襲われてもいいように抜刀する準備はできていた。

するとトイレから女性の悲鳴が聞こえてきた。

 

 

ライエル「だ、誰っ!?」

 

 

教員トイレから3人の鬼が飛び出して走り去っていき、立て続けに出てきたのはなぜか全身クリームまみれになった大狼だった。

 

 

ライエル「って大狼先生!?どうしたんですかそんなクリームまみれになって!」

 

大狼「『学園内ならどこにでも逃げてもいい』って学園長が言ってたんですけど、急にトイレに行きたくなっちゃって………用を足して出ようとしたら個室から鬼が………パイを持って………」

 

 

怯えながら訴える大狼だったが、さらなるアクシデントに巻き込まれるとは予想だにしていなかった。

肘打ちがこちらへ向かって走ってきていた。大狼とライエルは気づいておらず、そのままエルボーを食らったのだった。

 

 

ライエル「ゴバァ!!

 

大狼「何で私までぇ!?

 

 

パイ投げの被害を受けたのは大狼だけではなかった。

大狼とライエルがエルボーを食らった同時に司も急にトイレに行きたくなったのだ。

 

 

司「うっ……小便してぇ……」

 

 

この後降りかかる災難など知らず、司はトイレに入った。その前を藤一が通りかかる。

 

 

藤一「メリーがやられてもうた…油断できひんな。でもこれって賞品あるん?たぶんサプライズかもしれへんな………そんな気がするんや」

 

司「ごわあああああ!!お前らどっから…個室に隠れてるとか卑怯ギャアアアアア!!

 

 

トイレから司の悲鳴が聞こえ、藤一は思わず後ずさった。

 

 

藤一「な、何や!?まさか鬼が隠れとったんか!?」

 

 

まさにその通り。トイレから3人の鬼が飛び出すと、そのまま走り去っていく。藤一は悲鳴が聞こえたトイレに慌てて入ると、そこにはクリームまみれになって倒れた司がいた。

 

 

藤一「先輩!大丈夫っすか!?しっかりしてください!」

 

 

藤一に揺さぶられ、司のクリームまみれの唇が開く。

 

 

司「…………トイレにいやがった」

 

藤一「トイレに……あっ!じゃあさっき出てった奴らってまさか先輩をこんなにした鬼っすか!?」

 

司「そうだよ………神出鬼没すぎるぜ………まさにトイレに入れば鬼が喜ぶ、だな……………」

 

 

正しくは風が吹けば桶屋が儲かるである。変なことわざを言った司はそのまま気を失ってしまった。

 

 

藤一「先輩!せんぱーい!!」

 

 

気絶した司に大声で呼びかける藤一。だがそれが大きな間違いだった。

トイレに響く藤一の大声を聞きつけたザリガニが侵入し、藤一の肩を叩いた。

 

 

藤一「ゲッ!あ、アカーン!!や、やってもうたー!!」

 

 

なす術もなく鼻の穴にザリガニを挟まれたのだった。

廊下では紺子も一海たちに黙って逃げた罰が当たったのか、羽交い締めにされた状態でゴムを咥えさせられていた。

 

 

【離したら尻叩き1000発の刑!】

 

紺子「んーっ!んーっ!」

 

 

ゴムが顔に当たる恐怖に必死に顔を横に振っていたが、無慈悲なゴムパッチンはゴムを手離した。

 

 

 

バチーン

 

 

 

紺子「んやあああああああああああああああああっ!!!

 

龍華「あの悲鳴は紺子!?」

 

一海「出雲姐ちゃん!?」

 

 

その頃、アルケーの屁を受けた龍華と一海は壁に叩きつけられてしばらく気絶していたが、ちょうど目を覚ましたところだった。

立ち上がった瞬間ゴムが顔に当たった紺子の悲鳴を聞き、すぐに向かおうとしたが、ふとあることが脳裏をよぎる。

 

 

龍華「……罰が当たったんだろうなぁ。あいつ、何も言わないで俺たち置いて逃げたよな。おかげで俺たち綾野先輩が言ってた校長の悪臭嗅いじまった」

 

一海「綾野先輩だって黙って逃げてたじゃん。僕たちにはオナラとは言えないオナラ、竜奈先輩にはおへその匂い………今回ばかりは見損なったよ、出雲姐ちゃん………」

 

 

あの紺子が裏切るはずがないと信じていた。特に一海は紺子に拾われ、それ以降すっかり彼女に懐いてしまっているため、黙って逃げたと知った時には物事も言えなかった。

2人が呆れている中、向こうで誰かが鬼に捕まったことに気づいた。

 

 

???「わぁー!はずみで頭が取れちゃった!取れちゃったよー!」

 

 

目を凝らして見てみると、そこにいたのは昼休み、ジャックのナイフ投げを受けた美弥妃だった。

頭が転がった美弥妃を見て鬼は驚いたのか、少し後ずさる。美弥妃が目にしていたのは胴体に『ねこです』と書かれた鬼だった。

 

 

美弥妃「『ねこです』ってなーにー?体で自分が猫だってこと表現したいの?したいのー?」

 

龍華(いや、さすがにそれはないだろ…あいつが持ってるのって…)

 

 

ねこですが持っているのは猫耳カチューシャ、猫髭、そして猫の尻尾。鬼が持っているものに美弥妃はすぐに悟った。私に猫のメイクをするつもりだ、と。

 

 

美弥妃「ニャー!!ねっこみーやびっ!ねっこみーやびっ!」

 

 

猫のメイクをされた美弥妃は嬉しそうに跳ね回っていた。

すると先ほどアルケーのへその匂いを嗅がされ、倒れた竜奈が起き上がる。

 

 

竜奈「なぜあいつは喜んでるんだ?」

 

一海「あ、竜奈先輩」

 

龍華「あのお残しゾンビ…じゃねぇや、美弥妃先輩さっき猫のメイクされたんだ。それでメッチャ跳ね回っててさ」

 

美弥妃「ねっこみーやびっ!ねっこみーやびっ!」

 

 

そう言いながら跳ねて喜んでいる美弥妃を無視し、3人は自分の身に起きたことを告白することに。

龍華と一海は屁で壁に叩きつけられたこと、竜奈はへその匂いを嗅がされたこと。互いに告白し合った。アルケーの屁はとてつもなくすっぱ臭い匂いがしたらしく、へそは何日風呂に入っていないんだと叫びたくなるほどの匂いだったらしい。

 

 

龍華「でも、あのオナラって1回きりで終わりなのか?もしどこかで焼き芋とか食いまくって補給してたら……」

 

竜奈「きっとそうだろうな。しかし紺子め、鬼が来たなら『逃げろ!』と言ってほしいものだ」

 

一海「出雲姐ちゃん誰かに捕まってましたよ。『んやああああ!!』って声ここまで聞こえてきましたもん」

 

竜奈「捕まったのか。ふむ………罰が当たったと思えばいい」

 

一海「僕もホントに見損ないましたよ」

 

龍華「目の前で捕まってたら爆笑してたけどな」

 

 

ところが、またしても気づけなかった。

3人が話し合っている最中、鬼が足音を立てずに近寄ってきていたことを。肘打ちが抜き足差し足で忍び寄ってきていたことを。

 

 

竜奈「!!!」キランッ

 

 

突然竜奈が目を光らせたかと思うと、腰に携えている刀『ドラゴニックスレイブ』を目にも止まらぬ速さで抜刀し、一刀両断にした。

肘打ちも何が起きたかさっぱりわからず、体が真っ二つになると同時に血液らしき黒い液体が噴き出した。肘打ちは倒れ、黒い液体は床に広がっていく。

 

 

龍華「り、竜奈先輩が………

 

一海「鬼を………

 

龍・一「「斬った………………!」」

 

 

龍華と一海は恐怖にガタガタ震えながら抱き合った。竜奈は鬼の死体を見つめながら呟く。

 

 

竜奈「降りかかる火の粉を払うため、仕方なかった………だが本当にこれでよかったのだろうか?自分は本当に鬼を斬ってよかったのだろうか?」

 

 

疑問に思う中、校内放送が校舎に流れた。まるで竜奈の疑問に答えるかのように。

 

 

校内放送『デンジャラス・逃走中、もうひとつのルール。鬼は倒せますが、30秒後にはまた復活しますのでご注意を』

 

 

 

ズドガドドドガッシャーン

 

 

 

龍・一「「倒せたんかーい!!!」」

 

竜奈「バカな………そんなバカなことが……あっていいのか…………!?」

 

美弥妃「ねっこみーやびっ!ねっこみーやびっ!」

 

一海「先輩も先輩でうるさーい!!」

 

 

相変わらず跳ね回っている美弥妃のやかましさにしびれを切らした一海が彼女の頭めがけて飛び蹴り。吹き飛ばされた頭は壁に激突した。

にも関わらず、美弥妃の頭はヘラヘラ笑っていた。頭をなくした胴体につけられた尻尾はしなやかに動き回る。

 

 

美弥妃「私の頭はね、サッカーボールにもなるんだよ!今度の昼休み教えてあげるね、あげるね!」

 

一海「気持ち悪くてやる気にもならないよ!」

 

竜奈「喧嘩してる場合か!ずっとここに留まっていれば私たちは結局捕まる羽目になるぞ!美弥妃だってその犠牲になる!」

 

 

その言葉通り、竜奈に斬られた肘打ちが宙に浮かび、時間が巻き戻るように体がくっつこうとしていた。

 

 

龍華「言ってるそばから復活しかけてんじゃねーか!カズミン、先輩、早く逃げるぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わって理科室では、牙狼が鬼と対峙していた。

 

 

牙狼「ヴォルルルルル……

 

 

牙狼は狼男の姿となっており、ものすごい剣幕だった。

目の前には『ローラースケート』と書かれ、その名の通り手にはローラースケートを持った鬼。互いに間合いを取り、いつ襲っても襲われてもおかしくない状況だった。

 

 

牙狼「どこからでも来いよ………お前が僕に牙を向けた瞬間、お前は八つ裂きになっている………

 

 

ローラースケートは牙狼の言う通り下手に手を出せば骨も残らないと思ったのか、隙を見せた瞬間にローラースケートを履かせようと考えていた。

 

 

 

ガタッ

 

 

牙狼「グァウ!?

 

 

物音がした方に顔を向ける牙狼。ローラースケートにも聞こえていないはずもなく、物音が聞こえた机に顔を向けた。

机から出てきたのは霜。狼男に変身した牙狼を見ているうちに恐怖に耐えられなくなり、気づかれないように理科室から出ようとしたのだろう。

音の正体はこれだった。椅子に足を引っ掛けてしまったのだ。

 

 

牙狼「霜!?

 

 

転びそうになりながらも立ち上がった霜は牙狼に恐怖しながら理科室を飛び出していった。

ローラースケートはこの狼男といがみ合っていれば自分が不利になるかもしれないと判断し、理科室から逃げた霜を追いかけていった。

 

 

牙狼「あれからして怖がってたのかな?この姿だからしょうがないよね……いつか慣れてくれればいいけど…………

 

 

うつむきながら呟いた牙狼だったが、ふとあることを思い出す。

 

 

牙狼「そういえば紺子たち…今頃大丈夫かな?いつまでもここにいたら意味ないし、探しに行くとするか

 

 

自身の姿に不慣れの者に怯えられるのを覚悟で理科室を出た牙狼。同時に校内放送が流れる。

 

 

校内放送『デンジャラス・逃走中、開始30分経過。鬼、増量します』

 

 

再び黒いステージから3人の鬼が飛び出した。そのうち1人は肥満体である。

肥満体の方には『関取』と書かれ、他の2人には『らくがき』、『ちちもみ』と書かれていた。

 

 

乱「うそーん!?1人だけ変態なのがこっち来てるー!!」

 

 

関取とらくがきはそれぞれ別方向へ走っていったが、ちちもみだけ乱へまっしぐら。

 

 

乱「いやああああああああ!!おっぱい触んないでぇぇぇぇぇぇぇーーーーーー!!////////」

 

 

恥辱のあまり顔を真っ赤にしながら叫んでしまった。

もしターゲットを冷火にして母親の燐斗にバレれば、高確率で骨も残らないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でその冷火は。

 

 

辰蛇「冷火ちゃ~~ん!!!怖がらなくてもいいのよ~~~~!!!パイタッチするだけだから~~~~~~!!!あなた何カップ~~~~!!?

 

冷火「何で学園長も参加してんだよ!!?私のそばに近寄るなァァァァァァァァ!!!!

 

 

なぜか鬼役となった辰蛇に追いかけられていた。


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