異生神妖魔学園   作:さすらいのエージェント

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暴走特急!学園崩壊へのカウントダウン! 前編

金的タックルラリアットを習得したその日の夜、紺子の家にて。

夕食の最中、突然紺子のスマホに着信が入った。

 

 

紺子「誰だよ晩飯の時に…」

 

 

着信画面には『ディーゴ・黒鉄』とあった。あいつが私に電話よこすなんて珍しいな。何しろ彼が紺子に電話をかけることなんて滅多にないのだからきっと何か重大な事件が起きたに違いない。

これには本当に出ないわけにはいかないのですぐにスマホを手に取ると、通話を始めた。

 

 

ディーゴ『よっ、紺子。連休どう過ごしてる?』

 

紺子「なーんか今日カズミンと龍華と綾野先輩と清花先輩と街歩いてたら学園長に会ってさぁ…お前平気なの?一昨日のレクリエーションマジで地獄だったじゃん」

 

ディーゴ『もうすっかり元気になっちまったぜ。それより紺子、聞いてくれ。明日学園の最寄り駅に行かねぇか?いいニュースなんだけどさ、俺にとってのいいニュースでもあるんだ』

 

紺子「駅で何か祭りでもあんのか?もし明日行ってつまんなかったら帰るぞ」

 

 

しばらく通話していた紺子とディーゴだったが、5分ほどすると紺子が電話を切った。

 

 

一海「誰から?」

 

紺子「うちのクラスメイトのディーゴから。何でも学園の近くで祭りがあるんだってさ」

 

一海「祭り?」

 

紺子「場所は学園の最寄り駅。カズミンも連れてみんなで行こうぜって話があったんだよ。他にも私たち以外に連れてく奴らは龍哉、辰美、あと1年のメリーだって」

 

一海「メリーか……とりあえず行ってみてもしつまんなかったら帰ろうか」

 

紺子「私と同じ考えなのな」

 

 

乗り気ではないが、行かないわけにはいかない。仮に約束を破られて怒ったディーゴによる蒸気機関車にひかれるかのような体当たりを食らうわけにもいかない。

夕食を終えると、紺子はすぐにクラスメイトの龍哉と辰美に電話したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから翌日、連休3日目。紺子と一海は着替え終えるなりすぐに異生神妖魔学園より少し離れた街の最寄り駅へと向かった。そこへ向かっているのはディーゴ、龍哉、辰美、メリーも同じで、駅前に到着するなりディーゴたちと鉢合わせしてしまった。

駅前にある垂れ幕には『祝!夢物語号運行』と書かれていた。

 

 

紺子「仕方なく来てみたけど、お前らも同じか」

 

龍哉「ああ。ディーゴがどうしても来いって言うから……」

 

辰美「私も乗り気じゃないですし…ディーゴさんのゴリ押しも半端ありませんでしたし」

 

一海「ところで何でメリーもいるの?」

 

メリー「私もよくわからないままディーゴさんに…」

 

 

気づけば紺子はディーゴにつかみかかっていた。

 

 

紺子「テメェ!カズミンならまだしも無関係の奴まで誘うとか……!」

 

ディーゴ「まあまあ、そうカッカすんなよ。俺が鉄道マニアだからってみんな嫉妬してんのか?」

 

メリー「え?ディーゴさんが鉄道マニアだとか私知らないんですが」

 

紺子「ほら見ろ!勝手に無関係の後輩まで連れてきやがって!」

 

龍哉「紺子、1回落ち着け。大勢の人の前でキレて恥ずかしいと思わないの?」

 

 

辺りを見回すと、夢物語号に乗りに来たのであろう人々が紺子たちに注目を浴びせていた。

 

 

紺子「あ……………/////////」

 

 

恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にし、そのまま手で顔を覆ってうつむいてしまった紺子であった。

 

 

 

 

 

数分後、ディーゴは紺子たちを導くように駅に入れたが、紺子は人々の前でディーゴにつかみかかったことに罪悪感を抱いていた。

 

 

辰美「紺子様、お恥ずかしい気持ちはわかりますが少しは公共の場というものを考えてください」

 

紺子「うるせぇよ……お前の説教聞く気分でもねぇよ………//////」

 

辰美「しかもこんな時にディーゴさんはどこに……」

 

龍哉「あいつなら俺たちの切符と駅弁買いに行ってるけど?」

 

ディーゴ「いやー、待たせたなぁ!もうとにかく夢物語号に乗りたい客の行列だったわい!」

 

 

売店の方からディーゴが6個の駅弁を重ねて持ってきた。それらをベンチに置くと、ポケットから6枚の切符を取り出す。

 

 

一海「遅いですよ先輩。こんなに駅弁と切符買って…………って全員分!?

 

ディーゴ「せっかくみんな来たんだし、ウダウダ言ってもしょうがねぇ。連休なんだからさ、いろんなトコ冒険してみようや」

 

龍哉「……紺子、どうする?」

 

紺子「こいつ蒸気機関車の付喪神で大の鉄道好きだからなぁ………わかったよ、全員分買ったんならもう引き返せねぇな」

 

ディーゴ「よーし、じゃあ決まりな!早速ホームにゴーだ!」

 

 

ディーゴは紺子たちに駅弁と切符をそれぞれ渡した後、すぐにホームへと走っていった。

 

 

メリー「足速すぎ!?」

 

一海「さすがにこれ片道とかじゃないよね……?」

 

 

恐る恐る切符に書かれている文字を読む一海だったが、不安は当たった。

 

 

一海「やっぱり……お金足りないんじゃないかな………」

 

 

切符には片道と書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駅のアナウンス『間もなく第4ホームに新特急列車、夢物語号が到着します。なお、夢物語号は第4ホームにて10分停車の予定です』

 

 

駅のホームで特急列車を待つ紺子たち。特にディーゴはもうすぐ夢物語号がこの駅に到着することに胸をときめかせていた。

 

 

ディーゴ「ウッホ~、いよいよじゃあ…!」

 

紺子「ディーゴ。おいディーゴ」

 

ディーゴ「あ?んだよ、今ウズウズしてる時に」

 

紺子「帰りの時の金足りるの?この駅弁と切符の値段、私たちの分と合わせて全然足りねぇんじゃねぇの?」

 

ディーゴ「……あ~大丈夫大丈夫。そうなってもお前らで1人ずつ切符買えばいいから。お前ら金持ってきてるんだろ?」

 

辰美「持ってることは持ってますが…」

 

メリー(なんかすっごく心配なんですが!!)

 

 

冷や汗を流しながら心の中で叫ぶメリー。一海が乗客らしき人々を見ると、カメラやスマホを持っている者がやたら多かった。

 

 

一海「それにしてもカメラ持ってる人たくさんいるね」

 

龍哉「よっぽど記念写真撮りたいらしいな。鉄道マニアにもたまらないかもしれないし」

 

ディーゴ「俺も撮りまくるとしますかね。だって蒸気機関車だった頃、いろんな列車見てきたんだぜ?」

 

紺子「ところでさ、なんかちょっと駅が騒がしくなってきたんだけどさ、もしかして来たんじゃね?夢物語号」

 

紺子以外全員『え?来た?』

 

 

 

プァーーン

 

 

 

遠くからホームにかけて警笛が鳴り響く。

振り向くと、線路の上を走っていたのは………。

 

 

ディーゴ「うおおおおおおお!!あれだあれだ!!あれこそ新しくできた特急列車、『夢物語号』だ!!激写激写ー!!

 

 

ディーゴは目を輝かせながらスマホを取り出し、近づいてくる特急列車こと夢物語号の写真を何枚も撮り始めた。人々もディーゴのように次々と写真を撮っていく。

夢物語号の車体は藍色のカラーに無数の星、三日月の上で眠る少女。正面には特急列車の名前と獏の絵が描かれていた。

 

 

紺子「…だから乗り気じゃなかったんだよ。ホント帰りてぇ」

 

辰美「まあまあ、そう固くならずに。ディーゴさんもあんなに喜んでるんですから一度乗った方がいいかもしれませんよ(と言っても私もホントは帰りたいんですよね………)」

 

 

顔を背ける紺子に辰美が声をかけ、龍哉と一海とメリーもスマホを取り出すと、近づいてくる夢物語号を写真に収めた。

そして紺子たちの近くに夢物語号が停車し、全てのドアが開いた。

 

 

ディーゴ「あれ?おい紺子、辰美。お前らまだ撮ってないの?」

 

紺子「撮るも何も鉄道のことあんまり知らないから………」

 

ディーゴ「鉄は熱いうちに打っとけ。龍哉とカズミンとメリーだって撮ったんだぜ?また何かの用事で乗る機会あってもさ、今さらこれ撮っても遅ぇぞ」

 

紺・辰「「は、はぁ………」」

 

 

言われるがままにスマホを取り出し、夢物語号を写真に収める紺子と辰美。しかしディーゴはそれを見るなり気に入らない様子でこう言った。

 

 

ディーゴ「こんなに人集まってるのにお前らだけたった1枚?ふざけんなよ。俺みたいにたくさん撮るのがマニアってもんだろうがよ。あと龍哉、カズミン、メリー。お前らのこともちゃーんと見てたからな。俺みたくもっと撮れや。なんか俺だけ無駄にテンション高い奴みたいでむなしくなるんじゃが」

 

龍哉(ごめん!俺も鉄道のこと興味ない!)

 

紺子「私も昔蒸気機関車何回も見て興味わいたことあったけど、さすがにマニアの道には…」

 

ディーゴ「ホントに何にもわかってねぇんだなお前ら……まあこんなトコで喧嘩しててもしょうがねぇや。5連休だしゆっくりしねぇとな」

 

紺子「お前が話振ってきたんだろうが!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紺子たちを含めた乗客が夢物語号に乗り込んだ中、その特急列車の担当であろう車掌と運転手が夢物語号から降りて休憩していた。

1人は30代前半の男、もう1人は明らかに定年退職してもおかしくないような年老いた男。2人は夢物語号の外でこんな立ち話をしていた。

 

 

車掌「この仕事始めて結構経つのか………」

 

運転手「おいおい、若いくせにジジくせぇこと言うなよ。俺の方がジジイだってのに」

 

車掌「そう言うわりには結構元気じゃないか。お前のようなジジイがいるか?鉄橋でぶら下がり腹筋するようなジジイが」

 

 

※危険ですので絶対に真似しないでください。

 

 

運転手「まだまだ若いもんに負けたくねぇからなぁ……と言いたいが、だんだん筋肉が衰えてきちまって……いい加減引退も考えてるし、お前さんに任せようかと考えてるんだ」

 

車掌「まだそこまでの自信は…」

 

運転手「大丈夫だ。少なくとも今のお前さんなら任せられる。俺の代わりに頼むぞ」

 

車掌「………ん?」

 

 

車掌が違和感を感じたのか、夢物語号の方へ目を向けた。いや、気づくのがあまりにも遅かったと言うべきだろう。

なんと先ほどまであった夢物語号が………いつの間にか車掌と運転手の視界から消えていたのだ。

 

 

車掌「え?あれ?え゛ぇ!?

 

運転手「どうかし………な!?夢物語号が消えてる!?

 

車掌「ちゃんと停めたよね!?」

 

運転手「お、おう!ちゃんとブレーキかけたぞ!お前さんも見ただろ!?」

 

車掌「見てた見てた!でも一体いつ………!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

車掌と運転手が慌てる一方、駅の外ではとある男が駅を憎らしげな表情と目つきで睨んでいた。

 

 

???「………くだらねぇ夢の列車と共にくたばりやがれ………人間と人外のクソッタレ共が………」


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