STCはテニスクラブとして強豪で知られている。
そんなテニスクラブだから休日ともなるとたまに県外の強豪テニスクラブから練習試合が入ることがある。
俺は明日は男子で五本の指に入る難波江優と
奈津は女子トップで俺の従妹の清水亜季と
試合をする事になった。
そんな試合前日の授業後の下駄箱へ向かいながらの何ら変哲のない会話のはずだった
「なっちゃん。今日もSTC行くか?明日に備えて休んでもいい事になってるけど。」
「行くよハルちゃん!どうせハルちゃんも行って逞と試合形式の練習をするんでしょ?」
「今日は逞とはやらないぞ。なんなら俺がなっちゃんの相手をしようか?」
と俺が笑いながら奈津に言うと
「ホントに!やったー。・・・それとお願いなんだけど。」
と真剣な顔で俺を見てきた。
「次の試合ね。私は明日なんだ。」
「俺もだけどよ。」
「そうなんだけど。・・・亜季ちゃん対策をしたいんだ。今度こそ勝ちたいんだ。」
「亜季か。」
「うん。」
「従妹の対策か。」
「うん。」
「模倣は出来るがプレイスタイルがだいぶ違うんだけど。」
「わかってるよ。でも・・・今までの大会では同じプレイスタイル従兄妹同士の清水春樹と清水亜季ってなってるでしょ?世間を騙せてるじゃん。」
「まぁいいかな。こういう時は彼女の為に頑張るさ。」
「ありがとう!大好きな彼氏のハルちゃん!さぁ〜大好きなを付けたんだから私にも付けてね〜」
「やだね。」
「言えよーブーブー」
と頬を膨らませて見せる大好きな彼女のなっちゃん。
そもそも恥ずかしくて大好きな・・・なんて付けられるわけねぇよ。
と考えながら俺のとった手段は
身長差20cmあるため腰を少し曲げてなっちゃんの後頭部と腰に手を当てて少し抱くような形にってこっちの方が恥ずかしいけど耳元に顔を持って言って
小さい声で
「愛してるぜ奈津。俺にとっては今までも、そしてこれからも俺の愛する女は奈津だけだ。」
と囁く
今、放課後の下駄箱だからすげー恥ずいけどな!
囁いて少し力を入れて抱き締めるとなっちゃんも俺を抱き締めてくれる。
この安心感はやっぱ、なっちゃんじゃなきゃ味わえない
少ししてなっちゃんを少し離して周りを見渡すと
真っ赤になったなっちゃんの顔と
周りの女子達の
「清水君に抱きしめて貰えるなんていいなー鷹崎さん。」
と男子達の
「リア充滅べ!」
「春樹を殺して俺も死ぬ!」
と物騒な声が聞こえるのだった。
side奈津
「まぁいいかな。こういう時は彼女の為に頑張るさ。」
「ありがとう!大好きな彼氏のハルちゃん!さぁ〜大好きなを付けたんだから私にも付けてね〜」
「やだね。」
「言えよーブーブー」
と私なりのちょっとした意地悪
ハルちゃんの顔を見ると少し困っているのがわかる。
1番古い幼馴染だからハルちゃんの考えている事はわかる
と思っていたのに
予想を遥かに超えた回答が私の耳元に帰ってきた。
身長差があるからハルちゃんは腰を少し曲げて
私の頭と腰に優しく手を添えて耳元に顔を近づけると
「愛してるぜ奈津。俺にとっては今までも、そしてこれからも俺の愛する女は奈津だけだ。」
とハルちゃんは耳元で優しく囁いてくれた
あ・あ・あ・アイシテル
愛
愛し
愛して
・・・・・・愛してる!
ハルちゃんから愛してる!
あのハルちゃんが・・・試合中のテンションなら言ってくれそうなセリフを普段は恥ずかしがり屋のハルちゃんが・・・愛してる!
ハルちゃん絶対に今、顔が真っ赤だよ!
でもそれよりも
今は間違いなく不意打ち気味にこんな・・・愛してるを貰った私の方が顔は真っ赤だよね。
今、放課後の下駄箱だよ!
周りに人がいるんだよ!
更にハルちゃんは囁いた後に少し力を入れて私を抱き締めてくれた
反射って怖いな、私も抱きしめちゃった
学校なのに
学校なのに
学校なのに
凄く恥ずかしいのにこの安心感はやっぱりハルちゃんじゃないとね
少ししてハルちゃんが私を少し離して周りを見渡すと
学校だということを思い出して恥ずかしそうにしているハルちゃんと
周りの女子達の
「清水君に抱きしめて貰えるなんていいなー鷹崎さん。」
と男子達の
「リア充滅べ!」
「春樹を殺して俺も死ぬ!」
という声がよく聞こえた
ここで私の大好きな・・・違うな。
1番愛してる彼氏は凄いんだよ!って皆に自慢したいけど恥ずかしいからいいよね、と思う私がいた。
side春樹
愛してる。
・・・やべー!
なんであんな事を言ってからなっちゃんを抱き締めたんだ!
抱き締めたのは照れ隠しの為
それはわかってる
でも・・・ここでやる必要は無かっただろー!
と考えながら俺は奈津が靴を履き替えるのを確認してから奈津の手を掴んでこの雰囲気から逃げるようにSTCに向かうのだった